2020/09/28(月) - 01:50
フィニッシュまで12kmを残し、急勾配の登りで集団から飛び立ったジュリアン・アラフィリップ(フランス)。ロード世界選手権男子エリートロードレースで強力な追走グループを振り切ったアラフィリップがフランスに23年ぶりのアルカンシェルをもたらした。序盤から180kmにわたって逃げた新城幸也は最終周回を前にレースを降りている。
曇り空のエミリア=ロマーニャに虹色狙いのトップ選手が集結
9月27日、4日間にわたって行われたロード世界選手権エミリア=ロマーニャ大会の最終日、男子エリートロードレースが寒空のイモラサーキットを起点にした27.8km周回コースで開催された。
「マッツォラーノ(距離2.8km・平均勾配5.9%・最大勾配13%)」と「チーマ・ガッリステルナ(距離2.7km・平均勾配6.4%・最大勾配14%)」を含む周回コースは女子エリートと共通。男子エリートは9周回、全長258.2km、獲得標高差5,000mという過去10年で最も厳しいボリュームでの開催となった。
最高気温が12度だった前年度のヨークシャー大会よりは気温が高いとは言え、午前9時50分のスタート時点は気温13度で、午後2時の18度をピークに降下。天気予報が夕方にかけて高い降水確率を告げていたため、どの選手も灰色の空を見上げながらスタート位置に付く。腕を組みながら「寒いから早く走りたい」と言って最後尾からスタートした新城幸也(バーレーン・マクラーレン)が0km地点からアタック合戦に乗った。
レース前のPCR検査で陽性となったアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)らを除く174名の集団から飛び出したのは7名。ここに日本から唯一の参戦となった新城が乗った。「どの展開が嵌るのかを考えながら、必ず逃げるというわけではなかったです。でも逃げたがっている選手が多かったし、主要国は早く逃げを行かせたがっていた。もっと逃げに乗ってくるかなと思ったけどこなかったですね。結果的に速くないメンバーの逃げになったけど、もう(集団に)戻りようがなかった」と、7名で逃げるきっかけについて新城は振り返る。48分前後のラップタイムを刻んだメイン集団に対し、逃げグループは最大で7分のタイム差を得た。
逃げグループを形成した7名
新城幸也(バーレーン・マクラーレン)
ヨナス・コッホ(ドイツ)
トースタイン・トラエーン(ノルウェー)
マルコ・フリードリヒ(オーストリア)
エドゥアルド・グロス(ルーマニア)
ウリセス・カスティーリョ(メキシコ)
ダニイル・フォミニク(カザフスタン)
「逃げていれば全く問題ないけど、集団の中で走っていれば下りの位置どりがとても大事になってくる。位置取りに失敗すると登りで脚を使うことになるコース」と、逃げグループの中で最年長の新城は語る。淡々と逃げ続けた先頭7名に対し、レース中盤に差し掛かるとスイスとデンマークがメイン集団のペースアップを開始する。
「(タイム差7分という数字は)足りなかったですね。世界選手権では10分差がついてもおかしくないのに。そして逃げグループの中でも引ける選手と引けない選手がいて、足並みが揃わなかった」と新城。
タイム差が5分を割り込んだ6周目、逃げグループからコッホとトラエーンが加速すると新城は脱落してしまう。そこから新城は1周強にわたって単独で追走を続けたが、フィニッシュまで73km(残り2.5周回)を残した7周目にメイン集団に吸収された。「ずっと目の前に2人が見えていたので、レッドゾーンに入らないように気をつけながら、一人になってからもある程度のペースで踏み続けました。でも前に追いつけず、緩めながら集団に吸収された」。
新城の作戦はそこからメイン集団に食らいつき、ペースアップに対応しながらできる限り前でフィニッシュすることだった。しかし新城吸収後すぐの「チーマ・ガッリステルナ」でフランスチームがペースアップを開始。ここで新城はメイン集団から脱落し、さらに先頭のコッホとトラエーンも捕らえられる。残り2周回。主要国による組織的なレース作りが始まった。
ポガチャルの独走、ベルギーの追走、アラフィリップのアタック
一気に人数が半分になった状態でメイン集団は8周目(残り2周回)に突入。「マッツォラーノ」でベルギーチームが主導権を握ってペースを上げ、続く「チーマ・ガッリステルナ」でツール・ド・フランス覇者が動いた。1週間前にパリでマイヨジョーヌを受け取ったタデイ・ポガチャル(スロベニア)が急勾配の登りでアタックを仕掛けて先行開始。前日にアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が独走に持ち込んだのと同じ場所・同じタイミングでポガチャルが飛び出したものの、後方ではベルギーチーム(ウェレンス、ファンアーヴェルマート、ベノート、ファンアールト)が追走をかけた。
