2010/05/30(日) - 13:33
ジロ最難関の第20ステージは、最高標高のチーマコッピとなるガヴィア峠を含む山岳決戦だ。ガヴィアでのシモーニとのバトルに競り勝ったヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム)がトナーレまで逃げ切り、ステージ優勝。マリアローザをキープしたバッソは総合優勝をほぼ確定的にした。
霧の立ちこめるガヴィア峠頂上 photo:Kei Tsuji
ピンクの風船を持って走るヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス) photo:Riccardo Scanferlaジロ・デ・イタリア最後の山岳決戦である第20ステージは、ボルミオ~ポンテ・ディ・レーニョ~トナーレの178km。このハードなステージで選手たちを待ち構えているのは、1級山岳フォルコラ・ディ・リヴィーニョ、2級山岳エイラ峠、3級山岳フォスカーニョ峠、チーマコッピ(大会最高点)ガヴィア峠、そしてトナーレ峠の頂上ゴールだ。獲得標高差は何と6000mを超える。
ガヴィア峠の道路脇には2m~6mの積雪が残っていたため、当日の朝まで雪崩や地滑りの危険性から主催者はガヴィア峠通行に関してコースの代案を用意していた。
しかし当日のスタート2時間前になって結局はプラン通りのコースでレースを行うことを決定。ガヴィア峠の通行にGoサインを出した。
スイス国内を駆け抜けるジロ・デ・イタリア photo:Riccardo Scanferlaバッソはピンクのマリアローザに身を包み、ピンクのアイウェアで決めて登場。しかしパンツは通常のライムグリーン、乗るバイクのキャノンデールも通常のグリーンで、まだ祝賀ムードではない。一方、マリアローザを奪われたダヴィ・アローヨ(ケースデパーニュ)は昨日まで乗ったピンクのピナレロにまたがる(理由は不明だ)。
選手たちはこのあまりに厳しいステージへと出発して行く。天候は冴えず、曇りがち。ゴール地点のトナーレは雨が降っている。
昨ステージのモルティローロ峠の下りで落車したステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)が59km地点でリタイア。山岳スペシャリストでサストレのアシストであるシャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)もリタイアした。
フォロコラ・ディ・リヴィーニョ峠、エイラ峠、フォスカーニョ峠へ
サストレ、クネゴ、ロイドらを含む20数人の逃げグループが形成され、第1山岳ポイント、フォロコラ・ディ・リヴィーニョ峠へと向かう。メンバーは以下のリストだ。
スイス側から1級山岳フォルコラ・ディ・リヴィーニョを上る選手たち photo:Riccardo Scanferlaカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)
フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル)
ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ)
キャメロン・ウルフ(オーストラリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
ゴラツド・スタンゲリ(スロベニア、アスタナ)
ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム)
シャビエル・ザンディオ(スペイン、ケースデパーニュ)
マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロテストチーム)
ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
ジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)
逃げグループを形成するカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) photo:Riccardo Scanferlaダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)
マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)
エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)
マッシモ・コドル(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
ダニエル・ロイド(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)
ダミアン・ゴダン(フランス、Bboxブイグテレコム)
<43秒>
トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)
ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)
約70km地点で逃げる21人と集団とのタイム差は約1分40秒。
最初の峠のフォロコラ・ディ・リヴィーニョ峠を先頭通過してポイントを獲得したのはマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)。ロイドはマリア・ヴェルデを着て走っているが、昨ステージで累積ポイント数をバッソに逆転されている。
先頭グループに合流したアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) photo:Riccardo Scanferla90km地点 第2山岳ポイントのエイラ峠へ向かい、この先頭集団は17人に絞られる。
カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)
マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロテストチーム)
ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム)
トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)
マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロテストチーム)
ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル)
ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ)
シャビエル・ザンディオ(スペイン、ケースデパーニュ)
ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
ジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)
メイン集団は終始リクイガスがコントロール photo:Riccardo Scanferlaマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)
マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)
エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)
ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、サクソバンク)
アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
逃げ集団の先頭ではサストレのアシストであるスイス人、マルセル・ウィスがいいテンポを作る。マリアローザ集団との差は40秒程度。集団前方をリクイガスが固め、差を開かせない走りだ。
集団内で上りをこなす新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) photo:Riccardo Scanferlaエイラ峠頂上を前に再びマシュー・ロイドが単独で飛び出し、山岳ポイントを獲得。この時点でロイドは44ptを獲得し、35ptのバッソを逆転。暫定で山岳賞トップに立つ。残る山岳は2つ。
3級山岳フォスカーニョ峠への登りでステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)がひとり飛び出して先頭通過する。マシュー・ロイドは2位通過し、3ptを追加した。マリアローザ集団は後方40秒差で追う。
チーマコッピのガヴィア峠へ
そしていよいよチーマコッピであるガヴィア峠へと向かう選手たち。標高は2618m、距離は24.9kmという長さだ。
雪の積もったガヴィア峠を上る photo:Kei Tsuji
ガヴィア峠を上るアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)やマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット) photo:Kei Tsujiステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が1分10秒差で独走。14人のサストレ・ヴィノクロフグループが1分30秒で追う。マリアローザ集団も2分以内の差をキープしている。
上りが続き、ピラッツィが吸収されると逃げグループが再整理された。先頭グループは、ヴィノクロフ、ロイド、ピラッツィ、シモーニ、チョップ、サストレ、ピノッティ、モンクティエの8人に。
そして最大大勾配地点を前にピラッツィとモンクティエが脱落。逃げグループは6人に。
ヴィノクロフがメカニックにホイール交換を要請し、交換する。前半逃げた際にホイールを交換してニュートラル機材のマヴィックのホイールを使用していたので、チーム機材に戻したようだ。
先頭でガヴィア峠を上るジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ)とヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム) photo:Kei Tsuji最大勾配14%ポイントに差し掛かって逃げる6人から山頂へ向けてシモーニがアタックし、ヨハン・チョップがすかさず反応する。最後のジロでチーマコッピを狙って動きをみせたシモーニを、サストレらは見送る。シモーニとチョップは順当に差を広げる。
2人で快調に前を行くかに思えたが、シモーニを置いてチョップが行くことでランデブーが崩れた。しかしシモーニがチョップに追いつき、勾配の急なところでは前に出る。山頂まで3kmを残し、最後のジロの置き土産となるガヴィアを譲れないシモーニが意地を見せる。
山頂ポイントに向けてシモーニが先行、チョップと二人で激しいスプリントで競り合うが、ライン寸前でチョップが刺す。シモーニに対してリスペクトを見せず譲らなかったチョップがチーマコッピ先頭通過の栄冠と50000ユーロの賞金を獲得した。
そして2人は峠で待つスタッフの横を争って通過したため、ウィンドブレイカーを取り損ねる。
ガヴィア峠を上るアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)やマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット) photo:Kei Tsuji後方メイン集団はロイドが3位のポイントを取り、マリアヴェルデを確定させる。そして逃げ集団から離れると後方に下がっていく。マリアヴェルデを決めれば、もう逃げる必要が無いのだ。
グルペットで走ると思われた新城幸也(Bboxブイグテレコム)はガヴィア峠で先頭から5分程度の遅れにとどめて通過。ユキヤはこれでジロの完走を確実なものに。
ガヴィアダウンヒル、そしてゴールのトナーレへ
チーマコッピを制したチョップはステージ優勝を狙う走りへと切り替える。ダウンヒルでクラウチングスタイルを取り、コーナーも攻め続ける。防寒衣はないままだ。
マリアローザのイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)を先頭にガヴィア峠を進むメイン集団 photo:Kei Tsuji一方、シモーニはチョップとのコンタクトを失い、後退を始める。残り12kmでヴィノクロフ集団に吸収され、そのスピードにもついていけない。
ヴィノクロフにはダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ)とウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)がつき、チョップを追う。ピノッティとサストレは下りでヴィノ集団から遅れてしまった。
後方のマリアローザグループではニーバリが先頭にたちペースを上げる。勾配の緩いトナーレへの残り距離8kmはバッソ向き。エヴァンスが後ろにつけるが、精細を欠いている。
先頭のチョップはステージ優勝に向けてスピードを緩めない。ヴィノクロフがアタックしてチョップとの差を詰めようとするが不発。カルペツが脱落し、リーギのみがつくが、二人とチョップのタイム差は47秒から縮まる気配が無い。
チョップを追うジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ)ら photo:Riccardo Scanferlaマリアローザ集団では先頭に立つリクイガスがペースアップし、誰のアタックも許さない勢いだ。そして逃げていたサストレとピノッティを吸収する。
残り3.5kmでエヴァンスが鋭くアタック! ヴィノクロフらに追いつき、抜き去る。エヴァンスはチョップを視界に捉えながら追い上げる。
残り1.5kmでマリアローザ集団からスカルポーニもアタック! これにはバッソ自らがチェックに入り、2人が抜け出す状態に。
ガヴィアから独走のままトナーレまで逃げ切ったチョップがステージ優勝。プロ入り6年目の選手で、2009年はツール・ド・ランカウィ総合5位をマークするが、今までビッグレースでは勝利がなかった。初のビッグタイトルが、ジロでの勝利となった。
独走でトナーレ峠を駆け上がるヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム) photo:Riccardo Scanferla16秒差で2位のゴールを切るエヴァンス。そしてバッソはエヴァンスに9秒遅れでスカルポーニを抑えて先着フィニッシュ。そしてスカルポーニに23秒遅れでゴールするニバリは、たった1秒のマージンで総合3位の座を譲らなかった。
アローヨは動くことができず、バッソに16秒遅れでゴール。逆転は叶わなかった。
無名のスイス人チョップの大金星 ほぼ確定した各賞ジャージ
