2021/10/18(月) - 16:34
Jプロツアー最終戦の「かすみがうらロードレース」が、10月17日(日)に茨城県かすみがうら市で開催され、スタート直後に形成された4名の集団が逃げ切り、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝した。Jプロツアー個人総合優勝はホセ・ビセンテ・トリビオ。マトリックスパワータグがチーム総合優勝を決め、3年連続で個人とチームのダブルタイトルを達成した。
Jプロツアー最終戦となった「かすみがうらロードレース」は、前日のタイムトライアル同様に今年初開催のレース。同地で開催されていた「かすみがうらエンデューロ」と、ほぼ同じコースを使用して開催される。
「ほぼ」としたのは、スタート/フィニッシュ地点と残り500mの区間が異なるため。霞ヶ浦沿いの道路から歩崎公園を通過し、より斜度が急で道幅の狭い登り区間を経て、かすみがうら市歴史資料博物館前にフィニッシュする設定としている。エンデューロでは初心者でも走りやすいフラット基調なコースとされるが、急激に道幅が狭くなる区間や直角コーナーの連続、天候によっては風の影響をもろに受ける遮蔽物のない湖岸道路や農道など集団を長く引き伸ばす要素が多く、ロードレースコースとしてはハードな設定だ。
当日は朝から雨が降り続け、午前中に行われたエリート・クラスタや女子のレースは大雨の中行われた。Jプロツアーがスタートした午後も雨が残ったものの、レース後半にかけて徐々に弱まった。しかし強めの風が吹き続け、冬のレースを想起させる寒さの中でのレースとなった。
1周4.8kmを22周するレースは、2周目に早くも動きを見せる。入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)の飛び出しに山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)、平井光介(エカーズ)、小森亮平(マトリックスパワータグ)が追従し、4名の先頭集団が形成される。メイン集団は愛三工業レーシングチームが先頭を固めてコントロールを開始し、50秒から1分の差を維持していく。
少人数ながらも力の揃った4名が乗った先頭集団は、ペースを落とすことなく周回を重ねていく。レース後半に入ると、メイン集団からエカーズの2名が飛び出して追走する場面があったものの、1周で吸収。この動きをきっかけに先頭集団とメイン集団との差が40秒台まで縮まり、16周目には30秒差まで縮まる。霞ヶ浦湖畔の見通しの良い道路では、先頭の4名とメイン集団がお互いに姿を確認できるほどになったが、先頭集団はここからペースアップして差を広げにかかる。残り3周となる20周目には再び1分以上の差となり、先頭集団の逃げ切りが確実となる。
残り2周、先頭集団で入部がアタック。勝負所と決めていたという登りの入り口前から加速し、他の3名を一気に離して最終周回に入っていく。バラバラになった3名のうち、山本が単独追走して入部に追いつくと、2人は協調して残り1kmへ。最後の登り区間に入ると、入部が山本を振り切って残り100mに姿を現す。前日が母親の命日だったという入部は、2019年の全日本選手権で優勝した時と同じように、両手人差し指を天に向けてフィニッシュラインを越えた。
「今日は僕にとって『第2の地元』のレース。トレーニングで走ることもあるコースなので、逃げて勝負したいと考えていました。逃げのメンバーはみんな強かったので綺麗に回せて楽しかったですね」と話す入部。かすみがうら市に近いつくば市に拠点を置く弱虫ペダルサイクリングチームにとってホームレースと言える大会で、入部はチームにJプロツアー初優勝をプレゼントした。
「最終戦で総合優勝争いの思惑もあるので、僕が逃げてもマトリックスは無理に追わないのではないかと予想していました。飛び出してみたら小森選手が反応してきたけれど、山本選手と平井選手がついて来て逃げが容認されました。そこからはひたすら協調して、『漢気』の長引き合戦のようになっていました。それでも後半には愛三工業がペースを上げてくるだろうと思っていたので、最後どれだけペースを上げ直せるかが勝負になるだろうと考えていました」
「終盤にタイム差が一気に縮まった時はヤバイと思いましたが、どこまで我慢比べ出来るかが勝負と逃げの中で共有出来ていたので、諦めずにペースを上げました。そしたら一気に1分まで差が開いたので、そこからは4人での勝負に切り替えました。
