2020/09/01(火) - 15:25
オフロード系のタイヤに定評のあるケンダからグラベルタイヤのラインアップを紹介。ライドスタイルや路面コンディションに応じてチョイスできる3モデル展開だ。実際に製品を使用しているブランド担当者によるタイヤ選択のアドバイスとともに解説していこう。
ケンダのグラベルタイヤ3種をピックアップ (c)あさひ
KENDA(ケンダ)というと、日本ではかつてMTBタイヤで多くの支持を得たタイヤメーカー。クロスカントリー&トレイルタイヤのKARMAやSMALL BLOCK8をはじめ、NEVEGALなどのグラビティ系に振ったモデルや、ダートジャンプの定番モデルであるK-RADなどが有名どころだ。近年のグラベルカテゴリーの盛り上がりとともに、オフロードタイヤのノウハウを生かしてグラベルタイヤのラインアップを拡充している。まずは、MTBタイヤの技術を生かした機能を紹介しよう。
■コンパウンド
DTC:デュアルトレッドコンパウンド
KENDAオフロードタイヤの多くに採用されるコンパウンド。2種類の異なるコンパウンドを配置し軽い漕ぎとコーナリング時の安定性をもたらす。センタートレッド部分には低い転がり抵抗の60sAコンパウンドを採用。対して、柔らかく振動をしなやかに吸収する低反発な50sAコンパウンドをサイドトレッドに採用。これにより高速でのコーナリングで安定したグリップを得る事ができる。
R3C:アールスリーコンパウンド
KENDAハイエンドロードタイヤに採用されているコンパウンド。低い転がり抵抗に加え、ウェットコンディションでの高いトラクション性能を持ち合わせている。
SRC:スタンダードラバーコンパウンド
軽い転がりと耐久性を持つオールラウンドコンパウンド。コストパフォーマンスに優れておりライトユーザーにもおすすめなコンパウンドだ。
■ケーシング
GCT:グラベルケーシングテクノロジー
グラベル走行時の石や岩による引き裂きパンクを防ぐチューブレスタイヤシリーズのケーシング機能。これまでの耐パンクベルトと比較して重量面で約50%の軽量化に成功している。
TR:チューブレスレース
軽量なケーシングにより軽い走りを実現。レースの際、ここ一番な軽さが欲しい時におすすめ。また、チューブを使用してのチューブドのホイールセットとの組み合わせにも適している。
今回紹介するグラベルタイヤは3モデル。サイズやケーシングなどの仕様によって合計14種類ものバリエーションを揃える。自身のライド用途や、フレーム/フォーククリアランスなどのバイクスペックによってチョイスする事ができる。
尖った火打石が名前の由来のFLINTRIDGE。KENDAグラベルシリーズの中心的タイヤだ (c)あさひ
FLINTRIDGE(フリントリッジ)
アメリカ合衆国カンザス州のグラベルに現れる鋭利な岩(火打石)の名前を冠したKENDAグラベルタイヤシリーズの中心的モデル。センターのトレッドパターンは舗装路やハードパックの路面で軽快に走れるように縦長で細いノブを配置。ショルダー部分には走行するタイヤによって動くルーズな砂利に対応できるよう、細かいノブを配置している。GCT(グラベルケーシングテクノロジー)採用のモデルでは、ガレ場や鋭利な砂利の路面で高い耐パンク性能を発揮する。
MTBクロスカントリータイヤをグラベルタイヤに落とし込んだBOOSTER。土の道を得意としている (c)あさひ
BOOSTER PRO(ブースタープロ)
MTB-XCワールドカップで高い評価を得たクロスカントリータイヤを、グラベルモデルとしてサイズバリエーションを追加したオフロードタイヤ。トレイルに適した高いコントロール性能を持ち、よりアグレッシブなライディングをもたらしてくれる。しっかりと切り立ったノブと耐パンク性能の高いGCT(グラベルケーシングテクノロジー)による軽量なタイヤは軽い走行感とスピードが得られる。
軽い走行でグラベルと自転車通勤をグラベルバイクで走るライダーに最適なALLUVIUM (c)あさひ
ブラックサイドとブラウンサイドの展開 (c)あさひ
ALLUVIUM(アルヴィウム)
スピードにフォーカスしたハードパック路面向けグラベルタイヤ。セミスリックのセンタートレッドには低いノブを配置し転がり抵抗を低減。GCT(グラベルケーシングテクノロジー)によりサイドウォールの耐引き裂きパンク性能をあげている。グラベルでもスピードを求めるユーザーや、例えば自転車通勤など舗装路での使用に最適なタイヤと言える。
それぞれのタイヤを実際にフィールドで、使用してみるとどうだろうか。