ステージ優勝したヨハン・チョップはゴール直後のインタビューで「夢をみているみたいだ。信じられない。まるで別の惑星に降り立ったみたいな気分だよ。6ヶ月なる息子にこの勝利を贈りたい」
(シモーニにガヴィア峠第一通過を譲る気はなかったのか?と訊かれ)
「シモーニは既に何度もレースに勝っているので、それを渡すつもりはなかったよ。あの瞬間は本当の戦いだった」と語っている。
バッソはマリアローザを守り、ジロ・デ・イタリア2010の総合優勝をほぼ確定的にした。ニーバリも総合3位の座を守りきった。ニーバリはスカルポーニよりタイムトライアルが得意であるため、スカルポーニの逆転は難しくなった。
獲得山岳ポイントでバッソを逆転し、山岳賞を確定させたマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)は、この日敢闘賞も獲得。マリアヴェルデを着てヴェローナへと到達する。
また新人賞ジャージのリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)は1分42秒遅れにとどめ、新人賞を確定的にした。
16秒遅れのステージ2位に入ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Riccardo Scanferla
トップから25秒遅れ、エヴァンスから9秒遅れでゴールするイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) photo:Riccardo Scanferla
沿道の歓声に応えながらゴールしたジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ) photo:Riccardo Scanferla
グランツール初勝利を飾ったヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム) photo:Riccardo Scanferla
メイン集団から僅か5分遅れでガヴィア峠の頂上にやってきた新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) photo:Kei Tsuji新城幸也のジロ完走はほぼ確実に
新城幸也は19分12秒遅れのステージ49位でゴール。最難関ステージを乗り切ったことでジロの完走はほぼ確実になった。残すは第21ステージのヴェローナの個人タイムトライアルのみ。ツールとジロ、2つのグランツールを完走した初めての日本人になりそうだ。
ジロ・デ・イタリア第20ステージ結果
1位 ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム) 5h26'47"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +16"
3位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +25"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
5位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ) +41"
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・ドイモ) +43"
7位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +48"
8位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +50"
9位 ダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ) +57"
10位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、ケースデパーニュ) +1'02"
総合成績
1位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) 87h23'00"
2位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ) +1'15"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・ドイモ) +2'56"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+2'57"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +3'47"
6位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク) +7'25"
7位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +7'31"
8位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +8'55"
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、リクイガス・ドイモ) +14'06"
10位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア) +15'00"
山岳賞 マリアヴェルデ
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
ポイント賞 マリアロッソパッショーネ
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
新人賞 マリアビアンカ
リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)
チーム総合成績
リクイガス・ドイモ
総合フーガ(逃げ)賞
ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)
ステージ敢闘賞
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
text:Makoto.AYANO
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla
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ガヴィア峠の道路脇には2m~6mの積雪が残っていたため、当日の朝まで雪崩や地滑りの危険性から主催者はガヴィア峠通行に関してコースの代案を用意していた。
しかし当日のスタート2時間前になって結局はプラン通りのコースでレースを行うことを決定。ガヴィア峠の通行にGoサインを出した。
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選手たちはこのあまりに厳しいステージへと出発して行く。天候は冴えず、曇りがち。ゴール地点のトナーレは雨が降っている。
昨ステージのモルティローロ峠の下りで落車したステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)が59km地点でリタイア。山岳スペシャリストでサストレのアシストであるシャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)もリタイアした。
