2021/01/01(金) - 15:11
モデルチェンジを果たしたミシュランのロードレーシングタイヤ、"POWER"シリーズ。刷新されたPOWERシリーズの中核となるオールラウンドタイヤの"POWER ROAD"をインプレッション。
世界初のクリンチャータイヤを世に送り出したフランスの総合タイヤメーカー、ミシュラン。そのロードバイク用タイヤラインアップの中で、レースユースを主目的に据えたハイエンドモデルが"POWER"シリーズだ。
MotoGPで使用されている同社のオートバイ用レーシングタイヤの名を冠したPOWERシリーズだが、デビュー以来4年目となる今シーズン、ついにフルモデルチェンジを決行。モデルチェンジに伴い、チューブラーモデルの"COMPETITION"、軽量モデルの"TIME TRIAL"、オールラウンドモデルの"ROAD"、ウェットモデルの"ALL SEASON"という4モデルが用意されることになった。
ラインアップの中核を担うのが、完全新作となる"POWER ROAD"。前作のレーシングモデル"COMPETITION"が有していた軽快な走行感と、ロングライフモデル"ENDURANCE"の長所であった優れた耐久性を高い次元で兼ね備え、レースからロングライドまであらゆる使用シーンで活躍するオールラウンドタイヤだ。
POWER ROADにはミシュランのロード用タイヤとして初となるチューブレスレディモデルが用意されるが、今回はインプレッションするクリンチャーモデルに関して簡単に解説していこう。
タイヤの性格に大きな影響を与えるコンパウンドには、新開発のX-Race Compoundを採用。走行抵抗の低減とグリップ力の強化、耐久性の向上を同時に実現したニューマテリアルが全方向にバランスの取れた性能を実現するという。
クリンチャーモデルのセンタートレッド下層にはAramid Protek plusと呼ばれるアンチパンクベルトが配置され、対パンク性能が飛躍的に向上。ケーシングは120TPIのケーシングを3層に重ねることで、しなやかさと耐久性を高度にバランスさせる設計だ。また、形状を再設計した新型アラミドビードによって、リムへの装着も容易となり、メンテナンス性も高められている。
前作ではブラックのみの展開とされていたが、新モデルではカラータイヤが復活。レーシーな印象のレッドと、ミシュランタイヤのアイコンでもあったデジタルブルーの2色が用意される。タイヤの性能を損なうことのないサイドウォールのみのカラーリングとなっている。サイズ展開は23C、25C、28Cの3種類。価格は5,200円(税別)。
-編集部インプレッション
ここ最近、チューブレスレディの隆盛や多くの新ブランドの参入などもあり、ロードバイクタイヤの中でもミシュランの存在感が薄れてきていたような気がしていた。実際、自分も前作のPOWER COMPETITIONを最後にミシュランタイヤは使用しておらず、他のブランドを愛用していた。POWER COMPETITIONは比類なき転がりの軽さとしなやかな乗り心地を持っていたが、一方でウェットグリップと耐久性が弱点だった。後者については運も大いにあるが、短期間に何回もパンクに見舞われたこともあり、他のタイヤへと交換したのだった。
このように、前作へ好印象を持っていたとは言い難いのだが、裏を返せば今回のフルモデルチェンジには大いに期待を抱いていた。ちょうどタイヤの交換時期だったこともあり、4年ぶりのミシュランロードタイヤを試してみることに。あと、身も蓋も無いことを言えば、価格が手ごろだったことも決め手である。そう、今回のインプレッションは自腹なのだ(笑)
久しぶりのカラータイヤ復活とのことで、赤、青、黒と3色用意されているが、ここはオーソドックスにブラックで。オールブラックながら、青地に白文字のミシュランロゴとマスコットキャラクターのビバンダムくんが良いデザインアクセントになっている。見つけやすいロゴデザインは、バルブ位置と合わせれば空気を入れるときにも迷いづらい。
取り付けようとすると、保護のためのワックスがポロポロ剥がれ落ちていく。かなりしっかりと覆われているようで、装着のためにタイヤをこじるたびワックスカスが落ちるため気になる方は外で作業するか、下に何か敷いたほうが良いかもしれない。タイヤ装着作業自体に影響はなく、むしろ手が滑りづらくなるので、嵌めやすいくらい。今回はカンパニョーロのBORA ONE 35DBと組み合わせたが、改良されたというビード形状もあってか、着脱ともに素手で可能。