ポガチャルは約35名で構成されるメイン集団から25秒のリードで最終周回に突入する。1つ目の「マッツォラーノ」の登りでミケル・ランダ(スペイン)やトム・デュムラン(オランダ)がアタックを仕掛け、結果的に先頭ポガチャルは吸収される。先に飛び出したダミアーノ・カルーゾ(イタリア)の吸収とともにヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)がアタックを仕掛けたものの、いずれの動きもワウト・ファンアールト(ベルギー)らによって封じ込められた。
リゴベルト・ウラン(コロンビア)やファウスト・マスナダ(イタリア)、ヤン・ポランツ(スロベニア)らのアタックはいずれも不発に終わり、ギヨーム・マルタン(フランス)が単独で飛び出した状態で最後の「チーマ・ガッリステルナ」へ。急勾配の登りで約25名の精鋭集団を率いてペースを上げたのはグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)。集団を縦に伸ばし、脱落者を続出させたファンアーヴェルマートの牽引から、ツール総合敢闘賞マルク・ヒルシ(スイス)が飛び出した。
ヒルシのアタックに反応できたのはファンアールト、ニバリ、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)、マキシミリアン・シャフマン(ドイツ)、ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)、ヤコブ・フルサン(デンマーク)の7名のみ。クフィアトコフスキの加速によってニバリが脱落すると、続いて頂上まで300mほどを残してアラフィリップが加速する。
急勾配区間をダンシングで踏み抜き、後続とのギャップを確認して下り区間に向かって加速したアラフィリップ。5秒遅れで頂上を通過したフルサン、クフィアトコフスキ、ファンアールト、ヒルシ、ログリッチの5名が追走グループを形成したものの、登り返しも多い下り区間でアラフィリップのリードは15秒にまで拡大する。牽制の入った追走グループはペースが上がりきらず、アラフィリップ独走のままイモラサーキットに差し掛かった。
サーキット内の短い登りを利用したファンアールトのアタックも決まらない。再び牽制状態に陥った追走5名が実質的な銀メダル争いのスプリントに備える中、6時間38分前にスタートが切られたフィニッシュラインにアラフィリップが先頭で帰ってきた。
いつもの片手を大きく振り上げるポーズを経て、両手を大きく広げ、さらにもう一度右手の拳を突き上げたアラフィリップ。12km強の独走を成功させたアラフィリップから遅れること24秒のスプリントで、一人完全に抜け出したファンアールトが2位、クフィアトコフスキと競り合ったヒルシが3位に入っている。ファンアールトは個人タイムトライアルに続く銀メダル獲得となった。
フランス23年ぶりのアルカンシェル 逃げで可能性を探った新城
「キャリアにおける夢を叶えることができた。これは全てチームメイトたちのおかげ。これまで表彰台にも登ったことがない世界選手権で、夢を叶えることができた」。アルカンシェルを着て表彰式の開始を待つ間、フランスチームのチームメイトたちに祝福されたアラフィリップは目に涙を浮かべながら空を見上げた。
これまでミラノ〜サンレモやストラーデビアンケ、クラシカ・サンセバスティアンといったワンデーレースで勝利し、ツール・ド・フランスではステージ通算5勝を飾っているアラフィリップが「間違いなく、キャリア最大の勝利」を掴んだ。アラフィリップは(サプライヤーが間に合えば)真新しいアルカンシェルを着て大会3連覇がかかった3日後のラ・フレーシュ・ワロンヌに挑む。
トマ・ヴォクレール監督が指揮をとるフランスチームが23年ぶりとなる男子エリートカテゴリーの世界タイトル獲得。フランス人選手によるアルカンシェル獲得は1997年のローラン・ブロシャールまで遡る(同年ローラン・ジャラベールが個人TTを制している)。
メイン集団が前半にかけて刻んだ45〜48分のラップタイムは6周目と7周目にかけて41分台に。そして8周目と9周目は40分台、平均スピード42km/hオーバーで駆け抜けている。この日の完走者は88名。新城は最終周回に入らずにレースを降りた。
