2020/10/08(木) - 16:48
グッドイヤーのフラッグシップロードタイヤ「EAGLE F1」に追加されたチューブレスレディモデルをテスト。低い転がり抵抗、優れたグリップとトラクション、耐パンク性能などを高次元でバランスしたハイパフォーマンスタイヤに仕上がる。
グッドイヤーのフラッグシップ「EAGLE F1」シリーズにチューブレスモデルが追加
2018年に自転車業界へ進出を果たした世界的タイヤメーカーのグッドイヤー。今春から塩野自転車が国内代理店となりロードタイヤが日本へも上陸。フラッグシップモデルの「EAGLE F1」シリーズ、あらゆる天候に対応した「VECTOR 4 SEASON」、エントリーグレードの「EAGLE SPORT」というラインアップを揃えている。
今回テストを行ったのは、EAGLE F1と軽量モデルであるEAGLE F1 Super Sportのチューブレスレディモデル。発売当初はクリンチャーモデルのみの展開だったが、今回新たにチューブレスレディを追加している。グッドイヤーはチューブレスレディを「Tubeless Complete(チューブレスコンプリート)」という独自の名称で呼んでおり、ロゴ部分の印字からタイヤタイプを判別することが可能だ。
EAGLE F1は斜めに溝を切ったパターンでグリップや排水性を高めている
EAGLE F1 SuperSportは浅い縦溝パターンのみとし転がり抵抗低減を狙う
EAGLE F1実測重量 285g(25C)
EAGLE F1 SuperSport実測重量 266g(25C)
コンパウンドには長年に渡るモータースポーツタイヤの開発ノウハウを投入し作られた「Dynamic:GSR」を採用。グラフェン・シリカ・ロードの頭文字を取ったネーミングで、天然ゴムと合成ゴムにグラフェンとシリカを独自のバランスで配合させ、低い転がり抵抗とドライ&ウェットの両方で優れたグリップを発揮するよう性能を煮詰めている。
さらに、クリンチャーと同じ120TPIケーシングの内側にはチューブレスライナーが加わっており、空気を逃さない気密性確保やサイドカットなどに対する耐久性向上に貢献している。タイヤビードに関してもチューブレスレディ専用設計となった「Dual Angle Bead」を採用しており、ポンプでの空気充填時に漏れを防いでビードが上がりやすいようデザインされている。
グッドイヤー EAGLE F1 Tubeless Complete
チューブレスレディを表すTubeless Complete(チューブレスコンプリート)の文字
最大空気圧は7.6Barまでの設定
グッドイヤー EAGLE F1 SuperSport Tubeless Complete
また、最新のETRTO規格に対応した作りとなっており、25/28Cでは内幅19mmリムに、30/32Cでは内幅21mmリムに最適化されていることもポイント。加えて、Tubeless Completeは徐々に増えつつあるフックレスリムにも対応しているとグッドイヤーは言う。
トレッドパターンはクリンチャーと共通で、EAGLE F1はショルダー部分に斜めに溝を切ったデザインによってコーナーでのグリップや雨天時の排水性を確保している。対して、EAGLE F1 SuperSportは浅い縦溝のみのパターンとすることでさらなる転がり抵抗低減を狙う。トレッドを若干薄く作り軽量化を図ることで、よりスピード重視とした点もSuperSportの特徴だ。
EAGLE F1は25~32Cまでの4サイズ展開で、25/28Cが7,700円(税抜)、30/32Cが8,200円(税抜)。EAGLE F1 SuperSportは25/28Cの2サイズ展開で、価格は8,000円(税抜)だ。サイズ展開や価格がクリンチャーモデルと異なる点には注意してほしい。
― 編集部インプレッション
「どの性能も高次元でまとまっている印象、低圧でも軽快な転がりを見せてくれた」
自転車業界に進出するやいなや、新モデルを矢継ぎ早にリリースしラインアップを一気に拡充させたグッドイヤー。その名前自体は知っているものの、自転車用のタイヤがいかほどの性能なのか気になっているユーザーも多いことだろう。
クルマやモータースポーツのタイヤメーカーとしては世界有数の知名度を誇るが、果たして自転車タイヤはどうなのだろうか。そんな一抹の不安は走り出してすぐに吹き飛んでしまった。さすがは120年もの歴史を持つ老舗メーカーだ。蓄積されてきたノウハウがフルに活かされたEAGLE F1シリーズは、他社フラッグシップと遜色ないレベルの高性能な走りを見せてくれた。
レーシングロードタイヤとして早くも高い完成度を見せてくれたEAGLE F1