装着時に触った感触からは、前作よりも全体的にしっかりした造りになっているように感じる。特にサイドウォールは少し厚くなっているようで、悩まされたパンクにも強くなっていそうだ。新しくなったコンパウンドもモチモチした触り心地で、グリップにも期待できそう。そんなニュータイヤを早速投入したのは長野の南部をグルリと周る400㎞のライド。峠あり、舗装の荒れた林道もあり、雨上がりのウェット路面もありと、タイヤを試すにはもってこい。
そんな環境でがっつりと乗り込んだ結果、POWER ROADに対して抱いた印象を一言で表すなら「高バランスなハイエンドタイヤ」。羽のような軽い走りだとか、絨毯の上を行くような快適性だとか、路面に張り付くようなグリップだとか、何か一つの尖ったものがあるわけではない。そういった各要素にフォーカスすれば、POWER ROADの上を行くタイヤはある。
例えば、前作のPOWER COMPETITONは転がりの軽さが際立っていたが、POWER ROADは前作ほどの驚きはない。だが、それに不満を感じることも無い。他のモデルを履いている人に対して不利になることはないだろう、という確信が持てるようなタイヤである。
それはグリップや乗り心地という面でも同じだ。前作ではウェットコンディションに不安があったが、POWER ROADでは一段安心して倒していける。新設計のトレッドパターンと新たなコンパウンドのおかげだろう。TPIが180→120と減少しているため、乗り心地は硬めになったかと思いきや、コンパウンドの柔らかさが効いているのか快適性も遜色ないし、荒れた路面でも跳ねづらい。6気圧をベースに調整してみたが、空気圧の変化に対しても反応は穏やかで、好みの設定を見つけやすそうだ。
大幅に向上しているのが対パンク性能。お恥ずかしながら、荒れた峠の下りで大きめの石を踏んでしまいリム打ちパンクを喫してしまった。これは完全に自分の不注意なのだが、似たようなシチュエーションで、前作はケーシングを貫くような傷が入っていたのに対し、今作は切れ目一つ残っておらず、その後もいわゆる貫通パンクはゼロ。
耐久性についてもかなり改善していそうだ。合計で800kmほど走っているが、センターが平たくなってくる兆候もまだなく、3,000km程は確実に使えそう。
総じて非の打ち所がないオールラウンドモデル、というタイヤで、欠点らしい欠点と言えばその面白みの無さくらい。前作が転がりの軽さに特化していたのに対し、ガラリと路線変更してきたとも言える。
そんな優等生の一番の特徴を挙げよ、という問いかけられれば、私は「価格」と答えるだろう。5,000円ちょっと、という価格は他社であればセカンドグレードの価格帯である。だが、性能は歴としてハイエンドモデルのそれ。各社のハイエンドクリンチャーが軒並み7,000円を超える値札を下げている現状、前後セットで4000円ほどの差は無視できない。特に消耗品ともなればなおさらだ。
タイヤに何を求めるのかは人それぞれだし、わかりやすいシチュエーションもあるだろう。例えばヒルクライム専用ならもっと軽いモデルを選ぶべきだ。ミシュランにも超軽量かつ低転がり抵抗を追求したPOWER TTというモデルもある。求めるのがしなやかな乗り心地ならコットンケーシングのものを選ぶといいだろう。
だが、単一要素の最適解を求めるのではなく、ただ自転車に乗るのが好きな人、1本でなんでもしたい人、とにかく乗り倒したい人には最高の選択となるはずだ。忌憚のない意見を言わせてもらうと、他のミドルグレードタイヤを買うのであれば、前後セットで1,000円足してこのタイヤを試してみてほしい。POWER ROAD、新世代パフォーマンスタイヤのスタンダードとして、ミシュラン復活の狼煙となりそうだ。
ミシュラン POWER ROAD
サイズ/平均重量:700×23C/223g
700×25C/235g
700×28C/255g
ケーシング密度:3×120tpi
指定空気圧:5-8bar
カラー:ブラック、ブルー、レッド
※ブルーとレッドは25Cのみ
価格:5,200円(本体価格)
