2021/05/20(木) - 08:27
ストラーデビアンケを彷彿とさせる未舗装路が組み込まれたジロ・デ・イタリア第11ステージでエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)がライバルたちを蹴散らした。エヴェネプールに2分以上の差をつけたベルナル。ステージ優勝は逃げの展開からマウロ・シュミット(クベカ・アソス)の手に。
5月19日(水)第11ステージ
ペルージャ〜モンタルチーノ 162km ★★★★
砂埃を巻き上げて第1区間を走る様はまさにストラーデビアンケ photo:LaPresse
5月19日(水)第11ステージ ペルージャ〜モンタルチーノ 162km ★★★★ image:RCS Sport
5月19日(水)第11ステージ ペルージャ〜モンタルチーノ 162km ★★★★ image:RCS Sport
刺激的なステージが連続するジロ・デ・イタリアの後半戦がウンブリア州のペルージャでスタートした。選手たちが目指すのはトスカーナ州の丘陵地帯。全長162kmのステージにはコース発表時から話題を呼んだ未舗装区間が4つ組み込まれている。本家ストラーデビアンケと同じセットーレ(セクター、区間)は登場しないが、通過する地域は同じ。フィニッシュ地点モンタルチーノの周囲に広がる「白い道」もしくは「茶色い道」を合計35.2kmにわたって駆ける。残り69km地点から先は半分以上が未舗装になる計算だ。
全長5.0kmから13.5kmの未舗装区間はアップダウンの連続で、最大勾配16%の急勾配区間も登場。世界的なワインの産地を巡ることから主催者が「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ ワインステージ」と銘打った難易度4つ星のグラベル決戦は、これまでのどの山岳ステージよりも大きなダメージとタイム差を総合成績に与えることになった。
ジロ独自の「フーガ賞(逃げ賞)」において今大会最も長く逃げているタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)のファーストアタックが決まり、合計11名の大所帯が逃げる展開。マリアローザ擁するイネオス・グレナディアーズには、総合で33分09秒遅れのフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、エオーロ・コメタ)を含む逃げグループを懸命に追走する理由はなかった。
逃げグループを形成した11名
フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、エオーロ・コメタ)総合33分09秒遅れ
アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)総合48分16秒遅れ
ロジャー・クルーゲ(ドイツ、ロット・スーダル)
ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)
ベルトヤン・リンデマン(オランダ、クベカ・アソス)
マウロ・シュミット(スイス、クベカ・アソス)
ローレンス・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール・シトロエン)
タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
ドリース・デボント(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
シモン・グリエルミ(フランス、グルパマFDJ)
エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニ・CSF・ファイザネ)
ウンブリア州からトスカーナ州まで颯爽と駆け抜け、最初の2時間で90kmを消化した逃げグループは最大タイム差14分30秒でステージ後半の連続未舗装区間に突入する。位置取りを伴うメイン集団のペースアップによってそこからタイム差は縮小傾向に転じたが、逃げ切るには十分すぎるタイム差を持ったままいよいよステージ優勝に向けたセレクションが始まった。
ペルージャの街をスタートしていく photo:CorVos
タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)を含む11名の逃げ photo:CorVos
トスカーナ州の丘陵地帯を貫く未舗装路を走る photo:LaPresse
最初の第1区間(全長9.1km)でメイン集団は早くも人数を減らすことになる。フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)による強烈な牽引によって総合8位ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)と総合10位ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)が最初の中切れの犠牲者に。
アシスト役に徹したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)もペースアップに加わると、総合2位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)と総合3位アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック)も遅れてしまう。続く第2区間(全長13.5km)までの舗装路で30秒の遅れを挽回したエヴェネプールグループはメイン集団に復帰したものの、イネオス・グレナディアーズはその後も攻撃の手を緩めなかった。
急勾配区間を含む第2区間でジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)に引き連れられる形で飛び出した総合18位トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)は吸収。人数を揃えるイネオス・グレナディアーズは第3区間(全長7.6km)に向けてさらにスピードを上げ、ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が強力な牽引を見せると再びエヴェネプールは脱落してしまう。
総合首位エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が集団先頭で自らペースを上げた一方で、砂埃を巻き上げる集団後方から遅れていく総合2位エヴェネプール。明らかに精彩を欠いたエヴェネプールはこの第3区間だけで1分ものタイムロスを被った。
