2020/10/11(日) - 23:26
ジロ・デ・イタリアの第1週を締めくくる第9ステージ、雨の1級山岳ロッカラーゾ山頂フィニッシュでルーベン・ゲレイロ(EFプロサイクリング)が逃げ切り勝利を果たし、同じくポルトガル出身のホアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)がマリアローザを死守した。
シチリアから始まった長い大会1週目を締めくくるのはジロ登場8回目のアブルッツォ州ロッカラーゾ(1級山岳フィニッシュは2回目)。イタリア半島の背骨を構成するアペニン山脈を走る208kmコースには1級山岳と2級山岳が2つずつ登場する。その獲得標高差は4,500mを超え、大会前半のクライマックスを予感させた。
1級山岳ランチャーノ峠(全長12.7km・平均6.9%)に始まり、2級山岳サンレオナルド峠と2級山岳ボスコ・ディ・サンタントニオを越えて最後は1級山岳ロッカラーゾ(全長9.6km・平均5.7%)へ。アルプスやドロミテの山岳と比べるとインパクトは小さいが、残り1kmから先の平均勾配は10.6%で、しかもフィニッシュ手前で最大勾配が12%まで跳ね上がる。標高1,658mのロッカラーゾ/アレモニャスキー場は気温10度を下回る冷たい雨に包まれた。
マリアアッズーラを着るフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)やアワーレコード保持者ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)という世界最高峰のルーラーも加わったレース序盤のアタック合戦。スタート地点サンサルヴォを離れてしばらく続いた海沿いの平坦路ではアタックが決まらず、75km地点の第1スプリントに向けて飛び立った4名がそのまま先行して最初の1級山岳ランチャーノ峠に突入していく。アドリア海を離れて内陸部に進むにつれて天候は下り坂に。
やがて追走3名が追いついて先頭で7名がまとまる頃には、メイン集団とのタイム差は5分を超えていた。出遅れながらも追走を仕掛けたミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)は単独で5分差を詰め、1級山岳ランチャーノ峠を下り切ったところで先頭合流を果たしている。
逃げグループを構成した8名
総合24位 ジョナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)6分49秒遅れ
総合26位 ラリー・ワーバス(アメリカ、アージェードゥーゼール)7分38秒遅れ
総合39位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング)18分32秒遅れ
総合63位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ヴィーニザブKTM)28分29秒遅れ
総合80位 エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、モビスター)38分05秒遅れ
総合85位 ベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング)41分14秒遅れ
総合90位 キリアン・フランキーニー(スイス、グルパマFDJ)42分32秒遅れ
総合102位 ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)50分39秒遅れ
これまでグランツールに11回出場し、2015年ツール・ド・フランスを総合24位で終えている実力者カストロビエホが逃げグループ内最高位の総合24位・6分49秒遅れ。タイム差が7分まで広がったためカストロビエホが暫定マリアローザとなったが、すぐさまドゥクーニンク・クイックステップが集団牽引を開始したためカストロビエホのバーチャル総合首位は短命に終わっている。
この日もヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)率いるトレック・セガフレードが長い下り区間でメイン集団をリードし、それ以外の区間ではドゥクーニンク・クイックステップが一貫してメイン集団をコントロールした。マリアローザチームの力をできるだけ消耗させたいライバルチームは助太刀することなくその後ろで隊列を組んだ。
タイム差4分でフィニッシュまで残り35kmを切ると、2級山岳ボスコ・ディ・サンタントニオの登りで逃げの中からステージ優勝に向けたセレクションが始まる。2017年から3年連続でロード世界選手権U23タイムトライアルで優勝している21歳ビョーグのアタックによって先頭は5名に。1級山岳ランチャーノ峠と2級山岳サンレオナルド峠を連続先頭通過して暫定的に山岳賞トップに立っていたヴィスコンティは、セプルベダとオコーナーとともに逃げグループから脱落した。
トレック・セガフレードの一時的なペースアップはメイン集団の人数を絞り込むには至らず、先頭5名がメイン集団から4分のリードを維持したまま最後の1級山岳ロッカラーゾの登りへと入っていく。勝負どころに差し掛かってもレインジャケットや雨用ジレを着たままの選手がいるほどの悪天候。冷たい雨が降りしきる中、前(ステージ優勝争い)と後ろ(マリアローザ争い)で2レースが展開されることに。
気温7〜8度のフィニッシュ地点を目指すうち、残り6km地点で先頭はカストロビエホとゲレイロの2名に絞られた。比較的大柄な追走3名(ビョーグ、フランキーニー、ワーバス)にタイム差をつけながら登り中腹の下り区間をクリアしたカストロビエホとゲレイロ。残り1km地点でのカストロビエホのアタックも決まらず、勾配がキツくなる残り200mでゲレイロが動く。
