2020/10/25(日) - 09:28
激しいアタック合戦の末に3名が逃げ切り。ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がブエルタ初勝利を挙げ、2分後にフィニッシュしたメイン集団でダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)が落車し、救済措置でタイム差はつかなかった。
ウエスカからサビニャニゴまで、アラゴン州の山岳地帯を「コ」の字を描いて走る第5ステージのコース距離は184.4km。後半残り75kmを切ってから2級山岳ビオ峠(全長13.5km・平均4.7%)と3級山岳ファンロ峠(全長6.4km・平均4.6%)、そして2級山岳ペドラルバ峠(全長8.7km・平均5.2%)とカテゴリー山岳が3つ連なる。
スプリンターが集団に残るには厳しく、総合争いが加熱するほどの難易度でもない、つまり逃げ向けステージであり、予想通り今大会最初の逃げ切りに向けたアタッカーたちが激しいバトルを繰り広げた。ファーストアタックを繰り出したマーティン・セルモン(ドイツ、サンウェブ)を含む、14名の逃げメンバーは以下の通り。
逃げた14名
マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
ウィリアム・バルタ(アメリカ、CCCチーム)
ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
ロバート・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
オマル・フライレ(スペイン、アスタナ)
ロマン・シーグル(フランス、グルパマFDJ)
スタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)
ロマン・シーグル(スペイン、コフィディス)
マイケル・ストーラー(オーストラリア、サンウェブ)
ピム・リヒハルト(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー)
ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ)
マーティン・セルモン(ドイツ、サンウェブ)
アレックス・エドモンソン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
哲学者ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)や元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)といった有力メンバーを含む逃げグループだったが、メンバーを送り損ねたEFプロサイクリングやカハルラル・セグロスRGAといったチームが振り出しに戻そうとメイン集団を牽引したため1分以上の差を開くには至らない。
平均50km/h超というハイスピードで追走劇を100km弱に渡って繰り返した末、メイン集団は逃げグループを視界に捉えることに成功。ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)や来季イスラエル・スタートアップネイション入りが決まっているマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)が逃げグループにジャンプしたものの、最終的に2グループは合流。ここから激しいカウンターアタック合戦が繰り広げられた末、今度は12名が抜け出すことに成功した。
逃げた12名
セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ):総合6位
アンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ):総合13位
ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
ジェフェルソン・セペダオルティス(エクアドル、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
マッテオ・バディラッティ(スイス、イスラエル・スタートアップネイション)
ロバート・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
マーク・ドノヴァン(イギリス、サンウェブ)
ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
アルフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・マクラーレン)
イヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
カラム・スコットソン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
ティメン・アレンスマン(オランダ、サンウェブ)
この日2回目の逃げグループが得たリードは1分半。44秒遅れのセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)がバーチャルマイヨロホに立ったものの、ウェレンスとティメン・アレンスマン(オランダ、サンウェブ)が抜け出し、さらに2級山岳ビオ峠通過後に最初の逃げにも入ったマルタンが合流。置き去りにされた他メンバーはメイン集団に吸収されることとなった。
メイン集団の牽引役を担ったのはイネオス・グレナディアーズだった。クスが先頭グループからいなくなったことで先頭グループに3分程度のタイム差を与え、リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)に対する危険な動きを抑制する。その後ユンボ・ヴィズマやトタル・ディレクトエネルジーがメイン集団先頭に立ったものの、逃げる3名のリードが脅かされることはなかった。
この日3箇所の山岳ポイントは全てウェレンスが先頭通過したため、カラパスを抜いてマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)の着用権利を獲得してみせる。残り17.5km地点からのダウンヒルを、そして最後の平坦区間をこなしてフィニッシュラインへ。3分差を得た状態でフラムルージュ(残り1kmバナー)を潜ると、距離を空けて3番目につけていたアレンスマンが仕掛けた。
鋭いアタックで抜け出したアレンスマンだったものの、ウェレンスが追いついたことでペースを落とす。二人の様子を伺いながらウェレンスが先行し、12〜13%に勾配表示が跳ね上がる残り200m看板を前にアタック。先ほどのアタックで力を使ったアレンスマンは千切れ、マルタンだけが追従する。逃げ巧者ウェレンスとクライマーマルタンの一騎打ちの末、力強いダンシングを続けたウェレンスが勝利した。
第1ステージと第2ステージで逃げに乗り、3度目の正直でブエルタ初勝利を掴んだウェレンス。得意とするアルデンヌクラシックで思うように結果を残せていなかったベルギー屈指のクラシックハンターが、昨年のビンクバンクツアー第4ステージ以来、436日ぶりとなる待望の勝利を掴んだ。グランツールのステージ勝利はジロ・デ・イタリア2勝(2016、2018年)に続く通算3勝目だ。
