2020/08/03(月) - 23:07
宇都宮ブリッツェンの大久保陣が、今シーズン限りで選手を引退することを発表。チームの地元である宇都宮市の栃木県庁記者クラブで会見を行った。大久保は「宇都宮ブリッツェンで選手を辞めることを決めていた。それが一番幸せなことだと思い、ここで終えさせてもらうことにした」と語った。
ホームレースとなるJプロツアー宇都宮ラウンドを週末に控えた8月3日、宇都宮ブリッツェンの大久保陣が今シーズン限りの現役引退の発表を行なった。シーズン途中での引退発表は異例。
大久保は2014年にチーム右京から宇都宮ブリッツェンに移籍。2016年のツール・ド・熊野の第3ステージで優勝するなどの活躍を見せた。2017年からブリヂストンアンカー、2019年のキナンサイクリングチームを経て、今シーズンは4年ぶりに宇都宮ブリッツェンに復帰。先週開催されたJプロツアーの「東日本ロードクラシックDay-2」では、宇都宮ブリッツェン表彰台独占の一角となる2位となり、存在感を示した。
会見には宇都宮ブリッツェンの運営会社であるサイクルスポーツマネージメント株式会社の柿沼章代表取締役社長、チーム監督の清水裕輔監督も同席した。
会見の冒頭で柿沼氏は、「私どもとしましては今週末に地元宇都宮で行われる宇都宮クリテリウムと宇都宮ロードレースの開催の準備が佳境を迎えていますが、敢えてこのタイミングで大久保選手の引退会見を行わせていただくこととなりました。今シーズンはまだ始まったばかりですが、シーズン最後まで宇都宮ブリッツェンのジャージを着て活躍してくれる選手ですので、引き続きの熱い応援をぜひお願いします」と、挨拶した。
大久保引退の経緯については、「我々もこの結論に至るまでに何度も考えました。新型コロナウイルスの影響を受けてチームの財政面の部分で、チームが残ってこその選択肢ですし、我々としては2021シーズンもチームがきちんと活動を存続し、さらにその次のシーズンにバトンをつなげていくということを最優先に考えた末の決断です。長くチームに貢献してくれた大久保選手に対してこのような結論を伝えるということは、まさに断腸の思いでした」と、説明した。
チームを率いる清水裕輔監督は「私としては大久保選手に来シーズンも継続して走って欲しいという気持ちでしたが、このコロナ禍の中で契約が難しいという状況に至ってしまったのは非常に残念なところです。彼とは同じ時期に宇都宮ブリッツェンに来て、とても思い入れのある選手です。今シーズン再加入してもらったのは、若い選手に対してしっかり指導してくれ、年長の選手に対してもしっかりと自分の意見を言える、稀有な能力を持っている部分に期待してのことでもあります。
先週の群馬のレース(東日本ロードクラシック)の時点で引退することを彼は決めていましたし、会社もチームも選手も彼の引退を知っているなかで、いい成績を出してくれました。こういった形で先に発表はさせていただきましたが、今シーズンはきっと最後に宇都宮ブリッツェンの選手として、しっかりと成績を出してくれると思っています」と、「同期」の大久保について語った。
<大久保陣 一問一答>
-宇都宮で辞めることにこだわった理由は?
「宇都宮では本当にたくさんの方にお世話になっていて、これから先もずっと宇都宮に住みたいと思っているので、宇都宮ブリッツェンで引退することが自分は一番いいことだと思いました。2016年以降にいろいろなチームに行かせてもらって、またこうやって戻してもらえて、(契約しないという話になって)また次のチームを探すという気にもなりませんでしたし、ここで引退するのが一番幸せだと思ったので引退を決意しました」
- 今シーズンチームに戻ってきてから引退を決意するまでに、どのような心境の変化があったのか?
「レースを走っていない時期に来シーズンの契約の話をさせてもらって、そこでもう来シーズンは契約がないという話になったので、それならこのタイミングで辞めようと自分の中でも切り替えができた感じですね。先ほども申し上げた通り、他のチームで走るという選択が自分の中にはもうなかったので」
- 引退をチームメートに伝えた時に言われたことは?
