2020/09/18(金) - 01:16
超級山岳プラトー・デ・グリエールや未舗装区間も登場したアルプス最終日にイネオス・グレナディアーズが輝いた。逃げグループの中から抜け出したミハウ・クフィアトコフスキとリチャル・カラパスが先行。クフィアトコフスキがツール・ド・フランス第18ステージを制するとともに、カラパスが山岳賞トップに立った。
9月17日(木)第18ステージ
メリベル〜ラ・ロシュ=シュル=フォロン
距離:175km
獲得標高差:4,400m
天候:晴れ
気温:20〜30度
カテゴリー山岳とスプリントポイント
14km地点 スプリントポイント
46km地点 1級山岳ロズラン峠(距離18.6km・平均6.1%)
67.5km地点 3級山岳ラ・ルート・デ・ヴィル(距離3.2km・平均6.6%)
91km地点 2級山岳セジー峠(距離14.6km・平均6.4%)
117.5km地点 1級山岳アラヴィ峠(距離6.7km・平均7%)
143.5km地点 ボーナスポイント/超級山岳プラトー・デ・グリエール(距離6km・平均11.2%・最大15%)
獲得標高差4,400mのアルプス最終日
「激坂」ラ・ロズ峠の戦いを終えてもなおアルプスの洗礼は続く。厳しい2つのアルプス山岳ステージを終えた選手たちの前に待つのは5つの峠道。1級山岳ロズラン峠に始まり、平地で息をつかせるタイミングを与えることなく断続的にアップダウンを繰り返す。獲得標高差4,400mというたっぷりとした登りが、すでに3週間近く走ってきた脚を苦しめる。
この日最大の難所は、前日のラ・ロズ峠の急勾配区間をも上回る平均勾配11.2%の超級山岳プラトー・デ・グリエールと、その先に待つ全長1800mのグラベル区間(未舗装区間)だ。下り区間とカテゴリー無し峠(距離5.5km・平均5%)を経てラ・ロシュ=シュル=フォロンにフィニッシュするレイアウトは、すでに総合争いから脱落したオールラウンダーや逃げ切り狙いのアタッカーたちを魅了した。
マイヨヴェール争いの鍵を握るスプリントポイントが山岳突入前のステージ序盤に設定されている(そしてそのことがサガンに不利な状況をもたらしている)ことが多い2020年大会。この日も例に漏れず、スタートから14kmしか離れていない位置にスプリントポイントが置かれた。トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)のファーストアタックから始まったスタート直後のアタック合戦にはポイント賞トップ3(ベネット、サガン、トレンティン)も合流。32名の大きな逃げ集団の中で、最大ポイントを獲得したサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)がポイント賞リード拡大を果たしている。
連日逃げでのステージ優勝に闘志を燃やすイネオス・グレナディアーズとモビスター、サンウェブが逃げに4名ずつ選手を送り込んだのに対し、逃げに選手を送り損ねたのは6チーム。山岳賞5位のピエール・ロラン(フランス)擁するB&Bホテルズ・ヴィタルコンセプトがメイン集団を率いてしばらく抵抗したが、タイム差が2分まで広がった状態で最初の1級山岳ロズラン峠の登坂が始まる。
メイン集団からカウンターアタックを仕掛けたロランやギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)、レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)らのうち、人数を減らしながら進む逃げグループに追いつくことができたのは総合12位のダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・マクラーレン)だけ。こうして標高1,968mの1級山岳ロズラン峠を目指す長い登りで、19名の逃げグループが完成した。
逃げグループを形成した19名
リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)山岳賞7位/32ポイント
ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
ジョナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)
カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)
ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)
ダリオ・カタルド(イタリア、モビスター)
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・マクラーレン)総合12位/12分30秒遅れ
ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)
マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)山岳賞8位/31ポイント
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)
セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ)
ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)
ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)山岳賞12位/25ポイント
ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)
ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール)山岳賞6位/32ポイント
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
ヒルシ落車で脱落 イネオスがワンツー体制を築く
マイヨアポワ獲得に興味を示したのは、山岳賞8位につけるマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)と、アルプス3連戦で3連続逃げを試みた山岳賞9位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の2人だった。1級山岳ロズラン峠と3級山岳ラ・ルート・デ・ヴィル、2級山岳セジー峠を先頭通過したのはヒルシで、やがて下り区間でヒルシ、カラパス、ビルバオ、クフィアトコフスキ、エデの5名が先行を開始。先頭グループから1分遅れで追走グループ、4分半遅れでメイン集団が続いてステージ後半へ。
ステージ2勝目を視野に入れながら順調に山岳ポイントを獲得したヒルシ。しかし2級山岳セジー峠の下り区間で落車してしまう。ヒルシはレースを続行したものの、先頭のカラパス、クフィアトコフスキ、ビルバオ、エデに独力で追いつくことはできなかった。それでも諦めずに追走を続けたヒルシは第9ステージと第12ステージに続く3度目のステージ敢闘賞を獲得している。