2分差でフィニッシュラインにたどり着いたメイン集団内ではボーナスタイムを掛けた総合勢による登坂スプリントが繰り広げられ、絶好調プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がフェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)を引き連れた状態でステージ4位を確保した。
しかしその直前の最終右コーナーでホセ・ロハス(スペイン、モビスター)が落車し、ここに巻き込まれる形で総合2位ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)とゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が落車してしまう。低速落車だったため幸い転倒した選手たちに大きな怪我はなく、主催者ユニパブリックはメイン集団全員をログリッチと同タイム扱いにすることを発表。最後の加速で引き離されたカラパスも含め、総合上位にタイム差はつかないという結果に終わっている。
翌日は超級山岳トゥールマレー峠の山頂フィニッシュが予定されていたものの、新型コロナウイルスの感染第二波渦中にあるフランスへの入国が不可能となったため、1級山岳アラモン・フォルミガルにフィニッシュする難易度ダウンのステージに変更されている。
ウエスカからサビニャニゴまで、アラゴン州の山岳地帯を「コ」の字を描いて走る第5ステージのコース距離は184.4km。後半残り75kmを切ってから2級山岳ビオ峠(全長13.5km・平均4.7%)と3級山岳ファンロ峠(全長6.4km・平均4.6%)、そして2級山岳ペドラルバ峠(全長8.7km・平均5.2%)とカテゴリー山岳が3つ連なる。
スプリンターが集団に残るには厳しく、総合争いが加熱するほどの難易度でもない、つまり逃げ向けステージであり、予想通り今大会最初の逃げ切りに向けたアタッカーたちが激しいバトルを繰り広げた。ファーストアタックを繰り出したマーティン・セルモン(ドイツ、サンウェブ)を含む、14名の逃げメンバーは以下の通り。
逃げた14名
マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
ウィリアム・バルタ(アメリカ、CCCチーム)
ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
ロバート・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
オマル・フライレ(スペイン、アスタナ)
ロマン・シーグル(フランス、グルパマFDJ)
スタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)
ロマン・シーグル(スペイン、コフィディス)
マイケル・ストーラー(オーストラリア、サンウェブ)
ピム・リヒハルト(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー)
ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ)
マーティン・セルモン(ドイツ、サンウェブ)
アレックス・エドモンソン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
哲学者ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)や元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)といった有力メンバーを含む逃げグループだったが、メンバーを送り損ねたEFプロサイクリングやカハルラル・セグロスRGAといったチームが振り出しに戻そうとメイン集団を牽引したため1分以上の差を開くには至らない。
平均50km/h超というハイスピードで追走劇を100km弱に渡って繰り返した末、メイン集団は逃げグループを視界に捉えることに成功。ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)や来季イスラエル・スタートアップネイション入りが決まっているマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)が逃げグループにジャンプしたものの、最終的に2グループは合流。ここから激しいカウンターアタック合戦が繰り広げられた末、今度は12名が抜け出すことに成功した。
逃げた12名
セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ):総合6位
アンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ):総合13位
ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
ジェフェルソン・セペダオルティス(エクアドル、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
マッテオ・バディラッティ(スイス、イスラエル・スタートアップネイション)
ロバート・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
マーク・ドノヴァン(イギリス、サンウェブ)
ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
アルフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・マクラーレン)
イヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
カラム・スコットソン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
ティメン・アレンスマン(オランダ、サンウェブ)
この日2回目の逃げグループが得たリードは1分半。44秒遅れのセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)がバーチャルマイヨロホに立ったものの、ウェレンスとティメン・アレンスマン(オランダ、サンウェブ)が抜け出し、さらに2級山岳ビオ峠通過後に最初の逃げにも入ったマルタンが合流。置き去りにされた他メンバーはメイン集団に吸収されることとなった。
メイン集団の牽引役を担ったのはイネオス・グレナディアーズだった。クスが先頭グループからいなくなったことで先頭グループに3分程度のタイム差を与え、リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)に対する危険な動きを抑制する。その後ユンボ・ヴィズマやトタル・ディレクトエネルジーがメイン集団先頭に立ったものの、逃げる3名のリードが脅かされることはなかった。
この日3箇所の山岳ポイントは全てウェレンスが先頭通過したため、カラパスを抜いてマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)の着用権利を獲得してみせる。残り17.5km地点からのダウンヒルを、そして最後の平坦区間をこなしてフィニッシュラインへ。3分差を得た状態でフラムルージュ(残り1kmバナー)を潜ると、距離を空けて3番目につけていたアレンスマンが仕掛けた。
