リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)が豪州紙のインタビューに対し、今年がチームリーダーとして出場する最後のツール・ド・フランスになると話した。



ツアー・ダウンアンダーで逆転総合優勝に輝いたリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)ツアー・ダウンアンダーで逆転総合優勝に輝いたリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
35歳となったリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)が豪州AAPのインタビューに答え、新スケジュールが発表されたツールや来年に延期された東京五輪、週1000kmにも及ぶ室内でのトレーニング、そして今年9月に予定している第二子誕生についても言及。最大の目標であるツールについてポートは「おそらくこれが(エースとして)最後のツールになるだろう」と答えた。

「ダウンアンダーやパリ〜ニースのようなレースではまだ勝てるが、アスリートとして(エースを担う)時期は過ぎようとしている」「来年は36歳になり、(グランツールのような)長期間のレースでの最高の日々はもう終わっていると思う。自然と違った役割を引き受けることも考えている」。

ポートは2020年のワールドツアー初戦となったツアー・ダウンアンダーで、ウィランガヒルステージの7連覇を逃すものの2度目の総合優勝を果たし、健在ぶりを示した。しかし今年はトレック・セガフレードとの2年契約の最終年。エースとしての戦いを終えることとなっても、グランツールでチームメイトを過去4度総合優勝へと導いたベテランアシストとして引く手はあまただろう。

もう一つの目標である東京五輪については、来年以降の大きなモチベーションになるとしながらも「前回のオリンピックが最高の思い出とは言わないが、入院したことが(その後)大きいレース後に入院するという不運の始まりだった」と振り返る。ポートはスカイからBMCへと移籍して迎えた2016年のリオ五輪で落車、2017年と2018年のツールでは共に第9ステージで落車リタイアと不運を重ねていた。その始まりが前回の五輪だったという。

2018年ツールではパヴェの第9ステージで落車リタイア2018年ツールではパヴェの第9ステージで落車リタイア photo:CorVos
新型コロナウイルスの感染拡散によるロックダウンが施行されたモナコで、自己最長だという週1,000kmの室内トレーニングで行ったポートだが、「正直に言うと、(仮想ライディングのZwiftのような)テクノロジーがあるのは素晴らしいことだが、それでも頭にはかなり負担がかかる」と、難しさも語った。

また、ツールの開幕(8月29日〜)が遅れることで、9月に予定している第二子の誕生に立ち会えない可能性について「(ツールは)最大の目標だし、(出産に立ち会うために)その場にいられないのは、人生最大の犠牲になる」と答えた。

ツールを見据えるリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)ツールを見据えるリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
チームイネオスの監督のセルヴァイス・クナーフェンは、5ヶ月間の中断期間を経て行う今年のツールを「選手はまるでシーズン序盤のルタ・デル・ソル(ブエルタ・ア・アンダルシア)に相当する状態でスタートすることになる」と表現した。例年のツアー・ダウンアンダーやシーズン序盤で抜群の強さを見せるポートにとって、2020年ツールは持ち前の力を発揮できる最初で最後の好機となるのかもしれない。

text:Sotaro.Arakawa

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