今回紹介するツール・ド・フランスプロバイクは、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)のマイヨジョーヌ着用やサム・ベネット(アイルランド)のマイヨヴェール獲得など大成功を収めたドゥクーニンク・クイックステップ。TARMAC SL7や未だ現役のVENGEなどにフォーカスします。



ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)のS-WORKS TARMAC SL7ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)のS-WORKS TARMAC SL7 photo:Makoto.AYANO
狙い通りのステージ優勝で3日間マイヨジョーヌを着用したジュリアン・アラフィリップ(フランス)や、最終シャンゼリゼステージなど区間2勝を収め、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を破ってマイヨヴェールを射止めたサム・ベネット(アイルランド)などを擁し、常勝軍団たるレース運びを見せたドゥクーニンク・クイックステップ。

パトリック・ルフェーブルGM率いる"ウルフパック"が駆るのは、もちろんスペシャライズドのS-WORKS TARMAC SL7。黒とガンメタリックに塗り分けられたチームカラーは軽さを意識したもので、「TARMAC」ロゴはシートステー下側に入るボーラ・ハンスグローエとは違い、シートチューブ上側にある。これは市販モデルでも共通する差異だ。

TOGETHER WE WINのレター入りスペシャルバイクを駆るサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)TOGETHER WE WINのレター入りスペシャルバイクを駆るサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:ASO/Alex Broadway
最終日までサム・ベネット(アイルランド)が乗ったS-WORKS TARMAC SL7。バーテープのみマイヨヴェール仕様だ最終日までサム・ベネット(アイルランド)が乗ったS-WORKS TARMAC SL7。バーテープのみマイヨヴェール仕様だ photo:Makoto.AYANOジュリアン・アラフィリップ(フランス)のスペシャライズド S-WORKS TARMAC SL7ジュリアン・アラフィリップ(フランス)のスペシャライズド S-WORKS TARMAC SL7 photo:Makoto.AYANO

レミ・カヴァニャ(フランス)はS-WORKS VENGEを愛用中レミ・カヴァニャ(フランス)はS-WORKS VENGEを愛用中 photo:Makoto.AYANO
スプリンターのベネットを始めほとんどの選手がTARMAC SL7に乗るが、"クレルモンフェランのTGV"ことTTスペシャリストのレミ・カヴァニャ(フランス)は引き続きS-WORKS VENGEを愛用中。タイムトライアルバイクは昨年デビューしたSHIV TT Discと、使用機材を100%ディスクブレーキ化している数少ないチームの一つだ。

シマノのグローバルサポートチームのドゥクーニンク・クイックステップだけに、コンポーネントは油圧ディスクブレーキのDURA-ACE DI2で統一。ディスクブレーキローターは軽量化を重視してかXTRのRT-MT900を装着するシーンが多く見られた。ハンドルはスペシャライズド製品を使う選手(ベネットやカヴァニャ)もいれば、PRO製品を使う選手(アラフィリップなど)もいるが、ステムはほぼ全選手がスペシャライズド。アラフィリップはステムギリギリまで厚く巻いたバーテープセッティングが特徴だ。

ナショナルチャンピオンカラーにペイントされたカスパー・アスグリーン(デンマーク)のSHIV TT Disc。ハンドルもワンオフだナショナルチャンピオンカラーにペイントされたカスパー・アスグリーン(デンマーク)のSHIV TT Disc。ハンドルもワンオフだ photo:Makoto.AYANO
デンマーク国旗をあしらったアスグリーンのSHIV TT Disc。上の写真と見比べると左右非対称デザインであることが分かるデンマーク国旗をあしらったアスグリーンのSHIV TT Disc。上の写真と見比べると左右非対称デザインであることが分かる photo:Makoto.AYANOTTバイクの後輪はロヴァール321。ディスクブレーキ仕様だTTバイクの後輪はロヴァール321。ディスクブレーキ仕様だ photo:Makoto.AYANO


なお、相変わらずベネットはスプリンターながらDI2のスプリンタースイッチを使用していない。セラミックスピードがサプライヤーに就くためボトムブラケットやホイールハブはセラミックベアリング化されているが、リアディレイラーはシマノ純正のままだ。

使用率の高いクリンチャーホイールのRAPIDE。タイヤはTURBO COTTONだ使用率の高いクリンチャーホイールのRAPIDE。タイヤはTURBO COTTONだ photo:Makoto.AYANO
スプリンタースイッチを使わないサム・ベネット(アイルランド)スプリンタースイッチを使わないサム・ベネット(アイルランド) photo:Makoto.AYANOBBやホイールハブはセラミックスピード製へとアップグレードされているBBやホイールハブはセラミックスピード製へとアップグレードされている photo:Makoto.AYANO


ホイールはロヴァールの新型ホイール、ALPINSTとRAPIDEだが、継続してチューブラーモデルのCLXシリーズの使用率も高い。CLX50はもちろんCLX32を使用するシーンも散見されている。なおCLXのディスクブレーキ/チューブラー仕様は市販品には存在しなかったため、専用供給品あるいはメカニックによる組み直しと思われる。クリンチャータイヤはスキンサイドのTURBO COTTONで、チューブラータイヤはTURBO。このあたりのタイヤチョイスは興味深いところだ。TTバイクの場合ホイールは前自由/リア321というチョイスだった。

ボーラ・ハンスグローエとの違いはボトルケージ/ボトルがタックス製品であること。ベルギー(チーム)とオランダ(タックス)の間柄ゆえのチョイスだろう。

text:So Isobe
photo:Makoto.AYANO

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