「第2区間で苦しみ、第3区間で彼ら(イネオス)が加速した時はもう脚が空っぽだった。長い期間レースから離れていた身体は、11日間の戦いを経て苦しんでいた」と語るエヴェネプールは、チームカーからの指示が入る無線のイヤホンを取って戦意喪失の雰囲気を醸し出したが、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)のアシストを得て少し勢いを取り戻す。休息日の翌日にやってきたバッドデーに、タイムロスを最小限に抑える走りに徹した。
第2区間でメイン集団から飛び出したジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)とトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
第3区間でペースを上げるジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
ライバルたちから遅れ、アルメイダにアシストされるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
第3区間を終えてもなお崩れない逃げグループは最後の第4区間(全長5.0km)でついに崩壊。チームメイトのクルーゲとの連携でアタックしたファンフックが人数を絞ったが、そのファンフックはバイク交換を強いられる落車で脱落してしまう。第4区間を終えた先の3級山岳ルーメスペント峠への登りで先頭はコーヴィとシュミットの2人に絞られた。
すべての未舗装区間を終え、総合2位エヴェネプール、総合5位アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマFDJ)、総合8位マーティン、総合10位フォルモロのいないメイン集団からは、総合15位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が飛び出したが誰も反応しない。メンバー3名(カーシー、ゲレイロ、ベッティオル)を揃えるEFエデュケーション・NIPPOがペースを刻んで追走すると、メイン集団からは総合12位マルク・ソレル(スペイン、モビスター)と総合4位ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が遅れていく。
先頭コーヴィとシュミットから4分遅れで3級山岳ルーメスペント峠に挑んだメイン集団からは、総合3位ウラソフのアタックに反応する形でマリアローザが飛び立った。マウンテンバイク出身選手らしいバイク捌きで未舗装区間を力強く走っていた総合首位ベルナルが一気に加速。先に飛び出していたブッフマンの位置まで一気にジャンプしたベルナルが総合ライバルたちを引き離す。
先頭ではフィニッシュ地点モンタルチーノの旧市街地を抜けたコーヴィとシュミットによる登りスプリントバトルが繰り広げられ、21歳シュミットが22歳コーヴィを打ち破って優勝。崩壊した逃げグループの合計10名がそれぞれフィニッシュを終えると、もうマリアローザがやってきた。
協力者ブッフマンを登りスプリントで引き離したベルナルがステージ11位フィニッシュ。貫禄の走りでマリアローザが総合リードを広げる結果となった。
モスコンにアシストされて有利にレースを進めるエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
未舗装区間で逃げグループの人数を絞るハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
3級山岳でライバルたちの様子を伺うエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
コーヴィを登りスプリントで下したマウロ・シュミット(スイス、クベカ・アソス) photo:LaPresse
スイスに今大会ステージ2勝目をもたらしたシュミットはプロ1年目の21歳(今大会3番目の若さ)。マウンテンバイクとシクロクロス出身で「ストラーデビアンケやグラベルレースが大好き」と語るシュミットがプロ初勝利を初のグランツールの舞台で果たした。
「驚くほど簡単に逃げに乗れて、驚くほど大きなタイム差がついた。オフロード出身なので今日のステージに照準を合わせていたんだ。終盤にかけて誰もが疲れ切っているように見えた。最後は監督の指示通り先頭で最終コーナーを抜けてスプリント。残り50mで勝利を確信した。本当に信じられない気持ち」。オフロード競技出身で、ロード選手としてジロに出場するシュミットは、スイス代表のトラック選手として東京五輪の団体追い抜きに出場する予定だ。
「グラベルコースを楽しんで走ることができた。でもここまで良い走りができるとは思っていなかった」と語るのは総合リード拡大に成功したベルナル。背中の痛みを全く感じさせない走りでライバルたちを蹴散らした。「落車に巻き込まれないためには集団前方で走らないといけないし、集団前方で走るにはリスクを負わないといけない。そのバランスが難しかった。幸い強力なチームに守られて、予定通りの作戦を遂行することができたよ。総合タイム差はついたけど、まだ10ステージ残っている。これからもしっかりと地に足をつけて、ライバルたちの動きに警戒しないといけない」。
ステージ11位に入ったベルナルを起点に計算すると、ウラソフやサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)らがタイムロスを1分以内に抑え込んだ一方で、エヴェネプールは2分08秒遅れた。この結果を受けて、ウラソフが45秒遅れの総合2位、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が1分12秒遅れの総合3位に浮上。イェーツやブッフマンも総合順位を上げた一方で、エヴェネプールは総合2位から総合7位にダウンしている。総合トップ10のタイム差は1分02秒から3分15秒まで一気に拡大した。
マリアローザのリードを広げたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
ベルナルから2分以上遅れたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
初出場の21歳マウロ・シュミット(スイス、クベカ・アソス)がステージ優勝 photo:LaPresse
マリアローザのリードを広げたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:LaPresse
5月19日(水)第11ステージ
