2021/08/14(土) - 16:02
ログリッチが3連覇を目指す第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ。対抗となるジロ覇者ベルナルと金メダリストのカラパス、アダムの3人を擁するイネオスに、新城幸也のサポートを受けるランダ。スプリントでは初出場のデマールやマシューズ、復活のヤコブセンたちが火花を散らす。注目選手たちを紹介します。
2019年、2020年と大会2連覇中のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
フランスから東京に、そしてトップレーサーたちの舞台はスペインに移る。コロナ禍で11月に行われた昨年から例年通りの8月に、そして大会日数も18日からこれまでと同じ21日間の戦いに戻ってきたブエルタ・ア・エスパーニャが本日8月14日に開幕を迎える。
23チーム、合計184名が出場する中で過去に総合優勝を挙げた選手は3名。これが14度目の出走となるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)と、今大会限りでの現役引退を発表したファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ)、そして大会3連覇のかかるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)だ。
スペインの情熱を表す赤色のリーダージャージ
赤いマイヨロホの候補筆頭はやはりログリッチ。本命でありながらも落車で棄権したツールの後、治療と調整し挑んだ東京五輪ロードレースでは28位。しかし僅か4日後の個人タイムトライアルで、2位に1分差をつける圧勝で金メダルを得る本来の力を見せつけた。昨年の再現をサポートするのは、ツールで初の区間優勝を挙げたセップ・クス(アメリカ)やステフェン・クライスヴァイク(オランダ)などお馴染みの強力選手たち。また初日と最終日に2回登場する合計40kmの個人TTはログリッチ向きと言えるだろう。
ジロ・デ・イタリア2021覇者エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
対抗はジロ・デ・イタリアを制覇したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)。「1年で2度グランツールにエースとして出場する初めての体験。身体がどう反応するかは自分にも分からない」と話す24歳は、ツールと東京五輪を回避し母国でトレーニングに励んだため余力は十分。唯一の懸念は背中の痛みか。
だがたとえベルナルが振るわなくても、チームには昨年大会で総合2位、今年のツールも総合3位で終え、直後の東京五輪で金メダリストとなったリチャル・カラパス(エクアドル)がいる。連戦の疲れが不安視されるものの、9つの山岳ステージはカラパス向きだ。また、ここに加入後初のグランツールとなるアダム・イェーツ(イギリス)が揃うため、イネオス・グレナディアーズが今大会の中心チームであることは間違いない。
先述したユンボ、イネオスに匹敵するチーム力を揃えてきたのが新城幸也もメンバー入りしたバーレーン・ヴィクトリアスだ。前哨戦のブルゴスで逆転の総合優勝を決めたミケル・ランダ(スペイン)を筆頭に、ジロで落車リタイアに喫したジャック・ヘイグ(オーストラリア)と、リーダーの代わりを務め2位へと躍進したダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、そしてベテランのワウト・プールス(オランダ)が豊富な経験で支える。また、成長著しい若手クライマーのジーノ・マーダー(スイス)に、クリテリウム・デュ・ドーフィネで区間2連勝したマーク・パデュン(ウクライナ)、そして東京五輪で長時間に渡り先頭を引いたヤン・トラトニク(スロベニア)と、チーム創設以来最強と言っても過言ではないメンバー構成になっている。
直近のブエルタ・ア・ブルゴスで総合優勝したミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
そしてモビスターはツールからの連戦組であるエンリク・マス(スペイン)を中心に、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)、バルベルデの3人は過去大会のポディウム経験者という盤石な布陣。地元スペインの期待がかかる。
その他にもイザギレ兄弟とルイスレオン・サンチェス(スペイン)のベテランにサポートを受けるアスタナ・プレミアテックのアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)や、総合系の選手が次々とチームを離れ一層の期待がかかるルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)、前回大会の総合3位ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・NIPPO)、パリ〜ニースを制覇し好調のマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)に、ブエルタ初登場のジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)などにも注目が集まる。
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フランスから東京に、そしてトップレーサーたちの舞台はスペインに移る。コロナ禍で11月に行われた昨年から例年通りの8月に、そして大会日数も18日からこれまでと同じ21日間の戦いに戻ってきたブエルタ・ア・エスパーニャが本日8月14日に開幕を迎える。
23チーム、合計184名が出場する中で過去に総合優勝を挙げた選手は3名。これが14度目の出走となるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)と、今大会限りでの現役引退を発表したファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ)、そして大会3連覇のかかるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)だ。
スペインの情熱を表す赤色のリーダージャージ
赤いマイヨロホの候補筆頭はやはりログリッチ。本命でありながらも落車で棄権したツールの後、治療と調整し挑んだ東京五輪ロードレースでは28位。しかし僅か4日後の個人タイムトライアルで、2位に1分差をつける圧勝で金メダルを得る本来の力を見せつけた。昨年の再現をサポートするのは、ツールで初の区間優勝を挙げたセップ・クス(アメリカ)やステフェン・クライスヴァイク(オランダ)などお馴染みの強力選手たち。また初日と最終日に2回登場する合計40kmの個人TTはログリッチ向きと言えるだろう。
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対抗はジロ・デ・イタリアを制覇したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)。「1年で2度グランツールにエースとして出場する初めての体験。身体がどう反応するかは自分にも分からない」と話す24歳は、ツールと東京五輪を回避し母国でトレーニングに励んだため余力は十分。唯一の懸念は背中の痛みか。
だがたとえベルナルが振るわなくても、チームには昨年大会で総合2位、今年のツールも総合3位で終え、直後の東京五輪で金メダリストとなったリチャル・カラパス(エクアドル)がいる。連戦の疲れが不安視されるものの、9つの山岳ステージはカラパス向きだ。また、ここに加入後初のグランツールとなるアダム・イェーツ(イギリス)が揃うため、イネオス・グレナディアーズが今大会の中心チームであることは間違いない。
