2020/11/30(月) - 12:16
規模縮小の上開幕にこぎ着けたUCIシクロクロスワールドカップ第1戦。パワーが問われる高速レースでマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)とルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)が勝利した。CX復帰を果たしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)は3位表彰台を確保している。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今季5戦のみに縮小開催されるUCIシクロクロスワールドカップがようやく開幕した。その初戦を迎えたのは2014-2015シーズンの世界選手権開催地となったチェコ、タボール。硬く締まった滑りやすい泥と細かな起伏、そしてキャンバーが多数用意された定番コースであり、各カテゴリーで熾烈なハイスピードレースが展開された。
男子エリートの注目は、何と言っても2016〜2018年に世界選手権3連勝しているワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)の戦線復帰だ。復帰初戦となった前日土曜日のX2Oトロフェー(昨年までのDVVトロフェー)で3位に入ったファンアールトは、他選手と共に空路移動でチェコ入りし、シクロクロスらしい過密スケジュールをこなすこととなった。
日本でおなじみのスティーブ・シェネル(フランス、クロスチームレジェンドル)や、同じくCX復帰戦となったトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)も顔を揃えた男子エリートレースは、ベルギー王者ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)の好ダッシュで幕開ける。大きな差がつく区間が少ないコースで10名程度の先頭グループが出来上がり、保有ポイントが少なく3列目スタートとなったファンアールトもこの中に滑り込んだ。
トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)や、先週末に3大シリーズ戦初の優勝を遂げた好調マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が先頭グループを牽引し、順調な滑り出しを見せたスウェークはバニーホップでシケインに引っ掛かって前転し後退。ファンアールトもアタックするファントーレンハウトを引き戻すなど、今季ロード界を席巻した脚力を見せつけた。
全8周回中の4周目に入ると再びファントーレンハウトがアタックして独走体制に持ち込み、ファンアールトやアールツを含む追走グループから抜け出した欧州王者エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が2番手。イゼルビッドは残り2周回で追いついたことでパウェルズサウゼン勢のワンツー体制が敷かれ、ファンアールトとアールツが3番手パック。2人ずつの1番手、3番手パックが10秒差で最終周回に突入すると、キャンバー区間でイゼルビッドとファンアールトがそれぞれミスを出した。
バランスを崩したイゼルビッドはファントーレンハウトとの差を詰めた一方、3番手パックのファンアールトは蛇行し、ラインを塞がれた形となったアールツは落車してしまう。こうしてアールツが表彰台争いから脱落。ファンアールトは単騎先頭を追いかけたものの、牽制することなくハイペースを刻むはファントーレンハウトとイゼルビッドには届かない。するとシケインが設置された登坂区間をきっかけに「レース中ずっと調子が良かった」と言うファントーレンハウトがアタック。イゼルビッドも食い下がったが、ハイペースで踏み続けるファントーレンハウトはじりじりと差を広げていく。最終的にその差は5秒まで広がることとなった。
1週間前にスーパープレスティージュで初優勝したファントーレンハウトが、今度は2015年のU23世界選手権で勝利した相性の良いターボルでワールドカップ初勝利。イゼルビッドが2位に入ってチームはワンツー。イゼルビッドの7秒後方まで詰め寄ったファンアールトが復帰戦に続く3位表彰台を獲得している。
中盤から独走したブラントが女子エリートレースで勝利
ケイティ・コンプトン(アメリカ、トレック・ナイトコンポジット)やエヴァ・リヒナー(イタリア、スターカジノCXチーム)が巻き込まれたスタート直後の落車を尻目に、女子エリートレースの先頭に立ったのはペリーヌ・クラウツェル(フランス、A.S.バイククロスチーム)。22番ゼッケンのクラウツェルは1周目の大半をリードしたが、2周目に入ると優勝候補が揃った先頭グループが出来上がる。その中からやがて、今季頭一つ抜けた力を見せるルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)と世界王者セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)が抜け出した。
約1周回ランデブーを続けたブラントとアルバラードの均衡は、全6周回中の3周目に崩れる。「調子は良かったし、後ろについてばかりだと前の選手に影響されてしまうので自ら仕掛けた」と振り返るブラントが仕掛けると、持ち前のパワーの前にアルバラードは徐々に遅れていく。細かいミスも重なったことで、残り1周回突入時点での差は22秒にまで広がった。
最終周回も危なげなくこなし、2位以下との差をキープしたブラントがワールドカップ初戦で勝利。昨年ブレイクしたハンガリーチャンピオンのカータ・バスや、アンマリー・ワースト(オランダ、777)を引き離したデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)がアルバラードに次ぐ3位に入った。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今季5戦のみに縮小開催されるUCIシクロクロスワールドカップがようやく開幕した。その初戦を迎えたのは2014-2015シーズンの世界選手権開催地となったチェコ、タボール。硬く締まった滑りやすい泥と細かな起伏、そしてキャンバーが多数用意された定番コースであり、各カテゴリーで熾烈なハイスピードレースが展開された。
男子エリートの注目は、何と言っても2016〜2018年に世界選手権3連勝しているワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)の戦線復帰だ。復帰初戦となった前日土曜日のX2Oトロフェー(昨年までのDVVトロフェー)で3位に入ったファンアールトは、他選手と共に空路移動でチェコ入りし、シクロクロスらしい過密スケジュールをこなすこととなった。
