2021/08/31(火) - 10:55
ベネルクスツアー(旧ビンクバンクツアー)初日は横風分断によってエース級選手が次々と遅れ、トラブルに巻き込まれていくカオスな展開に。30名強の第1グループによるスプリント争いでティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が勝利した。
2005年から2016年まではエネコ・ツアーとして、2017年から2020年まではビンクバンクツアーとして開催され、今年から「ベネルクスツアー」へと名称変更を遂げたワールドツアーのステージレースが開幕した。
その名の通りベルギーとオランダの二国をまたぐ、両国で開催される唯一のワールドツアーステージレースであり、「北のクラシック」と「アルデンヌクラシック」をミックスしたようなレイアウトが特徴。春のクラシックレースで活躍する選手が多数出場するが、スプリンターやTTスペシャリストにも総合上位に絡むチャンスが用意されている。
例年通りの7日間開催へと戻った2021年大会にはティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)、東京五輪オムニアム銅メダリストのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)、さらにツールでの落車から復調を目指すカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)といったスプリンター勢が集結。
さらに東京五輪後のレースで3戦3勝(うち総合優勝1)と無敵状態を誇っているレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)やカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック)、シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)たちもビッグレースが集約されたシーズン後半戦を見据えてこのベネルクスにやってきた。
初日はオランダの沿岸部を走る、ただの一つも登りが無い超フラットコースの169.6km。しかしこの日は北海から強い風がプロトンに吹き付け、これに乗じたチームのペースアップによって集団はズタズタに。全くもってコースプロフィールのようなイージーな展開にはならなかった。
序盤から逃げたルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)たち7名の逃げグループは最大4分のリードを稼いだものの、メイン集団ではフィニッシュまで50kmを切ってドゥクーニンク・クイックステップやバーレーン・ヴィクトリアスなどが分断作戦に打って出た。
分断と吸収、そしてフルサンが落車リタイアに終わる混沌とした状況下で約35名の第2グループが生まれ、このメンバーが残り30km地点で7名を捉えてレース先頭に立つ。しかしその中に入ったドゥクーニンクのエース、エヴェネプールは前輪のスポーク折れでストップを強いられた。
レース隊列が長く伸び、チームカーの助けを得られない状況下でニュートラルサービスを受けたエヴェネプールだったが、スタッフがホイール交換に手間取ったため大きなタイムロスを被ってしまう。五輪男子マディソン金メダリスト、ミケル・モルコフ(デンマーク)の助けもむなしくハイペースを刻み続ける先頭集団への復帰は叶わず、最終的に57秒遅れの第2集団内フィニッシュしたエヴェネプールは総合優勝争いから脱落。更に第1グループ内のサガンも落車しこの日の勝負権を失ってしまった。
バーレーンが4名、ドゥクーニンクとロット・スーダルが3名ずつ加えた第1グループ内は、先頭通過者に3秒のボーナスタイムが与えられる本大会名物の「ゴールデンキロメーター」が近づくと活性化。最終的な総合成績を狙うティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM)がソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)を下し1位通過(ボーナス3秒獲得)を果たしている。
ベノートたちはそのままアタックを継続したものの、マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)も入った危険な逃げが見逃される訳もなく、やがて吸収。風車が勢いよく回る強風区間を、風上に向けてバイクを倒しながら第1グループがフィニッシュ目指して突き進んだ。
牽制によってペースが緩んだ隙を突いたルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)も残り1km地点で捉えられ、ドゥクーニンクやトレック・セガフレード優勢で集団スプリントへ。ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)のリードアウトの横からシッティングのままマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、クベカ・ネクストハッシュ)が加速し、勝負の幕が切って落とされた。
ヴァルシャイドを風除けに使ったアルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が加速したものの、その背後からティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が飛び出し、追い込むフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)を退けてフィニッシュ。参加を見送ったマチュー・ファンデルプール(オランダ)不在のアルペシン・フェニックスに嬉しい1勝をもたらした。
今季ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの初回の集団スプリントでいずれも勝利しているメルリールが、このベネルクスツアー初日に勝利。「スタートからカオスな展開になることは分かっていたけれど、自分自身第1グループに残れる自信はなかったんだ。レース中はワフーのGPSマップを駆使して遅れを取らないように気をつけていた。全力でスプリントに挑み、どうやって勝ったのかよく覚えてすらいない。とにかくタイミングを待ち続け、加速するタイミングを見定めたんだ」と、リーダージャージに袖を通したメルリールは話している。
2005年から2016年まではエネコ・ツアーとして、2017年から2020年まではビンクバンクツアーとして開催され、今年から「ベネルクスツアー」へと名称変更を遂げたワールドツアーのステージレースが開幕した。
その名の通りベルギーとオランダの二国をまたぐ、両国で開催される唯一のワールドツアーステージレースであり、「北のクラシック」と「アルデンヌクラシック」をミックスしたようなレイアウトが特徴。春のクラシックレースで活躍する選手が多数出場するが、スプリンターやTTスペシャリストにも総合上位に絡むチャンスが用意されている。
例年通りの7日間開催へと戻った2021年大会にはティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)、東京五輪オムニアム銅メダリストのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)、さらにツールでの落車から復調を目指すカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)といったスプリンター勢が集結。
