2021/06/06(日) - 19:25
全日本学生選手権のチームタイムトライアルと個人タイムトライアルが、6月5日と6日の2日間に渡り埼玉県加須(かぞ)市の利根川河川敷で開催された。チームタイムトライアルは中央大学が優勝。個人タイムトライアルは留目夕陽が優勝し、中央大学が個人・チームともに制覇した。女子は渡部春雅(明治大学)が優勝し、大学選手権二つめのタイトルを獲得した。
利根川河川敷の工事用道路を使用してのタイムトライアル 写真奥は埼玉大橋 photo:Satoru Kato
タイムトライアルの大学選手権は、毎年6月初頭の開催が恒例となっている。昨年は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて中止となり、11月にロードレースカップシリーズ(RCS)の1戦として個人タイムトライアルのみの開催。大学選手権としての開催は2年ぶりだ。
コースは、埼玉県北部を流れる利根川河川敷の工事用道路を往復する15.6km。アップダウンのない平坦路だが、遮蔽物のない河川敷は風向きがタイムに大きく影響するため、ペース配分を誤ると大きなロスを生むことになる。チームタイムトライアルは2往復63.2km、個人タイムトライアルは1往復31.2km。女子はコースを短縮した25.2kmで争われた。
片道15.6kmを折り返すコース設定 photo:Satoru Kato
大会を主催する日本学生自転車競技連盟(以下、学連)は、5月30日に開催された全日本学生選手権クリテリウム(ツアー・オブ・ジャパン東京ステージ併催)以降の大会について、選手や大会役員など大会会場に来場する関係者全員にPCR検査を義務付けた。今大会も同様で、取材する報道関係者も対象となる。
義務化に踏み切った理由として学連は、大会開催地に対する配慮としている。特に地方で開催される大会では首都圏など都市部の大学生が大勢来ることに対しての不安の声もあり、大会開催のために全員検査に踏み切ったという。UCIレース以外の国内レースでは先陣を切る形となったが、これにより大会開催の可能性が高まるのであれば、他の大会も追従することになるか。
チームタイムトライアル 中央大学が2018年以来の優勝
優勝 中央大学 1時間16分19秒 photo:Satoru Kato
2位 日本大学 1時間17分30秒 photo:Satoru Kato
3位 朝日大学 1時間17分39秒 photo:Satoru Kato
6月5日に行われたチームタイムトライアルには17校が出場。1チーム4名でスタートし、3人目のフィニッシュタイムがチームのタイムとなる。
日本大学を先頭に、2019年大会の結果順に上位10校は2分間隔、以降は1分間隔でスタートしていく。往路は追い風、復路は向かい風というコンディションの中、先日のツアー・オブ・ジャパンで新人賞を獲得した留目夕陽と、Jプロツアー第6戦で優勝した山本哲央を揃えた中央大学が37分50秒台で1往復目を完了。朝日大学が僅差で続き、日本大学は38分台の3番手タイムで2往復目に入っていく。
中央大学は最後まで4名を維持。2往復目は40秒ほどタイムを落としたものの、それでも他大学より速いペースでフィニッシュ。一方朝日大学の2往復目は2分近くタイムを落とし、2往復共に38分台後半で揃えた日本大学が逆転する。
終わってみれば、中央大学が2位の日本大学に1分以上の差をつけて圧勝。平均時速は49.68kmを記録した。
表彰式 左から、2位日本大学、優勝中央大学、3位朝日大学 photo:Satoru Kato
中央大学・山本哲央 コメント
「例年より風が強めでしたが、全体的にタイムは1分くらい速かったので、みんな強くなっていると感じる。例年2周目に1分くらい落ちてしまうけれど、今年はほとんど落ちず、後半留目君が頑張ってくれたのもあり、しっかりイーブンペースで行けたと思う。最後は前にスタートした日本大学が見えてきたので、良いペースを刻めていると感じていた。全員が追い込んだ状態でレースに臨めたことも結果に出たと思う。今年入った留目(夕陽)とか、岩田(聖矢)が強いので、この勢いをインカレまで繋げていきたい」
中央大学・高島監督 コメント
