2021/03/08(月) - 10:34
「第15回明治神宮外苑大学クリテリウム」が、3月7日に東京都内の明治神宮外苑で開催された。予選と決勝が行われた男子のレースは序盤に抜け出した4名が逃げ切り、慶應義塾大学の川野碧己が優勝した。女子は終盤に残った7名でのスプリント勝負を、日本体育大学の岩元杏奈が制して優勝した。
東京都心のクリテリウムとして今年15回目の開催となる「明治神宮外苑大学クリテリウム」。例年であれば日本学生自転車競技連盟(学連)が主催するシリーズ戦「ロードレース・カップ・シリーズ(RCS)」の最終戦として開催されるが、2020年はコロナ禍によりRCSのほとんどのレースが開催出来なかったことから、今年は「全日本学生選手権クリテリウム大会」としての開催となった。
開催地の東京都内を対象とした緊急事態宣言の延長が発表されたばかりだが、人数制限などの条件に沿えばイベントの開催そのものは禁止されていないことや、感染リスクの低い屋外イベントであることから、学連は開催に踏み切った。とは言え、感染拡大防止策を講じての開催となったため、例年とは異なる大会運営がなされた。
男子大学生は実力別に分けられるRCSの3段階のカテゴリーのうち上位2クラスの選手のみ出場可とし、予選と決勝レースを行うこととした。また、併催されるマスターズのレースは開催せず、大会全体の総参加者数をおよそ半分に絞り、会場での密集を避けると共に落車などの事故低減対策とした。
加えて、この大会の名物でもある各大学応援団の応援は中止。通行人の多い明治神宮外苑という場所柄、無観客大会とはしなかったものの、Youtubeのライブ中継での観戦が呼びかけられた。ホームストレートではスタートやフィニッシュの際は人が集まる場面もあったが、それでも絵画館前ではスケボーをする人がいるほど閑散としていた。
前日は暑さを感じるほどになった東京周辺だったが、当日は2月上旬の寒さに逆戻り。朝から雲がひろがり、大会終了まで太陽が見えることはなかった。
慶應大 川野碧己が逃げ切り集団のスプリント勝負を制する
3組に分けて行われたポイントレース方式の予選を勝ち上がった48名による決勝レースは、1周1.5kmのコースを20周する30kmで行われた。
スタート直後からのアタックにより集団が長く引き伸ばされる中、2周目の最終コーナーで落車が発生。これをきっかけに4名が先行し、後続に30秒前後の差をつけて逃げ始める。メンバーは、宇佐美颯基(明治大学)、仮屋和駿(日本大学)、山本哲央(中央大学)、川野碧己(慶應義塾大学)。
メイン集団からは風間竜太(法政大学)と古谷田貴斗(鹿屋体育大学)の飛び出しをきっかけに、渡邉翔悟、松原颯祐(日本体育大学)、片桐東次郎(日本大学)、らが合流して5名の追走集団が形成される。しかし先行する4名との差は縮まらず、レース終盤にはペースアップしたメイン集団に吸収される。この時点で差は1分まで開き、勝負は先頭の4名に絞られた。
最終周回に入ると、それまで1列で進んでいた先頭集団が乱れ始め、フィニッシュに向けた駆け引きが始まる。鋭角の最終コーナーをクリアすると、山本を先頭にスプリント勝負開始。残り100m、山本の右に仮屋が、反対サイドに川野が開き、横並びでフィニッシュラインへ。最後は川野がまくり切って両腕を大きく広げるガッツポーズを決めた。
「予選で最終コーナーからもがいたら、意外と長くて向かい風がきつくてタレてしまったので、決勝では様子を見て最後に向けて加速するようにタイミングを計りました」と話す川野は4月から2年生。
「逃げが出来そうな時に目の前で落車が起きて、自分がマークしていた3人が先行したのでギャップが開きそうだと感じ、足を使って追いました。後続との差は折り返しで確認して、追走が来ていたけれど余裕を持って踏めていたので追いつかれないだろうと思っていました。僕以外は独走に強いメンバーが揃っていたので、残り3kmあたりからのアタックに注意しつつ、僕の得意なスプリントに持ち込めば勝てると考えていました。理想的な展開になりましたね。
