今年スタートした新リーグ、JCLプロロードレースツアーの第2戦宇都宮清原クリテリウムが栃木県宇都宮市の清原工業団地で開催され、有力チーム勢のスプリンターによるゴール勝負を制した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が同大会4連覇を達成。宇都宮ブリッツェンは開幕2連勝と好スタートを切った。



雨を避けるように清原球場のスタンド下に各チームがピットを設営雨を避けるように清原球場のスタンド下に各チームがピットを設営 photo:Nobumichi Komori
JBCFからJCLへと舞台を移した宇都宮清原クリテリウム

前日に開幕したJCLプロロードレースツアー。第2戦となる宇都宮清原クリテリウムは、2014年からJBCF(一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟)が主催するJプロツアーの一戦として7年間開催されてきた馴染みのあるレース。今年はホームチームである宇都宮ブリッツェンが新リーグへの参加を表明したことに伴い、同レースもJCLへと舞台を移すことになった。

スプリンターを数多く抱えるスパークルおおいたレーシングはチーム初勝利を狙うスプリンターを数多く抱えるスパークルおおいたレーシングはチーム初勝利を狙う photo:Nobumichi Komori
スタート前には可愛らしいチアリーダーたちが選手にエールを送るスタート前には可愛らしいチアリーダーたちが選手にエールを送る photo:Nobumichi Komori
コースは栃木県宇都宮市の清原工業団地内に設定された1周2.2kmの周回コースで、昨年に変更が加えられたT字型のレイアウトを逆回りする。穏やかな春の陽気に包まれた前日とは打って変わり、雨風ともに激しくなる予報が出ていたこともあり、危険と判断した際は減周しての開催もアナウンスされる中でスタートを迎えることになった。

雨風ともに強まる中、レースがスタートする雨風ともに強まる中、レースがスタートする photo:Nobumichi Komori
激しいアタック合戦が続くも、決定的な逃げは形成されず

レースはスタート直後から、スプリンターを抱えておらず厳しい展開へと持ち込みたいチーム勢が積極的にアタックを仕掛け、集団スプリントに持ち込みたいスプリンターチームがチェックに入る展開に。前者はキナンサイクリングチームやチーム右京 相模原、後者は宇都宮ブリッツェンやスパークルおおいたレーシングチームが中心となってレースが進み、雨風ともに強い天候も影響してか決定的な逃げが決まらないまま周回を重ねていく状況が続く。

序盤からキナンサイクリングチームが果敢に攻撃を仕掛け続ける序盤からキナンサイクリングチームが果敢に攻撃を仕掛け続ける photo:Nobumichi Komori
スタート2周めに落車が発生、優勝候補の黒枝士揮(スパークルおおいたレーシング)らが巻き込まれるスタート2周めに落車が発生、優勝候補の黒枝士揮(スパークルおおいたレーシング)らが巻き込まれる photo:Makoto.AYANO
中盤には鈴木龍(レバンテ富士静岡)のアタックに山本元喜と山本大喜(ともにキナンサイクリングチーム)が反応して飛び出すも、小坂光(宇都宮ブリッツェン)と宇賀隆貴(チーム右京 相模原)がすかさずチェックに入り集団に引き戻す。

ウェットコンディションの180度コーナーをセーフティにクリアしていくウェットコンディションの180度コーナーをセーフティにクリアしていく photo:Nobumichi Komori
鈴木龍(レバンテ富士静岡)のアタックに山本元喜と山本大喜(ともにキナンサイクリングチーム)が反応して集団から先行する鈴木龍(レバンテ富士静岡)のアタックに山本元喜と山本大喜(ともにキナンサイクリングチーム)が反応して集団から先行する photo:Nobumichi Komoriツアーリーダーの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が先頭をけん引して集団のペースを上げるツアーリーダーの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が先頭をけん引して集団のペースを上げる photo:Nobumichi Komori


その後もキナンサイクリングチームやチーム右京 相模原が積極的に攻撃を仕掛け、本多晴飛や東優仁(ともにVC福岡)が単独で飛び出す場面もあったが、集団優位の状況を崩すには至らず。ひとつの集団のまま、レースは終盤戦を迎えることになった。

レース中盤を過ぎても決定的な逃げが決まらず、アタック合戦が続くレース中盤を過ぎても決定的な逃げが決まらず、アタック合戦が続く photo:Nobumichi Komori東優仁(VC福岡)が単独で飛び出すも、集団からは逃れられず東優仁(VC福岡)が単独で飛び出すも、集団からは逃れられず photo:Nobumichi Komori