サイズバリエーションが多彩なFLINTRIDGE。KENDAのグラベルラインナップ中、最も砂利の上での走行感が気持ち良いモデルだ。グラベル用に最適化されており、舗装路から砂利道に入った途端に振動吸収性の良さを体感する事ができる。FLINTRIDGEは縦長で細いセンターリッジと、柔らかく砂利に触れるサイドノブによってゴツゴツと続くグラベル区間で非常に気持ちよく走れる。
700x45cをグラベルバイクにインストール。太さからも走破性が伝わってくる (c)あさひ
グラベルのコンディションや、舗装の割合と合わせサイズをチョイスするのも面白い (c)あさひ
クロスカントリータイヤで培われたデュアルトレッドコンパウンドはストレート区間での軽快感に加え、グラベルの下りコーナーで、前輪に荷重をしっかりとかけながら曲がっていく事ができる。豊富なエアボリュームと大径による高い走破性で、700x45cのタイヤサイズでは抜群の安定感を登り下りで楽しめる。ゴロゴロとした岩が転がるガレたグラベルの登り区間でも、難なく乗り越えて足をつかずに乗っていけるのだ。
700cのラインナップでは、35cと45cの重量差は約100g。舗装での使用が多い場合は35cを、グラベルでの使用が多い場合は45cをチョイスするのが良いだろう。バイクによっても取付けられるサイズが異なるため、45cの装着が不可能な場合は40cを選択肢として持っておくと良い。
デュアルトレッドコンパウンド採用モデルのサイドノブはスローリバウンドのコンパウンド。爪で押すとその感触が伝わってくる (c)あさひ
泥はけも良いBOOSTER。ウェットコンディションのグラベルやトレイルでの使用に適している (c)あさひ
KENDAのグラベルタイヤで唯一、シクロクロスタイヤのサイズである700x33cを展開しているBOOSTER。MTBクロスカントリータイヤをグラベルに落とし込んだBOOSTERは、どちらかというと砂利よりも土道に適している。
シクロクロスというと泥や芝生(丈の低い草地)、砂といったコースが多く、砂利道を走るシーンは少ないもの。いわゆる土の道が大半だ。純粋に砂利道を走る事の性能を求めたグラベルタイヤは砂利道を走るもので、シクロクロスシーンでの使用は土向きのタイヤの方が適している。
そういった特性を考えると、BOOSTERは砂利区間よりも土の割合が多い林道やトレイルを含む走行環境におすすめだ。切り立ったサイドノブが土のキャンバーにもよく食いつき、ウェットコンディションの林道でのコーナリングでも安定して曲がる事ができる。FLINTRIDGEと比較してもノブの間隔も広くとられているため、泥はけ性能も良く路面への食いつきが良いのが特徴だ。
太目のサイズをチョイスすれば初めてのグラベルの下りでも安定して気持ちよく走れる (c)あさひ
舗装の多いルートや、グラベルバイクを自転車通勤に持ち込む時におすすめなALLVIUM (c)あさひ
セミスリックのALLUVIUMは舗装路での軽さが際立つタイヤだ。グラベルまでの舗装アプローチが長い登り坂だったとしても、難なく走る事ができる。自転車通勤も含む使用をグラベルタイヤに求めるならばALLVIUMをおすすめする。
650Bホイールなら45mm幅、700cホイールなら40mm幅とグラベルでの使用においてもエアボリュームによる安定感もあって安心して下っていける。タイヤ幅からは想像できない軽い走行感と、タイヤ幅ならではの振動吸収性が両立しており、街中での使用も含め幅広い使い方ができるグラベルタイヤだ。
650Bサイズのラインアップは女性にもおすすめだ (c)あさひ
以上、3つのグラベルタイヤに焦点を当ててみた。走るフィールドや用途、バイクスペックなどに合わせて好みのグラベルタイヤを見つけてみよう。
text:HAYATO HIGUCHI
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KENDA(ケンダ)というと、日本ではかつてMTBタイヤで多くの支持を得たタイヤメーカー。クロスカントリー&トレイルタイヤのKARMAやSMALL BLOCK8をはじめ、NEVEGALなどのグラビティ系に振ったモデルや、ダートジャンプの定番モデルであるK-RADなどが有名どころだ。近年のグラベルカテゴリーの盛り上がりとともに、オフロードタイヤのノウハウを生かしてグラベルタイヤのラインアップを拡充している。まずは、MTBタイヤの技術を生かした機能を紹介しよう。
■コンパウンド
DTC:デュアルトレッドコンパウンド