逃げグループはエデをふるい落としながらカラパスを先頭に1級山岳アラヴィ峠を通過。ユンボ・ヴィスマがペースを刻むメイン集団が8分遅れで続く状態で、この日最大の難所である超級山岳プラトー・デ・グリエールを迎える。12%前後の急勾配が延々と続くこの超級山岳でビルバオが脱落すると、ついにイネオス・グレナディアーズのカラパスとクフィアトコフスキの2人が先頭に立った。
道幅の狭い超級山岳プラトー・デ・グリエールでユンボ・ヴィスマに代わってペースを上げたのはモビスターとトレック・セガフレードで、ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)がワウト・プールス(オランダ)とともにアタック。総合7位ランダは完全に抜け出すことができなかったものの、ペースの上がったメイン集団から総合5位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と総合6位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)が脱落した。
超級山岳プラトー・デ・グリエールを先頭で駆け上がり、暫定的に山岳賞トップに立ったカラパスと相棒クフィアトコフスキ。その6分後方では総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が総合逆転を目論むアタックを仕掛けたが、マイヨジョーヌのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がしっかりとマークに入る。頂上通過後の未舗装区間に差し掛かると、総合4位リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)が前輪パンクに見舞われた。
ポートのパンク脱落によって7名に絞られた状態で未舗装区間をクリアしたマイヨジョーヌグループ。ポートの合流を阻止したいバーレーン・マクラーレンがビルバオを後退させてこのメイン集団を牽引したものの、同じく集団復帰を目指すワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)らに助けられる形でポートは20kmにわたる追走の末にマイヨジョーヌに追いついている。
追走グループが全員メイン集団に吸収された一方で、先頭のイネオスコンビはラ・ロシュ=シュル=フォロンのフィニッシュ地点まで先行を貫いた。最後はカラパスと肩を組んで勝利を祝福しながらクフィアトコフスキが先頭でフィニッシュ。ステージワンツー勝利を飾るとともに、カラパスのマイヨアポワ獲得という2つの目標を達成した。
メイン集団は1分51秒遅れでフィニッシュに到着。集団スプリントで先着したファンアールトがステージ3位に与えられるボーナスタイム4秒をしっかりと消している。
苦戦を強いられていたイネオスのワンツー勝利
「チームにとって信じられない日になった。今日という日を一生忘れない。これまで多くの成功を収めてきたものの、ラスト数キロはずっと鳥肌が立っていた」。ステージ初優勝を飾った元世界チャンピオンのクフィアトコフスキが、エガン・ベルナル(コロンビア)のリタイアによって苦戦を強いられていたイネオス・グレナディアーズに勝利をもたらした。
落ち着いた走りでレースを進め、残り35km地点からカラパスとタンデム走行したクフィアトコフスキ。「ヒルシがオーバースピードで落車した時、すぐ後ろを走っていたので危うく巻き込まれるところだった。安全マージンを保ちながら99%の攻め方をするべき。いずれにしてもヒルシは協力的ではなかったので、自分たちの走りに徹したんだ」。記者会見の最後に、今年急逝したニコラ・ポルタル監督について質問を受けたクフィアトコフスキは「みんなが彼を恋しがっている。今日は彼に鼓舞された」と言葉をつまらせながら言って、席を立った。
アルプス3ステージ全てで逃げ、山岳賞トップに立ったカラパスは「これまでの努力がようやく報われたよ。大きなリードを得ていたし、最後は勝利を堪能しながら走っていた。明日からは全力でこのマイヨアポワを守るために走りたい」とコメント。山岳賞2位のポガチャルとはわずかに2ポイント差。僅差の山岳賞争いは第20ステージの1級山岳ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ個人タイムトライアルで決する(登坂区間の走行時間が争われる)。
「今日もチームのおかげで上手く状況を切り抜けることができた。最後の個人タイムトライアルが全てを決めるのは間違いないけど、明日は決して真っ平らなステージではないので注意しないといけない」と語るのはマイヨジョーヌのログリッチ。今大会最後の山岳ステージを終えて、総合1位ログリッチは総合2位ポガチャルから57秒のリードを得ている。
デイリーハイライト: J SPORTSでツール・ド・フランス全21ステージ独占生中継
9月17日(木)第18ステージ
メリベル〜ラ・ロシュ=シュル=フォロン
距離:175km
獲得標高差:4,400m
天候:晴れ
気温:20〜30度
カテゴリー山岳とスプリントポイント
14km地点 スプリントポイント
46km地点 1級山岳ロズラン峠(距離18.6km・平均6.1%)
67.5km地点 3級山岳ラ・ルート・デ・ヴィル(距離3.2km・平均6.6%)
91km地点 2級山岳セジー峠(距離14.6km・平均6.4%)
117.5km地点 1級山岳アラヴィ峠(距離6.7km・平均7%)
143.5km地点 ボーナスポイント/超級山岳プラトー・デ・グリエール(距離6km・平均11.2%・最大15%)
獲得標高差4,400mのアルプス最終日
「激坂」ラ・ロズ峠の戦いを終えてもなおアルプスの洗礼は続く。厳しい2つのアルプス山岳ステージを終えた選手たちの前に待つのは5つの峠道。1級山岳ロズラン峠に始まり、平地で息をつかせるタイミングを与えることなく断続的にアップダウンを繰り返す。獲得標高差4,400mというたっぷりとした登りが、すでに3週間近く走ってきた脚を苦しめる。
この日最大の難所は、前日のラ・ロズ峠の急勾配区間をも上回る平均勾配11.2%の超級山岳プラトー・デ・グリエールと、その先に待つ全長1800mのグラベル区間(未舗装区間)だ。下り区間とカテゴリー無し峠(距離5.5km・平均5%)を経てラ・ロシュ=シュル=フォロンにフィニッシュするレイアウトは、すでに総合争いから脱落したオールラウンダーや逃げ切り狙いのアタッカーたちを魅了した。
マイヨヴェール争いの鍵を握るスプリントポイントが山岳突入前のステージ序盤に設定されている(そしてそのことがサガンに不利な状況をもたらしている)ことが多い2020年大会。この日も例に漏れず、スタートから14kmしか離れていない位置にスプリントポイントが置かれた。トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)のファーストアタックから始まったスタート直後のアタック合戦にはポイント賞トップ3(ベネット、サガン、トレンティン)も合流。32名の大きな逃げ集団の中で、最大ポイントを獲得したサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)がポイント賞リード拡大を果たしている。