通常のロードレースとは異なり、集団に控えるチームを温存するための逃げではなく、自分の成績を狙うための逃げを試みた新城。「自分の場合、自分で展開に嵌め込まないと可能性が生まれない。獲得標高差5,000mというコースは決して自分向きではないですし、単騎で、自分ができる最大限のパフォーマンスを発揮しようとした時に、前で(逃げて)待って残り2周回で捕まるのが一番大きな結果を残せると判断しました」。
「ただ、前待ちの作戦だったんですが、追いつかれるタイミングが悪かった。2つ目の登りの手前で追いつかれてしまったんです。登りを集団内で越えていれば何とか行けた(残れた)と思うんですけど、タイミングが合わなかった。残り2周回だと集団も人数が絞られているし、そこで粘る作戦でした。嵌ればチャンスがあると思ったから挑戦した。でも今回は嵌らなかった」。結果だけを見れば2年連続となるDNFだが、中切れによって消化不良のままレースを終えた1年前と比べると本人の表情はずっと明るい。U23時代から数えて14回目の世界選手権を終えた新城はすぐさまフランスに帰国し、調子の良さを維持しながら次なるレースに備える。
曇り空のエミリア=ロマーニャに虹色狙いのトップ選手が集結
9月27日、4日間にわたって行われたロード世界選手権エミリア=ロマーニャ大会の最終日、男子エリートロードレースが寒空のイモラサーキットを起点にした27.8km周回コースで開催された。
「マッツォラーノ(距離2.8km・平均勾配5.9%・最大勾配13%)」と「チーマ・ガッリステルナ(距離2.7km・平均勾配6.4%・最大勾配14%)」を含む周回コースは女子エリートと共通。男子エリートは9周回、全長258.2km、獲得標高差5,000mという過去10年で最も厳しいボリュームでの開催となった。
最高気温が12度だった前年度のヨークシャー大会よりは気温が高いとは言え、午前9時50分のスタート時点は気温13度で、午後2時の18度をピークに降下。天気予報が夕方にかけて高い降水確率を告げていたため、どの選手も灰色の空を見上げながらスタート位置に付く。腕を組みながら「寒いから早く走りたい」と言って最後尾からスタートした新城幸也(バーレーン・マクラーレン)が0km地点からアタック合戦に乗った。
レース前のPCR検査で陽性となったアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)らを除く174名の集団から飛び出したのは7名。ここに日本から唯一の参戦となった新城が乗った。「どの展開が嵌るのかを考えながら、必ず逃げるというわけではなかったです。でも逃げたがっている選手が多かったし、主要国は早く逃げを行かせたがっていた。もっと逃げに乗ってくるかなと思ったけどこなかったですね。結果的に速くないメンバーの逃げになったけど、もう(集団に)戻りようがなかった」と、7名で逃げるきっかけについて新城は振り返る。48分前後のラップタイムを刻んだメイン集団に対し、逃げグループは最大で7分のタイム差を得た。
逃げグループを形成した7名
新城幸也(バーレーン・マクラーレン)
ヨナス・コッホ(ドイツ)
トースタイン・トラエーン(ノルウェー)
マルコ・フリードリヒ(オーストリア)
エドゥアルド・グロス(ルーマニア)
ウリセス・カスティーリョ(メキシコ)
ダニイル・フォミニク(カザフスタン)
「逃げていれば全く問題ないけど、集団の中で走っていれば下りの位置どりがとても大事になってくる。位置取りに失敗すると登りで脚を使うことになるコース」と、逃げグループの中で最年長の新城は語る。淡々と逃げ続けた先頭7名に対し、レース中盤に差し掛かるとスイスとデンマークがメイン集団のペースアップを開始する。
「(タイム差7分という数字は)足りなかったですね。世界選手権では10分差がついてもおかしくないのに。そして逃げグループの中でも引ける選手と引けない選手がいて、足並みが揃わなかった」と新城。
タイム差が5分を割り込んだ6周目、逃げグループからコッホとトラエーンが加速すると新城は脱落してしまう。そこから新城は1周強にわたって単独で追走を続けたが、フィニッシュまで73km(残り2.5周回)を残した7周目にメイン集団に吸収された。「ずっと目の前に2人が見えていたので、レッドゾーンに入らないように気をつけながら、一人になってからもある程度のペースで踏み続けました。でも前に追いつけず、緩めながら集団に吸収された」。