「コロナ禍で大学から合宿を止められている中で、チームTTはコンビネーションが重要な種目なので、どうなるか不安だった。フタを開けてみれば選手の強さがしっかり実になったと感じている。このコースは最後まで何が起きるかわからないところもあるので、出来るだけ最後まで4人で行くようにと言ったが、それも良かったと思う。今年も各大会でしっかり結果を残せているので、力をつけてきていると感じており、今後のシーズンにも期待できると思っている」
男子 留目夕陽が個人TTでも力を見せる
男子優勝 留目夕陽(中央大学)38分34秒573 photo:Satoru Kato
6月6日は個人タイムトライアルが行われた。前日のチームタイムトライアルではレース中吹き続けていた風は無くなったものの、時々雨が落ちてくる天気。路面を濡らすほど降ることはなかったが、時々薄日が差して中途半端に気温が上がり、湿度高めな中でのレースとなった。
1番手スタートした山田拓海(早稲田大学)が、40分6秒で暫定トップに立つ。松原颯祐(日本体育大学)、棚瀬義大(朝日大学)重田恵杜(順天堂大学)らも40分台をマークするものの、トップタイムは更新できない。スタート順終盤に入り、63番目にスタートした留目夕陽(中央大学)は、30秒間隔でスタートした前走者14名を抜いてフィニッシュ。この日唯一の38分台をマークして優勝した。優勝タイム38分34秒は、2019年大会で優勝した今村駿介のタイム39分33秒を1分近く上回る結果だ。
男子2位 山田拓海(早稲田大学)40分6秒287 photo:Satoru Kato
男子3位 松原颯祐(日本体育大学)40分32秒199 photo:Satoru Kato
男子 表彰式 photo:Satoru Kato「ペースは前半抑えて後半重視で走った。昨日のチームTTよりも風はなかったけれど、復路が若干登り基調なのできつかった。スタート順が後ろの方だったので、数えきれないくらい抜いて走ったけれど、それは仕方ないと思っている。来年は1番スタートだと思うので、前を気にせずストレスなく走りたい」と、話す留目。
「ツアー・オブ・ジャパンで上げた調子をキープ出来ているので、今後の学連大会でも維持し、次の目標がインカレかツール・ド・ラヴニールになると思うが、そこに繋げていきたい。中央大学も勢いに乗っているので、チーム一丸となってやっていきたい」と、今後の目標を語る。
個人タイムトライアルとヒルクライムに長けた選手というと、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が思いつくが「自分は増田さんほどパンチがないので、アタックする時や少数のスプリントなどで必要な力だと思っているので、今後練習をしてつけていきたい」と、自己分析。今後の活躍をさらに期待したい。
女子 渡部春雅が優勝 二つめの学生選手権を獲得
女子オープン参加の樫木祥子(株式会社オーエンス)36分2秒297のトップタイムをマーク photo:Satoru Kato
女子優勝 渡部春雅(明治大学)36分23秒466 photo:Satoru Kato
女子2位 岩元杏奈(日本体育大学)36分31秒555 photo:Satoru Kato
女子3位 石上夢乃(鹿屋体育大学)38分3秒724 photo:Satoru Kato
男子に先立って行われた女子のレースには8名が出走。オープン参加の樫木祥子(株式会社オーエンス)がトップタイムとなる36分2秒台をマーク。渡部春雅(明治大学)が2番手タイムとなり、先週行われた大学選手権クリテリウムに続き二つめの大学選手権を獲得した。
渡部に8秒差まで迫った岩元杏奈(日本体育大学)が3番手タイムで学生2位となった。
女子 表彰式 photo:Satoru Kato渡部春雅 コメント
「前半飛ばしすぎず、後半落ちないように心がけ、その通りに走れたと思う。復路がうっすら向かい風で少し厳しかった。このコースを走るのは初めてなので、タイムの目安がどのくらいか分からなかったけれど、オープン参加の樫木さんに負けてしまったので、もうちょっとだったかなと思う。
これからインカレなど大きな大会もあるが、挑戦者としてガンガン攻めていきたい」
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タイムトライアルの大学選手権は、毎年6月初頭の開催が恒例となっている。昨年は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて中止となり、11月にロードレースカップシリーズ(RCS)の1戦として個人タイムトライアルのみの開催。大学選手権としての開催は2年ぶりだ。
