2010/06/13(日) - 18:28
2010年6月13日、秋田県大潟村のソーラースポーツラインに於いて全日本選手権タイムトライアルが開催された。「日本最速」を決めるエリート男子は、ホイール交換しながらも38分07秒のコースレコードを叩き出した福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)が優勝。女子は萩原麻由子(サイクルベースあさひ)が大会3連覇を達成した。
今年も全日本選手権タイムトライアルの舞台は大潟村のソーラースポーツライン。かつて日本第2位の面積を誇った八郎潟が干拓され、その陸地化された平野を貫く平坦コースを駆け抜ける。
コースの特徴は、直線基調の往復であること、カーブが少ないこと、起伏が皆無に等しいこと、そして風が直接選手たちに吹き付けること。風向きによって往復の平均スピードが大きく変わってくるため、風を読んだペース配分が必要とされる。
エリート男子の出走者は16名。福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)は12番目にスタートを切った。
風向きは往路が追い風基調。福島は平均スピード51km/hで往路を終え、折り返し地点で180度ターンしてゴール方向へ。しかしコーナーでのブレーキング中に後輪がバーストしてしまい、ホイール交換を余儀なくされた。
並走していた審判カーに同乗していたメカニックが飛び出し、ディスクホイールをカーボンリムホイールに交換。福島はゴール後「メカニックが瞬時にホイールを交換してくれたおかげで、大きくタイムロスすることなく、すぐに再スタートが切れた」と振り返っている。
向かい風基調の復路を、空力的に不利になるカーボンホイールで駆け抜けた福島。最後まで追い込み、ゴールに飛び込むと、電光掲示板には38分07秒が表示された。コースレコードだ。
今年9月で39歳の誕生日を迎える福島は、今シーズン韓国登録のコンチネンタルチーム「クムサン・ジンセン・アジア」を立ち上げ、キャプテンに。しかしチームにとって重要なツール・ド・ランカウイ直前に鎖骨を骨折してしまう。レースに復帰後はTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)に出場し、伊豆ステージで2位。常に果敢に攻める熱い走りを見せ、日本人最高位となる総合5位でレースを終えた。
福島の勝利の立役者は、今年からチームに帯同する横山彰吾メカニックだろう。レース後、横山メカは謙虚に「冷静にホイール交換出来て良かったです。そして勝てて本当に良かった」と語った。チームメイトの奈良は、38分33秒で2位に入り、福島の勝利に花を添えた。勝利者インタビューはこちら。
3位に入ったのは福島と同じ71年生まれの飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)。2006年にマークした自己最高記録を2秒更新し、2年連続で表彰台に上った。
ディフェンディングチャンピオンの盛一大(愛三工業レーシングチーム)は4位、地元秋田出身の村上純平(シマノレーシング)は5位、西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)は6位。いずれの選手も38分台の好タイムだが、福島には及ばなかった。
U23は嶌田義明(ブリヂストン・エスポワール)が3連覇を達成。ジュニア時代から数えると4連覇だ。鹿児島から単身遠征した高宮正嗣(鹿屋体育大学)が、嶌田から12秒遅れの2位に入っている。この2人は下位を1分以上引き離した。
女子エリートは萩原麻由子(サイクルベースあさひ)が同じく3連覇を達成。下位を1分以上引き離す圧倒的な走りを見せた。
しかし本人は自分の走りに納得していない様子。「前半から重めのギアを踏んでいたんですけど、後半は上手く追い込めなかった。それが今後の課題点ですね。アジアにはもっと強い選手が沢山いるので、彼女らと闘うためにはもっと強くならないといけない」。そこに3連覇を達成して浮き足立った様子は皆無。萩原麻由子はまだまだ上を目指している。
レースの模様は全選手掲載のフォトギャラリーで!
