フィニッシュ直前でマリアローザを披露したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が掴んだジロ第16ステージ。「どうしてもこのジャージでフィニッシュしたかった」と語るベルナルや、ステージ2位に入ったバルデ、不運になげくウラソフなどのコメントを紹介します。



ステージ1位&マリアローザ&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

独走でコルティナ・ダンペッツォに降りてきたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)独走でコルティナ・ダンペッツォに降りてきたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:RCS Sport
素晴らしい勝利だ。マリアローザで挙げる勝利は特別だ。ジロのステージをマリアローザで勝つなんて簡単にできることではない。レインジャケットを脱ぐために数秒失ってしまったが、それでもマリアローザを見せてフィニッシュし、このジャージへの敬意を示したかった。それぐらいスペシャルな日だったんだ。

今日は何か特別なことを、そして勝負する舞台に戻ってきたことを示したかった。もちろんハードなステージだったが、天候でレースが厳しくなれば、それだけ強い心が求められる。僕にはステージを勝つ強さがあり、耐え忍ぶ一日となったが、やり遂げることができた。

豪快にスプマンテを開けるエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)豪快にスプマンテを開けるエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:RCS Sport
コントロールの難しいステージになると思っていた。距離が短ければそれだけ多くの選手が序盤の登りから仕掛け、皆脚がフレッシュな状態で最終山岳に臨めるからね。たとえコースが短くなっても、僕たちは自分たちの走りをするまでだった。(短縮される前の)コースのために十分な準備をしてきたつもりだが、このような天候では「短縮しないでくれ」なんてことは言いたくない。最終的にレース主催者がコース短縮を発表し、僕ら選手はそれに従うだけ。結果的に上手くいったしね。

いまこれ以上ない順位にいる。2位と2分30秒差があり、もしバッドデイがあっても何とかなる状況にある。第3週目にバッドデイがきても不思議ではないし、特に寒く雨の日にその可能性は高い。でも、もしそんなことがあっても、僕はマリアローザを守ってみせる。

ステージ2位&総合7位 ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)

ベルナルから27秒遅れでフィニッシュするロマン・バルデ(フランス、チームDSM)とダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)ベルナルから27秒遅れでフィニッシュするロマン・バルデ(フランス、チームDSM)とダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
僕が2位だって?てっきり(ヴィンチェンツォ)ニバリがまだ前を走っていると思っていた。それならこの結果も悪くない。

レース序盤から最終山岳の前までチームが僕を守ってくれた。そしてベルナルが再び強さを見せた。登り口からハイペースで進み、気がついたら集団には5、6人しか残っていなかった。ベルナルのアタックについていくことができなかったが、300m以内には捉えており、前を行くカルーゾとも10秒ほどしかなかった。カルーゾの後ろで自分のペースを守り登り、下りでは可能な限り差を詰めた。良い走りができたと思うし、第3週目に向けて満足といえるだろう。

ステージ3位&総合2位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)

総合2位に順位を挙げたダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 総合2位に順位を挙げたダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
コースは短縮されたが、レースの強度は予想通りとても高かった。登りで調子が良かったのでライバルたちの顔色を窺ってみたところ、自分が一番余裕があることがわかったんだ。もちろんベルナルを除いてね。マリアローザについていこうとしたが、無理だったので自分のテンポに集中した。

素晴らしい働きをしてくれたチームメイトや、レースを通してレインジャケットなどを用意してくれたスタッフに感謝したい。このような悪天候ではそれらが命取りになるからね。いまは休息日を楽しみ、最後の戦いに向けて準備をする。僕の肩に乗しかかる責任が日に日に増しているが、チームのみんながそのプレッシャーに立ち向かう手助けをしてくれている。

ステージ4位&総合6位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

コースが短縮されても、スペクタクルな展開は健在だった。新たなレイアウトが昨夜決めた戦術を吹き飛ばし、より爆発を引き起こすレースとなった。スタートからペースは速かったものの、最終山岳ジャウ峠が大きな差を生んだ。

