2020/03/02(月) - 15:57
イタリアの老舗タイヤブランド、チャレンジがリリースする新構造のグラベルタイヤをインプレッション。チューブの代わりに空気保持性のあるラテックスライナーを使った「ハンドメイドチューブレスレディ」は転がり抵抗の軽さと快適な乗り心地を両立。クラシックな外観ながら最先端のオフロードタイヤとなっている。
チャレンジが昨年ドイツで開催されたユーロバイク2019で発表した新構造「ハンドメイドチューブレスレディタイヤ」。同社が伝統の製造方法から生み出した新開発のテクノロジーをフル投入、かつ最高級のグレードとして据えるタイヤ製法だ。昨年まで廉価グレードでプレ的に展開したTLR(チューブレスレディ)製品があったが、2020年に入って新ETRTOおよびISO規格に切り替わったタイミングで、その製法もブラッシュアップして市場に投入するハンドメイドタイヤだ。
同社が最高級グレードに据えるのは「ハンドメイド」の名がつくモデル群。文字通り熟練の職人たちによる「手造り」の行程を経て生産されるタイヤたちだ。量産を見越した製法の製品群とは区別され、少量生産ながら最高の性能と品質のタイヤを世に送り出そうというコダワリの製品群だ。
新たなハンドメイドシリーズは、チューブレスチューブラー、ハンドメイドクリンチャー/チューブレスレディが揃うが、今回はこれからもっとも注目を集めるジャンルであろうハンドメイドチューブレスレディのグラベルタイヤ2種を取り上げる。
ハンドメイドチューブレスレディのグラベルタイヤのラインナップは3モデル・4種。Strada Biancaの36mm、Almanzoの33mm、Gravel Grinderの33mmと36mmだ。今回は日本のユーザーに勧めやすいボリュームゾーンモデルとして、グラベルライド向きのGravel Grinder36mm、シクロクロスレースにも使えるAlmanzo33mmをチョイスして紹介する。
ハンドメイドチューブレスレディの構造イラスト
ハンドメイドチューブレスレディ=HTLRのコアとなるテクノロジーは、ケーシングの内側に融着するように設けられたコーティングだ。これが空気保持層となり、シーラントを併用することでチューブを不要とする。この空気保持+耐パンク性のコーティング層がケーシング全周に渡って設けられる。かつトレッド下にはパンク防止ブレーカー「PPS(Puncture Protection Strip)」が敷かれることで、ダブルでパンク防止効果を発揮する。これが「PPS2」と表記される所以だ。PPS2はすでに従来のチューブラーやクリンチャーでも採用されるテクノロジーで、実績は十分だ。
もちろん小さなパンクはシーラントにより自己修復するのはチューブレス(レディ)タイヤの美点だが、シーラントでは埋めることのできない大きな傷を負った際にもプラグでの修繕が可能だという。
化学繊維「SuperPoly(スーパーポリエステル)」によるケーシングは微細な260tpi。高級モデルに使用される高密度織りが採用されることで、タフさとしなやかな乗り心地を両立。ビード周辺部にはリムとの擦傷を防ぐ保護ストリップが加わり、リム打ちによるケーシングの断裂を防ぐとともに長寿命化を実現している。
今回はグラベルライド向きモデルとしてGravel Grinder36mm、Almanzo33mmをインプレッション。砂利道のジープロード、芝、土の混じったトレイルなど、日本的なライトグラベルでの長期実走を通しての使い勝手やライドフィールをお伝えする。
インプレッション Gravel Grinder 36mm
ナチュラルでクラシックな外観ながら、新たな試みを仕掛けてきたチャレンジタイヤ。日本のシクロクロスシーンでおなじみのブランドだが、グラベルロード系タイヤにもいち早く着手。Strada Biancaは路面状況の悪いマイナー林道などを走るロードバイカーたちの隠れた人気タイヤになってきた。2018年末にはシクロクロスシリーズとしてCHICANE(シケイン)TLRをリリースし、弱虫ペダルの前田公平なども実戦で使い、優勝の実績もある(東海シクロクロス2019第6戦愛知牧場)。
改められたETRTO規格とは、数値自体は変わるものではないが、例えばそれまで28Cタイヤなら基準とした内幅17Cリムが、2020年からは19Cに改められたことに対応して、19Cを基準に設計・製造されたタイヤになったということ。リム幅のワイド化の潮流にあわせた基準の見直しということだ。
古くて新しいテクノロジーのハンドメイドチューブレスレディ=HTLR。タイヤの裏側をみても、コーティングされたライナー自体は外見的にはクリア(透明)であるため、まったくクリンチャータイヤと見分けがつかない。それでもタイヤのケーシングの内側全面にコート層となって設けられているのが手触りで分かる。