先述したユンボ、イネオスに匹敵するチーム力を揃えてきたのが新城幸也もメンバー入りしたバーレーン・ヴィクトリアスだ。前哨戦のブルゴスで逆転の総合優勝を決めたミケル・ランダ(スペイン)を筆頭に、ジロで落車リタイアに喫したジャック・ヘイグ(オーストラリア)と、リーダーの代わりを務め2位へと躍進したダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、そしてベテランのワウト・プールス(オランダ)が豊富な経験で支える。また、成長著しい若手クライマーのジーノ・マーダー(スイス)に、クリテリウム・デュ・ドーフィネで区間2連勝したマーク・パデュン(ウクライナ)、そして東京五輪で長時間に渡り先頭を引いたヤン・トラトニク(スロベニア)と、チーム創設以来最強と言っても過言ではないメンバー構成になっている。
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そしてモビスターはツールからの連戦組であるエンリク・マス(スペイン)を中心に、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)、バルベルデの3人は過去大会のポディウム経験者という盤石な布陣。地元スペインの期待がかかる。
その他にもイザギレ兄弟とルイスレオン・サンチェス(スペイン)のベテランにサポートを受けるアスタナ・プレミアテックのアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)や、総合系の選手が次々とチームを離れ一層の期待がかかるルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)、前回大会の総合3位ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・NIPPO)、パリ〜ニースを制覇し好調のマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)に、ブエルタ初登場のジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)などにも注目が集まる。
ブエルタ歴代総合優勝者
2020年 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア) |
2019年 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア) |
2018年 | サイモン・イェーツ(イギリス) |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
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プントスはスペイン語でポイントの意味。各ステージ上位15名と中間スプリントポイント上位3名に与えられる、主にスプリンターを対象としたジャージだ。しかし平坦ステージでも山岳ステージでも一律にポイントが与えられてきたため、ここ数年は総合優勝者や総合上位陣が獲得することが続いている。ただ今年はポイント配分が変更され、かつ平坦ステージが6つと比較的多いため、スプリンターがランキング上位に顔を揃える予感。
ツールこそ第8ステージで去ったものの、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)は今シーズン7勝と調子は上々。ステージ4勝とポイント賞を獲得した昨年ジロでも重要な最終発射台を担ったジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)とともにフィニッシュ前を盛り上げる。
リードアウトによる対決ならドゥクーニンク・クイックステップも強力だ。エースナンバーをつけるのは直近のツール・ド・ ワロニーで大怪我から復活の勝利を果たしたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)で、ブエルタとの相性は2勝(その内1勝は最終日マドリード)した2019年大会で証明済み。その時も勝利に導いたゼネク・スティバル(チェコ)やフロリアン・セネシャル(フランス)もメンバー入りしており、盤石と言える。

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ステージ1勝を挙げた2014年大会以来、7年振りのブエルタ出場となるマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)。ツールではカヴェンディッシュにポイント賞を阻まれた悔しさを、「登れるスプリンター」がブエルタで晴らせるか。ロット・スーダルはカレブ・ユアン(オーストラリア)が鎖骨骨折からの回復が間に合わなかったため、22歳で193cmの大型スプリンターのフロリアン・フェルメールス(ベルギー)を送り込み経験を積ませる。
ここにトップ3に6度入りながらツール未勝利で終わったヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)や、前哨戦のブルゴスでステージ2勝と勢いに乗るフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)、昨年区間1勝しているマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)も狙ってくるだろう。
ブエルタ歴代ポイント賞獲得者
2020年 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア) |
2019年 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア) |
2018年 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン) |
ブエルタ歴代山岳賞獲得者
2020年 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) |
2019年 | ジョフリー・ブシャール(フランス) |
2018年 | トーマス・デヘント(ベルギー) |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
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2019年にコンビナーダ賞(複合賞)からヤングライダー賞(新人賞)に変わったマイヨブランコ。いわば将来のマイヨロホ候補が着用するこのジャージの対象となるのは、1996年1月1日以降に誕生した選手の52名。先述したベルナルやウラソフ、ハミルトン、マーダーはもちろん、パヴェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ)やサイモン・カー(イギリス、EFエデュケーション・NIPPO) 、ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)など総合エースのアシストが優先される若者たちにも注目したい。
ブエルタ歴代ヤングライダー賞獲得者
2020年 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) |
2019年 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) |
text:Sotaro.Arakawa
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