最後は山本選手と2人になりましたが、一騎打ちは何度やってもワクワクしますね。後ろから平井選手が追ってきていたので牽制せず、登りの力勝負でなんとか先着できました」と、レースを振り返る。
1週間後に全日本選手権を控え、「これがチャンピオンジャージを来て走る最後のレースになるかもしれない」と入部は言うが、手放す気持ちは無い。「やはり(チャンピオンジャージは)失いたくないし、もう一度勝負して勝って着たい。全て出し切って終われればと思っています。至れり尽くせりのサポートをして頂いて、万全な状態で全日本に臨めると思うので、2連覇を目指します」と、宣言した。
Jプロツアー最終戦となった「かすみがうらロードレース」は、前日のタイムトライアル同様に今年初開催のレース。同地で開催されていた「かすみがうらエンデューロ」と、ほぼ同じコースを使用して開催される。
「ほぼ」としたのは、スタート/フィニッシュ地点と残り500mの区間が異なるため。霞ヶ浦沿いの道路から歩崎公園を通過し、より斜度が急で道幅の狭い登り区間を経て、かすみがうら市歴史資料博物館前にフィニッシュする設定としている。エンデューロでは初心者でも走りやすいフラット基調なコースとされるが、急激に道幅が狭くなる区間や直角コーナーの連続、天候によっては風の影響をもろに受ける遮蔽物のない湖岸道路や農道など集団を長く引き伸ばす要素が多く、ロードレースコースとしてはハードな設定だ。
当日は朝から雨が降り続け、午前中に行われたエリート・クラスタや女子のレースは大雨の中行われた。Jプロツアーがスタートした午後も雨が残ったものの、レース後半にかけて徐々に弱まった。しかし強めの風が吹き続け、冬のレースを想起させる寒さの中でのレースとなった。
1周4.8kmを22周するレースは、2周目に早くも動きを見せる。入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)の飛び出しに山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)、平井光介(エカーズ)、小森亮平(マトリックスパワータグ)が追従し、4名の先頭集団が形成される。メイン集団は愛三工業レーシングチームが先頭を固めてコントロールを開始し、50秒から1分の差を維持していく。
少人数ながらも力の揃った4名が乗った先頭集団は、ペースを落とすことなく周回を重ねていく。レース後半に入ると、メイン集団からエカーズの2名が飛び出して追走する場面があったものの、1周で吸収。この動きをきっかけに先頭集団とメイン集団との差が40秒台まで縮まり、16周目には30秒差まで縮まる。霞ヶ浦湖畔の見通しの良い道路では、先頭の4名とメイン集団がお互いに姿を確認できるほどになったが、先頭集団はここからペースアップして差を広げにかかる。残り3周となる20周目には再び1分以上の差となり、先頭集団の逃げ切りが確実となる。
残り2周、先頭集団で入部がアタック。勝負所と決めていたという登りの入り口前から加速し、他の3名を一気に離して最終周回に入っていく。バラバラになった3名のうち、山本が単独追走して入部に追いつくと、2人は協調して残り1kmへ。最後の登り区間に入ると、入部が山本を振り切って残り100mに姿を現す。前日が母親の命日だったという入部は、2019年の全日本選手権で優勝した時と同じように、両手人差し指を天に向けてフィニッシュラインを越えた。
「今日は僕にとって『第2の地元』のレース。トレーニングで走ることもあるコースなので、逃げて勝負したいと考えていました。逃げのメンバーはみんな強かったので綺麗に回せて楽しかったですね」と話す入部。かすみがうら市に近いつくば市に拠点を置く弱虫ペダルサイクリングチームにとってホームレースと言える大会で、入部はチームにJプロツアー初優勝をプレゼントした。
「最終戦で総合優勝争いの思惑もあるので、僕が逃げてもマトリックスは無理に追わないのではないかと予想していました。飛び出してみたら小森選手が反応してきたけれど、山本選手と平井選手がついて来て逃げが容認されました。そこからはひたすら協調して、『漢気』の長引き合戦のようになっていました。それでも後半には愛三工業がペースを上げてくるだろうと思っていたので、最後どれだけペースを上げ直せるかが勝負になるだろうと考えていました」
「終盤にタイム差が一気に縮まった時はヤバイと思いましたが、どこまで我慢比べ出来るかが勝負と逃げの中で共有出来ていたので、諦めずにペースを上げました。そしたら一気に1分まで差が開いたので、そこからは4人での勝負に切り替えました。