ペルージャ〜モンタルチーノ 162km ★★★★
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刺激的なステージが連続するジロ・デ・イタリアの後半戦がウンブリア州のペルージャでスタートした。選手たちが目指すのはトスカーナ州の丘陵地帯。全長162kmのステージにはコース発表時から話題を呼んだ未舗装区間が4つ組み込まれている。本家ストラーデビアンケと同じセットーレ(セクター、区間)は登場しないが、通過する地域は同じ。フィニッシュ地点モンタルチーノの周囲に広がる「白い道」もしくは「茶色い道」を合計35.2kmにわたって駆ける。残り69km地点から先は半分以上が未舗装になる計算だ。
全長5.0kmから13.5kmの未舗装区間はアップダウンの連続で、最大勾配16%の急勾配区間も登場。世界的なワインの産地を巡ることから主催者が「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ ワインステージ」と銘打った難易度4つ星のグラベル決戦は、これまでのどの山岳ステージよりも大きなダメージとタイム差を総合成績に与えることになった。
ジロ独自の「フーガ賞(逃げ賞)」において今大会最も長く逃げているタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)のファーストアタックが決まり、合計11名の大所帯が逃げる展開。マリアローザ擁するイネオス・グレナディアーズには、総合で33分09秒遅れのフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、エオーロ・コメタ)を含む逃げグループを懸命に追走する理由はなかった。
逃げグループを形成した11名
フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、エオーロ・コメタ)総合33分09秒遅れ
アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)総合48分16秒遅れ
ロジャー・クルーゲ(ドイツ、ロット・スーダル)
ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)
ベルトヤン・リンデマン(オランダ、クベカ・アソス)
マウロ・シュミット(スイス、クベカ・アソス)
ローレンス・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール・シトロエン)
タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
ドリース・デボント(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
シモン・グリエルミ(フランス、グルパマFDJ)
エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニ・CSF・ファイザネ)
ウンブリア州からトスカーナ州まで颯爽と駆け抜け、最初の2時間で90kmを消化した逃げグループは最大タイム差14分30秒でステージ後半の連続未舗装区間に突入する。位置取りを伴うメイン集団のペースアップによってそこからタイム差は縮小傾向に転じたが、逃げ切るには十分すぎるタイム差を持ったままいよいよステージ優勝に向けたセレクションが始まった。
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アシスト役に徹したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)もペースアップに加わると、総合2位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)と総合3位アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック)も遅れてしまう。続く第2区間(全長13.5km)までの舗装路で30秒の遅れを挽回したエヴェネプールグループはメイン集団に復帰したものの、イネオス・グレナディアーズはその後も攻撃の手を緩めなかった。
急勾配区間を含む第2区間でジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)に引き連れられる形で飛び出した総合18位トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)は吸収。人数を揃えるイネオス・グレナディアーズは第3区間(全長7.6km)に向けてさらにスピードを上げ、ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が強力な牽引を見せると再びエヴェネプールは脱落してしまう。
総合首位エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が集団先頭で自らペースを上げた一方で、砂埃を巻き上げる集団後方から遅れていく総合2位エヴェネプール。明らかに精彩を欠いたエヴェネプールはこの第3区間だけで1分ものタイムロスを被った。
「第2区間で苦しみ、第3区間で彼ら(イネオス)が加速した時はもう脚が空っぽだった。長い期間レースから離れていた身体は、11日間の戦いを経て苦しんでいた」と語るエヴェネプールは、チームカーからの指示が入る無線のイヤホンを取って戦意喪失の雰囲気を醸し出したが、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)のアシストを得て少し勢いを取り戻す。休息日の翌日にやってきたバッドデーに、タイムロスを最小限に抑える走りに徹した。
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すべての未舗装区間を終え、総合2位エヴェネプール、総合5位アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマFDJ)、総合8位マーティン、総合10位フォルモロのいないメイン集団からは、総合15位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が飛び出したが誰も反応しない。メンバー3名(カーシー、ゲレイロ、ベッティオル)を揃えるEFエデュケーション・NIPPOがペースを刻んで追走すると、メイン集団からは総合12位マルク・ソレル(スペイン、モビスター)と総合4位ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が遅れていく。
