「ようやく掴んだロードバイクでの勝利」と語るのは、ジロ初勝利を挙げたアワーレコード保持者のヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)。惜しくもスプリントで競り負けたリースビークや、明日の山岳ステージを語ったベルナルなどのコメントを紹介します。



ステージ1位 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)

クベカの手を表現するヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)クベカの手を表現するヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス) photo:CorVos
素晴らしい勝利だ。今朝チームと朝食で「すでに2勝したジロを更に良いものにするためには何ができるか」という話し合いをしていた。この3勝目はもはや事件だ。今日が最後のチャンスだと思って逃げに乗った。落車もある大変なスタートとなったが、(巻き込まれた)マウロ(シュミット)とキリアン(フランキーニー)や他の選手たち無事であることを祈っている。

3人が逃げ、僕が勝利を手に入れた。僕らのレースはUBUNTU(みんながいるから私がいる)で、お互いのためにベストを尽くし、素晴らしいレースができた。長いことワールドツアー、特にグランツールでのステージ勝利を追い求めていた。ここまでタイムトライアルで2位に4度、2位に3度、5位に1度とあと少しのところまで迫ってきた。だから目標を切り替え、ロードバイクでも積極的に勝利を狙い始めた。新たな目標で挑む初めてのグランツールでチームは2勝を挙げ、マウロの勝利をアシストしたとは言えないが、ジャコモ(ニッツォーロ)の優勝は手助けできた。そして掴んだ自分の勝利。なんて日だ。

勝利を目指していたのでフィニッシュラインまでのコースは頭の中にあった。最後の5本指を見せるポーズは常に考えていたので、自然に出てきたことだ。空のボトルを外したのは空力を考えてのことだった。僕は常に空力を考えていて、僕はいつもアソスにポケットをつけてもらったタイムトライアルスーツでレースをしている。クベカ・アソスは困難な状況を乗り越え、ジロで3勝を挙げた。これらの勝利がチームにとって存続のアピールになり、ダグラス(ライダーGM)が新しいスポンサーを見つけられることを願っている。

ステージ2位 オスカル・リースビーク(オランダ、アルペシン・フェニックス)

何度もアタックするオスカル・リースビーク(オランダ、アルペシン・フェニックス)何度もアタックするオスカル・リースビーク(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
特別なステージだった。レースが始まり15人の逃げ集団に入っていたのだが、落車でレースが中断してしまった。再開後再びアタックして逃げに乗り、集団からドリース(デボント)が素晴らしいカウンターアタックを見せてくれた。もちろんカンペナールツは強かったのだが、(負けたのは)僕が間違いを犯してしまったせいだ。

最後の10kmは信じられないほど路面が滑りやすかった。リスク覚悟で攻め残り1kmで(カンペナールツに)追いついたのだが、勝利には届かなかった。つき位置からスプリントしたのだが、仕掛けるのが早すぎた。一生に一度のチャンスだったのに悔しいし、とても残念だ。15日間もレースをしてきて、前向きなことを言うのは簡単じゃない。もう何も言うことはないよ。

ステージ3位 ニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM)

3位スプリントで先着したニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM)3位スプリントで先着したニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM) photo:CorVos
スタート直後の横風を予想していたのだが、何も起こらなかった。レース再開後はとてもスピードが速かったが、なんとか逃げに乗ることができた。逃げ集団は協力して走り、フィニッシュが近づき2名の選手が飛び出した。最後の2つの登りで捉えられず、路面が乾いていれば僕らの方が可能性が高いと思っていたのだが、彼ら二人は強く予想以上の力を見せた。残念ながら3位を争うスプリントになってしまったが、ポディウムフィニッシュは悪くない結果だ。

マリアローザ&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

メイン集団でレースを終えたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)メイン集団でレースを終えたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
集団の中で走る楽な日になった。風があり最後は雨も降ったが、何の問題もなく走り終えることができた。今日のようなステージでは(サルヴァトーレ)プッチョがとても良い仕事をしてくれる。彼は今日いつもより力を使ったことだろうし、フィリッポ(ガンナ)も良く働いてくれた。

(明日は)周到な準備が必要なとても重要なステージになるだろう。気温が低くなるらしいのでグローブやジャケットが必要になるだろう。しっかりと食べ、休み、準備をしなければならない。

僕はジロに登場する登りやタイムトライアル、下りを個別に意識していない。なぜなら僕らジロで優勝をしにきたんだ。明日はとても難しいステージになるだろうが、冷静に走りたい。距離の長いステージで孤立したくないので、チームメイトのアシストが重要になる。だが、みんなこのジャージの重要性は理解しているし、僕らはジロを勝つためにここにいる。ベストを尽くすよ。

ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

マリアチクラミーノを守ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)マリアチクラミーノを守ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
ジロ第15ステージが終わったのだが、いま最も重要なことはブッフマンが早急な回復だ。今日は僕たちを応援してくれたスロベニアを走れて嬉しかった。明日は厳しい山岳ステージだ。

ヴィンチェンツォ・ニバリの怪我の具合について説明するトレック・セガフレードのルカ・グエルチレーナ監督

ヴィンチェンツォは落車の手前で止まることができたのだが、後続の選手に追突されてしまった。その時には何の問題もなかったのだが、雨と寒さのなか進んだレース終盤に状況が悪化した。ヴィンチェンツォは痛みと共にバスに乗り込み明らかに苦しんでいた。いまはチームドクターに怪我の状態を確認してもらっている。

落車したエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)の状況について話すチームドクターのクリストファー・エードラー氏

頭を打ち付けドクターストップとなったエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)	頭を打ち付けドクターストップとなったエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
落車後、ブッフマンはそのまま病院へ運ばれた。CT検査の結果、軽い脳震盪と顔と腰を打撲は見られたものの骨折はなかった。また下唇の内側にも傷を負っていた。

レースを去ったジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)

どれほど僕がこのレースを愛しているか、皆が知っているだろう。ステージ勝利を挙げることができ夢が叶った。この宝物のような思い出は一生ものだ。良い調子でこのジロに挑むことができ、平坦ステージに集中していたのだが、登りでは常に苦しみが伴っていた。だからレースを降り、回復して次の目標に向かっていくことに決めた。このジロ・デ・イタリアでチームは素晴らしい活躍を見せている。チームとしての団結が僕らのUBUNTUを証明しているだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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