コースは、埼玉県北部を流れる利根川河川敷の工事用道路を往復する15.6km。アップダウンのない平坦路だが、遮蔽物のない河川敷は風向きがタイムに大きく影響するため、ペース配分を誤ると大きなロスを生むことになる。チームタイムトライアルは2往復63.2km、個人タイムトライアルは1往復31.2km。女子はコースを短縮した25.2kmで争われた。
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大会を主催する日本学生自転車競技連盟(以下、学連)は、5月30日に開催された全日本学生選手権クリテリウム(ツアー・オブ・ジャパン東京ステージ併催)以降の大会について、選手や大会役員など大会会場に来場する関係者全員にPCR検査を義務付けた。今大会も同様で、取材する報道関係者も対象となる。
義務化に踏み切った理由として学連は、大会開催地に対する配慮としている。特に地方で開催される大会では首都圏など都市部の大学生が大勢来ることに対しての不安の声もあり、大会開催のために全員検査に踏み切ったという。UCIレース以外の国内レースでは先陣を切る形となったが、これにより大会開催の可能性が高まるのであれば、他の大会も追従することになるか。
チームタイムトライアル 中央大学が2018年以来の優勝
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6月5日に行われたチームタイムトライアルには17校が出場。1チーム4名でスタートし、3人目のフィニッシュタイムがチームのタイムとなる。
日本大学を先頭に、2019年大会の結果順に上位10校は2分間隔、以降は1分間隔でスタートしていく。往路は追い風、復路は向かい風というコンディションの中、先日のツアー・オブ・ジャパンで新人賞を獲得した留目夕陽と、Jプロツアー第6戦で優勝した山本哲央を揃えた中央大学が37分50秒台で1往復目を完了。朝日大学が僅差で続き、日本大学は38分台の3番手タイムで2往復目に入っていく。
中央大学は最後まで4名を維持。2往復目は40秒ほどタイムを落としたものの、それでも他大学より速いペースでフィニッシュ。一方朝日大学の2往復目は2分近くタイムを落とし、2往復共に38分台後半で揃えた日本大学が逆転する。
終わってみれば、中央大学が2位の日本大学に1分以上の差をつけて圧勝。平均時速は49.68kmを記録した。
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中央大学・山本哲央 コメント
「例年より風が強めでしたが、全体的にタイムは1分くらい速かったので、みんな強くなっていると感じる。例年2周目に1分くらい落ちてしまうけれど、今年はほとんど落ちず、後半留目君が頑張ってくれたのもあり、しっかりイーブンペースで行けたと思う。最後は前にスタートした日本大学が見えてきたので、良いペースを刻めていると感じていた。全員が追い込んだ状態でレースに臨めたことも結果に出たと思う。今年入った留目(夕陽)とか、岩田(聖矢)が強いので、この勢いをインカレまで繋げていきたい」
中央大学・高島監督 コメント
「コロナ禍で大学から合宿を止められている中で、チームTTはコンビネーションが重要な種目なので、どうなるか不安だった。フタを開けてみれば選手の強さがしっかり実になったと感じている。このコースは最後まで何が起きるかわからないところもあるので、出来るだけ最後まで4人で行くようにと言ったが、それも良かったと思う。今年も各大会でしっかり結果を残せているので、力をつけてきていると感じており、今後のシーズンにも期待できると思っている」
男子 留目夕陽が個人TTでも力を見せる
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6月6日は個人タイムトライアルが行われた。前日のチームタイムトライアルではレース中吹き続けていた風は無くなったものの、時々雨が落ちてくる天気。路面を濡らすほど降ることはなかったが、時々薄日が差して中途半端に気温が上がり、湿度高めな中でのレースとなった。
