2010年6月8日、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIプロツアー)の第2ステージが難易度の低い中級山岳コースで行なわれ、今大会最初の本格的な集団スプリントでフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)が勝利。アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)がマイヨジョーヌを守った。

ラスト1kmまで逃げ続けたイニャキ・イサーシ(スペイン、エウスカルテル)やブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)ラスト1kmまで逃げ続けたイニャキ・イサーシ(スペイン、エウスカルテル)やブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク) photo:Cor Vos第2ステージはレース中盤に登坂距離が10kmを超える2級山岳が2つ登場。しかし終盤にかけて平坦路が続くため、スプリンターが上りで遅れたとしても、集団に追い上げる余地はある。スプリンターにとってはステージ優勝の最後のチャンスだ。

アタック合戦で幕開けたレースは、16km地点で5名が飛び出してようやく沈静化。以下の5名は、時にカテゴリー山岳でバトルを繰り広げながら、協力して160km以上を逃げ続けることになる。

マイヨジョーヌ擁するアスタナは常に集団前方に位置マイヨジョーヌ擁するアスタナは常に集団前方に位置 photo:Cor Vosブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)、ギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)、ステファヌ・オジェ(フランス、コフィディス)、イニャキ・イサーシ(スペイン、エウスカルテル)、アントニー・ドゥラプラス(フランス、ソール・ソジャサン)。

逃げグループの中で最も積極的に山岳ポイントを狙ったのはタンキンクで、2つの2級山岳を先頭で通過して山岳賞ランキングトップに。前日に逃げたシリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)は集団の先頭(6番手)で山岳をこなしたが、タンキンクに山岳賞トップの座を奪われてしまった。

激しくクラッシュしたケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)激しくクラッシュしたケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vos前日に見せ場を作れなかったスプリンターチームも、この日ばかりは本領発揮。最大8分を超えたタイム差を、サクソバンクやチームミルラム、チームスカイが削り取って行く。

ラスト50kmで3分40秒のタイム差。追うメイン集団に分があるタイム差だが、中盤に力を貯めた先頭5名のペースコントロールが光り、ラスト20kmでタイム差は3分をキープ。ここから逃げグループとメイン集団のハイスピードバトルが始まった。

メイン集団のペースを上げるサクソバンク、チームミルラム、チームスカイメイン集団のペースを上げるサクソバンク、チームミルラム、チームスカイ photo:Cor Vosメイン集団の先頭ローテーションにはサーヴェロ・テストチームやリクイガス、クイックステップも加わり、アクセル全開で逃げを追走。ラスト10kmでタイム差1分20秒。ラスト5kmで40秒。粘りの走りを見せた先頭5名だったが、ラスト3kmから始まった牽制の影響でペースダウン。結局ラスト1kmで大集団に飲み込まれた。

一つにまとまった集団は、チームスカイやサーヴェロ・テストチームに率いられてゴールへ。チームスカイはマイヨヴェールを着るジェレイント・トーマス(イギリス)を好位置で発射するも、トーマスは伸びない。

集団スプリントを制したフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)集団スプリントを制したフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク) photo:Cor Vos代わってセバスティアン・シャヴァネル(フランス、フランセーズデジュー)が先頭に立ったが、後方から勢いよく追い上げたJJアエドがラスト50mで全員を抜いてゴール。圧倒的なスプリント力でステージ優勝を飾った。

「熱い闘いだった。一日中働き続けたチームは、最後に素晴らしいリードアウトで自分を解き放ってくれたんだ。彼らの働きに報いるためには『勝利』しかない。(左側に)スペースを見つけて、上手く他の選手たちを抜き去ることが出来た。今日一番働いたチームに報いることが出来て本当に良かったよ」。

山岳賞ジャージに袖を通すブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)山岳賞ジャージに袖を通すブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク) photo:Cor Vos南米アルゼンチンのブエノスアイレス出身のJJアエドは、2007年にチームCSC(現サクソバンク)に合流。1年目からツアー・オブ・カリフォルニアとツール・ド・ジョージアのポイント賞に輝く活躍を見せた。今シーズンはボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでステージ優勝を飾ると、ドイツのルント・ウム・ケルンで2度目の優勝。このドーフィネでの勝利で、名実共にトップスプリンターの仲間入りを果たしたと言っていいだろう。今やサクソバンクに無くてはならない存在だ。

この日も総合上位陣は集団でゴールしたため、順位に変動無し。コンタドールはマイヨジョーヌを着たまま、翌日の個人タイムトライアルに挑むことになった。

総合争いを占う上で重要な第3ステージ・個人タイムトライアルは、起伏のある49kmのロングコースで行なわれる。ツール・ド・フランスに向けてコンタドールの仕上がり具合は如何に?ライバルたちの巻き返しにも期待したい。

選手コメントはレース公式サイトより。


クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第2ステージ結果
1位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)        4h24'10"
2位 マルティン・ライマー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)
3位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)
4位 セバスティアン・シャヴァネル(フランス、フランセーズデジュー)
5位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)
6位 アンドレアス・スタウフ(ドイツ、クイックステップ)
7位 ジェレミー・ギャラン(フランス、ソール・ソジャサン)
8位 ジャンユード・ドゥマレ(フランス、コフィディス)
9位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
10位 ミシェル・クレダー(オランダ、ガーミン・トランジションズ)

個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)        9h20'08"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア    +02"
3位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)      +05"
4位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)          +10"
5位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)           +12"
6位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)
7位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)        +14"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル)          +15"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)

ポイント賞
グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)

山岳賞
ブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)

チーム総合成績
クイックステップ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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