鋭いアタックで抜け出したアレンスマンだったものの、ウェレンスが追いついたことでペースを落とす。二人の様子を伺いながらウェレンスが先行し、12〜13%に勾配表示が跳ね上がる残り200m看板を前にアタック。先ほどのアタックで力を使ったアレンスマンは千切れ、マルタンだけが追従する。逃げ巧者ウェレンスとクライマーマルタンの一騎打ちの末、力強いダンシングを続けたウェレンスが勝利した。
第1ステージと第2ステージで逃げに乗り、3度目の正直でブエルタ初勝利を掴んだウェレンス。得意とするアルデンヌクラシックで思うように結果を残せていなかったベルギー屈指のクラシックハンターが、昨年のビンクバンクツアー第4ステージ以来、436日ぶりとなる待望の勝利を掴んだ。グランツールのステージ勝利はジロ・デ・イタリア2勝(2016、2018年)に続く通算3勝目だ。
2分差でフィニッシュラインにたどり着いたメイン集団内ではボーナスタイムを掛けた総合勢による登坂スプリントが繰り広げられ、絶好調プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がフェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)を引き連れた状態でステージ4位を確保した。
しかしその直前の最終右コーナーでホセ・ロハス(スペイン、モビスター)が落車し、ここに巻き込まれる形で総合2位ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)とゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が落車してしまう。低速落車だったため幸い転倒した選手たちに大きな怪我はなく、主催者ユニパブリックはメイン集団全員をログリッチと同タイム扱いにすることを発表。最後の加速で引き離されたカラパスも含め、総合上位にタイム差はつかないという結果に終わっている。
翌日は超級山岳トゥールマレー峠の山頂フィニッシュが予定されていたものの、新型コロナウイルスの感染第二波渦中にあるフランスへの入国が不可能となったため、1級山岳アラモン・フォルミガルにフィニッシュする難易度ダウンのステージに変更されている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2020第5ステージ結果
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 4:19:25 |
2位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:04 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、サンウェブ) | 0:12 |
4位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 2:13 |
5位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | アレックス・アランブル(スペイン、アスタナ) | |
7位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | |
8位 | ジュリアン・シモン(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | |
9位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | ドリアン・ゴドン(フランス、アージェードゥーゼル) | |
DNF | グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・マクラーレン) | |
DNF | フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、CCCチーム) | |
DNF | ナタナエル・ベルハネ(エリトリア、コフィディス) |
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 20:52:31 |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:05 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:13 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:32 |
5位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) | 0:38 |
6位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:44 |
7位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:17 |
8位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 1:29 |
9位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 1:55 |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | 1:57 |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 19pts |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 18pts |
3位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 16pts |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 65pts |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 57pts |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 57pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 20:53:03 |
2位 | アンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 2:26 |
3位 | ジーノ・マーダー(スイス、NTTプロサイクリング) | 2:59 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィズマ | 62:40:36 |
2位 | モビスター | 1:42 |
3位 | UAEチームエミレーツ | 7:14 |
text:So Isobe
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