フォロコラ・ディ・リヴィーニョ峠、エイラ峠、フォスカーニョ峠へ
サストレ、クネゴ、ロイドらを含む20数人の逃げグループが形成され、第1山岳ポイント、フォロコラ・ディ・リヴィーニョ峠へと向かう。メンバーは以下のリストだ。
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フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル)
ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ)
キャメロン・ウルフ(オーストラリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
ゴラツド・スタンゲリ(スロベニア、アスタナ)
ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム)
シャビエル・ザンディオ(スペイン、ケースデパーニュ)
マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロテストチーム)
ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
ジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)
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マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)
エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)
マッシモ・コドル(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
ダニエル・ロイド(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)
ダミアン・ゴダン(フランス、Bboxブイグテレコム)
<43秒>
トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)
ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)
約70km地点で逃げる21人と集団とのタイム差は約1分40秒。
最初の峠のフォロコラ・ディ・リヴィーニョ峠を先頭通過してポイントを獲得したのはマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)。ロイドはマリア・ヴェルデを着て走っているが、昨ステージで累積ポイント数をバッソに逆転されている。
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カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)
マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロテストチーム)
ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム)
トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)
マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロテストチーム)
ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル)
ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ)
シャビエル・ザンディオ(スペイン、ケースデパーニュ)
ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
ジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)
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ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)
マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)
エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)
ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、サクソバンク)
アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
逃げ集団の先頭ではサストレのアシストであるスイス人、マルセル・ウィスがいいテンポを作る。マリアローザ集団との差は40秒程度。集団前方をリクイガスが固め、差を開かせない走りだ。
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3級山岳フォスカーニョ峠への登りでステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)がひとり飛び出して先頭通過する。マシュー・ロイドは2位通過し、3ptを追加した。マリアローザ集団は後方40秒差で追う。
チーマコッピのガヴィア峠へ
そしていよいよチーマコッピであるガヴィア峠へと向かう選手たち。標高は2618m、距離は24.9kmという長さだ。
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上りが続き、ピラッツィが吸収されると逃げグループが再整理された。先頭グループは、ヴィノクロフ、ロイド、ピラッツィ、シモーニ、チョップ、サストレ、ピノッティ、モンクティエの8人に。
そして最大大勾配地点を前にピラッツィとモンクティエが脱落。逃げグループは6人に。
ヴィノクロフがメカニックにホイール交換を要請し、交換する。前半逃げた際にホイールを交換してニュートラル機材のマヴィックのホイールを使用していたので、チーム機材に戻したようだ。
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2人で快調に前を行くかに思えたが、シモーニを置いてチョップが行くことでランデブーが崩れた。しかしシモーニがチョップに追いつき、勾配の急なところでは前に出る。山頂まで3kmを残し、最後のジロの置き土産となるガヴィアを譲れないシモーニが意地を見せる。
山頂ポイントに向けてシモーニが先行、チョップと二人で激しいスプリントで競り合うが、ライン寸前でチョップが刺す。シモーニに対してリスペクトを見せず譲らなかったチョップがチーマコッピ先頭通過の栄冠と50000ユーロの賞金を獲得した。
そして2人は峠で待つスタッフの横を争って通過したため、ウィンドブレイカーを取り損ねる。
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グルペットで走ると思われた新城幸也(Bboxブイグテレコム)はガヴィア峠で先頭から5分程度の遅れにとどめて通過。ユキヤはこれでジロの完走を確実なものに。
ガヴィアダウンヒル、そしてゴールのトナーレへ
