2020/03/01(日) - 10:54
2月29日、ベルギーにクラシックシーズンが到来した。UCIワールドツアー第4戦にあたるオンループ・ヘットニュースブラッドでジャスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)が初勝利を飾った。與那嶺恵理も出場した女子レースではアネミエク・ファンフルーテン(ミッチェルトン・スコット)が独走勝利。
フランドル地方にシーズン到来を告げるクラシック初戦
4月下旬まで約2ヶ月にわたるクラシック月間が始まった。クラシックシーズン初戦にあたるオンループ・ヘットニュースブラッドは開催75回目を迎えるベルギーのクラシックレース。2017年からUCIワールドツアーレースとして開催されており、フランドル地方のヘントからニノーヴェまでの200kmコースが設定されている。
丘陵地帯を縦横無尽に走るコースには13箇所の「ベルグ(急坂)」と9箇所の「パヴェ(石畳)」が登場。スタートから降り続いた雨は後半にかけてストップし、フィニッシュ地点は暖かい太陽に照らされた。
マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)やマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)を含む5名の逃げグループが7分30秒のリードを得て中盤からの急坂&石畳連続エリアに突入する。しかし、踏切ストップの影響もあって逃げグループはリードを失い、石畳&横風による分裂によって人数を減らすメイン集団に引き戻された。
まだフィニッシュまで70km以上を残したレケルベルグで生まれたティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)やセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ)を含む先行グループに反応したのは、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)とイヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)といったエース級選手たち。こうして新たに形成された8名の先行グループが勝ち逃げとなった。
ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン)を含む追走グループにワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)やティシュ・ベノート (ベルギー、サンウェブ)が合流するシーンも見られたが、先頭グループとのタイム差を詰めることができずにメイン集団に引き戻される。
先頭グループ内では、メイン集団から1分45秒のリードで差し掛かったミュール・ファン・ヘラールツベルヘンでストゥイヴェンとランパールトが脚の違いを見せつけて飛び出し、クラーウアナスンだけが食らいつくことに成功する。フィニッシュまで17kmを残した難所で先行した3名は最後のボズベルグもクリア。出遅れたトレンティンを振り切った三つ巴による戦いに持ち込まれた。
残り2kmサインを視界に捉えたランパールトのアタックによってクラーウアナスンが脱落したため、勝負はストゥイヴェンとランパールトのスプリント一騎打ちに。牽制の末に始まったフランドリアン2名のスプリントで先行したストゥイヴェンが、逆光のフィニッシュラインで両手を挙げた。
「強い自分を再び示すことができてよかった」と、オンループ初勝利を飾った27歳のストゥイヴェンは語る。2016年に23歳の若さでクールネ〜ブリュッセル〜クールネを制したストゥイヴェンは一躍次世代クラシックレーサーとして注目を集める存在となったが、ここまでメジャークラシックでの勝利を掴めずにいた。
「昨シーズンのマッズ・ピーダスンの世界タイトル獲得から続く好調の流れを今シーズンも引き継ぐことができている。今日のような天気では前で展開する必要があるとチームと話していて、その通りの展開に持ち込むことができた。このオンループはキャリア最大の勝利だ」と2019年9月のドイツツアー総合優勝以来となる勝利を果たしたストゥイヴェンは語っている。
世界王者ファンフルーテンが独走
男子レースと並行して開催された女子レースはUCIウィメンズワールドツアーではなくUCIクラス1。ヘントをスタートしてニノーヴェにフィニッシュするレイアウトは男子レースと共通で、中盤の丘陵地帯の構成が異なる。
10箇所の「ベルグ」と5箇所の「パヴェ」を含む127kmコースで形成された精鋭集団から、残り17km地点のミュール・ファン・ヘラールツベルヘンで飛び出したのは世界チャンピオンのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)だった。石畳が敷かれた急勾配区間で仕掛けたファンフルーテンは、追いすがるフロールチェ・マッカイ(オランダ、サンウェブ)を振り切って独走する。
マッカイとマルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレBTCリュブリャナ)、シャンタル・ブラーク(オランダ、ブールスドルマンス)、エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)の4名が追走グループを形成したものの、タイムトライアル世界チャンピオンに2度輝いているファンフルーテンがそのまま独走勝利。圧巻の105km独走で獲得したアルカンシェルを着て、シーズン初戦を独走で制した。
クラシックレースからステージレースまで幅広く活躍する37歳のファンフルーテンは、大会3連覇がかかったジロローザを前に、ストラーデビアンケやロンド・ファン・フラーンデレン、アムステル・ゴールド・レース、ラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュへの出場を予定している。
2位争いのスプリントを制したのは與那嶺恵理(アレBTCリュブリャナ)のチームメイトであるイタリアチャンピオンのバスティアネッリ。シーズン2戦目を31位で終えた與那嶺は、1年前に12位の成績を残した翌日のオンループファン・ヘットハーグランド(UCI1.1)に連戦出場する。
フランドル地方にシーズン到来を告げるクラシック初戦
4月下旬まで約2ヶ月にわたるクラシック月間が始まった。クラシックシーズン初戦にあたるオンループ・ヘットニュースブラッドは開催75回目を迎えるベルギーのクラシックレース。2017年からUCIワールドツアーレースとして開催されており、フランドル地方のヘントからニノーヴェまでの200kmコースが設定されている。
丘陵地帯を縦横無尽に走るコースには13箇所の「ベルグ(急坂)」と9箇所の「パヴェ(石畳)」が登場。スタートから降り続いた雨は後半にかけてストップし、フィニッシュ地点は暖かい太陽に照らされた。
マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)やマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)を含む5名の逃げグループが7分30秒のリードを得て中盤からの急坂&石畳連続エリアに突入する。しかし、踏切ストップの影響もあって逃げグループはリードを失い、石畳&横風による分裂によって人数を減らすメイン集団に引き戻された。
まだフィニッシュまで70km以上を残したレケルベルグで生まれたティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)やセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ)を含む先行グループに反応したのは、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)とイヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)といったエース級選手たち。こうして新たに形成された8名の先行グループが勝ち逃げとなった。
ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・マクラーレン)を含む追走グループにワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)やティシュ・ベノート (ベルギー、サンウェブ)が合流するシーンも見られたが、先頭グループとのタイム差を詰めることができずにメイン集団に引き戻される。
先頭グループ内では、メイン集団から1分45秒のリードで差し掛かったミュール・ファン・ヘラールツベルヘンでストゥイヴェンとランパールトが脚の違いを見せつけて飛び出し、クラーウアナスンだけが食らいつくことに成功する。フィニッシュまで17kmを残した難所で先行した3名は最後のボズベルグもクリア。出遅れたトレンティンを振り切った三つ巴による戦いに持ち込まれた。
残り2kmサインを視界に捉えたランパールトのアタックによってクラーウアナスンが脱落したため、勝負はストゥイヴェンとランパールトのスプリント一騎打ちに。牽制の末に始まったフランドリアン2名のスプリントで先行したストゥイヴェンが、逆光のフィニッシュラインで両手を挙げた。
「強い自分を再び示すことができてよかった」と、オンループ初勝利を飾った27歳のストゥイヴェンは語る。2016年に23歳の若さでクールネ〜ブリュッセル〜クールネを制したストゥイヴェンは一躍次世代クラシックレーサーとして注目を集める存在となったが、ここまでメジャークラシックでの勝利を掴めずにいた。
「昨シーズンのマッズ・ピーダスンの世界タイトル獲得から続く好調の流れを今シーズンも引き継ぐことができている。今日のような天気では前で展開する必要があるとチームと話していて、その通りの展開に持ち込むことができた。このオンループはキャリア最大の勝利だ」と2019年9月のドイツツアー総合優勝以来となる勝利を果たしたストゥイヴェンは語っている。
世界王者ファンフルーテンが独走
男子レースと並行して開催された女子レースはUCIウィメンズワールドツアーではなくUCIクラス1。ヘントをスタートしてニノーヴェにフィニッシュするレイアウトは男子レースと共通で、中盤の丘陵地帯の構成が異なる。
10箇所の「ベルグ」と5箇所の「パヴェ」を含む127kmコースで形成された精鋭集団から、残り17km地点のミュール・ファン・ヘラールツベルヘンで飛び出したのは世界チャンピオンのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)だった。石畳が敷かれた急勾配区間で仕掛けたファンフルーテンは、追いすがるフロールチェ・マッカイ(オランダ、サンウェブ)を振り切って独走する。
マッカイとマルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレBTCリュブリャナ)、シャンタル・ブラーク(オランダ、ブールスドルマンス)、エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)の4名が追走グループを形成したものの、タイムトライアル世界チャンピオンに2度輝いているファンフルーテンがそのまま独走勝利。圧巻の105km独走で獲得したアルカンシェルを着て、シーズン初戦を独走で制した。
クラシックレースからステージレースまで幅広く活躍する37歳のファンフルーテンは、大会3連覇がかかったジロローザを前に、ストラーデビアンケやロンド・ファン・フラーンデレン、アムステル・ゴールド・レース、ラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュへの出場を予定している。
2位争いのスプリントを制したのは與那嶺恵理(アレBTCリュブリャナ)のチームメイトであるイタリアチャンピオンのバスティアネッリ。シーズン2戦目を31位で終えた與那嶺は、1年前に12位の成績を残した翌日のオンループファン・ヘットハーグランド(UCI1.1)に連戦出場する。
オンループ・ヘットニュースブラッド2020 男子レース
1位 | ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | 5:03:24 |
2位 | イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ) | 0:00:06 |
4位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム) | 0:00:39 |
5位 | ティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:28 |
6位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
7位 | オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) | |
8位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル) | |
9位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | |
10位 | フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) |
オンループ・ヘットニュースブラッド2020 女子レース
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 3:34:55 |
2位 | マルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレBTCリュブリャナ) | 0:00:42 |
3位 | フロールチェ・マッカイ(オランダ、サンウェブ) | |
4位 | シャンタル・ブラーク(オランダ、ブールスドルマンス) | |
5位 | エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:44 |
6位 | エリザベス・バンクス(イギリス、ビグラ・カチューシャ) | 0:01:13 |
7位 | エウジェニア・ブジャク(スロベニア、アレBTCリュブリャナ) | |
8位 | クロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング) | 0:01:30 |
9位 | イップ・ファンデンボス(オランダ、ブールスドルマンス) | |
10位 | オード・ビアニック(フランス、モビスター) | |
31位 | 與那嶺恵理(日本、アレBTCリュブリャナ) | 0:03:20 |
text:Kei Tsuji
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