2021/07/24(土) - 19:43
最大勾配18%の三国峠で形成された精鋭グループの中から残り25km地点でアタックし、さらに残り6km地点で独走に持ち込んだリチャル・カラパス(エクアドル)。銀メダル獲得のワウト・ファンアールト(ベルギー)率いる追走グループを振り切って、28歳のエクアドリアンが母国に史上2つ目の金メダルをもたらした。
東京から富士スピードウェイに至る234km/4,865mの険しい道のり
東京オリンピック開会式の翌日、7月24日(土)の午前11時、57か国128名(そのうち五輪デビューが89名)の選手たちが東京都府中市の武蔵野の森公園をスタートした。近年ロードレースの中で注目度を上げている4年に一度の金メダルをかけた戦いの舞台は、静岡県の富士スピードウェイに至る234kmの道のり。獲得標高差4,865mという数字は、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(4,266m)やイル・ロンバルディア(3,966m)、モンヴァントゥーを2度登ったツール・ド・フランス第11ステージ(4,600m)を凌駕するものだ。
シモン・ゲシュケ(ドイツ)とミハル・シュレゲル(チェコ)は直前の新型コロナウイルス検査で陽性となったためスタートラインに並ぶことができず。スペインチームのスタッフからも陽性が検出されたものの、選手たちは全員陰性のためスタートできることに。ツール・ド・フランスからの転戦組50名(全体の39%)、そしてツール総合トップ20のうち10名を含む選手たちが、武蔵野の森公園から東八道路、小金井街道、けやき並木通り、そして大國魂神社の境内を10kmにわたってパレード走行。府中道路を経て多摩川をまたぐ是政橋を渡ったところで正式なスタートが切られた。
いわゆる尾根幹に向かう道でユライ・サガン(スロバキア)がファーストアタックを仕掛けると、ここに合計7名が追いついて先頭では8名の逃げが始まる。ベルギーやオランダ、イタリアなどの強豪国によって蓋をされる形になったメイン集団はペースを上げることなくこの先頭8名を見送った。
逃げグループを形成した8名
ユライ・サガン(スロバキア)
エドゥアルド・グロス(ルーマニア)
ニコラス・ドラミニ(南アフリカ)
ミハエル・ククルレ(チェコ)
ポリクロニス・ゾルザキス(ギリシャ)
エルチン・アサドフ(アゼルバイジャン)
オールイス・アウラール(ベネズエラ)
ポール・ドウモン(ブルキナファソ)
快晴ではなく時折雲が空を覆う蒸し暑い関東平野の最高気温は32度ほど。山間部は気温が下がったもののそれでも25度ほど。チームカーから受け取った氷嚢をせっせと背中に押し込みながら、メイン集団ではディフェンディングチャンピオンであるリオ五輪覇者グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)とヤン・トラトニク(スロベニア)が長時間の牽引を見せる。
新型コロナウイルス陽性のため欠場が決まったダン・クラーヴェンに代わって出場したMTBクロスカントリーのリザーブ選手トリスタン・デランゲ(ナミビア)が単独で抜け出すシーンも見られたが、淡々と緩斜面が続く「道志みち」をメイン集団は逃げグループから20分遅れで通過した。登りで落車したゲラント・トーマスとテイオ・ゲイガンハート(イギリス)、ジュリオ・チッコーネ(イタリア)、グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア)らは再スタートしてメイン集団に戻っている。
山中湖の湖畔道路を駆け抜け、1回目の籠坂峠(全長1.3km/平均5.0%)を越えた時点で逃げグループとメイン集団のタイム差は15分。引き続きスロベニアとベルギー率いるメイン集団は13分40秒遅れで「富士山麓」須山/南富士エバーグリーンライン(全長15km/平均5.9%)の登坂を開始する。通り雨によって路面が濡れたこの今大会最高地点(標高1,451m)でレースを動かしたのはスクアドラアッズーラ(イタリアチーム)だった。
トラトニクに代わってチッコーネが一気にペースアップを試みるとメイン集団は人数を減らす。続くリゴベルト・ウラン(コロンビア)やパヴェル・シヴァコフ(ロシア)、テイオ・ゲイガンハート(イギリス)らのアタックは決まらず、一時的にメイン集団から脱落した新城幸也と増田成幸の両選手は下り区間で復帰している。フィニッシュまで92kmを残したこの「富士山麓」で逃げグループとメイン集団のタイム差は5分10秒まで一気に縮まった。
