2020/08/13(木) - 08:29
3日前のミラノ〜サンレモに続いて、クリテリウム・デュ・ドーフィネ第1ステージでもワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)の好調ぶりが炸裂。チームイネオスと双璧を成すユンボ・ヴィスマが「ツール前哨戦」の初日に快勝した。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ初日の第1ステージは今大会最長の218.5km。実に7つのカテゴリー山岳が詰め込まれたステージの獲得標高差は3,400mに達するが、後半の4ステージの難易度が高いため『最も難易度が低いステージ』に該当する。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2020第1ステージ photo:A.S.O.終盤にかけて登坂距離2〜4km、平均勾配5%前後の4級山岳が4つ連続するコースはパンチャー向き。最後の4級山岳ラ・ガシェを越えてから、パンチの効いた急勾配の上りをこなしてサンクリスト=アン=ジャレにフィニッシュする。初日から総合優勝候補たちが動く白熱の展開を見せた。
例年併催されていたツール・ド・スイスが中止に追い込まれ、唯一のツール・ド・フランス前哨戦となった今大会。出場選手の豪華さから実質的なツール第1ステージとも呼ばれるレースは開始早々5人が逃げる展開に。
逃げグループを形成した5名
ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)
ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)
クイントン・ヘルマンス(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール)
トムイェルト・スラフテル(オランダ、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)
序盤から逃げたミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)ら5人 photo:CorVos
ツール前哨戦を走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス) photo:CorVos
この逃げ5人は5分程度のアドバンテージをもって前半の山岳をクリアしたものの、ステージ中盤にかけて想定外の空中分解を見せる。まずはボニファツィオが背中の痛みを訴えてリタイア。続いてファンムールとヘルマンスが落車によるリタイアに追い込まれ、図らずも先頭はシェアーとスラフテルの2人に絞られる。後半の4連続4級山岳に差し掛かったところで独走状態となったシェアーの後ろには、ドゥクーニンク・クイックステップとユンボ・ヴィスマが率いるメイン集団が迫った。
グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)と揃ってCCCチームからアージェードゥーゼールに移籍するシェアーが1分リードのまま一旦フィニッシュライン(残り35km地点)を通過。メイン集団からは地元出身のレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ)、カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)がカウンターアタックを仕掛ける。
追走3人の中で真っ先に先頭シェアーに追いつくことに成功したパシェだったが、残り24km地点の下りで単独落車して脱落。遅れて先頭に合流するとともに独走に持ち込んだカヴァニャも、ユンボ・ヴィスマが牽引するメイン集団によって残り13km地点で吸収された。
マスクをしたチームスタッフが沿道で待ち構える photo:CorVos
長時間メイン集団を牽引したトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
この断続的なアップダウンに、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・マクラーレン)、ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、NTTプロサイクリング)といった軽量スプリンターたちが集団内から姿を消した。さらに最後の4級山岳ラ・ガシェに差し掛かると、脱落者を待ち構えていた集団後方の中継カメラが、チームメイトのジョナタン・カストロビエホ(スペイン)と会話をしながら遅れていくクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)の姿を映し出した。
ビッグネームの中から最初に動いたのはリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)。4級山岳ラ・ガシェの頂上まで1.7kmを残して飛び出したウランにはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)やナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)が自ら反応したが、最終的にステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が全てのアタックを封じ込めながら頂上を越える。そのままフラムルージュ(残り1kmアーチ)を前に黄色いリードアウトトレインが発車時間を迎えた。
クライスヴァイクとログリッチ、そしてトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が集団先頭に立ち、残り150mでファンアールトを解き放つ。勾配が10%を超える残り100mの最終ストレートを力強いダンシングで踏み続けたファンアールトが、食らいつくダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)を振り切った。
上りスプリントで先行するワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ドーフィネ初日を制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ストラーデビアンケとミラノ〜サンレモに続く勝利を飾ったファンアールトは「(サンレモの後)数日間の休息を取ったけど、昨日の時点でまだ疲労が残っていた。でもチームは自分のために完璧な仕事をしてくれて、上りでは自分の前にイエロートレインが連なったんだ。強力なリーダーたちが牽引しれくれたことがモチベーションとなり、全開でスプリントできた。完全なるチームの勝利だ」と語る。
56人の先頭集団に4人(ファンアールト、ログリッチ、デュムラン、クライスヴァイク)を送り込んだユンボ・ヴィスマの完勝。しかし総合争いの観点では、フィニッシュラインまでもがき切ったエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)がステージ3位に滑り込んでボーナスタイム4秒を手にしている。チームイネオスも同様に4人(ベルナル、トーマス、クフィアトコフスキ、シヴァコフ)を先頭集団に残した。
獲得標高差3,400mをこなしたこの日の平均スピードは40.0km/h。アルプス山脈に突入する第2ステージは1級山岳マイエ峠を越えて超級山岳ポルト峠にフィニッシュする。
イエロージャージを手にしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
クリテリウム・デュ・ドーフィネ初日の第1ステージは今大会最長の218.5km。実に7つのカテゴリー山岳が詰め込まれたステージの獲得標高差は3,400mに達するが、後半の4ステージの難易度が高いため『最も難易度が低いステージ』に該当する。
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例年併催されていたツール・ド・スイスが中止に追い込まれ、唯一のツール・ド・フランス前哨戦となった今大会。出場選手の豪華さから実質的なツール第1ステージとも呼ばれるレースは開始早々5人が逃げる展開に。
逃げグループを形成した5名
ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)
ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)
クイントン・ヘルマンス(ベルギー、サーカス・ワンティゴベール)
トムイェルト・スラフテル(オランダ、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)
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この逃げ5人は5分程度のアドバンテージをもって前半の山岳をクリアしたものの、ステージ中盤にかけて想定外の空中分解を見せる。まずはボニファツィオが背中の痛みを訴えてリタイア。続いてファンムールとヘルマンスが落車によるリタイアに追い込まれ、図らずも先頭はシェアーとスラフテルの2人に絞られる。後半の4連続4級山岳に差し掛かったところで独走状態となったシェアーの後ろには、ドゥクーニンク・クイックステップとユンボ・ヴィスマが率いるメイン集団が迫った。
グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)と揃ってCCCチームからアージェードゥーゼールに移籍するシェアーが1分リードのまま一旦フィニッシュライン(残り35km地点)を通過。メイン集団からは地元出身のレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ)、カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)がカウンターアタックを仕掛ける。
追走3人の中で真っ先に先頭シェアーに追いつくことに成功したパシェだったが、残り24km地点の下りで単独落車して脱落。遅れて先頭に合流するとともに独走に持ち込んだカヴァニャも、ユンボ・ヴィスマが牽引するメイン集団によって残り13km地点で吸収された。
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この断続的なアップダウンに、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・マクラーレン)、ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、NTTプロサイクリング)といった軽量スプリンターたちが集団内から姿を消した。さらに最後の4級山岳ラ・ガシェに差し掛かると、脱落者を待ち構えていた集団後方の中継カメラが、チームメイトのジョナタン・カストロビエホ(スペイン)と会話をしながら遅れていくクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)の姿を映し出した。
ビッグネームの中から最初に動いたのはリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)。4級山岳ラ・ガシェの頂上まで1.7kmを残して飛び出したウランにはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)やナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)が自ら反応したが、最終的にステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が全てのアタックを封じ込めながら頂上を越える。そのままフラムルージュ(残り1kmアーチ)を前に黄色いリードアウトトレインが発車時間を迎えた。
クライスヴァイクとログリッチ、そしてトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が集団先頭に立ち、残り150mでファンアールトを解き放つ。勾配が10%を超える残り100mの最終ストレートを力強いダンシングで踏み続けたファンアールトが、食らいつくダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)を振り切った。
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ストラーデビアンケとミラノ〜サンレモに続く勝利を飾ったファンアールトは「(サンレモの後)数日間の休息を取ったけど、昨日の時点でまだ疲労が残っていた。でもチームは自分のために完璧な仕事をしてくれて、上りでは自分の前にイエロートレインが連なったんだ。強力なリーダーたちが牽引しれくれたことがモチベーションとなり、全開でスプリントできた。完全なるチームの勝利だ」と語る。
56人の先頭集団に4人(ファンアールト、ログリッチ、デュムラン、クライスヴァイク)を送り込んだユンボ・ヴィスマの完勝。しかし総合争いの観点では、フィニッシュラインまでもがき切ったエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)がステージ3位に滑り込んでボーナスタイム4秒を手にしている。チームイネオスも同様に4人(ベルナル、トーマス、クフィアトコフスキ、シヴァコフ)を先頭集団に残した。
獲得標高差3,400mをこなしたこの日の平均スピードは40.0km/h。アルプス山脈に突入する第2ステージは1級山岳マイエ峠を越えて超級山岳ポルト峠にフィニッシュする。
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クリテリウム・デュ・ドーフィネ2020第1ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 5:27:42 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | |
3位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | |
4位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
5位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | |
7位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング) | |
8位 | ブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
9位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
10位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) |
個人総合成績
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 5:27:32 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:04 |
3位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 0:00:06 |
4位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:10 |
5位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | |
7位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング) | |
8位 | ブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
9位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
10位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム) |
ヤングライダー賞 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) |
チーム総合成績 | ユンボ・ヴィスマ |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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