バイクを左右に大きく振りながらのダンシングで登りを突き進んだゲレイロに対し、しばらく対抗したカストロビエホはやがて下を向いて失速した。雨降る1級山岳ロッカラーゾの山頂で、ゲレイロがジロのためにデザインされたスペシャルジャージを何度もアピールしながらフィニッシュした。ステージ2位カストロビエホに続いて、追走グループから抜け出したビョーグがステージ3位でフィニッシュしている。
4分遅れのメイン集団は、7名を揃えるサンウェブに率いられる形で1級山岳ロッカラーゾに突入する。最初に動いたのは総合17位/2分47秒遅れのルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)と総合19位/3分18秒遅れのテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)。総合ジャンプアップを狙うハミルトンとゲイガンハートは、ドゥクーニンク・クイックステップやボーラ・ハンスグローエ、ユンボ・ヴィスマ、トレック・セガフレードがペースを作るメイン集団を突き放すことに成功する。
人数を減らしながら進むメイン集団の中からビッグネームが動いたのは、逃げグループと同じく残り200mからの急勾配区間だった。総合3位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)と総合7位ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)がライバルたちを引き離した。短距離アタックのため大きなリードを得ることはできなかったものの、マリアローザ候補の中で最も鋭い登坂力を見せたケルデルマンとフルサンが抜け出してフィニッシュしている。
ケルデルマンとフルサンを基準にして見ると、ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は3秒遅れ、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング)は6秒遅れ、ニバリとペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)は16秒遅れ、ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)は18秒遅れ、そしてステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)とハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)は21秒遅れている。
「これまで2位ばっかりだったので、ようやく満足のいく結果を掴むことができた。ジロでステージ優勝を飾ることの意味はとても大きい」。自身2度目のグランツールで初勝利を飾った26歳は喜ぶ。ジロでのポルトガル人選手のステージ優勝は31年ぶり。ゲレイロが1989年のアカシオ・ダシルバに続く2人目のポルトガル出身ステージ優勝者になった。「序盤からハードな展開で、とにかく逃げに乗ることができてよかった。平坦区間ではカストロビエホが逃げグループの中で最強だったよ。だから自分向きの急勾配区間が登場する残り1kmに向けて力をセーブしたんだ」。
アクセオン・ハーゲンスバーマン出身で、トレック・セガフレードとカチューシャ・アルペシンを経て2020年からEFプロサイクリングで走るゲレイロ。なお、2015〜2016年のアクセオン時代のチームメイトにはゲイガンハートやニールソン・ポーレス(アメリカ、EFプロサイクリング)、エディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)、クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・スタートアップネイション)らがおり、マリアローザを着るアルメイダも2018年と2019年に同チームに所属している。アクセス・メルクス(ベルギー)率いるアメリカチームは数多くの若手を発掘&育成しているが、スポンサー撤退によって2021年は解散の危機を迎えている。
「ホアン・アルメイダは兄弟のような存在で、ともにアクセス・メルクスのチームで育った。ともにこのジロで成功して、特別賞ジャージを着るなんてファンタスティックだ」。ステージ後半の2級山岳ボスコ・ディ・サンタントニオと1級山岳ロッカラーゾを先頭通過したゲレイロはヴィスコンティに8ポイント差をつけて山岳賞首位に。ステージ優勝の表彰に続いて、ゲレイロはマリアアッズーラを着てステージに登壇している。EFプロサイクリングは第3ステージ1級山岳エトナ山頂フィニッシュに続くステージ優勝&マリアアッズーラ獲得を果たした。
ポルトガル人選手のステージ優勝に続いてポルトガル人選手がマリアローザをキープ。アルメイダは総合ライバルたちからタイムを失いながらも首位を死守し、歴史上グランツールで最も長く総合リーダージャージを着用したポルトガル人選手となった。
「マリアローザを失うという最悪の結果も想定していた。深く苦しんだけど、今日もずっと働き続けてくれたチームメイトたちのために戦い続けたんだ。チームのため、そしてポルトガルのために。ルーベン・ゲレイロと一緒に祝福したいけど、今は集中力を切らすわけにはいかないので、パーティーはジロ閉幕後にとっておくよ」。アルメイダはマリアローザを着たまま大会最初の休息日を迎える。
ケルデルマンやポッツォヴィーヴォ、フルサンが総合順位を上げた一方で、ビルバオ、ファンフック、クライスヴァイクは下げる結果に。1級山岳ロッカラーゾで早めに仕掛け、ビッグネームを振り切ってフィニッシュしたハミルトンとゲイガンハートはそれぞれ2つずつ総合順位を上げている。
冷雨のフィニッシュにたどり着いたのは160名で、前日のステージ優勝者アレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が40分23秒遅れのステージ最下位。参考までにこの日のタイムカットはステージ優勝者のタイム(5時間41分20秒)の18%、1時間1分26秒遅れだった。
