ブリュッセルで開催されたスプリンターレースでティム・メルリエ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が勝利。雨に濡れた危険なフィニッシュラインでナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)とダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) が落車した。
ブリュッセルにあるサンカントネール公園の凱旋門前で行われたプレゼンテーション (c)CorVos
フェルナンド・ガビリア(コロンビア)とジャスパー・フィリプセン(ベルギー)を揃えたUAEチームエミレーツ (c)CorVos
ベルギーの首都ブリュッセルで開催された「ブリュッセル・サイクリングクラシック」は、2020年から遡ること127年の1893年、和暦で言えば明治26年に初開催を迎えたレースカレンダー内で最古参に分類されるワンデーレース。以前はパリ〜ブリュッセルと呼ばれ、黎明期には400km近くもの距離を走破していたという。
カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)、トム・ボーネン(ベルギー)、ロビー・マキュアン(オーストラリア)らが並ぶ歴代優勝者リストからも分かる通り、ブリュッセル郊外を走るレースは完全にスプリンター向け。200kmオーバーのレース後半には「ベルグ」と呼ばれる登坂区間が連続するが、好調であれば重量級スプリンターが千切れるものではない。
記念すべき100回大会を迎えた今年、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)&ジャスパー・フィリプセン(ベルギー)のUAEチームエミレーツコンビや、パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)、好調フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)といったスプリンターが快晴のベルギー首都に顔を揃えた。
快晴のサンカントネール公園を出発する選手たち (c)brusselscyclingclassic
スタート直後にあっさりと決まった逃げグループを形成したのは、超幅狭ハンドルでおなじみのヤンウィレム・ファンシップ(オランダ、ビートサイクリングクラブ)をはじめとする6名。ドゥクーニンク・クイックステップやボーラ・ハンスグローエ、アルペシン・フェニックスらスプリンターチームが主導するメイン集団がレースをコントロール下に置いた。
後半50kmを切るとトタル・ディレクトエネルジーの動きをきっかけにメイン集団からアタックが連発した。ワールドチームを含む複数名が何度も逃げを試みたが、比較的イージーな登坂区間ゆえ決定的な差が生まれない。豪雨のラスト10kmで逃げたフィリプセンとイラン・ファンワイルダー(サンウェブ)、アイメ・デヘント(サーカス・ワンティゴベール)というベルギートリオも集団に引き戻されている。
ドゥクーニンク勢が先頭を固めてラスト800mの最終コーナーを通過すると、ポジションを失ったガビリアが戦列を離れ、フィニッシュ前の緩斜面を耐えた約15名による小集団スプリントがスタート。ダニエル・マクレー(イギリス、アルケア・サムシック)のリードアウトを受けたブアニが残り200mから加速した。
豪雨のスプリントで勝利したティム・メルリエ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) (c)CorVos
優勝に向けて加速したブアニだったが、その隣で伸びやかなスプリントを披露したのはベルギーチャンピオンジャージを着用するティム・メルリエ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)だった。「キツいレースだったけれどチームメイトのおかげで脚を溜めることができた。ブアニの列車が来たのを見てゼロか100だと思ったよ。最後は少し早すぎたけれど一人抜け出すことができた」と話すメルリエが、緩い左コーナー上のフィニッシュラインに先着した。
冬場はマチュー・ファンデルプール(オランダ)と共にアルペシン・フェニックスシクロクロス班の一員として活躍するメルリエが今季2勝目をゲット。しかしその後方では、フィニッシュラインに前輪を滑らせたブアニがトップスピードのまま落車してしまう。2位ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を引っ掛けながら、長時間路面を滑走してフェンスにぶつかった。
優勝トロフィーを受け取るティム・メルリエ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) (c)CorVos
「フィニッシュライン直後に左に曲がり込む危険なレイアウトだった。バイクをコーナーに投げ込み、完全ウェットの路面上で前輪のグリップを失ってしまった。全速力でもがいた後のコーナーなんて曲がれるわけがない。最後は顔から突っ込まないように反射的にフェンスに対して背を向けた。首が痛いし呼吸にも問題がある。明日レントゲン撮影を行う予定だ」と、身体を痛めたブアニは不満を募らせている。なお、幸い腰からフェンスにぶつかったバッレリーニに怪我は無かった。