「まだ、やれるんじゃない?ということを言ってくれる選手もいましたが、自分が宇都宮ブリッツェンで辞めたいということを皆んな知っていたので、自分が決めることだからと皆んな言ってくれました」
-群馬でのレース前のミーティングでは、作戦などの話以外に引退に関する話などもありましたか?
「選手は既に皆んな知っている状態でしたが、あらためて監督が自分が引退するという話をしてくださって。知っているだけに特別反応などはありませんでしたが、今は選手全員でまとまっていますし、残り半年、皆んなで結果を出したいなとあらためて思いましたね」
- 引退後の予定は?
「引退すると決めて、本当に何をしたらいいか分からない状態ではあるのですが、ひとつだけ言えることは、宇都宮にずっと住もうと思っていることですね。今後に関してはこれからいろいろじっくりと考えて、周りの方にも相談しながら決めようと思います」
-選手生活を振り返ってみて、自分ではどんな選手生活だったと思いますか?
「宇都宮ブリッツェンに入る前からですが、本当にたくさんの方にお世話になって周りに恵まれたなと思っていますし、国際レースでの優勝も含めていろいろなレースで勝たせてもらいましたし、ヨーロッパやアジアのレースにも行かせてもらいましたし、本当に幸せな選手生活だったと思います」
-宇都宮のどんなところが魅力だったのか?
「サイクルスポーツマネージメントの皆さんをはじめ、仲間もすごく良い人ばかりですし、地域の方もファンの方も良い人ばかりです。何が魅力かと聞かれると難しいですが、たくさんの人たちとかかわらせてもらう中で、自分には合っている街だなと感じたことだと思います」
-戦績を見ると紀伊半島で強い印象。出身の西日本方面に行くと気合いが入るのか?
「自分でも思い返してみると和歌山近辺での勝利が多いですが、理由は雨です(笑) 雨のレースが得意で、紀伊半島で開催されるレースの時期に雨が多かったこともあって、そういう結果になったんだと思います」
-ファンの皆さんにメッセージを
「今週末の宇都宮でのレースは、自分たちにとってホームレースで一番重要なレースです。もちろん自分も勝ちたいですし勝ちにいきますが、チームには勝てる選手がそろっているので、チームとしていい結果が残せることが一番だと思っています。残りのシーズンは、あと1勝して、別に2勝でもいいんですが(笑)、格好良く辞めたいなというのが本音です」
text:Nobumichi KOMORI
edit:Satoru Kato
ホームレースとなるJプロツアー宇都宮ラウンドを週末に控えた8月3日、宇都宮ブリッツェンの大久保陣が今シーズン限りの現役引退の発表を行なった。シーズン途中での引退発表は異例。
大久保は2014年にチーム右京から宇都宮ブリッツェンに移籍。2016年のツール・ド・熊野の第3ステージで優勝するなどの活躍を見せた。2017年からブリヂストンアンカー、2019年のキナンサイクリングチームを経て、今シーズンは4年ぶりに宇都宮ブリッツェンに復帰。先週開催されたJプロツアーの「東日本ロードクラシックDay-2」では、宇都宮ブリッツェン表彰台独占の一角となる2位となり、存在感を示した。
会見には宇都宮ブリッツェンの運営会社であるサイクルスポーツマネージメント株式会社の柿沼章代表取締役社長、チーム監督の清水裕輔監督も同席した。
会見の冒頭で柿沼氏は、「私どもとしましては今週末に地元宇都宮で行われる宇都宮クリテリウムと宇都宮ロードレースの開催の準備が佳境を迎えていますが、敢えてこのタイミングで大久保選手の引退会見を行わせていただくこととなりました。今シーズンはまだ始まったばかりですが、シーズン最後まで宇都宮ブリッツェンのジャージを着て活躍してくれる選手ですので、引き続きの熱い応援をぜひお願いします」と、挨拶した。
大久保引退の経緯については、「我々もこの結論に至るまでに何度も考えました。新型コロナウイルスの影響を受けてチームの財政面の部分で、チームが残ってこその選択肢ですし、我々としては2021シーズンもチームがきちんと活動を存続し、さらにその次のシーズンにバトンをつなげていくということを最優先に考えた末の決断です。長くチームに貢献してくれた大久保選手に対してこのような結論を伝えるということは、まさに断腸の思いでした」と、説明した。
チームを率いる清水裕輔監督は「私としては大久保選手に来シーズンも継続して走って欲しいという気持ちでしたが、このコロナ禍の中で契約が難しいという状況に至ってしまったのは非常に残念なところです。彼とは同じ時期に宇都宮ブリッツェンに来て、とても思い入れのある選手です。今シーズン再加入してもらったのは、若い選手に対してしっかり指導してくれ、年長の選手に対してもしっかりと自分の意見を言える、稀有な能力を持っている部分に期待してのことでもあります。
先週の群馬のレース(東日本ロードクラシック)の時点で引退することを彼は決めていましたし、会社もチームも選手も彼の引退を知っているなかで、いい成績を出してくれました。こういった形で先に発表はさせていただきましたが、今シーズンはきっと最後に宇都宮ブリッツェンの選手として、しっかりと成績を出してくれると思っています」と、「同期」の大久保について語った。
<大久保陣 一問一答>
-宇都宮で辞めることにこだわった理由は?
