2020/12/07(月) - 12:43
長い激坂登坂が鍵を握ったスーパープレスティージュ第5戦で、欧州王者エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が勝利。女子レースではルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)が優勝するも、バイク交換時での進路妨害の罰金を課されている。
これまでギーテン、ルッデルフォールデ、ニール、メルクスプラスとベルギー各地を転戦してきたスーパープレスティージュ。第5戦の舞台はアントワープの南に位置する街ボームで、運動公園内の大きな丘を何度も上り下りするコースが選手たちの脚力を問うた。
元世界王者ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)の参戦で注目を集めた男子レースは、先週のUCIワールドカップ第1戦でシクロクロスサーキットに戻ったトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)のホールショットで幕開ける。MTB世界選手権のU23とEバイク選手権でアルカンシエルを獲得し、3月からイネオス・グレナディアーズの一員として走る現シクロクロス英王者には、トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)や欧州王者エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)ら強者が続いた。
泥さばきと登坂力が問われるコースでは、全9周回中の2周目にアールツが飛び出す場面も見られたが、今季好調のイゼルビッドとマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)、そしてコルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム)によって捉えられる。ファンアールトも合流したことで先頭グループは5名となり、元世界王者の牽引でレース中盤戦を消化していった。
先頭グループが分裂したのは6周回目の激坂区間だった。アールツの加速に追従できたのはイゼルビッドのみだったが、時間を空けてファンアールトとファントーレンハウトも復帰に成功。ファンケッセル一人が遅れ、4名で7周目の激坂区間に突入する。すると今度はお返しと言わんばかりにイゼルビッドが加速し、「前ラップのアタックで足を削ってしまった」と言うアールツが脱落。追従したファンアールトもグリップを失って降車し、さらにファントーレンハウトも前を塞がれて降車。急勾配を唯一乗車でクリアしたイゼルビッドが10秒リードで独走態勢に持ち込んだ。
夕陽を浴びて逃げるイゼルビッドの後ろでは、硬くスリッピーな泥に車輪を滑らせたアールツとファンアールトがそれぞれ落車し、ファントーレンハウトが2番手で追走を試みる。先々週のスーパープレスティージュ第4戦、先週のワールドカップ初戦と2週間連続で勝ち星を挙げてきたファントーレンハウトだったが、この日は「これまでの数週間より身体のフィーリングが良くなかった」と、逃げるイゼルビッドとの距離を詰められない。リードを守り抜いたイゼルビッドが先頭を守り抜き、両手を広げてフィニッシュラインにたどり着いた。
「デンジャラスなコースで、周回数を重ねるたびに難易度が上がるレースだった。誰もが同じスピードで走る差のつきにくく、最後は"瀕死の白鳥たち"によるレースだった。長く厳しいレース、そしてテクニカル面にも注意を払わなければいけないレースだったので、アタックする瞬間を待ち続けていたんだ。このレースで勝つことができて嬉しい」と語るイゼルビッド。2位にはファントーレンハウトが、そして3位にはアールツ。「調子も良くなかったしスタートをミスしてしまったことが後々響いてしまった。終盤戦はこれっぽっちもエネルギーが残っていなかった」と言うファンアールトはCX復帰後初めて表彰台を逃す4位となった。
47名が出走した女子エリートレースでホールショットを奪ったのはアルカンシエルを纏うセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)。今季好調のデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)とルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)を含めた優勝候補3名が早くも1周目からトップグループを形成した。
2周目にはブラントのミスでアルバラードが抜け出す場面もあったものの、全6周回中の4周目にベッツィマを切り離したブラントが世界王者を捕まえる。3番手ベッツィマの後ろでは、アンマリー・ワースト(オランダ、777)と、昨年までチームメイトだったヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)が、そして全米王者クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com)といったメンバーが続いた。
今季何度も繰り返されてきたアルバラードとブランドは、ピットでのバイク交換で交錯する(アルバラードの進路を塞いだブラントには120スイスフランの罰金が課されている)場面がありつつも3番手ベッツィマを引き離した状態で5周目へ。すると激坂区間でブラントが仕掛け、「バイク交換の時突然目の前を塞がれたことでリズムが狂ってしまった」と言うアルバラードが遅れを取った。
5〜10秒差で逃げ、追走する二人だったが、最後までその差は縮まらず、結果的にブラントがスーパープレスティージュ第4戦から数えて4連勝。ワールドカップタボールに続いてアルバラードを破った。
「どうやらルールを破ってしまった。故意ではないけれど、裁定には納得している」と、ゴール直後にアルバラードを待ち、進路を塞いだことを謝罪したブラントはい言う。「自分のピットワークやリマウントが速くないことは誰もが知っていること。だから彼女を待ってからバイク交換をしたら5mは離されていたと思う。残念だし、そうするつもりもなかったけれど、自分にできることはピットで彼女を待つことだけだった。彼女が今も怒っていることを理解している」と、ブラントは心境を吐露している。
これまでギーテン、ルッデルフォールデ、ニール、メルクスプラスとベルギー各地を転戦してきたスーパープレスティージュ。第5戦の舞台はアントワープの南に位置する街ボームで、運動公園内の大きな丘を何度も上り下りするコースが選手たちの脚力を問うた。
元世界王者ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)の参戦で注目を集めた男子レースは、先週のUCIワールドカップ第1戦でシクロクロスサーキットに戻ったトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)のホールショットで幕開ける。MTB世界選手権のU23とEバイク選手権でアルカンシエルを獲得し、3月からイネオス・グレナディアーズの一員として走る現シクロクロス英王者には、トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)や欧州王者エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)ら強者が続いた。
泥さばきと登坂力が問われるコースでは、全9周回中の2周目にアールツが飛び出す場面も見られたが、今季好調のイゼルビッドとマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)、そしてコルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム)によって捉えられる。ファンアールトも合流したことで先頭グループは5名となり、元世界王者の牽引でレース中盤戦を消化していった。
