再びコースの安全問題が巻き起こったツール・ド・ルクセンブルク最終日にアンドレアス・クローン(デンマーク、リワル・レディーネス サイクリングチーム)が勝利。ライバルの動きを徹底マークしたディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が総合優勝を飾った。
スタートを待つディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
リーダージャージを獲得したディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら、前日の第4ステージで逃げ切った4選手が総合トップ4を独占して最終日を迎えたツール・ド・ルクセンブルク(正式名称シュコダ・ツール・ド・ルクセンブルク、UCI2.Pro)。ルクセンブルク中心部の街メルシュをスタートし、北部の丘陵地帯を経由して首都ルクセンブルク市街地を目指すコースは177kmで、この日はマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)が逃げるという珍しい展開でレースが動いた。
ここまで何度も逃げているトニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼル)やディラン・サンダーランド(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、バティスト・プランカールト(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル)といった11名と共に逃げたカヴェンディッシュ。メイン集団ではウリッシの総合首位キープに燃えるUAEチームエミレーツが総力をあげてライバルチームの動きを監視した。
ルクセンブルク市北側の丘陵地帯を走る最終第5ステージ photo:CorVos
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)を含む12名の逃げが決まる photo:CorVos
集団前方で展開するディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
暫く平穏に進めていたレースだったが、後半に入るとルクセンブルク初日と2日目に問題となった交通規制の甘さがまたしても露呈することに。フィニッシュまで70kmを残した下りコーナーの先に対抗の大型トラックが現れ、パニックに陥った集団内で落車が起きる事態に。
地面に投げ出されたエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)らは傷つきながらもレースを続行したものの、安全対策の甘さが引き起こした一連の問題に対し、UCI(国際自転車競技連合)はすぐさまツイッターで「複数の事故は受け入れられるものではなく、来週の管理委員会で調査を行い、安全担保のための適切な処置を講じる」と異例の意思表示を行なっている。この投稿に対してアレックス・ハウズ(アメリカ、EFプロサイクリング)は「"適切な処置"の詳しい説明を。警察官や監視員の増加だけでは十分でない」と警鐘を鳴らしている。この問題は暫く尾を引きそうだ。
メイン集団を飛び出したフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)らが1分先の逃げグループに合流するなど細かい動きはありつつも、終盤に入るとアップダウンの厳しい周回コース(5kmx3周)に向けて集団がペースアップし、吸収。カウンターで飛び出したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、ロット・スーダル)とアルフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・マクラーレン)には周回コースに入ってからルクセンブルク王者ケヴィン・ジュニエ(グルパマFDJ)が追いつき見せ場を作ったが、すぐさま訪れる距離800m/平均9.4%の1級山岳「パビエルベルグ」で引き戻された。
積極的な走りで沿道を沸かせたルクセンブルク王者のケヴィン・ジュニエ(グルパマFDJ) photo:CorVos
パビエルベルグでライバルの動きを牽制するディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
合計3回通過するパビエルベルグを機にアタック合戦が激化。残り周回カウントを間違えたサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・マクラーレン)をクレモン・シャンプッサン(フランス、アージェードゥーゼル)やアンドレアス・クローン(デンマーク、リワル・レディーネス サイクリングチーム)が追いかける形で最後のパビエルベルグに入った。
メイン集団からウリッシや2位マルクス・フールゴー(ノルウェー、ウノエックス・ノルウェージャンデヴェロップメントチーム)らが飛び出し、先行する選手を捉えてフィニッシュへ。登り基調の最終スプリントで3勝目を狙うウリッシが先行したが、力強いスプリントで追い抜いたクローンが先着。スプリントに敗れながらもライバルの動きを完璧にマークしたウリッシが総合優勝を射止めた。
小集団スプリントを制したアンドレアス・クローン(デンマーク、リワル・レディーネス サイクリングチーム) photo:CorVos
プロ初勝利を挙げた22歳のアンドレアス・クローン(デンマーク、リワル・レディーネス サイクリングチーム) photo:CorVos
山岳賞逆転に成功したバティスト・プランカールト(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル) photo:CorVos
総合優勝を飾ったディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
「総合優勝を叶え、5日間でチームは合計3勝。僕にとって、そしてチームにとってこれ以上望めない結果となったよ。今日はチャレンジングなコースと、終盤での集団分裂とエキサイティングな展開だった。仲間全員が集団先頭で仕事をこなしてくれた。今日勝てればなお良かったけれどすでに総合優勝を持ち帰ることができた」と、得意の丘陵コースでレースを掌握したウリッシは語っている。ウリッシは好調のまま母国イタリア開催の世界選手権で青いナショナルジャージ"アッズーラ"に袖を通す予定だ。

リーダージャージを獲得したディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら、前日の第4ステージで逃げ切った4選手が総合トップ4を独占して最終日を迎えたツール・ド・ルクセンブルク(正式名称シュコダ・ツール・ド・ルクセンブルク、UCI2.Pro)。ルクセンブルク中心部の街メルシュをスタートし、北部の丘陵地帯を経由して首都ルクセンブルク市街地を目指すコースは177kmで、この日はマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)が逃げるという珍しい展開でレースが動いた。
ここまで何度も逃げているトニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼル)やディラン・サンダーランド(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、バティスト・プランカールト(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル)といった11名と共に逃げたカヴェンディッシュ。メイン集団ではウリッシの総合首位キープに燃えるUAEチームエミレーツが総力をあげてライバルチームの動きを監視した。