トラトニクが長時間牽引するメイン集団は3分遅れで富士スピードウェイのフィニッシュラインを一旦通過。トーマスがリタイアを選ぶ中、ここから強豪国のサブエース級選手たちによるアタックが始まる。短い登りを利用してダミアーノ・カルーゾ(イタリア)やティシュ・ベノート (ベルギー)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)、マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー)らが相次いで加速を試み、残り53km地点でレムコ・エヴェネプール(ベルギー)とエディ・ダンバー(アイルランド)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)の3名が先行。
しかしこの動きも封じ込められ、序盤から逃げ続けていた選手たちも残り48km地点で吸収される。再びスクアドラアッズーラ(チッコーネ、カルーゾ、ニバリ、モスコン、ベッティオル)が先頭を陣取って、いよいよ勝負の三国峠(全長6.7km/平均10.1%/最大18%)に突入した。
コース発表時からヨーロッパで話題となり、事前に多くのチーム(国)が試走を行なった三国峠でマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー)がペースを作るメイン集団から、5度目の五輪出場で最年長(41歳)のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)やリッチー・ポート(オーストラリア)、エヴェネプール、そして増田に続いて新城も脱落。すると、勾配が増す「ドーナツ区間(丸穴が設けられたコンクリート路面)」を前にツール・ド・フランス覇者が動いた。
6日前にパリでマイヨジョーヌを受け取ったタデイ・ポガチャル(スロベニア)の加速にはブランドン・マクナルティ(アメリカ)とマイケル・ウッズ(カナダ)が反応。軽快なダンシングで「ドーナツ区間」をクリアしたこの3名にはミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)、リチャル・カラパス(エクアドル)、アルベルト・ベッティオル(イタリア)、リゴベルト・ウラン(コロンビア)が追いついた。
明神峠までの急勾配区間を先頭で抜けた7名には、マイペース走法に徹したワウト・ファンアールト(ベルギー)、ダヴィド・ゴデュ(フランス)、バウケ・モレマ(オランダ)、ヤコブ・フルサン(デンマーク)が追いついた。そのまま三国峠の頂上を越えると、山中湖に向かうダウンヒル区間でマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)とアダム・イェーツ(イギリス)が合流。こうして先頭で13名が精鋭グループを形成した状態でレースは佳境へと向かう。
精鋭グループを形成した13名
タデイ・ポガチャル(スロベニア)
ブランドン・マクナルティ(アメリカ)
マイケル・ウッズ(カナダ)
ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)
リチャル・カラパス(エクアドル)
アルベルト・ベッティオル(イタリア)
リゴベルト・ウラン(コロンビア)
ワウト・ファンアールト(ベルギー)
ダヴィド・ゴデュ(フランス)
バウケ・モレマ(オランダ)
ヤコブ・フルサン(デンマーク)
マキシミリアン・シャフマン(ドイツ)
アダム・イェーツ(イギリス)
このままフィニッシュでのスプリントに持ち込まれれば、ツール・ド・フランス第21ステージのシャンゼリゼ集団スプリントを制したファンアールトに勝機があるのは明らか。それだけはなんとしても阻止したいクフィアトコフスキやウッズ、モレマらが山中湖沿いの平坦路でアタックとカウンターアタックを繰り広げ、残り25km地点でついにマクナルティとカラパスが抜け出すことに成功する。協調して一気にリードを広げたマクナルティとカラパスが、後続に25秒差をつけて最後の籠坂峠(全長1.3km/平均5.0%)を越えた。
下り区間でタイム差は拡大の一途を辿った。他選手の協力を得ることができないファンアールトが残り12km地点の短いながらも勾配のある登り返しで加速すると、先頭2名とのタイム差が50秒から20秒まで縮小。しかしタイム差を詰め切ることができないまま、タイム差15秒でいよいよ富士スピードウェイに入場。逃げ切りか吸収か、そのバランスを崩したのはカラパスだった。
ホームストレート横のピットエリアに向かう登りで、カラパスがマクナルティを振り切ることに成功した。残り6km地点から独走に持ち込んだカラパス。追走グループからウッズやゴデュ、モレマが仕掛けたものの、ファンアールトを振り切れずに追走グループは一つに戻る。残り4km地点でタイム差は30秒。先頭カラパスが金メダルへ、そして追走グループが銀メダルと銅メダルを争うことが確実となった。
