UCI(国際自転車競技連合)がボトルやゴミを指定範囲外に捨てた際の罰則の改定を発表し、ワンデーレースで即時失格だった処分が罰金とUCIポイント剥奪になるなど緩和された。一方でブレーキレバーに内側から指をかけるエアロポジションが処分対象となる事態が発生している。



観客にボトルを投げるマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)観客にボトルを投げるマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
2021年4月1日から適用されたボトル、及び補給食などのゴミやサコッシュをコース指定範囲外に捨てた際の罰則について、UCIが緩和させる改訂版を発表した。

この決定は4月14日にUCI、選手、チーム、レース主催者の代表者からなるPCC(プロサイクリング協議会)が主催したオンライン会議の意見交換を反映したもので、これら改定は2021年4月17日から適用される。

同規則についてはミヒャエル・シェアー(スイス、AG2Rシトロエン)やアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)がSNS上で批判。改定を求める声が広がったことを受け、UCIがそれらを聞き入れる形となった。

しかし改定されたのは罰則だけであり、沿道の観客に対しボトルやサコッシュを投げる行為は依然として禁止となる。改訂版の詳細は以下の通り。

エアロポジションは禁止事項が明確化されているエアロポジションは禁止事項が明確化されている (c)CorVos
ワンデーレース
改定後:1回目は罰金(100〜500スイスフラン)とUCIポイントの剥奪(-5〜-25ポイント)。2回目は排除、または失格
改定前:即時に排除、または失格

ステージレース
改定後:1回目は罰金(100〜500スイスフラン)とUCIポイントの剥奪(-5〜-25ポイント)、2回目は-1分のペナルティ、3回目は排除、または失格
改定前:1回目は-30秒のペナルティ、2回目は-2分のペナルティ、3回目は排除または失格

この決定に対しダヴィ・ラパルティアンUCI会長は「関係者と意見交換を行った結果、ゴミを指定範囲外で捨てた場合に対する罰則措置について改訂することが適切であると判断しました」とコメント。「UCIはすべての関係者に受け入れられる解決策が見つかったことを喜ばしく思っています」と、施策に対する柔軟性をアピールした。

ゴミ捨てに関する罰則が緩和された一方で、スーパータックと共に禁止走行に指定された「前腕をハンドル置くエアロポジション」について、その基準が明確化される処分が4月14日のレースで下された。

処分の対象になったのはハンドルに腕を置き、指をブレーキレバーに引っ掛けるポジション。


これをプラバンツ・ベイル(UCI1.Pro)で行なったハイス・リームライゼ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が失格処分を受け、その数時間後に同様の理由でアレクサンダー・リチャードソン(イギリス、アルペシン・フェニックス)もツアー・オブ・ターキー(UCI2.Pro)第4ステージのフィニッシュ後に失格処分が下された。

text:Sotaro.Arakawa