KENDAオフロードタイヤの多くに採用されるコンパウンド。2種類の異なるコンパウンドを配置し軽い漕ぎとコーナリング時の安定性をもたらす。センタートレッド部分には低い転がり抵抗の60sAコンパウンドを採用。対して、柔らかく振動をしなやかに吸収する低反発な50sAコンパウンドをサイドトレッドに採用。これにより高速でのコーナリングで安定したグリップを得る事ができる。
R3C:アールスリーコンパウンド
KENDAハイエンドロードタイヤに採用されているコンパウンド。低い転がり抵抗に加え、ウェットコンディションでの高いトラクション性能を持ち合わせている。
SRC:スタンダードラバーコンパウンド
軽い転がりと耐久性を持つオールラウンドコンパウンド。コストパフォーマンスに優れておりライトユーザーにもおすすめなコンパウンドだ。
■ケーシング
GCT:グラベルケーシングテクノロジー
グラベル走行時の石や岩による引き裂きパンクを防ぐチューブレスタイヤシリーズのケーシング機能。これまでの耐パンクベルトと比較して重量面で約50%の軽量化に成功している。
TR:チューブレスレース
軽量なケーシングにより軽い走りを実現。レースの際、ここ一番な軽さが欲しい時におすすめ。また、チューブを使用してのチューブドのホイールセットとの組み合わせにも適している。
今回紹介するグラベルタイヤは3モデル。サイズやケーシングなどの仕様によって合計14種類ものバリエーションを揃える。自身のライド用途や、フレーム/フォーククリアランスなどのバイクスペックによってチョイスする事ができる。
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FLINTRIDGE(フリントリッジ)
アメリカ合衆国カンザス州のグラベルに現れる鋭利な岩(火打石)の名前を冠したKENDAグラベルタイヤシリーズの中心的モデル。センターのトレッドパターンは舗装路やハードパックの路面で軽快に走れるように縦長で細いノブを配置。ショルダー部分には走行するタイヤによって動くルーズな砂利に対応できるよう、細かいノブを配置している。GCT(グラベルケーシングテクノロジー)採用のモデルでは、ガレ場や鋭利な砂利の路面で高い耐パンク性能を発揮する。
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BOOSTER PRO(ブースタープロ)
MTB-XCワールドカップで高い評価を得たクロスカントリータイヤを、グラベルモデルとしてサイズバリエーションを追加したオフロードタイヤ。トレイルに適した高いコントロール性能を持ち、よりアグレッシブなライディングをもたらしてくれる。しっかりと切り立ったノブと耐パンク性能の高いGCT(グラベルケーシングテクノロジー)による軽量なタイヤは軽い走行感とスピードが得られる。
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ALLUVIUM(アルヴィウム)
スピードにフォーカスしたハードパック路面向けグラベルタイヤ。セミスリックのセンタートレッドには低いノブを配置し転がり抵抗を低減。GCT(グラベルケーシングテクノロジー)によりサイドウォールの耐引き裂きパンク性能をあげている。グラベルでもスピードを求めるユーザーや、例えば自転車通勤など舗装路での使用に最適なタイヤと言える。
それぞれのタイヤを実際にフィールドで、使用してみるとどうだろうか。
サイズバリエーションが多彩なFLINTRIDGE。KENDAのグラベルラインナップ中、最も砂利の上での走行感が気持ち良いモデルだ。グラベル用に最適化されており、舗装路から砂利道に入った途端に振動吸収性の良さを体感する事ができる。FLINTRIDGEは縦長で細いセンターリッジと、柔らかく砂利に触れるサイドノブによってゴツゴツと続くグラベル区間で非常に気持ちよく走れる。
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クロスカントリータイヤで培われたデュアルトレッドコンパウンドはストレート区間での軽快感に加え、グラベルの下りコーナーで、前輪に荷重をしっかりとかけながら曲がっていく事ができる。豊富なエアボリュームと大径による高い走破性で、700x45cのタイヤサイズでは抜群の安定感を登り下りで楽しめる。ゴロゴロとした岩が転がるガレたグラベルの登り区間でも、難なく乗り越えて足をつかずに乗っていけるのだ。