text:Naoki Yasuoka
photo:Gakuto Fujiwara
世界初のクリンチャータイヤを世に送り出したフランスの総合タイヤメーカー、ミシュラン。そのロードバイク用タイヤラインアップの中で、レースユースを主目的に据えたハイエンドモデルが"POWER"シリーズだ。
MotoGPで使用されている同社のオートバイ用レーシングタイヤの名を冠したPOWERシリーズだが、デビュー以来4年目となる今シーズン、ついにフルモデルチェンジを決行。モデルチェンジに伴い、チューブラーモデルの"COMPETITION"、軽量モデルの"TIME TRIAL"、オールラウンドモデルの"ROAD"、ウェットモデルの"ALL SEASON"という4モデルが用意されることになった。
ラインアップの中核を担うのが、完全新作となる"POWER ROAD"。前作のレーシングモデル"COMPETITION"が有していた軽快な走行感と、ロングライフモデル"ENDURANCE"の長所であった優れた耐久性を高い次元で兼ね備え、レースからロングライドまであらゆる使用シーンで活躍するオールラウンドタイヤだ。
POWER ROADにはミシュランのロード用タイヤとして初となるチューブレスレディモデルが用意されるが、今回はインプレッションするクリンチャーモデルに関して簡単に解説していこう。
タイヤの性格に大きな影響を与えるコンパウンドには、新開発のX-Race Compoundを採用。走行抵抗の低減とグリップ力の強化、耐久性の向上を同時に実現したニューマテリアルが全方向にバランスの取れた性能を実現するという。
クリンチャーモデルのセンタートレッド下層にはAramid Protek plusと呼ばれるアンチパンクベルトが配置され、対パンク性能が飛躍的に向上。ケーシングは120TPIのケーシングを3層に重ねることで、しなやかさと耐久性を高度にバランスさせる設計だ。また、形状を再設計した新型アラミドビードによって、リムへの装着も容易となり、メンテナンス性も高められている。
前作ではブラックのみの展開とされていたが、新モデルではカラータイヤが復活。レーシーな印象のレッドと、ミシュランタイヤのアイコンでもあったデジタルブルーの2色が用意される。タイヤの性能を損なうことのないサイドウォールのみのカラーリングとなっている。サイズ展開は23C、25C、28Cの3種類。価格は5,200円(税別)。
-編集部インプレッション
ここ最近、チューブレスレディの隆盛や多くの新ブランドの参入などもあり、ロードバイクタイヤの中でもミシュランの存在感が薄れてきていたような気がしていた。実際、自分も前作のPOWER COMPETITIONを最後にミシュランタイヤは使用しておらず、他のブランドを愛用していた。POWER COMPETITIONは比類なき転がりの軽さとしなやかな乗り心地を持っていたが、一方でウェットグリップと耐久性が弱点だった。後者については運も大いにあるが、短期間に何回もパンクに見舞われたこともあり、他のタイヤへと交換したのだった。
このように、前作へ好印象を持っていたとは言い難いのだが、裏を返せば今回のフルモデルチェンジには大いに期待を抱いていた。ちょうどタイヤの交換時期だったこともあり、4年ぶりのミシュランロードタイヤを試してみることに。あと、身も蓋も無いことを言えば、価格が手ごろだったことも決め手である。そう、今回のインプレッションは自腹なのだ(笑)
久しぶりのカラータイヤ復活とのことで、赤、青、黒と3色用意されているが、ここはオーソドックスにブラックで。オールブラックながら、青地に白文字のミシュランロゴとマスコットキャラクターのビバンダムくんが良いデザインアクセントになっている。見つけやすいロゴデザインは、バルブ位置と合わせれば空気を入れるときにも迷いづらい。
取り付けようとすると、保護のためのワックスがポロポロ剥がれ落ちていく。かなりしっかりと覆われているようで、装着のためにタイヤをこじるたびワックスカスが落ちるため気になる方は外で作業するか、下に何か敷いたほうが良いかもしれない。タイヤ装着作業自体に影響はなく、むしろ手が滑りづらくなるので、嵌めやすいくらい。今回はカンパニョーロのBORA ONE 35DBと組み合わせたが、改良されたというビード形状もあってか、着脱ともに素手で可能。
