土曜日のオンループ・ヘットニュースブラッドと、日曜日のクールネ~ブリュッセル~クールネを境にベルギーは石畳クラシックシーズンに突入。ビッグネームが多数出場するセミクラシック2連戦をプレビューする。



2月27日(土):オンループ・ヘットニュースブラッド(UCIワールドツアー)

ミュール・ファン・ヘラールツベルヘンを走るパークホテル・ファルケンブルクミュール・ファン・ヘラールツベルヘンを走るパークホテル・ファルケンブルク (c)CorVos
土曜日に開催されるフランドルクラシックの開幕戦がオンループ・ヘットニュースブラッド(UCIワールドツアー)だ。ベルギーのヘットニュースブラッド紙が1913年に創設したロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)に対抗して、ヘットフォルク紙が1945年に創設したセミクラシックレースであり、2009年にヘットフォルク紙がヘットニュースブラッド紙と合併したことから現在の名称に改められた。2017年にHC(超級)からUCIワールドツアーに格上げされている。

レースは2018年からロンド・ファン・フラーンデレンのフィニッシュを踏襲する伝統的なレイアウトが採用してきたが、今年主催者(フランダースクラシック)は世界的情勢を鑑みてコース詳細発表を控えている。ただし現地報道によれば昨年大会とほぼ共通で、ヘントからニノーヴェを結ぶ200kmコースには13の登りと9の石畳"セクター"(昨年共通)が用意されている。

昨年大会では悪天候によるエシュロンも出現。様々な障壁が選手を待ち構える昨年大会では悪天候によるエシュロンも出現。様々な障壁が選手を待ち構える photo:CorVos
"ベルグ"にカテゴライズされる急勾配は後半区間に詰め込まれており、昨年は70km以上を残したレケルベルグで生まれた勝ち逃げがミュール・ファン・ヘラールツベルヘン(ミュール・カペルミュール)で分裂し、一騎打ちのゴールスプリントでジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が勝利を飾った。2019年(スティバル)と2018年(ヴァルグレン)は独走で、2017年(ファンアーヴェルマート)は少人数スプリントで決しており、今年の勝負の行方に注目が集まっている。

昨年も、そして今シクロクロスシーズンも一騎打ちを繰り広げたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)はオンループ不出場。そのためディフェンディングチャンピオンとして臨むストゥイヴェン以下、多くの選手に勝利へのチャンスが開かれていると言って良い。

試走を行うジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)試走を行うジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
滑らかな側溝を走るフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)。06・08年オンループ勝者だ滑らかな側溝を走るフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)。06・08年オンループ勝者だ (c)CorVos昨年のオンループを制したジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)昨年のオンループを制したジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) (c)CorVos


最注目は、昨年のロンド・ファン・フラーンデレンでその二人と戦うも、審判モトに追突しシーズン終了となった世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)だろう。"ウルフパック"は現コースに切り替わった2019年大会覇者スティバルを筆頭に、アスグリーン、ランパールト、セネシャルとクラシックスペシャリストを揃えてきた。同じくベルギーを代表するロット・スーダルは、2006年と2008年勝者フィリップ・ジルベール(ベルギー)とティム・ウェレンス(ベルギー)を中心とした構えだ。

ファンアーヴェルマートとオリヴェル・ナーセン(ベルギー)擁するAG2Rシトロエンや、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)とマッテオ・トレンティン(イタリア)擁するUAEチームエミレーツも強力。ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)やシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)、セップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)など錚々たるクラシックハンターが先先良い1勝を狙っている。

女子レース優勝候補の一人、ロッテ・コペッキー(ベルギー、リブレーシング)女子レース優勝候補の一人、ロッテ・コペッキー(ベルギー、リブレーシング) (c)CorVos
また、女子UCIレースの開幕戦となる女子レース(UCI1.Pro)もまた、ヘントからニノーヴェを目指す。短縮レイアウトを取りながらも男子レースと同じく終盤戦には急勾配が詰め込まれる難コースだ。昨年はアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、当時ミッチェルトン・スコット) が圧巻の105km独走勝利を射止めており、モビスターに移籍した今年も連続勝利を狙っている。

また、與那嶺恵理(チームティブコSVB)もこのオンループでシーズンイン。スペインで乗り込みを重ね、ここ1週間ベルギーの石畳に身体を慣らしていた全日本王者の走りにも是非注目したい。



2月28日(日):クールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.Pro)

2020年クールネを独走で制したカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)2020年クールネを独走で制したカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
オンループが「ザ・クラシックハンター向け」ならば、翌日開催のクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.Pro)は比較的スプリンター向けと言える。こちらも手強い急勾配や石畳が詰め込まれているものの、後半50kmはオールフラット。過去の優勝者リストにはディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)といった名前も並ぶが、直近2年間はボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)とカスパー・アスグリーン(デンマーク)が逃げ切りを決めている。

UAE初日に勝利したマチュー・ファンデルプール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)がクールネに出場UAE初日に勝利したマチュー・ファンデルプール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)がクールネに出場 photo:CorVos
アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)は土日連続出場アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)は土日連続出場 (c)CorVosグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン) (c)CorVos


それゆえスタートリストはオンループと比較してスプリンターやスピードマンの割合が高くなる。スティバルやファンアーヴェルマート、トレンティン、クリストフ、ウェレンスといった連戦組も顔を揃えるが、アルペシン・フェニックスからはスタッフのコロナ陽性発覚によりUAEから撤退、帰国したファンデルプールを出場させる。UAE初日に圧倒的なスプリントを披露したオランダチャンピオンはあらゆる手段で勝つ可能性を匂わせているが、それだけに他チームからのマークも厳しいものとなる。スプリンターのティム・メルリール(ベルギー)とのコンビネーションにも注目だ。

集団スプリントになれば昨年最多勝を掴んだアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)や前世界王者マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)、クリストフ、アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)といった面々にチャンスが回ってくる。

また、フランスで同日開催されるフォーン=アルデシュ・クラシック(土)とロイヤル・ベルナール・ドローム・クラシック(日)には、EFエデュケーションNIPPOの別府史之と中根英登の日本人コンビが連続出場する。二人の走りにも注目したい。

text:So Isobe

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