富士スピートウェイのダンロップコーナーから始まる登りをこなし、残り1kmの最終コーナーを先頭で抜けたカラパス。残り500mを切って後方を振り返ると、ちょうど最終コーナーを抜ける追走グループの姿が彼の目に映った。
牽制でペースの上がらない追走グループに1分07秒差をつけて、エクアドルのカラパスが独走勝利した。銀メダルがかかった追走グループは、スプリントでポガチャルの追撃をかわしたファンアールトを先頭にフィニッシュしている。
2019年のジロ・デ・イタリア総合優勝者で、今シーズンのツール・ド・スイスで総合優勝、そして直前のツール・ド・フランスを総合3位で終えていたカラパスが金メダルを獲得。1996年アトランタ五輪の20km競歩で勝利したジェファーソン・ペレス以来となる歴代2つ目の金メダルをエクアドルにもたらした。
三国峠で遅れた新城は10分12秒遅れの34位、増田は19分50秒遅れの84位でいずれも完走している。優勝者カラパスの平均スピードは38.42km/h。完走者は85名だった。
東京から富士スピードウェイに至る234km/4,865mの険しい道のり
東京オリンピック開会式の翌日、7月24日(土)の午前11時、57か国128名(そのうち五輪デビューが89名)の選手たちが東京都府中市の武蔵野の森公園をスタートした。近年ロードレースの中で注目度を上げている4年に一度の金メダルをかけた戦いの舞台は、静岡県の富士スピードウェイに至る234kmの道のり。獲得標高差4,865mという数字は、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(4,266m)やイル・ロンバルディア(3,966m)、モンヴァントゥーを2度登ったツール・ド・フランス第11ステージ(4,600m)を凌駕するものだ。
シモン・ゲシュケ(ドイツ)とミハル・シュレゲル(チェコ)は直前の新型コロナウイルス検査で陽性となったためスタートラインに並ぶことができず。スペインチームのスタッフからも陽性が検出されたものの、選手たちは全員陰性のためスタートできることに。ツール・ド・フランスからの転戦組50名(全体の39%)、そしてツール総合トップ20のうち10名を含む選手たちが、武蔵野の森公園から東八道路、小金井街道、けやき並木通り、そして大國魂神社の境内を10kmにわたってパレード走行。府中道路を経て多摩川をまたぐ是政橋を渡ったところで正式なスタートが切られた。
いわゆる尾根幹に向かう道でユライ・サガン(スロバキア)がファーストアタックを仕掛けると、ここに合計7名が追いついて先頭では8名の逃げが始まる。ベルギーやオランダ、イタリアなどの強豪国によって蓋をされる形になったメイン集団はペースを上げることなくこの先頭8名を見送った。
逃げグループを形成した8名
ユライ・サガン(スロバキア)
エドゥアルド・グロス(ルーマニア)
ニコラス・ドラミニ(南アフリカ)
ミハエル・ククルレ(チェコ)
ポリクロニス・ゾルザキス(ギリシャ)
エルチン・アサドフ(アゼルバイジャン)
オールイス・アウラール(ベネズエラ)
ポール・ドウモン(ブルキナファソ)
快晴ではなく時折雲が空を覆う蒸し暑い関東平野の最高気温は32度ほど。山間部は気温が下がったもののそれでも25度ほど。チームカーから受け取った氷嚢をせっせと背中に押し込みながら、メイン集団ではディフェンディングチャンピオンであるリオ五輪覇者グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)とヤン・トラトニク(スロベニア)が長時間の牽引を見せる。
新型コロナウイルス陽性のため欠場が決まったダン・クラーヴェンに代わって出場したMTBクロスカントリーのリザーブ選手トリスタン・デランゲ(ナミビア)が単独で抜け出すシーンも見られたが、淡々と緩斜面が続く「道志みち」をメイン集団は逃げグループから20分遅れで通過した。登りで落車したゲラント・トーマスとテイオ・ゲイガンハート(イギリス)、ジュリオ・チッコーネ(イタリア)、グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア)らは再スタートしてメイン集団に戻っている。
山中湖の湖畔道路を駆け抜け、1回目の籠坂峠(全長1.3km/平均5.0%)を越えた時点で逃げグループとメイン集団のタイム差は15分。引き続きスロベニアとベルギー率いるメイン集団は13分40秒遅れで「富士山麓」須山/南富士エバーグリーンライン(全長15km/平均5.9%)の登坂を開始する。通り雨によって路面が濡れたこの今大会最高地点(標高1,451m)でレースを動かしたのはスクアドラアッズーラ(イタリアチーム)だった。