先頭グループが分裂したのは6周回目の激坂区間だった。アールツの加速に追従できたのはイゼルビッドのみだったが、時間を空けてファンアールトとファントーレンハウトも復帰に成功。ファンケッセル一人が遅れ、4名で7周目の激坂区間に突入する。すると今度はお返しと言わんばかりにイゼルビッドが加速し、「前ラップのアタックで足を削ってしまった」と言うアールツが脱落。追従したファンアールトもグリップを失って降車し、さらにファントーレンハウトも前を塞がれて降車。急勾配を唯一乗車でクリアしたイゼルビッドが10秒リードで独走態勢に持ち込んだ。
夕陽を浴びて逃げるイゼルビッドの後ろでは、硬くスリッピーな泥に車輪を滑らせたアールツとファンアールトがそれぞれ落車し、ファントーレンハウトが2番手で追走を試みる。先々週のスーパープレスティージュ第4戦、先週のワールドカップ初戦と2週間連続で勝ち星を挙げてきたファントーレンハウトだったが、この日は「これまでの数週間より身体のフィーリングが良くなかった」と、逃げるイゼルビッドとの距離を詰められない。リードを守り抜いたイゼルビッドが先頭を守り抜き、両手を広げてフィニッシュラインにたどり着いた。
「デンジャラスなコースで、周回数を重ねるたびに難易度が上がるレースだった。誰もが同じスピードで走る差のつきにくく、最後は"瀕死の白鳥たち"によるレースだった。長く厳しいレース、そしてテクニカル面にも注意を払わなければいけないレースだったので、アタックする瞬間を待ち続けていたんだ。このレースで勝つことができて嬉しい」と語るイゼルビッド。2位にはファントーレンハウトが、そして3位にはアールツ。「調子も良くなかったしスタートをミスしてしまったことが後々響いてしまった。終盤戦はこれっぽっちもエネルギーが残っていなかった」と言うファンアールトはCX復帰後初めて表彰台を逃す4位となった。
47名が出走した女子エリートレースでホールショットを奪ったのはアルカンシエルを纏うセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)。今季好調のデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)とルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)を含めた優勝候補3名が早くも1周目からトップグループを形成した。
2周目にはブラントのミスでアルバラードが抜け出す場面もあったものの、全6周回中の4周目にベッツィマを切り離したブラントが世界王者を捕まえる。3番手ベッツィマの後ろでは、アンマリー・ワースト(オランダ、777)と、昨年までチームメイトだったヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)が、そして全米王者クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com)といったメンバーが続いた。
今季何度も繰り返されてきたアルバラードとブランドは、ピットでのバイク交換で交錯する(アルバラードの進路を塞いだブラントには120スイスフランの罰金が課されている)場面がありつつも3番手ベッツィマを引き離した状態で5周目へ。すると激坂区間でブラントが仕掛け、「バイク交換の時突然目の前を塞がれたことでリズムが狂ってしまった」と言うアルバラードが遅れを取った。
5〜10秒差で逃げ、追走する二人だったが、最後までその差は縮まらず、結果的にブラントがスーパープレスティージュ第4戦から数えて4連勝。ワールドカップタボールに続いてアルバラードを破った。
「どうやらルールを破ってしまった。故意ではないけれど、裁定には納得している」と、ゴール直後にアルバラードを待ち、進路を塞いだことを謝罪したブラントはい言う。「自分のピットワークやリマウントが速くないことは誰もが知っていること。だから彼女を待ってからバイク交換をしたら5mは離されていたと思う。残念だし、そうするつもりもなかったけれど、自分にできることはピットで彼女を待つことだけだった。彼女が今も怒っていることを理解している」と、ブラントは心境を吐露している。
スーパープレスティージュ2020-2021第5戦男子結果
1位 | エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:02:05 |
2位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:15 |
3位 | トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 0:21 |
4位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:32 |
5位 | コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム) | 1:11 |
6位 | ライアン・カンプ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:18 |
7位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:33 |
8位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 1:46 |
9位 | トーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング) | 2:00 |
10位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム) | 2:06 |
スーパープレスティージュ2020-2021第5戦女子結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 46:44 |
2位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 0:10 |
3位 | デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:46 |
4位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | 1:06 |
5位 | ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) | 1:20 |
6位 | クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール・シクロクロスワールド.com) | 1:28 |
7位 | マーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバック) | 1:36 |
8位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 1:41 |
9位 | マノン・バッカー(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) | 1:55 |
10位 | アンナ・カイ(イギリス、スターカジノCXチーム) | 2:03 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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