全日本選手権タイムトライアル2010結果
男子エリート(30km)
1位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア) 38'07"(Ave.47.20km/h)
2位 奈良基(クムサン・ジンセン・アジア) +25"
3位 飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) +30"
4位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +32"
5位 村上純平(シマノレーシング) +47"
6位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +51"
7位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +1'25"
8位 松村光浩(愛三工業レーシングチーム) +1'52"
9位 飯野嘉則(シマノレーシング) +1'59"
10位 米山一輝(スミタ・ラバネロ・パールイズミ) +2'04"
11位 丸山英将(SQUADRA CORSA cicli HIDE) +2'13"
12位 河村豪士(FUJI CYCLINGTIME COM) +3'08"
13位 小室雅成(湘南ベルマーレ・コムレイド) +3'25"
14位 大村寛(かぶちゃん農園ボンシャンス飯田) +3'38"
15位 斉藤祥太(宇都宮ブリッツェン) +4'08"
16位 大塚航(岩井商会GANWELL RACING) +4'45"
男子U23(30km)
1位 嶌田義明(ブリヂストン・エスポワール) 40'07"(Ave.44.86km/h)
2位 高宮正嗣(鹿屋体育大学) +12"
3位 郡司昌紀(中央大学) +1'16"
4位 木下智裕(Vendee U) +2'11"
5位 小坂光(宇都宮ブリッツェン) +2'27"
6位 竹之内悠(Team Eurasia Museeuw Bikes) +2'38"
7位 福田高志(大阪経済大学) +3'32"
女子(15km)
1位 萩原麻由子(サイクルベースあさひ) 23'16"(Ave.38.67km/h参考)
2位 豊岡英子(パナソニック) +1'22"
3位 堀記理子(クラブシルベスト) +1'51"
4位 堀友紀代(Ready Go JAPAN) +2'27"
5位 高橋奈美(SEKIみちのく) +2'38"
6位 和地恵美(たかだフレンドレーシング) +3'18"
7位 佐藤咲子(Ready Go JAPAN) +3'22"
8位 武田和佳(Ready Go JAPAN) +3'35"
9位 石川千嘉(スミタ・ラバネロ・パールイズミ) +4'04"
男子ジュニア(20km)
1位 深田洋幸(大曲農高太田) 29'21"(Ave.40.86km/h)
2位 加賀谷慶治(能代西高) +28"
3位 佐々木康(かぶちゃん農園ボンシャンス飯田) +35"
4位 石原裕也(習志野高) +1'19"
男子U17(15km)
1位 内野直也(湘南ベルマーレ・コムレイド) 22'49"(Ave.39.44km/h)
2位 橋詰丈(志学館中) +2'28"
text&photo:Kei Tsuji
今年も全日本選手権タイムトライアルの舞台は大潟村のソーラースポーツライン。かつて日本第2位の面積を誇った八郎潟が干拓され、その陸地化された平野を貫く平坦コースを駆け抜ける。
コースの特徴は、直線基調の往復であること、カーブが少ないこと、起伏が皆無に等しいこと、そして風が直接選手たちに吹き付けること。風向きによって往復の平均スピードが大きく変わってくるため、風を読んだペース配分が必要とされる。
エリート男子の出走者は16名。福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)は12番目にスタートを切った。
風向きは往路が追い風基調。福島は平均スピード51km/hで往路を終え、折り返し地点で180度ターンしてゴール方向へ。しかしコーナーでのブレーキング中に後輪がバーストしてしまい、ホイール交換を余儀なくされた。
並走していた審判カーに同乗していたメカニックが飛び出し、ディスクホイールをカーボンリムホイールに交換。福島はゴール後「メカニックが瞬時にホイールを交換してくれたおかげで、大きくタイムロスすることなく、すぐに再スタートが切れた」と振り返っている。
向かい風基調の復路を、空力的に不利になるカーボンホイールで駆け抜けた福島。最後まで追い込み、ゴールに飛び込むと、電光掲示板には38分07秒が表示された。コースレコードだ。
今年9月で39歳の誕生日を迎える福島は、今シーズン韓国登録のコンチネンタルチーム「クムサン・ジンセン・アジア」を立ち上げ、キャプテンに。しかしチームにとって重要なツール・ド・ランカウイ直前に鎖骨を骨折してしまう。レースに復帰後はTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)に出場し、伊豆ステージで2位。常に果敢に攻める熱い走りを見せ、日本人最高位となる総合5位でレースを終えた。