チーマコッピを制したチョップはステージ優勝を狙う走りへと切り替える。ダウンヒルでクラウチングスタイルを取り、コーナーも攻め続ける。防寒衣はないままだ。
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ヴィノクロフにはダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ)とウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)がつき、チョップを追う。ピノッティとサストレは下りでヴィノ集団から遅れてしまった。
後方のマリアローザグループではニーバリが先頭にたちペースを上げる。勾配の緩いトナーレへの残り距離8kmはバッソ向き。エヴァンスが後ろにつけるが、精細を欠いている。
先頭のチョップはステージ優勝に向けてスピードを緩めない。ヴィノクロフがアタックしてチョップとの差を詰めようとするが不発。カルペツが脱落し、リーギのみがつくが、二人とチョップのタイム差は47秒から縮まる気配が無い。
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残り3.5kmでエヴァンスが鋭くアタック! ヴィノクロフらに追いつき、抜き去る。エヴァンスはチョップを視界に捉えながら追い上げる。
残り1.5kmでマリアローザ集団からスカルポーニもアタック! これにはバッソ自らがチェックに入り、2人が抜け出す状態に。
ガヴィアから独走のままトナーレまで逃げ切ったチョップがステージ優勝。プロ入り6年目の選手で、2009年はツール・ド・ランカウィ総合5位をマークするが、今までビッグレースでは勝利がなかった。初のビッグタイトルが、ジロでの勝利となった。
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アローヨは動くことができず、バッソに16秒遅れでゴール。逆転は叶わなかった。
無名のスイス人チョップの大金星 ほぼ確定した各賞ジャージ
ステージ優勝したヨハン・チョップはゴール直後のインタビューで「夢をみているみたいだ。信じられない。まるで別の惑星に降り立ったみたいな気分だよ。6ヶ月なる息子にこの勝利を贈りたい」
(シモーニにガヴィア峠第一通過を譲る気はなかったのか?と訊かれ)
「シモーニは既に何度もレースに勝っているので、それを渡すつもりはなかったよ。あの瞬間は本当の戦いだった」と語っている。
バッソはマリアローザを守り、ジロ・デ・イタリア2010の総合優勝をほぼ確定的にした。ニーバリも総合3位の座を守りきった。ニーバリはスカルポーニよりタイムトライアルが得意であるため、スカルポーニの逆転は難しくなった。
獲得山岳ポイントでバッソを逆転し、山岳賞を確定させたマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)は、この日敢闘賞も獲得。マリアヴェルデを着てヴェローナへと到達する。
また新人賞ジャージのリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)は1分42秒遅れにとどめ、新人賞を確定的にした。





新城幸也は19分12秒遅れのステージ49位でゴール。最難関ステージを乗り切ったことでジロの完走はほぼ確実になった。残すは第21ステージのヴェローナの個人タイムトライアルのみ。ツールとジロ、2つのグランツールを完走した初めての日本人になりそうだ。
ジロ・デ・イタリア第20ステージ結果
1位 ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム) 5h26'47"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +16"
3位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +25"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
5位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ) +41"
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・ドイモ) +43"
7位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +48"
8位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +50"
9位 ダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ) +57"
10位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、ケースデパーニュ) +1'02"
総合成績
1位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) 87h23'00"
2位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ) +1'15"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・ドイモ) +2'56"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+2'57"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +3'47"
6位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク) +7'25"
7位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +7'31"
8位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +8'55"
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、リクイガス・ドイモ) +14'06"
10位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア) +15'00"
山岳賞 マリアヴェルデ
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
ポイント賞 マリアロッソパッショーネ
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
新人賞 マリアビアンカ
リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)
チーム総合成績
リクイガス・ドイモ
総合フーガ(逃げ)賞
ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)
ステージ敢闘賞
マシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)
text:Makoto.AYANO
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla
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