トラトニクに代わってチッコーネが一気にペースアップを試みるとメイン集団は人数を減らす。続くリゴベルト・ウラン(コロンビア)やパヴェル・シヴァコフ(ロシア)、テイオ・ゲイガンハート(イギリス)らのアタックは決まらず、一時的にメイン集団から脱落した新城幸也と増田成幸の両選手は下り区間で復帰している。フィニッシュまで92kmを残したこの「富士山麓」で逃げグループとメイン集団のタイム差は5分10秒まで一気に縮まった。
トラトニクが長時間牽引するメイン集団は3分遅れで富士スピードウェイのフィニッシュラインを一旦通過。トーマスがリタイアを選ぶ中、ここから強豪国のサブエース級選手たちによるアタックが始まる。短い登りを利用してダミアーノ・カルーゾ(イタリア)やティシュ・ベノート (ベルギー)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)、マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー)らが相次いで加速を試み、残り53km地点でレムコ・エヴェネプール(ベルギー)とエディ・ダンバー(アイルランド)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)の3名が先行。
しかしこの動きも封じ込められ、序盤から逃げ続けていた選手たちも残り48km地点で吸収される。再びスクアドラアッズーラ(チッコーネ、カルーゾ、ニバリ、モスコン、ベッティオル)が先頭を陣取って、いよいよ勝負の三国峠(全長6.7km/平均10.1%/最大18%)に突入した。
コース発表時からヨーロッパで話題となり、事前に多くのチーム(国)が試走を行なった三国峠でマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー)がペースを作るメイン集団から、5度目の五輪出場で最年長(41歳)のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)やリッチー・ポート(オーストラリア)、エヴェネプール、そして増田に続いて新城も脱落。すると、勾配が増す「ドーナツ区間(丸穴が設けられたコンクリート路面)」を前にツール・ド・フランス覇者が動いた。
6日前にパリでマイヨジョーヌを受け取ったタデイ・ポガチャル(スロベニア)の加速にはブランドン・マクナルティ(アメリカ)とマイケル・ウッズ(カナダ)が反応。軽快なダンシングで「ドーナツ区間」をクリアしたこの3名にはミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)、リチャル・カラパス(エクアドル)、アルベルト・ベッティオル(イタリア)、リゴベルト・ウラン(コロンビア)が追いついた。
明神峠までの急勾配区間を先頭で抜けた7名には、マイペース走法に徹したワウト・ファンアールト(ベルギー)、ダヴィド・ゴデュ(フランス)、バウケ・モレマ(オランダ)、ヤコブ・フルサン(デンマーク)が追いついた。そのまま三国峠の頂上を越えると、山中湖に向かうダウンヒル区間でマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)とアダム・イェーツ(イギリス)が合流。こうして先頭で13名が精鋭グループを形成した状態でレースは佳境へと向かう。
精鋭グループを形成した13名
タデイ・ポガチャル(スロベニア)
ブランドン・マクナルティ(アメリカ)
マイケル・ウッズ(カナダ)
ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)
リチャル・カラパス(エクアドル)
アルベルト・ベッティオル(イタリア)
リゴベルト・ウラン(コロンビア)
ワウト・ファンアールト(ベルギー)
ダヴィド・ゴデュ(フランス)
バウケ・モレマ(オランダ)
ヤコブ・フルサン(デンマーク)
マキシミリアン・シャフマン(ドイツ)
アダム・イェーツ(イギリス)
このままフィニッシュでのスプリントに持ち込まれれば、ツール・ド・フランス第21ステージのシャンゼリゼ集団スプリントを制したファンアールトに勝機があるのは明らか。それだけはなんとしても阻止したいクフィアトコフスキやウッズ、モレマらが山中湖沿いの平坦路でアタックとカウンターアタックを繰り広げ、残り25km地点でついにマクナルティとカラパスが抜け出すことに成功する。協調して一気にリードを広げたマクナルティとカラパスが、後続に25秒差をつけて最後の籠坂峠(全長1.3km/平均5.0%)を越えた。