最終コーナーは3番手でクリアして、残り100mくらいからまくりにかかったのですが、向かい風が強くて前の2人が失速していく感じになってうまく捉えられました。
今年は大学と並行して弱虫ペダルサイクリングチームに所属してJプロツアーも走ります。大学の大会ではロードレースで優勝、Jプロツアーでは表彰台、U23のナショナルチームに入ることが目標です」
女子 岩元杏奈が優勝して日体大3連覇
女子は10周15kmmのレースに12名が出走。4名を揃える法政大学勢がスタート直後から次々と飛び出すものの、決定的な動きにはならない。アタックと追走で徐々に人数が絞られ、最終周回に残った7名でのスプリント勝負へ。最終コーナーの立ち上がりから一気に後続を引き離した岩元杏奈(日本体育大学)が優勝。フィニッシュライン手前で勝利を確信する余裕を見せた。日本体育大学としては、2019年、2020年と連覇した中村愛花に続く3連覇を達成した。
岩元杏奈コメント
「逃げを行かせないことと、最後のスプリントを狙っていました。序盤から飛び出しはあったけれど、見える範囲で逃がしておけば最後は捕まえられると思っていたので、焦らずレースを進めました。日体大として連覇は意識はしていませんでしたが、繋げられたことは嬉しいです。今年は大会が次々と開催されると思うので、一戦一戦大事に走って勝利数を増やしていきたいです」
東京都心のクリテリウムとして今年15回目の開催となる「明治神宮外苑大学クリテリウム」。例年であれば日本学生自転車競技連盟(学連)が主催するシリーズ戦「ロードレース・カップ・シリーズ(RCS)」の最終戦として開催されるが、2020年はコロナ禍によりRCSのほとんどのレースが開催出来なかったことから、今年は「全日本学生選手権クリテリウム大会」としての開催となった。
開催地の東京都内を対象とした緊急事態宣言の延長が発表されたばかりだが、人数制限などの条件に沿えばイベントの開催そのものは禁止されていないことや、感染リスクの低い屋外イベントであることから、学連は開催に踏み切った。とは言え、感染拡大防止策を講じての開催となったため、例年とは異なる大会運営がなされた。
男子大学生は実力別に分けられるRCSの3段階のカテゴリーのうち上位2クラスの選手のみ出場可とし、予選と決勝レースを行うこととした。また、併催されるマスターズのレースは開催せず、大会全体の総参加者数をおよそ半分に絞り、会場での密集を避けると共に落車などの事故低減対策とした。
加えて、この大会の名物でもある各大学応援団の応援は中止。通行人の多い明治神宮外苑という場所柄、無観客大会とはしなかったものの、Youtubeのライブ中継での観戦が呼びかけられた。ホームストレートではスタートやフィニッシュの際は人が集まる場面もあったが、それでも絵画館前ではスケボーをする人がいるほど閑散としていた。
前日は暑さを感じるほどになった東京周辺だったが、当日は2月上旬の寒さに逆戻り。朝から雲がひろがり、大会終了まで太陽が見えることはなかった。
慶應大 川野碧己が逃げ切り集団のスプリント勝負を制する
3組に分けて行われたポイントレース方式の予選を勝ち上がった48名による決勝レースは、1周1.5kmのコースを20周する30kmで行われた。
スタート直後からのアタックにより集団が長く引き伸ばされる中、2周目の最終コーナーで落車が発生。これをきっかけに4名が先行し、後続に30秒前後の差をつけて逃げ始める。メンバーは、宇佐美颯基(明治大学)、仮屋和駿(日本大学)、山本哲央(中央大学)、川野碧己(慶應義塾大学)。
メイン集団からは風間竜太(法政大学)と古谷田貴斗(鹿屋体育大学)の飛び出しをきっかけに、渡邉翔悟、松原颯祐(日本体育大学)、片桐東次郎(日本大学)、らが合流して5名の追走集団が形成される。しかし先行する4名との差は縮まらず、レース終盤にはペースアップしたメイン集団に吸収される。この時点で差は1分まで開き、勝負は先頭の4名に絞られた。
