2010/06/08(火) - 10:25
2010年6月7日に開催されたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIプロツアー)第1ステージは、終盤の3級山岳でアタックが頻発する荒れた展開に。上りで縮小した60名ほどの集団によるスプリントで、グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)が接戦を制しステージ優勝。キャリア最大の勝利を手にした。
ドーフィネのメイン会場はフランス南東部の山岳地帯。必然的に山岳ステージの比率が高くなり、平坦ステージは少なくなる。
この日の第1ステージはスプリンターにもチャンスがある貴重な平坦コースで行なわれた。とは言え、ゴール6km手前の3級山岳が勝負の鍵を握る重要なポイント。スプリンターのチャンスを奪おうと、序盤から5名のアタッカーが飛び出した。
逃げを試みたのはドミニク・ロラン(カナダ、サーヴェロ・テストチーム)、ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)、マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)、セバスティアン・ミナール(フランス、コフィディス)、シリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)。
リーダージャージ擁するアスタナは逃げグループの追走に興味を示さず、タイム差が9分に達するまで逃げを放置。逃げグループではラダニュが山岳賞を狙って動き、3つのカテゴリー山岳を終えて暫定山岳賞トップに立った。
中盤にようやくスプリンター擁するサクソバンクが集団牽引を開始したが、タイム差を詰めることが出来ないまま後退。総合成績を見据えたガーミン・トランジションズがコントロールを始めると、ようやくタイム差は縮小傾向に転じた。
メイン集団では落車の影響で大きく分断される場面も見られたが、概ね一つにまとまったまま。タイム差は1分/10kmの割合で縮小し、ラスト10kmの時点でタイム差は1分を切った。
ゴール6km手前の最後の3級山岳で、山岳賞逆転狙いのゴティエが逃げグループから飛び出したが、メイン集団の勢いを振り切ることが出来ない。メイン集団からはケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)とオスカル・プヨル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)が飛び出し、それまで逃げていた選手を全員抜き去って頂上を通過した。
下り区間で後方から追い上げ、シールドライヤースとプヨルを抜いて先頭に立ったのは、総合3位のヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)。単独でゴールに向かってハイスピードダウンヒルをこなしたブライコヴィッチには、エロス・カペッキ(イタリア、フットオン・セルヴェット)が追いついて先頭は2名に。
ラスト1kmのアーチを先頭で駆け抜けたブライコヴィッチとカペッキ。しかし上手く協調体制を築けないまま吸収されてしまう。最後は60名ほどの集団によるスプリント勝負に持ち込まれた。
有力スプリンターを欠く中でのスプリント勝負。完全に主導権を握るようなチームはおらず、早めに仕掛けたジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)を落ち着いて抜き去り、ピーター・ベリトス(スロバキア、チームHTC・コロンビア)との接戦を制したボーレが優勝。軽く片手でガッツポーズを見せた。
1985年スロベニア生まれのボーレは現在24歳。2005年からプロとして走り、昨年はアミーカ・チップスに移籍したが、半年でチームが解体してしまう。古巣のアドリア・モビルを経て、今年プロツアーチームのランプレに移籍した。
昨年のツアー・オブ・ハイナン総合2位やジロ・デル・フリウリ2位などの成績を残している選手だが、まだ間違いなくこれがキャリア最大の勝利。「初めてビッグレースで勝利を収めたんだ。本当に嬉しい。これまで2位が多かった。今年のパリ〜ニースでもステージ2位に入ったけど、その翌日に落車して肋骨を骨折してしまった。それから2ヶ月はレースから離れていた」。レース後のインタビューでボーレはそう語る。
「今日は最後の下りでコフィディスの選手(ドゥムラン)が落車した影響で少し遅れたけど、何とかゴールの数キロ手前で集団に合流。チームスカイの選手が2人でスプリントを仕掛けたので、ラスト200mから対抗して何とか勝利に手が届いた。もうツール・ド・フランスに向けて準備は整っているよ」。ボーレは7月のツール初出場に向けて好調をアピールした。
総合上位陣は先頭集団内でゴールしたため、総合順位に変動は無し。アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が危なげなくマイヨジョーヌを守っている。翌日も平坦ステージのため、コンタドールはマイヨジョーヌを着続けることになりそうだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第1ステージ結果
1位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ) 4h47'24"
2位 ピーター・ベリトス(スロバキア、チームHTC・コロンビア)
3位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4位 ストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)
5位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
6位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームミルラム)
7位 ステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)
8位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルヴェット)
10位 ジュリアン・エルファレ(フランス、コフィディス)
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 4h55'58"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア +02"
3位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +05"
4位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +10"
5位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ) +12"
6位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)
7位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +14"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル) +15"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)
ポイント賞
ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
山岳賞
マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)
チーム総合成績
クイックステップ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.