正直何かの性能に尖った印象ではなかったものの、全ての要素がバランス良く備わった総合力の高いレーシングタイヤと言っていいだろう。ブランドの処女作というと大抵今一つな点が見つかるものだが、今作はグッドイヤーの名に恥じない高い完成度に仕上がっていた。
その中でも、最も印象的だったのが転がりの軽さ。チューブレスらしいロスの少ない軽快な転がり感が味わえ、高速域になってからのスピード維持が抜群にしやすかった。スピードに乗ってしまえばスーッと滑らかに転がってくれ、路面に引っかかるような重さも感じない。タイヤ重量自体は標準的なスペックのため、漕ぎ出しに関しては至って普通な印象だ。
「SuperSportはより軽い転がりが味わえるスピード重視の性能を感じた」
加えて、低めの空気圧で乗ってみてもその転がりの軽さを維持してくれた点には驚かされた。空気圧を落として乗り心地が良くなる代わりに転がりが重くなる、というのが一般的だが、このEAGLE F1は4.5Bar前後(筆者体重55kg)でも持ち前の転がり感はほぼ損なわれず、軽快な走りを楽しむことができた。サイドウォールの作りがしっかりしており、空気圧を下げても変にタイヤが潰れないことに起因していそうだ。
最大空気圧は7.6Barと高めのため、好みの乗り心地を探りながら調整してみてほしいが、あまり上げすぎるとチューブレスらしい快適さが薄れてしまった(乗り心地が硬くなってしまった)ため、その点は注意してほしい。
どちらかと言えばモチモチした感触のコンパウンドで、路面からの振動カットに一役買っている
コンパウンドの感触としてはどちらかと言えばモチモチ系の乗り味に仕上がっており、路面からの細かい振動をカットして快適な乗り心地に寄与してくれた。路面を這うような高いトラクションやグリップといった感覚はなかったが、コーナーを攻めてみても不安感はなく、十分にレースレベルで使えるタイヤに仕上がっている。
今回2つのモデルを乗り比べてみたが、やはりSuperSportの方がより転がりが軽く軽快性に秀でている感覚があった。しかし、両者で劇的に乗り味が変わるようなことはなく、少しでも耐パンク性を気にするならノーマルモデル、よりスピードを重視したいならSuperSportという選び分けでいいだろう。新しいモノ好きなサイクリストもきっと満足するであろう、ハイパフォーマンスタイヤをぜひチェックしてみてほしい。(CW編集部・村田)
トレンドのチューブレスレディタイプを追加したEAGLE F1シリーズ
グッドイヤー EAGLE F1 Tubeless Complete
タイヤタイプ:チューブレスレディ
コンパウンド:Dynamic:GSR
サイズ(重量):25C(275g)、28C(310g)、30C(330g)、32C(340g)
価格:
25/28C 7,700円(税抜)
30/32C 8,200円(税抜)
グッドイヤー EAGLE F1 SuperSport Tubeless Complete
タイヤタイプ:チューブレスレディ
コンパウンド:Dynamic:GSR
サイズ(重量):25C(255g)、28C(280g)
価格:8,000円(税抜)
impression&photo:Yuto Murata
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2018年に自転車業界へ進出を果たした世界的タイヤメーカーのグッドイヤー。今春から塩野自転車が国内代理店となりロードタイヤが日本へも上陸。フラッグシップモデルの「EAGLE F1」シリーズ、あらゆる天候に対応した「VECTOR 4 SEASON」、エントリーグレードの「EAGLE SPORT」というラインアップを揃えている。
今回テストを行ったのは、EAGLE F1と軽量モデルであるEAGLE F1 Super Sportのチューブレスレディモデル。発売当初はクリンチャーモデルのみの展開だったが、今回新たにチューブレスレディを追加している。グッドイヤーはチューブレスレディを「Tubeless Complete(チューブレスコンプリート)」という独自の名称で呼んでおり、ロゴ部分の印字からタイヤタイプを判別することが可能だ。
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コンパウンドには長年に渡るモータースポーツタイヤの開発ノウハウを投入し作られた「Dynamic:GSR」を採用。グラフェン・シリカ・ロードの頭文字を取ったネーミングで、天然ゴムと合成ゴムにグラフェンとシリカを独自のバランスで配合させ、低い転がり抵抗とドライ&ウェットの両方で優れたグリップを発揮するよう性能を煮詰めている。