最終周回に入ると、それまで1列で進んでいた先頭集団が乱れ始め、フィニッシュに向けた駆け引きが始まる。鋭角の最終コーナーをクリアすると、山本を先頭にスプリント勝負開始。残り100m、山本の右に仮屋が、反対サイドに川野が開き、横並びでフィニッシュラインへ。最後は川野がまくり切って両腕を大きく広げるガッツポーズを決めた。
「予選で最終コーナーからもがいたら、意外と長くて向かい風がきつくてタレてしまったので、決勝では様子を見て最後に向けて加速するようにタイミングを計りました」と話す川野は4月から2年生。
「逃げが出来そうな時に目の前で落車が起きて、自分がマークしていた3人が先行したのでギャップが開きそうだと感じ、足を使って追いました。後続との差は折り返しで確認して、追走が来ていたけれど余裕を持って踏めていたので追いつかれないだろうと思っていました。僕以外は独走に強いメンバーが揃っていたので、残り3kmあたりからのアタックに注意しつつ、僕の得意なスプリントに持ち込めば勝てると考えていました。理想的な展開になりましたね。
最終コーナーは3番手でクリアして、残り100mくらいからまくりにかかったのですが、向かい風が強くて前の2人が失速していく感じになってうまく捉えられました。
今年は大学と並行して弱虫ペダルサイクリングチームに所属してJプロツアーも走ります。大学の大会ではロードレースで優勝、Jプロツアーでは表彰台、U23のナショナルチームに入ることが目標です」
女子 岩元杏奈が優勝して日体大3連覇
女子は10周15kmmのレースに12名が出走。4名を揃える法政大学勢がスタート直後から次々と飛び出すものの、決定的な動きにはならない。アタックと追走で徐々に人数が絞られ、最終周回に残った7名でのスプリント勝負へ。最終コーナーの立ち上がりから一気に後続を引き離した岩元杏奈(日本体育大学)が優勝。フィニッシュライン手前で勝利を確信する余裕を見せた。日本体育大学としては、2019年、2020年と連覇した中村愛花に続く3連覇を達成した。
岩元杏奈コメント
「逃げを行かせないことと、最後のスプリントを狙っていました。序盤から飛び出しはあったけれど、見える範囲で逃がしておけば最後は捕まえられると思っていたので、焦らずレースを進めました。日体大として連覇は意識はしていませんでしたが、繋げられたことは嬉しいです。今年は大会が次々と開催されると思うので、一戦一戦大事に走って勝利数を増やしていきたいです」
男子決勝 結果
1位 | 川野碧己(慶應義塾大学) | 45分44秒 |
2位 | 山本哲央(中央大学) | +0秒 |
3位 | 仮屋和駿(日本大学) | |
4位 | 宇佐美颯基(明治大学) | |
5位 | 西原裕太郎(鹿屋体育大学) | +44秒 |
6位 | 中村龍吉(中央大学) |
中間スプリント賞
5周回終了時 宇佐美颯基(明治大学)
10周回終了時 川野碧己(慶應義塾大学)
15周回終了時 仮屋和駿(日本大学)
5周回終了時 宇佐美颯基(明治大学)
10周回終了時 川野碧己(慶應義塾大学)
15周回終了時 仮屋和駿(日本大学)
女子決勝 結果(15km)
1位 | 岩元杏奈(日本体育大学) | 27分40秒 |
2位 | 成海綾香(鹿屋体育大学) | +0秒 |
3位 | 石上夢乃(鹿屋体育大学) | |
4位 | 太郎田水桜(法政大学) | |
5位 | 阿部花梨(順天堂大学) | |
6位 | 山本侑果(東京都立大学) | +3秒 |
中間スプリント賞
3周回終了時 中川由里(日本大学)
6周回終了時 中川由里(日本大学)
text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, Kensaku SAKAI
3周回終了時 中川由里(日本大学)
6周回終了時 中川由里(日本大学)
text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, Kensaku SAKAI
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