下り区間でタイム差は拡大の一途を辿った。他選手の協力を得ることができないファンアールトが残り12km地点の短いながらも勾配のある登り返しで加速すると、先頭2名とのタイム差が50秒から20秒まで縮小。しかしタイム差を詰め切ることができないまま、タイム差15秒でいよいよ富士スピードウェイに入場。逃げ切りか吸収か、そのバランスを崩したのはカラパスだった。
ホームストレート横のピットエリアに向かう登りで、カラパスがマクナルティを振り切ることに成功した。残り6km地点から独走に持ち込んだカラパス。追走グループからウッズやゴデュ、モレマが仕掛けたものの、ファンアールトを振り切れずに追走グループは一つに戻る。残り4km地点でタイム差は30秒。先頭カラパスが金メダルへ、そして追走グループが銀メダルと銅メダルを争うことが確実となった。
富士スピートウェイのダンロップコーナーから始まる登りをこなし、残り1kmの最終コーナーを先頭で抜けたカラパス。残り500mを切って後方を振り返ると、ちょうど最終コーナーを抜ける追走グループの姿が彼の目に映った。
牽制でペースの上がらない追走グループに1分07秒差をつけて、エクアドルのカラパスが独走勝利した。銀メダルがかかった追走グループは、スプリントでポガチャルの追撃をかわしたファンアールトを先頭にフィニッシュしている。
2019年のジロ・デ・イタリア総合優勝者で、今シーズンのツール・ド・スイスで総合優勝、そして直前のツール・ド・フランスを総合3位で終えていたカラパスが金メダルを獲得。1996年アトランタ五輪の20km競歩で勝利したジェファーソン・ペレス以来となる歴代2つ目の金メダルをエクアドルにもたらした。
三国峠で遅れた新城は10分12秒遅れの34位、増田は19分50秒遅れの84位でいずれも完走している。優勝者カラパスの平均スピードは38.42km/h。完走者は85名だった。
東京2020オリンピック 男子ロードレース結果
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル) | 6:05:26 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー) | 0:01:07 |
3位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) | |
4位 | バウケ・モレマ(オランダ) | |
5位 | マイケル・ウッズ(カナダ) | |
6位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ) | |
7位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス) | |
8位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア) | |
9位 | アダム・イェーツ(イギリス) | |
10位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ) | 0:01:21 |
11位 | ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド) | 0:01:35 |
12位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク) | 0:02:43 |
13位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル) | 0:03:38 |
14位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア) | |
15位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ) | |
16位 | ダニエル・マーティン(アイルランド) | |
17位 | サイモン・イェーツ(イギリス) | |
18位 | パトリック・コンラッド(オーストリア) | |
19位 | ラファウ・マイカ(ポーランド) | 0:03:40 |
20位 | ジャンニ・モスコン(イタリア) | 0:03:42 |
35位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:10:12 |
84位 | 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) | 0:19:50 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
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