「宇都宮では本当にたくさんの方にお世話になっていて、これから先もずっと宇都宮に住みたいと思っているので、宇都宮ブリッツェンで引退することが自分は一番いいことだと思いました。2016年以降にいろいろなチームに行かせてもらって、またこうやって戻してもらえて、(契約しないという話になって)また次のチームを探すという気にもなりませんでしたし、ここで引退するのが一番幸せだと思ったので引退を決意しました」
- 今シーズンチームに戻ってきてから引退を決意するまでに、どのような心境の変化があったのか?
「レースを走っていない時期に来シーズンの契約の話をさせてもらって、そこでもう来シーズンは契約がないという話になったので、それならこのタイミングで辞めようと自分の中でも切り替えができた感じですね。先ほども申し上げた通り、他のチームで走るという選択が自分の中にはもうなかったので」
- 引退をチームメートに伝えた時に言われたことは?
「まだ、やれるんじゃない?ということを言ってくれる選手もいましたが、自分が宇都宮ブリッツェンで辞めたいということを皆んな知っていたので、自分が決めることだからと皆んな言ってくれました」
-群馬でのレース前のミーティングでは、作戦などの話以外に引退に関する話などもありましたか?
「選手は既に皆んな知っている状態でしたが、あらためて監督が自分が引退するという話をしてくださって。知っているだけに特別反応などはありませんでしたが、今は選手全員でまとまっていますし、残り半年、皆んなで結果を出したいなとあらためて思いましたね」
- 引退後の予定は?
「引退すると決めて、本当に何をしたらいいか分からない状態ではあるのですが、ひとつだけ言えることは、宇都宮にずっと住もうと思っていることですね。今後に関してはこれからいろいろじっくりと考えて、周りの方にも相談しながら決めようと思います」
-選手生活を振り返ってみて、自分ではどんな選手生活だったと思いますか?
「宇都宮ブリッツェンに入る前からですが、本当にたくさんの方にお世話になって周りに恵まれたなと思っていますし、国際レースでの優勝も含めていろいろなレースで勝たせてもらいましたし、ヨーロッパやアジアのレースにも行かせてもらいましたし、本当に幸せな選手生活だったと思います」
-宇都宮のどんなところが魅力だったのか?
「サイクルスポーツマネージメントの皆さんをはじめ、仲間もすごく良い人ばかりですし、地域の方もファンの方も良い人ばかりです。何が魅力かと聞かれると難しいですが、たくさんの人たちとかかわらせてもらう中で、自分には合っている街だなと感じたことだと思います」
-戦績を見ると紀伊半島で強い印象。出身の西日本方面に行くと気合いが入るのか?
「自分でも思い返してみると和歌山近辺での勝利が多いですが、理由は雨です(笑) 雨のレースが得意で、紀伊半島で開催されるレースの時期に雨が多かったこともあって、そういう結果になったんだと思います」
-ファンの皆さんにメッセージを
「今週末の宇都宮でのレースは、自分たちにとってホームレースで一番重要なレースです。もちろん自分も勝ちたいですし勝ちにいきますが、チームには勝てる選手がそろっているので、チームとしていい結果が残せることが一番だと思っています。残りのシーズンは、あと1勝して、別に2勝でもいいんですが(笑)、格好良く辞めたいなというのが本音です」
text:Nobumichi KOMORI
edit:Satoru Kato
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