新城の作戦はそこからメイン集団に食らいつき、ペースアップに対応しながらできる限り前でフィニッシュすることだった。しかし新城吸収後すぐの「チーマ・ガッリステルナ」でフランスチームがペースアップを開始。ここで新城はメイン集団から脱落し、さらに先頭のコッホとトラエーンも捕らえられる。残り2周回。主要国による組織的なレース作りが始まった。
ポガチャルの独走、ベルギーの追走、アラフィリップのアタック
一気に人数が半分になった状態でメイン集団は8周目(残り2周回)に突入。「マッツォラーノ」でベルギーチームが主導権を握ってペースを上げ、続く「チーマ・ガッリステルナ」でツール・ド・フランス覇者が動いた。1週間前にパリでマイヨジョーヌを受け取ったタデイ・ポガチャル(スロベニア)が急勾配の登りでアタックを仕掛けて先行開始。前日にアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が独走に持ち込んだのと同じ場所・同じタイミングでポガチャルが飛び出したものの、後方ではベルギーチーム(ウェレンス、ファンアーヴェルマート、ベノート、ファンアールト)が追走をかけた。
ポガチャルは約35名で構成されるメイン集団から25秒のリードで最終周回に突入する。1つ目の「マッツォラーノ」の登りでミケル・ランダ(スペイン)やトム・デュムラン(オランダ)がアタックを仕掛け、結果的に先頭ポガチャルは吸収される。先に飛び出したダミアーノ・カルーゾ(イタリア)の吸収とともにヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)がアタックを仕掛けたものの、いずれの動きもワウト・ファンアールト(ベルギー)らによって封じ込められた。
リゴベルト・ウラン(コロンビア)やファウスト・マスナダ(イタリア)、ヤン・ポランツ(スロベニア)らのアタックはいずれも不発に終わり、ギヨーム・マルタン(フランス)が単独で飛び出した状態で最後の「チーマ・ガッリステルナ」へ。急勾配の登りで約25名の精鋭集団を率いてペースを上げたのはグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)。集団を縦に伸ばし、脱落者を続出させたファンアーヴェルマートの牽引から、ツール総合敢闘賞マルク・ヒルシ(スイス)が飛び出した。
ヒルシのアタックに反応できたのはファンアールト、ニバリ、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)、マキシミリアン・シャフマン(ドイツ)、ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)、ヤコブ・フルサン(デンマーク)の7名のみ。クフィアトコフスキの加速によってニバリが脱落すると、続いて頂上まで300mほどを残してアラフィリップが加速する。
急勾配区間をダンシングで踏み抜き、後続とのギャップを確認して下り区間に向かって加速したアラフィリップ。5秒遅れで頂上を通過したフルサン、クフィアトコフスキ、ファンアールト、ヒルシ、ログリッチの5名が追走グループを形成したものの、登り返しも多い下り区間でアラフィリップのリードは15秒にまで拡大する。牽制の入った追走グループはペースが上がりきらず、アラフィリップ独走のままイモラサーキットに差し掛かった。
サーキット内の短い登りを利用したファンアールトのアタックも決まらない。再び牽制状態に陥った追走5名が実質的な銀メダル争いのスプリントに備える中、6時間38分前にスタートが切られたフィニッシュラインにアラフィリップが先頭で帰ってきた。
いつもの片手を大きく振り上げるポーズを経て、両手を大きく広げ、さらにもう一度右手の拳を突き上げたアラフィリップ。12km強の独走を成功させたアラフィリップから遅れること24秒のスプリントで、一人完全に抜け出したファンアールトが2位、クフィアトコフスキと競り合ったヒルシが3位に入っている。ファンアールトは個人タイムトライアルに続く銀メダル獲得となった。
フランス23年ぶりのアルカンシェル 逃げで可能性を探った新城
「キャリアにおける夢を叶えることができた。これは全てチームメイトたちのおかげ。これまで表彰台にも登ったことがない世界選手権で、夢を叶えることができた」。アルカンシェルを着て表彰式の開始を待つ間、フランスチームのチームメイトたちに祝福されたアラフィリップは目に涙を浮かべながら空を見上げた。