ベルギーの首都ブリュッセルで開催された「ブリュッセル・サイクリングクラシック」は、2020年から遡ること127年の1893年、和暦で言えば明治26年に初開催を迎えたレースカレンダー内で最古参に分類されるワンデーレース。以前はパリ〜ブリュッセルと呼ばれ、黎明期には400km近くもの距離を走破していたという。
カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)、トム・ボーネン(ベルギー)、ロビー・マキュアン(オーストラリア)らが並ぶ歴代優勝者リストからも分かる通り、ブリュッセル郊外を走るレースは完全にスプリンター向け。200kmオーバーのレース後半には「ベルグ」と呼ばれる登坂区間が連続するが、好調であれば重量級スプリンターが千切れるものではない。
記念すべき100回大会を迎えた今年、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)&ジャスパー・フィリプセン(ベルギー)のUAEチームエミレーツコンビや、パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)、好調フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)といったスプリンターが快晴のベルギー首都に顔を揃えた。

スタート直後にあっさりと決まった逃げグループを形成したのは、超幅狭ハンドルでおなじみのヤンウィレム・ファンシップ(オランダ、ビートサイクリングクラブ)をはじめとする6名。ドゥクーニンク・クイックステップやボーラ・ハンスグローエ、アルペシン・フェニックスらスプリンターチームが主導するメイン集団がレースをコントロール下に置いた。
後半50kmを切るとトタル・ディレクトエネルジーの動きをきっかけにメイン集団からアタックが連発した。ワールドチームを含む複数名が何度も逃げを試みたが、比較的イージーな登坂区間ゆえ決定的な差が生まれない。豪雨のラスト10kmで逃げたフィリプセンとイラン・ファンワイルダー(サンウェブ)、アイメ・デヘント(サーカス・ワンティゴベール)というベルギートリオも集団に引き戻されている。
ドゥクーニンク勢が先頭を固めてラスト800mの最終コーナーを通過すると、ポジションを失ったガビリアが戦列を離れ、フィニッシュ前の緩斜面を耐えた約15名による小集団スプリントがスタート。ダニエル・マクレー(イギリス、アルケア・サムシック)のリードアウトを受けたブアニが残り200mから加速した。

優勝に向けて加速したブアニだったが、その隣で伸びやかなスプリントを披露したのはベルギーチャンピオンジャージを着用するティム・メルリエ(ベルギー、アルペシン・フェニックス)だった。「キツいレースだったけれどチームメイトのおかげで脚を溜めることができた。ブアニの列車が来たのを見てゼロか100だと思ったよ。最後は少し早すぎたけれど一人抜け出すことができた」と話すメルリエが、緩い左コーナー上のフィニッシュラインに先着した。
冬場はマチュー・ファンデルプール(オランダ)と共にアルペシン・フェニックスシクロクロス班の一員として活躍するメルリエが今季2勝目をゲット。しかしその後方では、フィニッシュラインに前輪を滑らせたブアニがトップスピードのまま落車してしまう。2位ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を引っ掛けながら、長時間路面を滑走してフェンスにぶつかった。

「フィニッシュライン直後に左に曲がり込む危険なレイアウトだった。バイクをコーナーに投げ込み、完全ウェットの路面上で前輪のグリップを失ってしまった。全速力でもがいた後のコーナーなんて曲がれるわけがない。最後は顔から突っ込まないように反射的にフェンスに対して背を向けた。首が痛いし呼吸にも問題がある。明日レントゲン撮影を行う予定だ」と、身体を痛めたブアニは不満を募らせている。なお、幸い腰からフェンスにぶつかったバッレリーニに怪我は無かった。
ブリュッセルサイクリングクラシック2020結果
1位 | ティム・メルリエ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 4:48:39 |
2位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック) | |
4位 | フロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル) | |
5位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | ローレンス・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) | |
8位 | ロマン・シーグル(フランス、グルパマFDJ) | |
9位 | アモリ・カピオ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | |
10位 | エドワード・プランカールト(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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