ドーフィネのメイン会場はフランス南東部の山岳地帯。必然的に山岳ステージの比率が高くなり、平坦ステージは少なくなる。
この日の第1ステージはスプリンターにもチャンスがある貴重な平坦コースで行なわれた。とは言え、ゴール6km手前の3級山岳が勝負の鍵を握る重要なポイント。スプリンターのチャンスを奪おうと、序盤から5名のアタッカーが飛び出した。
逃げを試みたのはドミニク・ロラン(カナダ、サーヴェロ・テストチーム)、ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)、マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)、セバスティアン・ミナール(フランス、コフィディス)、シリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム)。
リーダージャージ擁するアスタナは逃げグループの追走に興味を示さず、タイム差が9分に達するまで逃げを放置。逃げグループではラダニュが山岳賞を狙って動き、3つのカテゴリー山岳を終えて暫定山岳賞トップに立った。
中盤にようやくスプリンター擁するサクソバンクが集団牽引を開始したが、タイム差を詰めることが出来ないまま後退。総合成績を見据えたガーミン・トランジションズがコントロールを始めると、ようやくタイム差は縮小傾向に転じた。
メイン集団では落車の影響で大きく分断される場面も見られたが、概ね一つにまとまったまま。タイム差は1分/10kmの割合で縮小し、ラスト10kmの時点でタイム差は1分を切った。
ゴール6km手前の最後の3級山岳で、山岳賞逆転狙いのゴティエが逃げグループから飛び出したが、メイン集団の勢いを振り切ることが出来ない。メイン集団からはケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)とオスカル・プヨル(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)が飛び出し、それまで逃げていた選手を全員抜き去って頂上を通過した。
下り区間で後方から追い上げ、シールドライヤースとプヨルを抜いて先頭に立ったのは、総合3位のヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)。単独でゴールに向かってハイスピードダウンヒルをこなしたブライコヴィッチには、エロス・カペッキ(イタリア、フットオン・セルヴェット)が追いついて先頭は2名に。
ラスト1kmのアーチを先頭で駆け抜けたブライコヴィッチとカペッキ。しかし上手く協調体制を築けないまま吸収されてしまう。最後は60名ほどの集団によるスプリント勝負に持ち込まれた。
有力スプリンターを欠く中でのスプリント勝負。完全に主導権を握るようなチームはおらず、早めに仕掛けたジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)を落ち着いて抜き去り、ピーター・ベリトス(スロバキア、チームHTC・コロンビア)との接戦を制したボーレが優勝。軽く片手でガッツポーズを見せた。
1985年スロベニア生まれのボーレは現在24歳。2005年からプロとして走り、昨年はアミーカ・チップスに移籍したが、半年でチームが解体してしまう。古巣のアドリア・モビルを経て、今年プロツアーチームのランプレに移籍した。
昨年のツアー・オブ・ハイナン総合2位やジロ・デル・フリウリ2位などの成績を残している選手だが、まだ間違いなくこれがキャリア最大の勝利。「初めてビッグレースで勝利を収めたんだ。本当に嬉しい。これまで2位が多かった。今年のパリ〜ニースでもステージ2位に入ったけど、その翌日に落車して肋骨を骨折してしまった。それから2ヶ月はレースから離れていた」。レース後のインタビューでボーレはそう語る。
「今日は最後の下りでコフィディスの選手(ドゥムラン)が落車した影響で少し遅れたけど、何とかゴールの数キロ手前で集団に合流。チームスカイの選手が2人でスプリントを仕掛けたので、ラスト200mから対抗して何とか勝利に手が届いた。もうツール・ド・フランスに向けて準備は整っているよ」。ボーレは7月のツール初出場に向けて好調をアピールした。
総合上位陣は先頭集団内でゴールしたため、総合順位に変動は無し。アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が危なげなくマイヨジョーヌを守っている。翌日も平坦ステージのため、コンタドールはマイヨジョーヌを着続けることになりそうだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2010第1ステージ結果
1位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ) 4h47'24"
2位 ピーター・ベリトス(スロバキア、チームHTC・コロンビア)
3位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
4位 ストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)
5位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
6位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームミルラム)
7位 ステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)
8位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルヴェット)
10位 ジュリアン・エルファレ(フランス、コフィディス)
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 4h55'58"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア +02"
3位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +05"
4位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +10"
5位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ) +12"
6位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)
7位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +14"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル) +15"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)
ポイント賞
ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
山岳賞
マチュー・ラダニュ(フランス、フランセーズデジュー)
チーム総合成績
クイックステップ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.
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