2020/04/01(水) - 14:04
御殿場MTBパークFUTAGOにおいて3月21日に開催されたマウンテンバイクレース 「CSC Classic」。各クラスの優勝者たちが駆ったクロスカントリー仕様のMTBを取材した。アップダウンの厳しいコースを走破するバイクとは?
エリート男子優勝 松田賢太郎
サンタクルズ BLUR
2位の中村龍吉選手とのデッドヒートの末に「最後にかけたラストスパートがうまくいき、優勝できました」と語る松田賢太郎選手は、トップカテゴリーを制しながらほぼ無名の選手。チームジャージもカラフル柄のチーム無所属だ。MTBレースではCJシリーズのアドバンスやチャレンジクラスでは優勝経験があるが、上位クラスではまだ成績が出せていなかったという。「嬉しいですね。今年はもっと上に行けるように頑張りたい」。
そんな松田選手が駆るMTBはアメリカンブランド、サンタクルズのBLUR(ブラー)。末政実緒選手がメインで乗っているのと同じフルサスモデルだ。サスは前後100mmストロークで、コンセプトは下りも攻めれるXCフルサスバイク。
「このコースは平坦が長く、コーナーが多いのでどこで踏んでどこで休むかが難しかった。コーナーを抜けた立ち上がりで踏んで、うまく走らないとロスが大きい。このサンタのBLURは今年から乗り始めました。”下りやすいバイク”で、サスがふわふわよく動くんです。でも登りは得意じゃないだろうと思いきや、リアサスでギャップをうまくいなしてグイグイ登ってくれるオールラウンドなバイクです」と言う。
コンポにはシマノの新XT・12Sをチョイス。「フレーム組みなのでシマノの選択肢がスラムよりもコスト面では優位があります。XTならレースに十分な性能です」とのこと。
マグラの電動(無線)式ドロッパーポスト「VYRON」を使用し、北海道は釧路市のサイクルガレージPAZの手組みホイールをチョイス。「ホイールはリムがナノカーボン製で超軽量なのに振動吸収性が高くて、タフ。昨年までハードテイルバイクで走っていたんですが、このバイクに乗ってからは振動吸収性をより高めて乗ることをテーマにパーツを選んでセットアップしています」。
他にお気に入りはKMCのDLC(=ダイヤモンドライクコーティング)チェーンと、日本ブランドであるVesrah(ベスラ)のディスクブレーキ用パッド。Vesrahのパッドはあえてダウンヒルモデルを使用しており、「コントロールしやすくて、このパッドでなきゃトレイルのダウンヒルを走りたくないぐらいに気に入っています」とのことだ。
エリート男子2位 中村龍吉(中央大学)
スペシャライズドS-WORKS EPIC
松田選手に次いでエリート男子で惜しくも2位だったのは中村龍吉選手(中央大学)。学法石川時代にはジャパンカップのホープフルクリテリウム2018で優勝、昨年はジュニアのネイションズカップ参戦でフランスに遠征し、ツアー・オブ・ジャパン東京ステージと併催の全日本学生選手権クリテリウム大会で優勝、さいたまクリテリウムにも出場した、ロード界注目の若手選手。シクロクロスも好きで、得意技はウイリー。自称「クリテ職人」とのこと。
中村選手が駆るのはスペシャライズドS-WORKS EPIC。「自身にとって去年初めて買ったマウンテンバイク。それまでは友人に借りたMTBでレースに出ていた状態でした。だから何も分からず、ステムの高さぐらいしか変えていないというノーマル状態。そんな僕でさえレースで進ませてくれるいいバイクです」。
こだわりはドロッパーポストを使用すること。「下りでサドル高を下げれば身体が動かしやすくなって攻めれるので、欠かせないですね。MTBには必要不可欠なパーツだと思います」。
マスターズ男子優勝 山崎雅典(AVA)
スペシャライズドS-WORKS EPIC ULTRALITE
激戦のマスターズ男子を制した山崎雅典選手(AVA)が駆るのは、スペシャライズドのカタログ外モデルだというS-WORKS EPIC ULTRALITEだ。
「塗装無しの軽量なフレームで、従来製品よりも200gぐらい軽いというプロ仕様フレームです。ペイントが無く、ロゴステッカーの上からだけ保護のクリアがかけられていますが、他は素地で無処理。日本に3本程度入荷したものだそうです。プロでないのにそんなモデルがどうして入手できたかと言うと、昨年の全日本選手権のレース直前に転倒して、前に乗っていたバイクのフレームにクラックが入り、スペシャライズド・ジャパンに相談したら平林安里選手(当時のサポート選手)がMサイズに乗ったが、Sが余っていた。他の選手が乗る予定がなかったので購入させてもらったんです」。
「神奈川・厚木のSラウンジ会員だった頃に、プロ同様のネームステッカーがもらえたので貼っています。見た目は完全にプロ仕様なので気に入っています」とのことで、見た目も完全にプロバイクだ。ホイールはROVAL-SL、タイヤはスペシャ定番のXCレースタイヤであるCONTROL SLを使用する。
「こだわりとしてはXCレースでもドロッパーポストを使うこと。少しの重量デメリットがあっても、下りで有利。すべてのMTBに使っているのでこれは外せなかったです」。
3h男子ソロ優勝 吉岡拓哉(イナーメ信濃山形)
トレック X-Caliber
圧倒の走りで3時間耐久のソロ優勝者になったというのに、バイクはまるで初心者のようにこだわりの形跡がまったく見られない吉岡拓哉選手。チャンピオンシステムのジャージを着ているが、イナーメ信濃山形の所属選手だという。
「後半のほうが調子が良くなって、いつのまにか優勝していました(笑)。普段はロードばかりに乗っています。普段は室内トレーニングが主で、土日の練習会に出て、レースにも時々出場するぐらい。じつはイナーメのチームジャージを1着しかもっていなくて、汚したり破るのが嫌だったから手持ちのジャージで走りました」と話す。
愛車のトレック X-Caliberはほぼ買ったままの状態ということで、まだあまり乗っておらず、乗るのも1ヶ月ぶりだとか。ハンドルの角度やセッティングもレーサーらしくない角度に見えました...。
ロードでは昨年のツール・ド・おきなわに出場、市民140kmクラスで41位だった。このバイクにはそのときの大会公式ボトルを使用していた(補給所で配ってくれるものだ)。
JBCFレースはE2で5位、E3で2位になったことがあり、地方のレースでは年代別クラスで上位を経験したが、MTBレースでの優勝は初めての経験。「今年の目標は、本当にきつくて、足が攣ったツール・ド・おきなわで上位を目指すこと。ニセコクラシックにも出たい。練習するしかないですね」と、どこまでもローディな方でした。
photo&text:Makoto.AYANO
次回、別クラスの優勝者のバイク記事に続きます。
エリート男子優勝 松田賢太郎
サンタクルズ BLUR
2位の中村龍吉選手とのデッドヒートの末に「最後にかけたラストスパートがうまくいき、優勝できました」と語る松田賢太郎選手は、トップカテゴリーを制しながらほぼ無名の選手。チームジャージもカラフル柄のチーム無所属だ。MTBレースではCJシリーズのアドバンスやチャレンジクラスでは優勝経験があるが、上位クラスではまだ成績が出せていなかったという。「嬉しいですね。今年はもっと上に行けるように頑張りたい」。
そんな松田選手が駆るMTBはアメリカンブランド、サンタクルズのBLUR(ブラー)。末政実緒選手がメインで乗っているのと同じフルサスモデルだ。サスは前後100mmストロークで、コンセプトは下りも攻めれるXCフルサスバイク。
「このコースは平坦が長く、コーナーが多いのでどこで踏んでどこで休むかが難しかった。コーナーを抜けた立ち上がりで踏んで、うまく走らないとロスが大きい。このサンタのBLURは今年から乗り始めました。”下りやすいバイク”で、サスがふわふわよく動くんです。でも登りは得意じゃないだろうと思いきや、リアサスでギャップをうまくいなしてグイグイ登ってくれるオールラウンドなバイクです」と言う。
コンポにはシマノの新XT・12Sをチョイス。「フレーム組みなのでシマノの選択肢がスラムよりもコスト面では優位があります。XTならレースに十分な性能です」とのこと。
マグラの電動(無線)式ドロッパーポスト「VYRON」を使用し、北海道は釧路市のサイクルガレージPAZの手組みホイールをチョイス。「ホイールはリムがナノカーボン製で超軽量なのに振動吸収性が高くて、タフ。昨年までハードテイルバイクで走っていたんですが、このバイクに乗ってからは振動吸収性をより高めて乗ることをテーマにパーツを選んでセットアップしています」。
他にお気に入りはKMCのDLC(=ダイヤモンドライクコーティング)チェーンと、日本ブランドであるVesrah(ベスラ)のディスクブレーキ用パッド。Vesrahのパッドはあえてダウンヒルモデルを使用しており、「コントロールしやすくて、このパッドでなきゃトレイルのダウンヒルを走りたくないぐらいに気に入っています」とのことだ。
エリート男子2位 中村龍吉(中央大学)
スペシャライズドS-WORKS EPIC
松田選手に次いでエリート男子で惜しくも2位だったのは中村龍吉選手(中央大学)。学法石川時代にはジャパンカップのホープフルクリテリウム2018で優勝、昨年はジュニアのネイションズカップ参戦でフランスに遠征し、ツアー・オブ・ジャパン東京ステージと併催の全日本学生選手権クリテリウム大会で優勝、さいたまクリテリウムにも出場した、ロード界注目の若手選手。シクロクロスも好きで、得意技はウイリー。自称「クリテ職人」とのこと。
中村選手が駆るのはスペシャライズドS-WORKS EPIC。「自身にとって去年初めて買ったマウンテンバイク。それまでは友人に借りたMTBでレースに出ていた状態でした。だから何も分からず、ステムの高さぐらいしか変えていないというノーマル状態。そんな僕でさえレースで進ませてくれるいいバイクです」。
こだわりはドロッパーポストを使用すること。「下りでサドル高を下げれば身体が動かしやすくなって攻めれるので、欠かせないですね。MTBには必要不可欠なパーツだと思います」。
マスターズ男子優勝 山崎雅典(AVA)
スペシャライズドS-WORKS EPIC ULTRALITE
激戦のマスターズ男子を制した山崎雅典選手(AVA)が駆るのは、スペシャライズドのカタログ外モデルだというS-WORKS EPIC ULTRALITEだ。
「塗装無しの軽量なフレームで、従来製品よりも200gぐらい軽いというプロ仕様フレームです。ペイントが無く、ロゴステッカーの上からだけ保護のクリアがかけられていますが、他は素地で無処理。日本に3本程度入荷したものだそうです。プロでないのにそんなモデルがどうして入手できたかと言うと、昨年の全日本選手権のレース直前に転倒して、前に乗っていたバイクのフレームにクラックが入り、スペシャライズド・ジャパンに相談したら平林安里選手(当時のサポート選手)がMサイズに乗ったが、Sが余っていた。他の選手が乗る予定がなかったので購入させてもらったんです」。
「神奈川・厚木のSラウンジ会員だった頃に、プロ同様のネームステッカーがもらえたので貼っています。見た目は完全にプロ仕様なので気に入っています」とのことで、見た目も完全にプロバイクだ。ホイールはROVAL-SL、タイヤはスペシャ定番のXCレースタイヤであるCONTROL SLを使用する。
「こだわりとしてはXCレースでもドロッパーポストを使うこと。少しの重量デメリットがあっても、下りで有利。すべてのMTBに使っているのでこれは外せなかったです」。
3h男子ソロ優勝 吉岡拓哉(イナーメ信濃山形)
トレック X-Caliber
圧倒の走りで3時間耐久のソロ優勝者になったというのに、バイクはまるで初心者のようにこだわりの形跡がまったく見られない吉岡拓哉選手。チャンピオンシステムのジャージを着ているが、イナーメ信濃山形の所属選手だという。
「後半のほうが調子が良くなって、いつのまにか優勝していました(笑)。普段はロードばかりに乗っています。普段は室内トレーニングが主で、土日の練習会に出て、レースにも時々出場するぐらい。じつはイナーメのチームジャージを1着しかもっていなくて、汚したり破るのが嫌だったから手持ちのジャージで走りました」と話す。
愛車のトレック X-Caliberはほぼ買ったままの状態ということで、まだあまり乗っておらず、乗るのも1ヶ月ぶりだとか。ハンドルの角度やセッティングもレーサーらしくない角度に見えました...。
ロードでは昨年のツール・ド・おきなわに出場、市民140kmクラスで41位だった。このバイクにはそのときの大会公式ボトルを使用していた(補給所で配ってくれるものだ)。
JBCFレースはE2で5位、E3で2位になったことがあり、地方のレースでは年代別クラスで上位を経験したが、MTBレースでの優勝は初めての経験。「今年の目標は、本当にきつくて、足が攣ったツール・ド・おきなわで上位を目指すこと。ニセコクラシックにも出たい。練習するしかないですね」と、どこまでもローディな方でした。
photo&text:Makoto.AYANO
次回、別クラスの優勝者のバイク記事に続きます。
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