EFエデュケーションがすごいペースを刻み、僕らの持久力と脚、頭が試される展開に持ち込んだ。一日を通して調子は良かったおかげで力の配分が上手くいった。それが今日一番の収穫だよ。アタックに本能でついていくようなことはせず、自分のペースで登った。総合順位を見る限り、その選択が正しかったようだね。

ステージ6位&総合10位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)

雨と寒さにもかかわらず、調子が良かった。ステージ優勝を狙うべくアタックして逃げに乗ったのだが、プロトンはとても強くペースも速かった。最終的に悪い日ではなかった。ベストは尽くしたし、総合順位を上げることができて嬉しいよ。ミラノまでまだまだ厳しいステージが待っているが、一日一日を大切にしてその先にあるものを目指したい。

ステージ7位&総合4位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック)

レインジャケットを脱ごうとしたら、それがホイールに触れてしまった。取り除く為に止まらなければならず、幸運にもチームカーが近くにいたのでメカニックに解決してもらった。チームメイトの力も借りながら集団復帰を目指したが、距離が離れすぎていたため叶わなかった。とても落ち込んでいるが、あれ以上できることはなかった。フィニッシュラインまでベストを尽くしたが、ライバルたちに対しタイムを失ってしまった。今日は調子が良く、チームも素晴らしい働きをしてくれたが運がなかった。しかし諦めず、第3週目も戦い続けるよ。

ステージ11位&総合5位 サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)

最終山岳で失速したサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)最終山岳で失速したサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) photo:CorVos
表彰台を狙う選手たちにもっと近づきたかったが、これが現実だ。ベストは尽くしたしこれからのステージもそれを続け、明日の休息日を楽しむよ。

(寒さが)違いを生んだ。この天候が得意な選手もいればそうでない選手もいる。僕は大丈夫だったのだが、色々なことが重なり思い通りのステージにならなかった。難しいステージで求めていた通りにはならなかったが、ベストは尽くした。総合優勝は少し遠のいてしまったが、表彰台には届きそうなので前を向いて頑張るよ。

ステージ17位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)

積極的な走りで逃げに乗ったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)積極的な走りで逃げに乗ったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
最も恐れていた肋骨の痛みがほとんどなかったので、呼吸への影響が少なかった。だからステージ優勝を狙うべく逃げに乗ろうと思ったんだ。先頭集団は強く、アマヌエル(ゲブレイグザブハイアー)のアシストは素晴らしかった。レースが進んでいくと、プロトンがタイム差をつけさせてくれないことに気がつき、それでも抗ってみせた。息をつく間もないようなステージだった。フェダイア峠とポルドイ峠がなくなったことで獲得標高は下がったものの、十分厳しいステージだった。とても寒く、雨が降り続け、全員にとって試練となった。

ステージ58位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)

20分という失ったタイム差がステージの出来を表している。脚に疲れを感じていた。以前から語っていたことだが、あの長い怪我後のレースで大きな期待はしていなかった。また、2ヶ月しかトレーニングを積めていないなか、誰も3週間をトップコンディションでいられるとは思っていなかっただろう。

しかし、これは(グランツールを)学ぶ過程でもあり、今後の糧になると確信している。ジョアン(アルメイダ)が総合トップ10にいることは嬉しいよ。彼はここ数日僕の為にアシストをしてくれたからね。だから僕たちは残りのステージで助けようと思っている。

ステージ88位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)

32分26秒遅れでフィニッシュした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)32分26秒遅れでフィニッシュした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Miwa IIJIMA
今日は過酷な日だった。152kmで、この状況だと予定されていた212kmのコースは不可能だったのではないかと思う。コース変更はスタート10時24分のチームプレゼンテーションの直前に知らされた。ミーティングも終わっていたので、プレゼンテーション後にもう一度、ミーティングのし直し、補給地点だったり、各自役割の変更等々……。もちろん、チームはダミアーノの総合が大事でその為に全ての登りで補給とジャケットと準備した。

ダミアーノは最高の走りでステージ3位と総合2位となった。自分は最後の山頂で下りに備えて着替えをしながら、その朗報を聞き、それからの下りは寒さを忘れて、ただただ嬉しかった。明日はしっかりと休んで、また3日間ステージ待っている。自分が出来る事は少ないが、可能な限りのサポートをしたいと思う。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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