装着時に触った感触からは、前作よりも全体的にしっかりした造りになっているように感じる。特にサイドウォールは少し厚くなっているようで、悩まされたパンクにも強くなっていそうだ。新しくなったコンパウンドもモチモチした触り心地で、グリップにも期待できそう。そんなニュータイヤを早速投入したのは長野の南部をグルリと周る400㎞のライド。峠あり、舗装の荒れた林道もあり、雨上がりのウェット路面もありと、タイヤを試すにはもってこい。
そんな環境でがっつりと乗り込んだ結果、POWER ROADに対して抱いた印象を一言で表すなら「高バランスなハイエンドタイヤ」。羽のような軽い走りだとか、絨毯の上を行くような快適性だとか、路面に張り付くようなグリップだとか、何か一つの尖ったものがあるわけではない。そういった各要素にフォーカスすれば、POWER ROADの上を行くタイヤはある。
例えば、前作のPOWER COMPETITONは転がりの軽さが際立っていたが、POWER ROADは前作ほどの驚きはない。だが、それに不満を感じることも無い。他のモデルを履いている人に対して不利になることはないだろう、という確信が持てるようなタイヤである。
それはグリップや乗り心地という面でも同じだ。前作ではウェットコンディションに不安があったが、POWER ROADでは一段安心して倒していける。新設計のトレッドパターンと新たなコンパウンドのおかげだろう。TPIが180→120と減少しているため、乗り心地は硬めになったかと思いきや、コンパウンドの柔らかさが効いているのか快適性も遜色ないし、荒れた路面でも跳ねづらい。6気圧をベースに調整してみたが、空気圧の変化に対しても反応は穏やかで、好みの設定を見つけやすそうだ。
大幅に向上しているのが対パンク性能。お恥ずかしながら、荒れた峠の下りで大きめの石を踏んでしまいリム打ちパンクを喫してしまった。これは完全に自分の不注意なのだが、似たようなシチュエーションで、前作はケーシングを貫くような傷が入っていたのに対し、今作は切れ目一つ残っておらず、その後もいわゆる貫通パンクはゼロ。
耐久性についてもかなり改善していそうだ。合計で800kmほど走っているが、センターが平たくなってくる兆候もまだなく、3,000km程は確実に使えそう。
総じて非の打ち所がないオールラウンドモデル、というタイヤで、欠点らしい欠点と言えばその面白みの無さくらい。前作が転がりの軽さに特化していたのに対し、ガラリと路線変更してきたとも言える。
そんな優等生の一番の特徴を挙げよ、という問いかけられれば、私は「価格」と答えるだろう。5,000円ちょっと、という価格は他社であればセカンドグレードの価格帯である。だが、性能は歴としてハイエンドモデルのそれ。各社のハイエンドクリンチャーが軒並み7,000円を超える値札を下げている現状、前後セットで4000円ほどの差は無視できない。特に消耗品ともなればなおさらだ。
タイヤに何を求めるのかは人それぞれだし、わかりやすいシチュエーションもあるだろう。例えばヒルクライム専用ならもっと軽いモデルを選ぶべきだ。ミシュランにも超軽量かつ低転がり抵抗を追求したPOWER TTというモデルもある。求めるのがしなやかな乗り心地ならコットンケーシングのものを選ぶといいだろう。
だが、単一要素の最適解を求めるのではなく、ただ自転車に乗るのが好きな人、1本でなんでもしたい人、とにかく乗り倒したい人には最高の選択となるはずだ。忌憚のない意見を言わせてもらうと、他のミドルグレードタイヤを買うのであれば、前後セットで1,000円足してこのタイヤを試してみてほしい。POWER ROAD、新世代パフォーマンスタイヤのスタンダードとして、ミシュラン復活の狼煙となりそうだ。
ミシュラン POWER ROAD
サイズ/平均重量:700×23C/223g
700×25C/235g
700×28C/255g
ケーシング密度:3×120tpi
指定空気圧:5-8bar
カラー:ブラック、ブルー、レッド
※ブルーとレッドは25Cのみ
価格:5,200円(本体価格)
text:Naoki Yasuoka
photo:Gakuto Fujiwara
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