アタック、横風分断、追走と合流の末の集団スプリント。好調ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)がユーロメトロポールツアーを制した。
スタートを待つダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
パリ〜ルーベを見据えるセップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
スプリンターチームが逃げグループとの差をコントロール。3分以上のリードを許さなかった photo:CorVos
世界選手権とパリ〜ルーベに挟まれた9月29日水曜日に開催されたセミクラシックレースが「ユーロメトロポールツアー(UCI1.PRO)」。1924年に初開催、今年80回目となった歴史ある大会であり、ステージレースを思わせる「ツアー」の名は2016年まで複数日開催だった名残。現在はベルギーのワロン地方を舞台にしたワンデーレースとして親しまれている。
石畳こそ登場しないものの、地理的にも北フランスに近い平坦基調のコースレイアウトはパリ〜ルーベの予行演習として最適。ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)といったスプリンターのほか、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)やミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)など「クラシックの女王」に向けて準備を整える選手たちも多く集った。
ラ・ルビエールを出発し、後半には距離1.5km/平均勾配4.9%の登坂区間を含む15kmの周回コースを5周回。「トラディショナルだが登坂で選別がかかり、横風分断もあり得るハードレース」との事前情報通り、この日は後半の周回コースに入ってからアタックと集団分裂、追走と合流が続くアグレッシブなレースが繰り広げられることとなる。
キール・レイネン(アメリカ、トレック・セガフレード)たちの逃げはドゥクーニンク・クイックステップやコフィディスの集団牽引によって2分台リードに押さえ込まれ、残り70kmを切ると1分差まで詰め寄ったメイン集団から散発的なアタックが掛かり続けた。当初の逃げが吸収されると共にパンチャー系チームが登りでテンポを上げ、そのまま吹きさらし区間を超ハイペースで飛ばすと集団は一気にバラバラに。強者だけが選別される展開の中、約30名の先頭グループがメイン集団を置き去りにした。
横風区間で抜け出した先頭グループが先を急ぐ photo:CorVos
逃げグループを引き戻すべくラリーサイクリングがメイン集団を牽引 photo:CorVos
抜け出しのきっかけを作ったピーダスンや、ディスクブレーキバイクを駆るイネオス・グレナディアーズのクフィアトコフスキやルーク・ロウ(イギリス)、ブアニ、シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)、セップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)といった強力メンバーが先行。メンバーを送り込めなかったラリーサイクリングやウノエックスが追うメイン集団との差は1分近くまで広がった。
このまま逃げグループが逃げ切るかと思われたものの、人数の多さが災いしてローテーションが機能せず、さらにグルパマFDJがメイン集団の牽引に手を貸したことでタイム差は縮小傾向に。最終的に両グループの分裂と合流を経て再び30名ほどの先頭グループが生まれ、ヤコブセンがジャンプに成功した一方でガビリアやヴィヴィアーニは第2グループに埋もれてしまった。
オット・フェルハード(ベルギー、アルペシン・フェニックス)のカウンターで飛び出したクフィアトコフスキとフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)などのアタックは成功せず、勝負は約25名による集団スプリントへ。ファンポッペルの背後でタイミングを待ち続けたヤコブセンが圧倒的なスプリント力を披露した。
マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)をファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が抜き去る photo:CorVos
圧倒的な加速力で勝利したファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
スプリントするピーダスンとファンポッペルの背後で一度脚を止めながらも、軽々と先頭を奪ったヤコブセンが嬉しいプロキャリア25勝目を達成。「チームは僕らが"ウルフパック"と呼ばれる所以を示してくれた。最終局面で素晴らしいアシストをしてくれた(ベルト)ファンレルベルフの誕生日プレゼントになった。シーズン終了まであと1レース残っているので、そこで再び良い結果を残したい」とヤコブセンは話している。
クワレモントビールで乾杯するメーウス、ヤコブセン、ピーダスン photo:CorVos



世界選手権とパリ〜ルーベに挟まれた9月29日水曜日に開催されたセミクラシックレースが「ユーロメトロポールツアー(UCI1.PRO)」。1924年に初開催、今年80回目となった歴史ある大会であり、ステージレースを思わせる「ツアー」の名は2016年まで複数日開催だった名残。現在はベルギーのワロン地方を舞台にしたワンデーレースとして親しまれている。
石畳こそ登場しないものの、地理的にも北フランスに近い平坦基調のコースレイアウトはパリ〜ルーベの予行演習として最適。ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)といったスプリンターのほか、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)やミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)など「クラシックの女王」に向けて準備を整える選手たちも多く集った。
ラ・ルビエールを出発し、後半には距離1.5km/平均勾配4.9%の登坂区間を含む15kmの周回コースを5周回。「トラディショナルだが登坂で選別がかかり、横風分断もあり得るハードレース」との事前情報通り、この日は後半の周回コースに入ってからアタックと集団分裂、追走と合流が続くアグレッシブなレースが繰り広げられることとなる。
キール・レイネン(アメリカ、トレック・セガフレード)たちの逃げはドゥクーニンク・クイックステップやコフィディスの集団牽引によって2分台リードに押さえ込まれ、残り70kmを切ると1分差まで詰め寄ったメイン集団から散発的なアタックが掛かり続けた。当初の逃げが吸収されると共にパンチャー系チームが登りでテンポを上げ、そのまま吹きさらし区間を超ハイペースで飛ばすと集団は一気にバラバラに。強者だけが選別される展開の中、約30名の先頭グループがメイン集団を置き去りにした。


抜け出しのきっかけを作ったピーダスンや、ディスクブレーキバイクを駆るイネオス・グレナディアーズのクフィアトコフスキやルーク・ロウ(イギリス)、ブアニ、シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)、セップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)といった強力メンバーが先行。メンバーを送り込めなかったラリーサイクリングやウノエックスが追うメイン集団との差は1分近くまで広がった。
このまま逃げグループが逃げ切るかと思われたものの、人数の多さが災いしてローテーションが機能せず、さらにグルパマFDJがメイン集団の牽引に手を貸したことでタイム差は縮小傾向に。最終的に両グループの分裂と合流を経て再び30名ほどの先頭グループが生まれ、ヤコブセンがジャンプに成功した一方でガビリアやヴィヴィアーニは第2グループに埋もれてしまった。
オット・フェルハード(ベルギー、アルペシン・フェニックス)のカウンターで飛び出したクフィアトコフスキとフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)などのアタックは成功せず、勝負は約25名による集団スプリントへ。ファンポッペルの背後でタイミングを待ち続けたヤコブセンが圧倒的なスプリント力を披露した。


スプリントするピーダスンとファンポッペルの背後で一度脚を止めながらも、軽々と先頭を奪ったヤコブセンが嬉しいプロキャリア25勝目を達成。「チームは僕らが"ウルフパック"と呼ばれる所以を示してくれた。最終局面で素晴らしいアシストをしてくれた(ベルト)ファンレルベルフの誕生日プレゼントになった。シーズン終了まであと1レース残っているので、そこで再び良い結果を残したい」とヤコブセンは話している。

ユーロメトロポールツアー2021結果
1位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
2位 | ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
4位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
5位 | ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・スタートアップネイション) | |
6位 | ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック) | |
7位 | ケネス・ファンローイ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | |
8位 | ルーカ・モッツァート(イタリア、B&Bホテルズ KTM) | |
9位 | レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、クベカ・ネクストハッシュ) | |
10位 | サムエル・ルルー(フランス、ゼリス・ルーベリールメトロポール) |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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