さらに、クリンチャーと同じ120TPIケーシングの内側にはチューブレスライナーが加わっており、空気を逃さない気密性確保やサイドカットなどに対する耐久性向上に貢献している。タイヤビードに関してもチューブレスレディ専用設計となった「Dual Angle Bead」を採用しており、ポンプでの空気充填時に漏れを防いでビードが上がりやすいようデザインされている。
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トレッドパターンはクリンチャーと共通で、EAGLE F1はショルダー部分に斜めに溝を切ったデザインによってコーナーでのグリップや雨天時の排水性を確保している。対して、EAGLE F1 SuperSportは浅い縦溝のみのパターンとすることでさらなる転がり抵抗低減を狙う。トレッドを若干薄く作り軽量化を図ることで、よりスピード重視とした点もSuperSportの特徴だ。
EAGLE F1は25~32Cまでの4サイズ展開で、25/28Cが7,700円(税抜)、30/32Cが8,200円(税抜)。EAGLE F1 SuperSportは25/28Cの2サイズ展開で、価格は8,000円(税抜)だ。サイズ展開や価格がクリンチャーモデルと異なる点には注意してほしい。
― 編集部インプレッション
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クルマやモータースポーツのタイヤメーカーとしては世界有数の知名度を誇るが、果たして自転車タイヤはどうなのだろうか。そんな一抹の不安は走り出してすぐに吹き飛んでしまった。さすがは120年もの歴史を持つ老舗メーカーだ。蓄積されてきたノウハウがフルに活かされたEAGLE F1シリーズは、他社フラッグシップと遜色ないレベルの高性能な走りを見せてくれた。
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その中でも、最も印象的だったのが転がりの軽さ。チューブレスらしいロスの少ない軽快な転がり感が味わえ、高速域になってからのスピード維持が抜群にしやすかった。スピードに乗ってしまえばスーッと滑らかに転がってくれ、路面に引っかかるような重さも感じない。タイヤ重量自体は標準的なスペックのため、漕ぎ出しに関しては至って普通な印象だ。
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加えて、低めの空気圧で乗ってみてもその転がりの軽さを維持してくれた点には驚かされた。空気圧を落として乗り心地が良くなる代わりに転がりが重くなる、というのが一般的だが、このEAGLE F1は4.5Bar前後(筆者体重55kg)でも持ち前の転がり感はほぼ損なわれず、軽快な走りを楽しむことができた。サイドウォールの作りがしっかりしており、空気圧を下げても変にタイヤが潰れないことに起因していそうだ。
最大空気圧は7.6Barと高めのため、好みの乗り心地を探りながら調整してみてほしいが、あまり上げすぎるとチューブレスらしい快適さが薄れてしまった(乗り心地が硬くなってしまった)ため、その点は注意してほしい。
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今回2つのモデルを乗り比べてみたが、やはりSuperSportの方がより転がりが軽く軽快性に秀でている感覚があった。しかし、両者で劇的に乗り味が変わるようなことはなく、少しでも耐パンク性を気にするならノーマルモデル、よりスピードを重視したいならSuperSportという選び分けでいいだろう。新しいモノ好きなサイクリストもきっと満足するであろう、ハイパフォーマンスタイヤをぜひチェックしてみてほしい。(CW編集部・村田)
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サイズ(重量):25C(275g)、28C(310g)、30C(330g)、32C(340g)
価格:
25/28C 7,700円(税抜)
30/32C 8,200円(税抜)
グッドイヤー EAGLE F1 SuperSport Tubeless Complete
タイヤタイプ:チューブレスレディ
コンパウンド:Dynamic:GSR
サイズ(重量):25C(255g)、28C(280g)
価格:8,000円(税抜)
impression&photo:Yuto Murata
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