日本でおなじみのスティーブ・シェネル(フランス、クロスチームレジェンドル)や、同じくCX復帰戦となったトーマス・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)も顔を揃えた男子エリートレースは、ベルギー王者ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)の好ダッシュで幕開ける。大きな差がつく区間が少ないコースで10名程度の先頭グループが出来上がり、保有ポイントが少なく3列目スタートとなったファンアールトもこの中に滑り込んだ。
トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)や、先週末に3大シリーズ戦初の優勝を遂げた好調マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が先頭グループを牽引し、順調な滑り出しを見せたスウェークはバニーホップでシケインに引っ掛かって前転し後退。ファンアールトもアタックするファントーレンハウトを引き戻すなど、今季ロード界を席巻した脚力を見せつけた。
全8周回中の4周目に入ると再びファントーレンハウトがアタックして独走体制に持ち込み、ファンアールトやアールツを含む追走グループから抜け出した欧州王者エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が2番手。イゼルビッドは残り2周回で追いついたことでパウェルズサウゼン勢のワンツー体制が敷かれ、ファンアールトとアールツが3番手パック。2人ずつの1番手、3番手パックが10秒差で最終周回に突入すると、キャンバー区間でイゼルビッドとファンアールトがそれぞれミスを出した。
バランスを崩したイゼルビッドはファントーレンハウトとの差を詰めた一方、3番手パックのファンアールトは蛇行し、ラインを塞がれた形となったアールツは落車してしまう。こうしてアールツが表彰台争いから脱落。ファンアールトは単騎先頭を追いかけたものの、牽制することなくハイペースを刻むはファントーレンハウトとイゼルビッドには届かない。するとシケインが設置された登坂区間をきっかけに「レース中ずっと調子が良かった」と言うファントーレンハウトがアタック。イゼルビッドも食い下がったが、ハイペースで踏み続けるファントーレンハウトはじりじりと差を広げていく。最終的にその差は5秒まで広がることとなった。
1週間前にスーパープレスティージュで初優勝したファントーレンハウトが、今度は2015年のU23世界選手権で勝利した相性の良いターボルでワールドカップ初勝利。イゼルビッドが2位に入ってチームはワンツー。イゼルビッドの7秒後方まで詰め寄ったファンアールトが復帰戦に続く3位表彰台を獲得している。
中盤から独走したブラントが女子エリートレースで勝利
ケイティ・コンプトン(アメリカ、トレック・ナイトコンポジット)やエヴァ・リヒナー(イタリア、スターカジノCXチーム)が巻き込まれたスタート直後の落車を尻目に、女子エリートレースの先頭に立ったのはペリーヌ・クラウツェル(フランス、A.S.バイククロスチーム)。22番ゼッケンのクラウツェルは1周目の大半をリードしたが、2周目に入ると優勝候補が揃った先頭グループが出来上がる。その中からやがて、今季頭一つ抜けた力を見せるルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)と世界王者セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)が抜け出した。
約1周回ランデブーを続けたブラントとアルバラードの均衡は、全6周回中の3周目に崩れる。「調子は良かったし、後ろについてばかりだと前の選手に影響されてしまうので自ら仕掛けた」と振り返るブラントが仕掛けると、持ち前のパワーの前にアルバラードは徐々に遅れていく。細かいミスも重なったことで、残り1周回突入時点での差は22秒にまで広がった。
最終周回も危なげなくこなし、2位以下との差をキープしたブラントがワールドカップ初戦で勝利。昨年ブレイクしたハンガリーチャンピオンのカータ・バスや、アンマリー・ワースト(オランダ、777)を引き離したデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)がアルバラードに次ぐ3位に入った。
UCIシクロクロスワールドカップ2020-2021第1戦 男子エリート結果
1位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:02:43 |
2位 | エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:05 |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:12 |
4位 | トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 0:18 |
5位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 0:21 |
6位 | コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム) | 0:51 |
7位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム) | 1:01 |
8位 | ダーン・ソエテ(ベルギー、グループヘンス・マースコンテナーズ) | 1:05 |
9位 | ケヴィン・クーン(スイス、トルマンスシクロクロスチーム) | 1:27 |
10位 | ディエテル・スウェーク(ベルギー、クレディショップ・フリスタッズ) | 1:42 |
UCIシクロクロスワールドカップ2020-2021第1戦 女子エリート結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) | 53:43 |
2位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 0:24 |
3位 | デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 0:32 |
4位 | カータ・ヴァス(ハンガリー) | 0:32 |
5位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | 0:50 |
6位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 1:22 |
7位 | ラウラ・フェルドンショット(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:31 |
8位 | アリーチェマリア・アルツィッフィ(イタリア、777) | 1:31 |
9位 | アンナ・カイ(イギリス、スターカジノCXチーム) | 1:45 |
10位 | ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) | 1:53 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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