700cのラインナップでは、35cと45cの重量差は約100g。舗装での使用が多い場合は35cを、グラベルでの使用が多い場合は45cをチョイスするのが良いだろう。バイクによっても取付けられるサイズが異なるため、45cの装着が不可能な場合は40cを選択肢として持っておくと良い。
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KENDAのグラベルタイヤで唯一、シクロクロスタイヤのサイズである700x33cを展開しているBOOSTER。MTBクロスカントリータイヤをグラベルに落とし込んだBOOSTERは、どちらかというと砂利よりも土道に適している。
シクロクロスというと泥や芝生(丈の低い草地)、砂といったコースが多く、砂利道を走るシーンは少ないもの。いわゆる土の道が大半だ。純粋に砂利道を走る事の性能を求めたグラベルタイヤは砂利道を走るもので、シクロクロスシーンでの使用は土向きのタイヤの方が適している。
そういった特性を考えると、BOOSTERは砂利区間よりも土の割合が多い林道やトレイルを含む走行環境におすすめだ。切り立ったサイドノブが土のキャンバーにもよく食いつき、ウェットコンディションの林道でのコーナリングでも安定して曲がる事ができる。FLINTRIDGEと比較してもノブの間隔も広くとられているため、泥はけ性能も良く路面への食いつきが良いのが特徴だ。
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セミスリックのALLUVIUMは舗装路での軽さが際立つタイヤだ。グラベルまでの舗装アプローチが長い登り坂だったとしても、難なく走る事ができる。自転車通勤も含む使用をグラベルタイヤに求めるならばALLVIUMをおすすめする。
650Bホイールなら45mm幅、700cホイールなら40mm幅とグラベルでの使用においてもエアボリュームによる安定感もあって安心して下っていける。タイヤ幅からは想像できない軽い走行感と、タイヤ幅ならではの振動吸収性が両立しており、街中での使用も含め幅広い使い方ができるグラベルタイヤだ。
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以上、3つのグラベルタイヤに焦点を当ててみた。走るフィールドや用途、バイクスペックなどに合わせて好みのグラベルタイヤを見つけてみよう。
text:HAYATO HIGUCHI
KENDAグラベルタイヤラインアップ
モデル名 | サイズ | ケーシング | コンパウンド | TPI | 重量 | 税抜定価 |
---|---|---|---|---|---|---|
FLINTRIDGE | 700x35c | TR | SRC | 120 | 408±30g | 4,800円 |
FLINTRIDGE | 700x35c | GCT | DTC | 120 | 481±20g | 5,800円 |
FLINTRIDGE | 700x35c | TR | DTC | 120 | 409±20g | 4,300円 |
FLINTRIDGE | 700x40c | TR | DTC | 120 | 440±22g | 4,800円 |
FLINTRIDGE | 700x45c | GCT | DTC | 120 | 580±20 | 5,800円 |
FLINTRIDGE | 700x45c | TR | DTC | 120 | 495±20g | 4,800円 |
FLINTRIDGE | 650Bx45 | - | SRC | 120 | 573±30g | 2,800円 |
BOOSTER | 700x33c | GCT | 120 | 348±17g | 5,300円 | |
BOOSTER | 700x33c | - | 120 | 293±30g | 3,800円 | |
BOOSTER | 700x37c | GCT | 120 | 419±21g | 5,300円 | |
BOOSTER | 700x37c | TR | 120 | 358±30g | 3,800円 | |
BOOSTER | 700x40c | TR | 120 | 371±30g | 4,300円 | |
ALLUVIUM | 650Bx45 | GCT | R3C | 120 | 514±25g | 5,800円 |
ALLUVIUM | 700x40c | GCT | R3C | 120 | 512±30g | 7,300円 |
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