さらに東京五輪後のレースで3戦3勝(うち総合優勝1)と無敵状態を誇っているレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)やカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ・プレミアテック)、シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)たちもビッグレースが集約されたシーズン後半戦を見据えてこのベネルクスにやってきた。
初日はオランダの沿岸部を走る、ただの一つも登りが無い超フラットコースの169.6km。しかしこの日は北海から強い風がプロトンに吹き付け、これに乗じたチームのペースアップによって集団はズタズタに。全くもってコースプロフィールのようなイージーな展開にはならなかった。
序盤から逃げたルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)たち7名の逃げグループは最大4分のリードを稼いだものの、メイン集団ではフィニッシュまで50kmを切ってドゥクーニンク・クイックステップやバーレーン・ヴィクトリアスなどが分断作戦に打って出た。
分断と吸収、そしてフルサンが落車リタイアに終わる混沌とした状況下で約35名の第2グループが生まれ、このメンバーが残り30km地点で7名を捉えてレース先頭に立つ。しかしその中に入ったドゥクーニンクのエース、エヴェネプールは前輪のスポーク折れでストップを強いられた。
レース隊列が長く伸び、チームカーの助けを得られない状況下でニュートラルサービスを受けたエヴェネプールだったが、スタッフがホイール交換に手間取ったため大きなタイムロスを被ってしまう。五輪男子マディソン金メダリスト、ミケル・モルコフ(デンマーク)の助けもむなしくハイペースを刻み続ける先頭集団への復帰は叶わず、最終的に57秒遅れの第2集団内フィニッシュしたエヴェネプールは総合優勝争いから脱落。更に第1グループ内のサガンも落車しこの日の勝負権を失ってしまった。
バーレーンが4名、ドゥクーニンクとロット・スーダルが3名ずつ加えた第1グループ内は、先頭通過者に3秒のボーナスタイムが与えられる本大会名物の「ゴールデンキロメーター」が近づくと活性化。最終的な総合成績を狙うティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM)がソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)を下し1位通過(ボーナス3秒獲得)を果たしている。
ベノートたちはそのままアタックを継続したものの、マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)も入った危険な逃げが見逃される訳もなく、やがて吸収。風車が勢いよく回る強風区間を、風上に向けてバイクを倒しながら第1グループがフィニッシュ目指して突き進んだ。
牽制によってペースが緩んだ隙を突いたルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)も残り1km地点で捉えられ、ドゥクーニンクやトレック・セガフレード優勢で集団スプリントへ。ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)のリードアウトの横からシッティングのままマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、クベカ・ネクストハッシュ)が加速し、勝負の幕が切って落とされた。
ヴァルシャイドを風除けに使ったアルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が加速したものの、その背後からティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が飛び出し、追い込むフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)を退けてフィニッシュ。参加を見送ったマチュー・ファンデルプール(オランダ)不在のアルペシン・フェニックスに嬉しい1勝をもたらした。
今季ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの初回の集団スプリントでいずれも勝利しているメルリールが、このベネルクスツアー初日に勝利。「スタートからカオスな展開になることは分かっていたけれど、自分自身第1グループに残れる自信はなかったんだ。レース中はワフーのGPSマップを駆使して遅れを取らないように気をつけていた。全力でスプリントに挑み、どうやって勝ったのかよく覚えてすらいない。とにかくタイミングを待ち続け、加速するタイミングを見定めたんだ」と、リーダージャージに袖を通したメルリールは話している。
ベネルクスツアー2021第1ステージ結果
1位 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 3:32:20 |
2位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
3位 | アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
4位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
6位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
7位 | マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、クベカ・ネクストハッシュ) | |
8位 | スタニスラウ・アニオルコウスキ(ポーランド、ビンゴール・パウェルスソースWB) | |
9位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
10位 | クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) | |
138位 | 別府史之(EFエデュケーション・NIPPO) | 5:47 |
個人総合成績
1位 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 3:32:10 |
2位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:04 |
3位 | アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:06 |
4位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
5位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
6位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM) | 0:07 |
7位 | ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:08 |
9位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
10位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 0:10 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) |
チーム総合成績 | バーレーン・ヴィクトリアス |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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