福島の勝利の立役者は、今年からチームに帯同する横山彰吾メカニックだろう。レース後、横山メカは謙虚に「冷静にホイール交換出来て良かったです。そして勝てて本当に良かった」と語った。チームメイトの奈良は、38分33秒で2位に入り、福島の勝利に花を添えた。勝利者インタビューはこちら。
3位に入ったのは福島と同じ71年生まれの飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)。2006年にマークした自己最高記録を2秒更新し、2年連続で表彰台に上った。
ディフェンディングチャンピオンの盛一大(愛三工業レーシングチーム)は4位、地元秋田出身の村上純平(シマノレーシング)は5位、西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)は6位。いずれの選手も38分台の好タイムだが、福島には及ばなかった。
U23は嶌田義明(ブリヂストン・エスポワール)が3連覇を達成。ジュニア時代から数えると4連覇だ。鹿児島から単身遠征した高宮正嗣(鹿屋体育大学)が、嶌田から12秒遅れの2位に入っている。この2人は下位を1分以上引き離した。
女子エリートは萩原麻由子(サイクルベースあさひ)が同じく3連覇を達成。下位を1分以上引き離す圧倒的な走りを見せた。
しかし本人は自分の走りに納得していない様子。「前半から重めのギアを踏んでいたんですけど、後半は上手く追い込めなかった。それが今後の課題点ですね。アジアにはもっと強い選手が沢山いるので、彼女らと闘うためにはもっと強くならないといけない」。そこに3連覇を達成して浮き足立った様子は皆無。萩原麻由子はまだまだ上を目指している。
レースの模様は全選手掲載のフォトギャラリーで!
全日本選手権タイムトライアル2010結果
男子エリート(30km)
1位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア) 38'07"(Ave.47.20km/h)
2位 奈良基(クムサン・ジンセン・アジア) +25"
3位 飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) +30"
4位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +32"
5位 村上純平(シマノレーシング) +47"
6位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +51"
7位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +1'25"
8位 松村光浩(愛三工業レーシングチーム) +1'52"
9位 飯野嘉則(シマノレーシング) +1'59"
10位 米山一輝(スミタ・ラバネロ・パールイズミ) +2'04"
11位 丸山英将(SQUADRA CORSA cicli HIDE) +2'13"
12位 河村豪士(FUJI CYCLINGTIME COM) +3'08"
13位 小室雅成(湘南ベルマーレ・コムレイド) +3'25"
14位 大村寛(かぶちゃん農園ボンシャンス飯田) +3'38"
15位 斉藤祥太(宇都宮ブリッツェン) +4'08"
16位 大塚航(岩井商会GANWELL RACING) +4'45"
男子U23(30km)
1位 嶌田義明(ブリヂストン・エスポワール) 40'07"(Ave.44.86km/h)
2位 高宮正嗣(鹿屋体育大学) +12"
3位 郡司昌紀(中央大学) +1'16"
4位 木下智裕(Vendee U) +2'11"
5位 小坂光(宇都宮ブリッツェン) +2'27"
6位 竹之内悠(Team Eurasia Museeuw Bikes) +2'38"
7位 福田高志(大阪経済大学) +3'32"
女子(15km)
1位 萩原麻由子(サイクルベースあさひ) 23'16"(Ave.38.67km/h参考)
2位 豊岡英子(パナソニック) +1'22"
3位 堀記理子(クラブシルベスト) +1'51"
4位 堀友紀代(Ready Go JAPAN) +2'27"
5位 高橋奈美(SEKIみちのく) +2'38"
6位 和地恵美(たかだフレンドレーシング) +3'18"
7位 佐藤咲子(Ready Go JAPAN) +3'22"
8位 武田和佳(Ready Go JAPAN) +3'35"
9位 石川千嘉(スミタ・ラバネロ・パールイズミ) +4'04"
男子ジュニア(20km)
1位 深田洋幸(大曲農高太田) 29'21"(Ave.40.86km/h)
2位 加賀谷慶治(能代西高) +28"
3位 佐々木康(かぶちゃん農園ボンシャンス飯田) +35"
4位 石原裕也(習志野高) +1'19"
男子U17(15km)
1位 内野直也(湘南ベルマーレ・コムレイド) 22'49"(Ave.39.44km/h)
2位 橋詰丈(志学館中) +2'28"
text&photo:Kei Tsuji
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