終盤に入り雨は弱まったが、路面はウェットなまま終盤に入り雨は弱まったが、路面はウェットなまま photo:Nobumichi Komori
集団スプリントが濃厚になる中、各チームともまとまり始める集団スプリントが濃厚になる中、各チームともまとまり始める photo:Nobumichi Komori
終盤戦に入ると、ゴールスプリントを狙うチーム勢が集団前方の位置取り争いを繰り広げながら最終局面へ。集団でのゴールスプリントが濃厚な状況で最終周を迎えようかという状況になったが、残り2周の最終コーナーで落車が発生。この落車で沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)と鈴木龍(レバンテ富士静岡)といった有力選手が遅れ、レースは最終周に入った。

強力アシスト陣に発射され、小野寺が先頭フィニッシュ 宇都宮クリテ4連覇達成

トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)を先頭にレースは最終周へトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)を先頭にレースは最終周へ photo:Nobumichi Komori
最終周に入るとトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)が集団先頭を強烈にけん引するが、その後方から増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が小野寺を引き連れて先頭へ。増田の後を受けた西村大輝(宇都宮ブリッツェン)が先頭で最終コーナーをクリアして小野寺を発射。先頭でスプリントを開始した小野寺は、単騎ながら粘りの走りでスプリントに挑んだ孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)と畑中勇介(キナンサイクリングチーム)を退けてそのままフィニッシュ。Jプロツアーでの開催から続く連勝記録を4に伸ばした。

先頭でスプリントを開始した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)に孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)が食い下がる先頭でスプリントを開始した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)に孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)が食い下がる photo:Nobumichi Komori
得意ではないと語る低速からのスプリントを制し、新作のオノデライダーポーズを披露した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)得意ではないと語る低速からのスプリントを制し、新作のオノデライダーポーズを披露した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) photo:Nobumichi Komori
宇都宮クリテ4連覇を達成した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)宇都宮クリテ4連覇を達成した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) photo:Nobumichi Komori
小野寺玲のコメント
「今日のレースはチームからも自分で勝利を狙って欲しいということで集団スプリントをAプラン、荒天で展開が荒れた場合は逃げ切りを狙うBプランを用意してレースに臨みました。チームメートがよく動いていてくれたので、中盤以降は脚を使わずにいい位置でレースを展開することを意識していました。最終周は増田選手に引き上げてもらって前方でポジションをキープしてくれていた西村選手と合流するというプラン通りの形に持ち込めました。レイアウト的に低速からのスプリントで自分としては得意な形ではなかったのですが、自分の脚を信じてもがきました。新しいリーグが始まっていろいろと大変な中で、地元選手が明るいニュースを作れて、まずは安心しています」

左から2位の孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)、優勝した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、3位の畑中勇介(キナンサイクリングチーム)左から2位の孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)、優勝した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、3位の畑中勇介(キナンサイクリングチーム) photo:Nobumichi Komori
ツアーリーダーのマイヨプリエと23歳未満で争われるマイヨエスポワールは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)と本多晴飛(VC福岡)がそれぞれキープ。スプリント賞ジャージのマイヨラファールは優勝した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)に移ったツアーリーダーのマイヨプリエと23歳未満で争われるマイヨエスポワールは増田成幸(宇都宮ブリッツェン)と本多晴飛(VC福岡)がそれぞれキープ。スプリント賞ジャージのマイヨラファールは優勝した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)に移った photo:Nobumichi Komori
ベストホープフルライダー賞は6位に入った宇賀隆貴(チーム右京 相模原)の手にベストホープフルライダー賞は6位に入った宇賀隆貴(チーム右京 相模原)の手に photo:Nobumichi Komori
単独での飛び出しなど積極的な走りを見せた本多晴飛(VC福岡)がベストアグレッシブライダー賞を獲得単独での飛び出しなど積極的な走りを見せた本多晴飛(VC福岡)がベストアグレッシブライダー賞を獲得 photo:Nobumichi Komoriベストアシストライダー賞を獲得したトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)ベストアシストライダー賞を獲得したトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) photo:Nobumichi Komori



JCLジャパンサイクルリーグ カンセキ宇都宮清原クリテリウム 50.6km 結果
1位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) 1時間9分54秒
2位 孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)
3位 畑中勇介(キナンサイクリングチーム)
4位 新城雄大(キナンサイクリングチーム) +1秒
5位 小山智也(チーム右京 相模原)
6位 宇賀隆貴(チーム右京 相模原) +2秒
text&photo:Nobumichi Komori

最新ニュース(全ジャンル)