これまでミラノ〜サンレモやストラーデビアンケ、クラシカ・サンセバスティアンといったワンデーレースで勝利し、ツール・ド・フランスではステージ通算5勝を飾っているアラフィリップが「間違いなく、キャリア最大の勝利」を掴んだ。アラフィリップは(サプライヤーが間に合えば)真新しいアルカンシェルを着て大会3連覇がかかった3日後のラ・フレーシュ・ワロンヌに挑む。
トマ・ヴォクレール監督が指揮をとるフランスチームが23年ぶりとなる男子エリートカテゴリーの世界タイトル獲得。フランス人選手によるアルカンシェル獲得は1997年のローラン・ブロシャールまで遡る(同年ローラン・ジャラベールが個人TTを制している)。
メイン集団が前半にかけて刻んだ45〜48分のラップタイムは6周目と7周目にかけて41分台に。そして8周目と9周目は40分台、平均スピード42km/hオーバーで駆け抜けている。この日の完走者は88名。新城は最終周回に入らずにレースを降りた。
通常のロードレースとは異なり、集団に控えるチームを温存するための逃げではなく、自分の成績を狙うための逃げを試みた新城。「自分の場合、自分で展開に嵌め込まないと可能性が生まれない。獲得標高差5,000mというコースは決して自分向きではないですし、単騎で、自分ができる最大限のパフォーマンスを発揮しようとした時に、前で(逃げて)待って残り2周回で捕まるのが一番大きな結果を残せると判断しました」。
「ただ、前待ちの作戦だったんですが、追いつかれるタイミングが悪かった。2つ目の登りの手前で追いつかれてしまったんです。登りを集団内で越えていれば何とか行けた(残れた)と思うんですけど、タイミングが合わなかった。残り2周回だと集団も人数が絞られているし、そこで粘る作戦でした。嵌ればチャンスがあると思ったから挑戦した。でも今回は嵌らなかった」。結果だけを見れば2年連続となるDNFだが、中切れによって消化不良のままレースを終えた1年前と比べると本人の表情はずっと明るい。U23時代から数えて14回目の世界選手権を終えた新城はすぐさまフランスに帰国し、調子の良さを維持しながら次なるレースに備える。
ロード世界選手権2020男子エリートロードレース結果
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス) | 6:38:34 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー) | 0:00:24 |
3位 | マルク・ヒルシ(スイス) | |
4位 | ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド) | |
5位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク) | |
6位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア) | |
7位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア) | 0:00:53 |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン) | |
9位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ) | |
10位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア) | |
11位 | ミケル・ヴァルグレン(デンマーク) | |
12位 | マイケル・ウッズ(カナダ) | |
13位 | ギヨーム・マルタン(フランス) | |
14位 | トム・デュムラン(オランダ) | |
15位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア) | 0:00:57 |
16位 | ミケル・ランダ(スペイン) | |
17位 | シモン・ゲシュケ(ドイツ) | 0:01:34 |
18位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア) | |
19位 | ルディ・モラール(フランス) | |
20位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン) | |
DNF | 新城幸也(バーレーン・マクラーレン) |
text&photo:Kei Tsuji in Imola, Italy
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