連日逃げでのステージ優勝に闘志を燃やすイネオス・グレナディアーズとモビスター、サンウェブが逃げに4名ずつ選手を送り込んだのに対し、逃げに選手を送り損ねたのは6チーム。山岳賞5位のピエール・ロラン(フランス)擁するB&Bホテルズ・ヴィタルコンセプトがメイン集団を率いてしばらく抵抗したが、タイム差が2分まで広がった状態で最初の1級山岳ロズラン峠の登坂が始まる。
メイン集団からカウンターアタックを仕掛けたロランやギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)、レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)らのうち、人数を減らしながら進む逃げグループに追いつくことができたのは総合12位のダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・マクラーレン)だけ。こうして標高1,968mの1級山岳ロズラン峠を目指す長い登りで、19名の逃げグループが完成した。
逃げグループを形成した19名
リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)山岳賞7位/32ポイント
ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
ジョナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)
カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)
ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)
ダリオ・カタルド(イタリア、モビスター)
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・マクラーレン)総合12位/12分30秒遅れ
ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)
マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)山岳賞8位/31ポイント
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)
セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ)
ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)
ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)山岳賞12位/25ポイント
ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)
ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール)山岳賞6位/32ポイント
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
ヒルシ落車で脱落 イネオスがワンツー体制を築く
マイヨアポワ獲得に興味を示したのは、山岳賞8位につけるマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)と、アルプス3連戦で3連続逃げを試みた山岳賞9位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の2人だった。1級山岳ロズラン峠と3級山岳ラ・ルート・デ・ヴィル、2級山岳セジー峠を先頭通過したのはヒルシで、やがて下り区間でヒルシ、カラパス、ビルバオ、クフィアトコフスキ、エデの5名が先行を開始。先頭グループから1分遅れで追走グループ、4分半遅れでメイン集団が続いてステージ後半へ。
ステージ2勝目を視野に入れながら順調に山岳ポイントを獲得したヒルシ。しかし2級山岳セジー峠の下り区間で落車してしまう。ヒルシはレースを続行したものの、先頭のカラパス、クフィアトコフスキ、ビルバオ、エデに独力で追いつくことはできなかった。それでも諦めずに追走を続けたヒルシは第9ステージと第12ステージに続く3度目のステージ敢闘賞を獲得している。
逃げグループはエデをふるい落としながらカラパスを先頭に1級山岳アラヴィ峠を通過。ユンボ・ヴィスマがペースを刻むメイン集団が8分遅れで続く状態で、この日最大の難所である超級山岳プラトー・デ・グリエールを迎える。12%前後の急勾配が延々と続くこの超級山岳でビルバオが脱落すると、ついにイネオス・グレナディアーズのカラパスとクフィアトコフスキの2人が先頭に立った。
道幅の狭い超級山岳プラトー・デ・グリエールでユンボ・ヴィスマに代わってペースを上げたのはモビスターとトレック・セガフレードで、ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)がワウト・プールス(オランダ)とともにアタック。総合7位ランダは完全に抜け出すことができなかったものの、ペースの上がったメイン集団から総合5位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と総合6位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)が脱落した。
超級山岳プラトー・デ・グリエールを先頭で駆け上がり、暫定的に山岳賞トップに立ったカラパスと相棒クフィアトコフスキ。その6分後方では総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が総合逆転を目論むアタックを仕掛けたが、マイヨジョーヌのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がしっかりとマークに入る。頂上通過後の未舗装区間に差し掛かると、総合4位リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)が前輪パンクに見舞われた。
ポートのパンク脱落によって7名に絞られた状態で未舗装区間をクリアしたマイヨジョーヌグループ。ポートの合流を阻止したいバーレーン・マクラーレンがビルバオを後退させてこのメイン集団を牽引したものの、同じく集団復帰を目指すワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)らに助けられる形でポートは20kmにわたる追走の末にマイヨジョーヌに追いついている。
追走グループが全員メイン集団に吸収された一方で、先頭のイネオスコンビはラ・ロシュ=シュル=フォロンのフィニッシュ地点まで先行を貫いた。最後はカラパスと肩を組んで勝利を祝福しながらクフィアトコフスキが先頭でフィニッシュ。ステージワンツー勝利を飾るとともに、カラパスのマイヨアポワ獲得という2つの目標を達成した。
メイン集団は1分51秒遅れでフィニッシュに到着。集団スプリントで先着したファンアールトがステージ3位に与えられるボーナスタイム4秒をしっかりと消している。
苦戦を強いられていたイネオスのワンツー勝利