暫く平穏に進めていたレースだったが、後半に入るとルクセンブルク初日と2日目に問題となった交通規制の甘さがまたしても露呈することに。フィニッシュまで70kmを残した下りコーナーの先に対抗の大型トラックが現れ、パニックに陥った集団内で落車が起きる事態に。
地面に投げ出されたエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)らは傷つきながらもレースを続行したものの、安全対策の甘さが引き起こした一連の問題に対し、UCI(国際自転車競技連合)はすぐさまツイッターで「複数の事故は受け入れられるものではなく、来週の管理委員会で調査を行い、安全担保のための適切な処置を講じる」と異例の意思表示を行なっている。この投稿に対してアレックス・ハウズ(アメリカ、EFプロサイクリング)は「"適切な処置"の詳しい説明を。警察官や監視員の増加だけでは十分でない」と警鐘を鳴らしている。この問題は暫く尾を引きそうだ。
メイン集団を飛び出したフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)らが1分先の逃げグループに合流するなど細かい動きはありつつも、終盤に入るとアップダウンの厳しい周回コース(5kmx3周)に向けて集団がペースアップし、吸収。カウンターで飛び出したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、ロット・スーダル)とアルフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・マクラーレン)には周回コースに入ってからルクセンブルク王者ケヴィン・ジュニエ(グルパマFDJ)が追いつき見せ場を作ったが、すぐさま訪れる距離800m/平均9.4%の1級山岳「パビエルベルグ」で引き戻された。


合計3回通過するパビエルベルグを機にアタック合戦が激化。残り周回カウントを間違えたサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・マクラーレン)をクレモン・シャンプッサン(フランス、アージェードゥーゼル)やアンドレアス・クローン(デンマーク、リワル・レディーネス サイクリングチーム)が追いかける形で最後のパビエルベルグに入った。
メイン集団からウリッシや2位マルクス・フールゴー(ノルウェー、ウノエックス・ノルウェージャンデヴェロップメントチーム)らが飛び出し、先行する選手を捉えてフィニッシュへ。登り基調の最終スプリントで3勝目を狙うウリッシが先行したが、力強いスプリントで追い抜いたクローンが先着。スプリントに敗れながらもライバルの動きを完璧にマークしたウリッシが総合優勝を射止めた。




「総合優勝を叶え、5日間でチームは合計3勝。僕にとって、そしてチームにとってこれ以上望めない結果となったよ。今日はチャレンジングなコースと、終盤での集団分裂とエキサイティングな展開だった。仲間全員が集団先頭で仕事をこなしてくれた。今日勝てればなお良かったけれどすでに総合優勝を持ち帰ることができた」と、得意の丘陵コースでレースを掌握したウリッシは語っている。ウリッシは好調のまま母国イタリア開催の世界選手権で青いナショナルジャージ"アッズーラ"に袖を通す予定だ。
ツール・ド・ルクセンブルク2020第5ステージ結果
1位 | アンドレアス・クローン(デンマーク、リワル・レディーネス サイクリングチーム) | 4:08:42 |
2位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | マルクス・フールゴー(ノルウェー、ウノエックス・ノルウェージャンデヴェロップメントチーム) | |
4位 | ヤン・バークランツ(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール) | |
5位 | ペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス) | |
6位 | クレモン・シャンプッサン(フランス、アージェードゥーゼル) | |
7位 | エメ・デヘント(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール) | |
8位 | フランク・ボナムール(フランス、アルケア・サムシック) | 0:06 |
9位 | アレクサンダー・クリーガー(ドイツ、アルペシン・フェニックス) | |
10位 | ロメン・アルディ(フランス、アルケア・サムシック) |
個人総合成績
1位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 16:32:39 |
2位 | マルクス・フールゴー(ノルウェー、ウノエックス・ノルウェージャンデヴェロップメントチーム) | 0:25 |
3位 | エメ・デヘント(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール) | 0:27 |
4位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:35 |
5位 | アンドレアス・クローン(デンマーク、リワル・レディーネス サイクリングチーム) | 0:38 |
6位 | ヤン・バークランツ(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール) | 0:44 |
7位 | アレクサンダー・クリーガー(ドイツ、アルペシン・フェニックス) | 0:48 |
8位 | クレモン・シャンプッサン(フランス、アージェードゥーゼル) | 0:50 |
9位 | ペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス) | 0:54 |
10位 | オレリアン・パレパントル(フランス、グルパマFDJ) | 0:59 |
その他の特別賞
山岳賞 | バティスト・プランカールト(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル) |
ポイント賞 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) |
ヤングライダー賞 | アンドレアス・クローン(デンマーク、リワル・レディーネス サイクリングチーム) |
チーム総合成績 | アージェードゥーゼル |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp