2010年6月7日に開催されたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIプロツアー)第1ステージは、終盤の3級山岳でアタックが頻発する荒れた展開に。上りで縮小した60名ほどの集団によるスプリントで、グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)が接戦を制しステージ優勝。キャリア最大の勝利を手にした。

最大9分のリードで逃げ続けたシリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)ら5名最大9分のリードで逃げ続けたシリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)ら5名 photo:A.S.O.ドーフィネのメイン会場はフランス南東部の山岳地帯。必然的に山岳ステージの比率が高くなり、平坦ステージは少なくなる。

この日の第1ステージはスプリンターにもチャンスがある貴重な平坦コースで行なわれた。とは言え、ゴール6km手前の3級山岳が勝負の鍵を握る重要なポイント。スプリンターのチャンスを奪おうと、序盤から5名のアタッカーが飛び出した。

集団前方に位置するアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)集団前方に位置するアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:A.S.O.逃げを試みたのはドミニク・ロラン(カナダ、サーヴェロ・テストチーム)、ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)、マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)、セバスティアン・ミナール(フランス、コフィディス)、シリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)。

リーダージャージ擁するアスタナは逃げグループの追走に興味を示さず、タイム差が9分に達するまで逃げを放置。逃げグループではラダニュが山岳賞を狙って動き、3つのカテゴリー山岳を終えて暫定山岳賞トップに立った。

他の逃げメンバーを置き去りにして3級山岳を目指すシリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)他の逃げメンバーを置き去りにして3級山岳を目指すシリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Cor Vos中盤にようやくスプリンター擁するサクソバンクが集団牽引を開始したが、タイム差を詰めることが出来ないまま後退。総合成績を見据えたガーミン・トランジションズがコントロールを始めると、ようやくタイム差は縮小傾向に転じた。

メイン集団では落車の影響で大きく分断される場面も見られたが、概ね一つにまとまったまま。タイム差は1分/10kmの割合で縮小し、ラスト10kmの時点でタイム差は1分を切った。

最後の3級山岳でアタックしたケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)とオスカル・プヨル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)最後の3級山岳でアタックしたケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)とオスカル・プヨル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) photo:Cor Vosゴール6km手前の最後の3級山岳で、山岳賞逆転狙いのゴティエが逃げグループから飛び出したが、メイン集団の勢いを振り切ることが出来ない。メイン集団からはケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)とオスカル・プヨル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)が飛び出し、それまで逃げていた選手を全員抜き去って頂上を通過した。

下り区間で後方から追い上げ、シールドライヤースとプヨルを抜いて先頭に立ったのは、総合3位のヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)。単独でゴールに向かってハイスピードダウンヒルをこなしたブライコヴィッチには、エロス・カペッキ(イタリア、フットオン・セルヴェット)が追いついて先頭は2名に。

ベリトスとの接戦を制したグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)ベリトスとの接戦を制したグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ) photo:Cor Vosラスト1kmのアーチを先頭で駆け抜けたブライコヴィッチとカペッキ。しかし上手く協調体制を築けないまま吸収されてしまう。最後は60名ほどの集団によるスプリント勝負に持ち込まれた。

有力スプリンターを欠く中でのスプリント勝負。完全に主導権を握るようなチームはおらず、早めに仕掛けたジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)を落ち着いて抜き去り、ピーター・ベリトス(スロバキア、チームHTC・コロンビア)との接戦を制したボーレが優勝。軽く片手でガッツポーズを見せた。

キャリア最大の勝利を飾ったグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)キャリア最大の勝利を飾ったグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ) photo:Cor Vos1985年スロベニア生まれのボーレは現在24歳。2005年からプロとして走り、昨年はアミーカ・チップスに移籍したが、半年でチームが解体してしまう。古巣のアドリア・モビルを経て、今年プロツアーチームのランプレに移籍した。

昨年のツアー・オブ・ハイナン総合2位やジロ・デル・フリウリ2位などの成績を残している選手だが、まだ間違いなくこれがキャリア最大の勝利。「初めてビッグレースで勝利を収めたんだ。本当に嬉しい。これまで2位が多かった。今年のパリ〜ニースでもステージ2位に入ったけど、その翌日に落車して肋骨を骨折してしまった。それから2ヶ月はレースから離れていた」。レース後のインタビューでボーレはそう語る。

山岳賞ジャージに袖を通したマチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)山岳賞ジャージに袖を通したマチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー) photo:A.S.O.「今日は最後の下りでコフィディスの選手(ドゥムラン)が落車した影響で少し遅れたけど、何とかゴールの数キロ手前で集団に合流。チームスカイの選手が2人でスプリントを仕掛けたので、ラスト200mから対抗して何とか勝利に手が届いた。もうツール・ド・フランスに向けて準備は整っているよ」。ボーレは7月のツール初出場に向けて好調をアピールした。

総合上位陣は先頭集団内でゴールしたため、総合順位に変動は無し。アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が危なげなくマイヨジョーヌを守っている。翌日も平坦ステージのため、コンタドールはマイヨジョーヌを着続けることになりそうだ。

選手コメントはレース公式サイトより。


クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第1ステージ結果
1位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)          4h47'24"
2位 ピーター・ベリトス(スロバキア、チームHTC・コロンビア)
3位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4位 ストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)
5位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
6位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームミルラム)
7位 ステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)
8位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルヴェット)
10位 ジュリアン・エルファレ(フランス、コフィディス)

個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)        4h55'58"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア    +02"
3位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)      +05"
4位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)          +10"
5位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)           +12"
6位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)
7位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)        +14"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル)          +15"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)

ポイント賞
ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

山岳賞
マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)

チーム総合成績
クイックステップ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.

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