先頭コーヴィとシュミットから4分遅れで3級山岳ルーメスペント峠に挑んだメイン集団からは、総合3位ウラソフのアタックに反応する形でマリアローザが飛び立った。マウンテンバイク出身選手らしいバイク捌きで未舗装区間を力強く走っていた総合首位ベルナルが一気に加速。先に飛び出していたブッフマンの位置まで一気にジャンプしたベルナルが総合ライバルたちを引き離す。
先頭ではフィニッシュ地点モンタルチーノの旧市街地を抜けたコーヴィとシュミットによる登りスプリントバトルが繰り広げられ、21歳シュミットが22歳コーヴィを打ち破って優勝。崩壊した逃げグループの合計10名がそれぞれフィニッシュを終えると、もうマリアローザがやってきた。
協力者ブッフマンを登りスプリントで引き離したベルナルがステージ11位フィニッシュ。貫禄の走りでマリアローザが総合リードを広げる結果となった。
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スイスに今大会ステージ2勝目をもたらしたシュミットはプロ1年目の21歳(今大会3番目の若さ)。マウンテンバイクとシクロクロス出身で「ストラーデビアンケやグラベルレースが大好き」と語るシュミットがプロ初勝利を初のグランツールの舞台で果たした。
「驚くほど簡単に逃げに乗れて、驚くほど大きなタイム差がついた。オフロード出身なので今日のステージに照準を合わせていたんだ。終盤にかけて誰もが疲れ切っているように見えた。最後は監督の指示通り先頭で最終コーナーを抜けてスプリント。残り50mで勝利を確信した。本当に信じられない気持ち」。オフロード競技出身で、ロード選手としてジロに出場するシュミットは、スイス代表のトラック選手として東京五輪の団体追い抜きに出場する予定だ。
「グラベルコースを楽しんで走ることができた。でもここまで良い走りができるとは思っていなかった」と語るのは総合リード拡大に成功したベルナル。背中の痛みを全く感じさせない走りでライバルたちを蹴散らした。「落車に巻き込まれないためには集団前方で走らないといけないし、集団前方で走るにはリスクを負わないといけない。そのバランスが難しかった。幸い強力なチームに守られて、予定通りの作戦を遂行することができたよ。総合タイム差はついたけど、まだ10ステージ残っている。これからもしっかりと地に足をつけて、ライバルたちの動きに警戒しないといけない」。
ステージ11位に入ったベルナルを起点に計算すると、ウラソフやサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)らがタイムロスを1分以内に抑え込んだ一方で、エヴェネプールは2分08秒遅れた。この結果を受けて、ウラソフが45秒遅れの総合2位、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が1分12秒遅れの総合3位に浮上。イェーツやブッフマンも総合順位を上げた一方で、エヴェネプールは総合2位から総合7位にダウンしている。総合トップ10のタイム差は1分02秒から3分15秒まで一気に拡大した。
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ジロ・デ・イタリア2021第11ステージ結果
マリアローザ 個人総合成績
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 42:35:21 |
2位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | 0:00:45 |
3位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:01:12 |
4位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:01:17 |
5位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | 0:01:22 |
6位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:50 |
7位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:22 |
8位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:02:24 |
9位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:02:49 |
10位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:03:15 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 108pts |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 91pts |
3位 | ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション) | 91pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 51pts |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 48pts |
3位 | ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 44pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 42:35:21 |
2位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | 0:00:45 |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:22 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 127:53:12 |
2位 | バイクエクスチェンジ | 0:09:35 |
3位 | EFエデュケーション・NIPPO | 0:09:40 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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