シチリアから始まった長い大会1週目を締めくくるのはジロ登場8回目のアブルッツォ州ロッカラーゾ(1級山岳フィニッシュは2回目)。イタリア半島の背骨を構成するアペニン山脈を走る208kmコースには1級山岳と2級山岳が2つずつ登場する。その獲得標高差は4,500mを超え、大会前半のクライマックスを予感させた。
1級山岳ランチャーノ峠(全長12.7km・平均6.9%)に始まり、2級山岳サンレオナルド峠と2級山岳ボスコ・ディ・サンタントニオを越えて最後は1級山岳ロッカラーゾ(全長9.6km・平均5.7%)へ。アルプスやドロミテの山岳と比べるとインパクトは小さいが、残り1kmから先の平均勾配は10.6%で、しかもフィニッシュ手前で最大勾配が12%まで跳ね上がる。標高1,658mのロッカラーゾ/アレモニャスキー場は気温10度を下回る冷たい雨に包まれた。
マリアアッズーラを着るフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)やアワーレコード保持者ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)という世界最高峰のルーラーも加わったレース序盤のアタック合戦。スタート地点サンサルヴォを離れてしばらく続いた海沿いの平坦路ではアタックが決まらず、75km地点の第1スプリントに向けて飛び立った4名がそのまま先行して最初の1級山岳ランチャーノ峠に突入していく。アドリア海を離れて内陸部に進むにつれて天候は下り坂に。
やがて追走3名が追いついて先頭で7名がまとまる頃には、メイン集団とのタイム差は5分を超えていた。出遅れながらも追走を仕掛けたミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)は単独で5分差を詰め、1級山岳ランチャーノ峠を下り切ったところで先頭合流を果たしている。
逃げグループを構成した8名
総合24位 ジョナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)6分49秒遅れ
総合26位 ラリー・ワーバス(アメリカ、アージェードゥーゼール)7分38秒遅れ
総合39位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング)18分32秒遅れ
総合63位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ヴィーニザブKTM)28分29秒遅れ
総合80位 エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、モビスター)38分05秒遅れ
総合85位 ベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング)41分14秒遅れ
総合90位 キリアン・フランキーニー(スイス、グルパマFDJ)42分32秒遅れ
総合102位 ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)50分39秒遅れ
これまでグランツールに11回出場し、2015年ツール・ド・フランスを総合24位で終えている実力者カストロビエホが逃げグループ内最高位の総合24位・6分49秒遅れ。タイム差が7分まで広がったためカストロビエホが暫定マリアローザとなったが、すぐさまドゥクーニンク・クイックステップが集団牽引を開始したためカストロビエホのバーチャル総合首位は短命に終わっている。
この日もヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)率いるトレック・セガフレードが長い下り区間でメイン集団をリードし、それ以外の区間ではドゥクーニンク・クイックステップが一貫してメイン集団をコントロールした。マリアローザチームの力をできるだけ消耗させたいライバルチームは助太刀することなくその後ろで隊列を組んだ。
タイム差4分でフィニッシュまで残り35kmを切ると、2級山岳ボスコ・ディ・サンタントニオの登りで逃げの中からステージ優勝に向けたセレクションが始まる。2017年から3年連続でロード世界選手権U23タイムトライアルで優勝している21歳ビョーグのアタックによって先頭は5名に。1級山岳ランチャーノ峠と2級山岳サンレオナルド峠を連続先頭通過して暫定的に山岳賞トップに立っていたヴィスコンティは、セプルベダとオコーナーとともに逃げグループから脱落した。
トレック・セガフレードの一時的なペースアップはメイン集団の人数を絞り込むには至らず、先頭5名がメイン集団から4分のリードを維持したまま最後の1級山岳ロッカラーゾの登りへと入っていく。勝負どころに差し掛かってもレインジャケットや雨用ジレを着たままの選手がいるほどの悪天候。冷たい雨が降りしきる中、前(ステージ優勝争い)と後ろ(マリアローザ争い)で2レースが展開されることに。
気温7〜8度のフィニッシュ地点を目指すうち、残り6km地点で先頭はカストロビエホとゲレイロの2名に絞られた。比較的大柄な追走3名(ビョーグ、フランキーニー、ワーバス)にタイム差をつけながら登り中腹の下り区間をクリアしたカストロビエホとゲレイロ。残り1km地点でのカストロビエホのアタックも決まらず、勾配がキツくなる残り200mでゲレイロが動く。
バイクを左右に大きく振りながらのダンシングで登りを突き進んだゲレイロに対し、しばらく対抗したカストロビエホはやがて下を向いて失速した。雨降る1級山岳ロッカラーゾの山頂で、ゲレイロがジロのためにデザインされたスペシャルジャージを何度もアピールしながらフィニッシュした。ステージ2位カストロビエホに続いて、追走グループから抜け出したビョーグがステージ3位でフィニッシュしている。
