カタルーニャ5日目に大逃げ決まる　ケムナが2度目の逃げを実らせる

逃げ向き山岳コースで50名近くがエスケープ。独走したレミ・カヴァニャ（フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ）は沈み、2日連続逃げたレナード・ケムナ（ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ）が残り10kmを独走で勝利した。

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バルセロナ近郊のマンレサを目指すボルタ・ア・カタルーニャ第5ステージ (c)CorVos
ボルタ・ア・カタルーニャ2021第5ステージコースプロフィール (c)A.S.O.
総合成績に大きく影響する3日間（個人タイムトライアルx1、超級山岳フィニッシュx2）を終え、ラ・ポブラ・デ・セグールからバルセロナ近郊のマンレサを目指すボルタ・ア・カタルーニャ第5ステージで初日に続いて「逃げ屋」が活躍した。

序盤に標高1000mオーバーの3級山岳を越え、アップダウンをこなしながら終盤に1級山岳プエルト・デ・モンセラートをクリアする。PCR検査で2人陽性反応が出たエキポ・ケルンファルマがチームとして撤退したこの日は、序盤のアタック合戦から次々と選手が飛び出していくこととなる。

メイン集団から飛び出すステフェン・クライスヴァイク（オランダ、ユンボ・ヴィズマ） (c)CorVos
100kmを消化した時点でレミ・カヴァニャ（フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ）やテイメン・アレンスマン（オランダ、チームDSM）、マテイ・モホリッチ（スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス）、そしてイーデ・スヘリンフ（オランダ、ボーラ・ハンスグローエ）という4名が先頭を逃げ、続いて集団を抜け出した4名、1名、37名の追走グループが、そしてメイン集団が追いかける。大きな山岳をこなしながらも先頭4名がハイペースをキープしたため、平均スピードは1級山岳手前で47km/hオーバーに達している。

1級モンセラートで逃げるレミ・カヴァニャ（フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ） (c)A.S.O.
逃げのローテーションが、回らない (c)CorVos
岩山を背にハイスピードで山岳コースを駆け抜ける (c)A.S.O.
50km以上を残したタイミングで、この日ファーストアタックを仕掛けたカヴァニャが独走に持ち込む。「逃げ向きのコースだったので何度も何度も逃げに乗るべくアタック。次々と選手が合流する中でタイミングを待ち仕掛けた」と言うカヴァニャが1級山岳プエルト・デ・モンセラート（距離7.5km/平均勾配6.5%）手前で発進。ここまでパリ〜ニースと今大会の個人タイムトライアルで共に2位に甘んじた「クレルモン=フェランのTGV」だったが、1級モンセラートでクライマーが揃った追走グループが距離を詰めていった。

アグレッシブな走りで登ったカヴァニャがモンセラート山頂で捕まったことで、再び逃げグループ内の争いが激化した。2日連続逃げのレナード・ケムナ（ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ）が加速し、ステフェン・クライスヴァイク（オランダ、ユンボ・ヴィズマ）とカルロス・ベローナ（スペイン、モビスター）が合流。ダウンヒルに入るとベローナが独走に持ち込んだものの、リゴベルト・ウラン（コロンビア、EFエデュケーションNIPPO）たち追走グループに引き戻されている。

メイン集団をコントロールするイネオス・グレナディアーズ (c)CorVos
モンセラートで13名にまでシャッフルされると、ペースが緩んだ隙を突いてケムナが飛び出した。「序盤はあまりフィーリングが良くなかったけれど、モンセラートでは調子が戻ってきた」と言う24歳が独走する。牽制によって協調体制を崩したウランたちを尻目に2016年のU23欧州個人TT選手権を制したケムナの独走力が光った。

4月1日から禁止になる「スーパータック」+フルームペダリングでリードを稼いだケムナが、追走グループを40秒近く引き離して勝利。昨年ツール・ド・フランス第16ステージでグランツール初勝利を掴んだ24歳が、2日連続逃げの末にチャンスを引き寄せた。

2日連続の逃げを成功させたレナード・ケムナ（ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ） (c)CorVos
「この勝利が本当に嬉しいよ。昨日もトライしたけれど独走に持ち込むのが早すぎた。最後は牽制状態になって全員がイラついていると言う理想的な状態だった。今季初レースとなったカタルーニャで好調を発揮し、そして勝利。最高の気分だ。まだあと2ステージ残っているのでトライし続けていきたい」と、ケムナは優勝直後のインタビューで答えている。

ケムナから遅れた選手たちが次々とフィニッシュし、メイン集団はヤングライダー賞のジョアン・アルメイダ（ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ）を先頭に1分59秒差でフィニッシュ。総合成績は動かず、イネオス・グレナディアーズが鉄壁の総合ワンツースリーを維持している。