「チームにとって信じられない日になった。今日という日を一生忘れない。これまで多くの成功を収めてきたものの、ラスト数キロはずっと鳥肌が立っていた」。ステージ初優勝を飾った元世界チャンピオンのクフィアトコフスキが、エガン・ベルナル(コロンビア)のリタイアによって苦戦を強いられていたイネオス・グレナディアーズに勝利をもたらした。
落ち着いた走りでレースを進め、残り35km地点からカラパスとタンデム走行したクフィアトコフスキ。「ヒルシがオーバースピードで落車した時、すぐ後ろを走っていたので危うく巻き込まれるところだった。安全マージンを保ちながら99%の攻め方をするべき。いずれにしてもヒルシは協力的ではなかったので、自分たちの走りに徹したんだ」。記者会見の最後に、今年急逝したニコラ・ポルタル監督について質問を受けたクフィアトコフスキは「みんなが彼を恋しがっている。今日は彼に鼓舞された」と言葉をつまらせながら言って、席を立った。
アルプス3ステージ全てで逃げ、山岳賞トップに立ったカラパスは「これまでの努力がようやく報われたよ。大きなリードを得ていたし、最後は勝利を堪能しながら走っていた。明日からは全力でこのマイヨアポワを守るために走りたい」とコメント。山岳賞2位のポガチャルとはわずかに2ポイント差。僅差の山岳賞争いは第20ステージの1級山岳ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ個人タイムトライアルで決する(登坂区間の走行時間が争われる)。
「今日もチームのおかげで上手く状況を切り抜けることができた。最後の個人タイムトライアルが全てを決めるのは間違いないけど、明日は決して真っ平らなステージではないので注意しないといけない」と語るのはマイヨジョーヌのログリッチ。今大会最後の山岳ステージを終えて、総合1位ログリッチは総合2位ポガチャルから57秒のリードを得ている。
デイリーハイライト: J SPORTSでツール・ド・フランス全21ステージ独占生中継
ツール・ド・フランス2020 第18ステージ結果
1位 | ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ) | 4:47:33 |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:51 |
4位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:53 |
5位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 0:01:54 |
7位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
8位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | |
9位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・マクラーレン) | |
10位 | トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
11位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | |
12位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | |
13位 | マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ) | 0:02:04 |
14位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | |
17位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:04:34 |
19位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング) | |
20位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
DNF | アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 74:56:04 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:57 |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:01:26 |
4位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 0:03:05 |
5位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:03:14 |
6位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング) | 0:03:24 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:03:27 |
8位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:04:18 |
9位 | トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:07:23 |
10位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:09:31 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 278pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 231pts |
3位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム) | 218pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 74pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 72pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 67pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 79:46:27 |
2位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:03:22 |
3位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 1:35:35 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 239:23:11 |
2位 | ユンボ・ヴィスマ | 0:24:36 |
3位 | バーレーン・マクラーレン | 0:58:47 |
text:Kei Tsuji
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