4分遅れのメイン集団は、7名を揃えるサンウェブに率いられる形で1級山岳ロッカラーゾに突入する。最初に動いたのは総合17位/2分47秒遅れのルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)と総合19位/3分18秒遅れのテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)。総合ジャンプアップを狙うハミルトンとゲイガンハートは、ドゥクーニンク・クイックステップやボーラ・ハンスグローエ、ユンボ・ヴィスマ、トレック・セガフレードがペースを作るメイン集団を突き放すことに成功する。
人数を減らしながら進むメイン集団の中からビッグネームが動いたのは、逃げグループと同じく残り200mからの急勾配区間だった。総合3位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)と総合7位ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)がライバルたちを引き離した。短距離アタックのため大きなリードを得ることはできなかったものの、マリアローザ候補の中で最も鋭い登坂力を見せたケルデルマンとフルサンが抜け出してフィニッシュしている。
ケルデルマンとフルサンを基準にして見ると、ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は3秒遅れ、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング)は6秒遅れ、ニバリとペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)は16秒遅れ、ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)は18秒遅れ、そしてステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)とハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル)は21秒遅れている。
「これまで2位ばっかりだったので、ようやく満足のいく結果を掴むことができた。ジロでステージ優勝を飾ることの意味はとても大きい」。自身2度目のグランツールで初勝利を飾った26歳は喜ぶ。ジロでのポルトガル人選手のステージ優勝は31年ぶり。ゲレイロが1989年のアカシオ・ダシルバに続く2人目のポルトガル出身ステージ優勝者になった。「序盤からハードな展開で、とにかく逃げに乗ることができてよかった。平坦区間ではカストロビエホが逃げグループの中で最強だったよ。だから自分向きの急勾配区間が登場する残り1kmに向けて力をセーブしたんだ」。
アクセオン・ハーゲンスバーマン出身で、トレック・セガフレードとカチューシャ・アルペシンを経て2020年からEFプロサイクリングで走るゲレイロ。なお、2015〜2016年のアクセオン時代のチームメイトにはゲイガンハートやニールソン・ポーレス(アメリカ、EFプロサイクリング)、エディ・ダンバー(アイルランド、イネオス・グレナディアーズ)、クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・スタートアップネイション)らがおり、マリアローザを着るアルメイダも2018年と2019年に同チームに所属している。アクセス・メルクス(ベルギー)率いるアメリカチームは数多くの若手を発掘&育成しているが、スポンサー撤退によって2021年は解散の危機を迎えている。
「ホアン・アルメイダは兄弟のような存在で、ともにアクセス・メルクスのチームで育った。ともにこのジロで成功して、特別賞ジャージを着るなんてファンタスティックだ」。ステージ後半の2級山岳ボスコ・ディ・サンタントニオと1級山岳ロッカラーゾを先頭通過したゲレイロはヴィスコンティに8ポイント差をつけて山岳賞首位に。ステージ優勝の表彰に続いて、ゲレイロはマリアアッズーラを着てステージに登壇している。EFプロサイクリングは第3ステージ1級山岳エトナ山頂フィニッシュに続くステージ優勝&マリアアッズーラ獲得を果たした。
ポルトガル人選手のステージ優勝に続いてポルトガル人選手がマリアローザをキープ。アルメイダは総合ライバルたちからタイムを失いながらも首位を死守し、歴史上グランツールで最も長く総合リーダージャージを着用したポルトガル人選手となった。
「マリアローザを失うという最悪の結果も想定していた。深く苦しんだけど、今日もずっと働き続けてくれたチームメイトたちのために戦い続けたんだ。チームのため、そしてポルトガルのために。ルーベン・ゲレイロと一緒に祝福したいけど、今は集中力を切らすわけにはいかないので、パーティーはジロ閉幕後にとっておくよ」。アルメイダはマリアローザを着たまま大会最初の休息日を迎える。
ケルデルマンやポッツォヴィーヴォ、フルサンが総合順位を上げた一方で、ビルバオ、ファンフック、クライスヴァイクは下げる結果に。1級山岳ロッカラーゾで早めに仕掛け、ビッグネームを振り切ってフィニッシュしたハミルトンとゲイガンハートはそれぞれ2つずつ総合順位を上げている。
冷雨のフィニッシュにたどり着いたのは160名で、前日のステージ優勝者アレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が40分23秒遅れのステージ最下位。参考までにこの日のタイムカットはステージ優勝者のタイム(5時間41分20秒)の18%、1時間1分26秒遅れだった。
ジロ・デ・イタリア2020第9ステージ結果
1位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) | 5:41:20 |
2位 | ジョナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:08 |
3位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) | 0:00:58 |
4位 | キリアン・フランキーニー(スイス、グルパマFDJ) | 0:01:16 |
5位 | ラリー・ワーバス(アメリカ、アージェードゥーゼール) | |
6位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:01:19 |
7位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:01:32 |
8位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:38 |
9位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | |
10位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | |
11位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:41 |
12位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
14位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング) | 0:01:44 |
16位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:01:52 |
17位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | |
19位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:56 |
23位 | ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:59 |
24位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
77位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 0:16:09 |
DNS | ルディ・バルビエ(フランス、イスラエル・スタートアップネイション) | |
DNF | パヴェル・コチェトコフ(ロシア、CCCチーム) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 35:35:50 |
2位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:30 |
3位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:00:39 |
4位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング) | 0:00:53 |
5位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:00:57 |
6位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | 0:01:01 |
7位 | ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:02 |
8位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:11 |
9位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:01:15 |
10位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:17 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 167pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 110pts |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 87pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) | 84pts |
2位 | ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ヴィーニザブKTM) | 76pts |
3位 | ジョナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 45pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 35:35:50 |
2位 | ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:02 |
3位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:01:15 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 106:40:50 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:11:44 |
3位 | サンウェブ | 0:13:07 |
text:Kei Tsuji
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