最後は山本選手と2人になりましたが、一騎打ちは何度やってもワクワクしますね。後ろから平井選手が追ってきていたので牽制せず、登りの力勝負でなんとか先着できました」と、レースを振り返る。
1週間後に全日本選手権を控え、「これがチャンピオンジャージを来て走る最後のレースになるかもしれない」と入部は言うが、手放す気持ちは無い。「やはり(チャンピオンジャージは)失いたくないし、もう一度勝負して勝って着たい。全て出し切って終われればと思っています。至れり尽くせりのサポートをして頂いて、万全な状態で全日本に臨めると思うので、2連覇を目指します」と、宣言した。
Jプロツアー最終戦 かすみがうらロードレース 結果(105.6km)
1位 | 入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 2時間28分47秒 |
2位 | 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング) | +6秒 |
3位 | 平井光介(エカーズ) | +34秒 |
4位 | 小森亮平(マトリックスパワータグ) | +1分5秒 |
5位 | 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) | +1分23秒 |
6位 | フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) | +1分24秒 |
ホセ・ビセンテ・トリビオが個人総合優勝 マトリックスパワータグが3連覇
Jプロツアーは2021年シーズンの全日程を終了。ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が2017年以来、通算5度目となる個人総合優勝を決めた。マトリックスパワータグはチーム総合優勝とあわせて2019年以来3年連続のダブルタイトルを達成した。
シーズン終盤に追い上げを見せた岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が総合2位。トラック世界選手権のため最終戦不在となったものの、今季3勝した今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)が総合3位となった。
なお、Jプロツアーを含む各クラスタの総合表彰式は、後日改めて行われる。
その他結果
女子 結果(43.2km)
1位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 1時間13分44秒 |
2位 | 安藤沙弥(フィッツ) | +1分47秒 |
3位 | 望月美和子(ORCA CYCLING TEAM) | +5分3秒 |
E1 結果(57.6km)
1位 | 前田凌輔(ORCA CYCLING TEAM) | 1時間24分13秒 |
2位 | 馬場慶三郎(埼玉ユース自転車競技部) | +21秒 |
3位 | 塩澤 魁(ORCA CYCLING TEAM) | +1分7秒 |
4位 | 瀬戸口瑛(Avenir Yamanashi Yamanakako) | +1分8秒 |
5位 | 石橋利晃(湾岸サイクリング・ユナイテッド) | +1分8秒 |
6位 | 渡辺耶斗(Team FITTE) | +1分9秒 |
E2 結果(43.2km)
1位 | 小林 崇(オッティモ) | 1時間3分53秒 |
2位 | 佐々木友輔(サイクルフリーダム・レーシング) | +4秒 |
3位 | 安宅将貴(湾岸サイクリング・ユナイテッド) | +5秒 |
4位 | 大森虹亮(BMレーシングZUNOW) | |
5位 | 増子悠樹(那須ハイ-りんどう湖レーシングチーム) | +6秒 |
6位 | 齋藤友一(SPADE・ACE) |
E3 結果(43.2km)
1位 | 横矢 峻(BMレーシングZUNOW) | 1時間2分30秒 |
2位 | 佐藤裕太(TEAM YOU CAN) | +7秒 |
3位 | 清水大地(Honda栃木) | +46秒 |
4位 | 古谷朋一(湾岸サイクリング・ユナイテッド) | |
5位 | 石井 望(LINKVISION GIRASOLE CYCLING) | +51秒 |
6位 | 松本 輝(作新学院大学) |
text:Satoru Kato
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