1番手スタートした山田拓海(早稲田大学)が、40分6秒で暫定トップに立つ。松原颯祐(日本体育大学)、棚瀬義大(朝日大学)重田恵杜(順天堂大学)らも40分台をマークするものの、トップタイムは更新できない。スタート順終盤に入り、63番目にスタートした留目夕陽(中央大学)は、30秒間隔でスタートした前走者14名を抜いてフィニッシュ。この日唯一の38分台をマークして優勝した。優勝タイム38分34秒は、2019年大会で優勝した今村駿介のタイム39分33秒を1分近く上回る結果だ。
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「ツアー・オブ・ジャパンで上げた調子をキープ出来ているので、今後の学連大会でも維持し、次の目標がインカレかツール・ド・ラヴニールになると思うが、そこに繋げていきたい。中央大学も勢いに乗っているので、チーム一丸となってやっていきたい」と、今後の目標を語る。
個人タイムトライアルとヒルクライムに長けた選手というと、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が思いつくが「自分は増田さんほどパンチがないので、アタックする時や少数のスプリントなどで必要な力だと思っているので、今後練習をしてつけていきたい」と、自己分析。今後の活躍をさらに期待したい。
女子 渡部春雅が優勝 二つめの学生選手権を獲得
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男子に先立って行われた女子のレースには8名が出走。オープン参加の樫木祥子(株式会社オーエンス)がトップタイムとなる36分2秒台をマーク。渡部春雅(明治大学)が2番手タイムとなり、先週行われた大学選手権クリテリウムに続き二つめの大学選手権を獲得した。
渡部に8秒差まで迫った岩元杏奈(日本体育大学)が3番手タイムで学生2位となった。
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「前半飛ばしすぎず、後半落ちないように心がけ、その通りに走れたと思う。復路がうっすら向かい風で少し厳しかった。このコースを走るのは初めてなので、タイムの目安がどのくらいか分からなかったけれど、オープン参加の樫木さんに負けてしまったので、もうちょっとだったかなと思う。
これからインカレなど大きな大会もあるが、挑戦者としてガンガン攻めていきたい」
第58回 全日本学生選手権チームロードタイムトライアル大会 結果(63.2km, 6月5日開催)
1位 | 中央大学(山本、中村、五十嵐、留目) | 1時間16分19秒97(49.68km/h) |
2位 | 日本大学(佐藤、片桐、兒島、仮屋) | +1分10秒79 |
3位 | 朝日大学(棚瀬、日比野、安達、山本) | +1分19秒95 |
4位 | 日本体育大学(松原、川田、北村、西澤) | +2分51秒86 |
5位 | 鹿屋体育大学(西原、古谷田、馬場、大河内) | +3分14秒38 |
6位 | 早稲田大学(河野、細田、山田、中野) | +3分41秒08 |
第6回全日本学生選手権個人タイムトライアル自転車競技大会 男子結果(31.2km)
1位 | 留目夕陽(中央大学) | 38分34秒573 |
2位 | 山田拓海(早稲田大学) | 40分06秒287 |
3位 | 松原颯祐(日本体育大学) | 40分32秒199 |
4位 | 棚瀬義大(朝日大学) | 40分35秒215 |
5位 | 重田恵杜(順天堂大学) | 40分52秒780 |
6位 | 津石康平(中央大学) | 41分08秒254 |
第6回全日本学生選手権個人タイムトライアル自転車競技大会 女子結果(25.2km)
OPN | 樫木祥子(株式会社オー エンス) | 36分2秒297 |
1位 | 渡部春雅(明治大学) | 36分23秒466 |
2位 | 岩元杏奈(日本体育大学) | 36分31秒555 |
3位 | 石上夢乃(鹿屋体育大学) | 38'3秒724 |
普及レース大会 結果(31.2km)
1位 | 北嶋桂大(日本大学) | 42分07秒232 |
2位 | 津留 崚(鹿屋体育大学) | 42分53秒488 |
3位 | 石田眞大(早稲田大学) | 43分28秒050 |
text&photo:Satoru Kato
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