まず紹介するGravel Grinder36mmは、本シリーズ中の純グラベルタイヤだ。しかしシクロクロスレーサーならお気付きのとおり、中央がダイヤ目、サイドに立ったノブを備えるトレッドパターン自体はCHICANE(シケイン)とほぼ同じ形状だ。そのCHICANEはC1ライダーなどの間では超定番タイヤ的な存在で、チャレンジのサポートライダーであった前田公平選手曰く「この一本でほとんどどんなコンディションもイケる」と絶賛するほどのレーシングタイヤ。それがグラベル向きに太くなり、エアボリュームが増したと考えれば良いだろう。
テクニックのある上級CXレーサーが高速レースで好んで使用するトレッドパターンだが、難しいターンや切り返しを必要としない林道ツーリング的なグラベルライドなら、ほぼそのままのトレッドパターンで低抵抗かつ安定したライドが可能だ。サイドのノブの出番はソフトな土系の道に入った際。大きく高いノブが刺さることでグリップしてくれるため、バイクを安心して倒し込める。ダイヤ目は面でグリップを稼ぐため、荒れ気味の舗装路などでも安心感が高い。
さて乗り込んでみての印象は、とにかく乗り心地が良いこと。チューブレス特有のしなやかさ、チューブが無いことでの転がり抵抗の少なさを圧倒的に感じる超快適タイヤだ。ホイール単体で地面に落としたときの弾み具合から他とは違うことが分かるほど、路面の微振動を打ち消してくれる。33mmのシクロクロス用CICANEを知っている人でも、36mmタイヤのクッション性に富んだ快適な乗り心地に驚くことだろう。
Almanzo 33mm インプレッション
アメリカの有名なグラベルから名付けられた「Almanzo(アルマンゾ)」は、シクロクロスタイヤなら砂地用モデルのDUNE(デューン)に近いトレッドパターン。ショルダーのノブがDUNEは四角いのに対し、Almanzoは丸い形状。IRCならSERAC CX EDGEに近いモデルだ。33Cの太さということで、公式シクロクロスレースにも使用することができる細身のモデル。
軽くて丸断面のタイヤはしなやかで快適性が非常に高い。より面圧で走ることができるため、ノブのあるタイヤよりも個人的にはこちらのほうがタイヤの弾みを素直に感じられて、走っていて気持ちがいいと感じる。荒れの少ない砂系のグラベルや芝、荒れた舗装路など、低めの空気圧でタイヤを地面に吸い付かせて走る喜びは何物にも代えがたい感触。他のチューブレスよりもしなり方が素直で、低圧でもチューブラーのように内部にチューブの存在を感じさせず、サイドがヨレにくい。しなやかさを全面に感じることができる超快適タイヤだ。
2セット4本のタイヤをリムに嵌めてみて感じたことは、いわゆるオープンチューブラーのような平たいタイヤをリムに嵌める際のように「苦労するのでは?」と思えたのだが、リムに載せてみると素直にエアが注入でき、手をまったく焼かずにビードを上げることができた。19Cリムでのフィット感は最適で、通常のフロアポンプでビード上げが可能。17Cリムでも同様だった。また、嵌めてからの日数経過に伴うエア漏れも少なく、シーラントを使用していればほぼ漏れがなく使い続けられそうだ。意外にも装着が簡単だったのは、ワイドリムにあわせて設計・製造されているからだろう。
パンクについてはテスト期間内には発生せず、耐性や摩耗耐性については長期使わないと分からないが、すでに定評あるダブル耐パンク構造であれば安心できるだろう。最適な空気圧については好みが左右することになるが、指定より低い2気圧以下でも十分に使用できる感触だった。つまりシクロクロスレースでも戦力になるだろう。
日本ではグラベルロードはまだこれからのジャンルだが、春以降のシクロクロスレースのオフシーズンに、これらのチャレンジのハンドメイドチューブレスレディタイヤに履き替えて日常的に使えるグラベルバイクに仕立て直して楽しむのはオススメだ。タイヤを換えれば同じバイクと思えないほど快適な乗り心地となって、オフロードライドが楽しくなるのは驚きだ。
(インプレッション:綾野 真/CW編集部)
チャレンジ ハンドメイドチューブレスレディ グラベルシリーズ
Strada Bianca 36mm 260TPI スーパーポリエステルケーシング 385g / ¥9,000(税抜)
Almanzo 33mm 260TPI スーパーポリエステルケーシング 390g / ¥9,000(税抜)
Gravel Grinder 33mm 260TPI スーパーポリエステルケーシング 405g / ¥9,000(税抜)
Gravel Grinder 36mm 260TPI スーパーポリエステルケーシング 425g / ¥9,000(税抜)
※カラーはそれぞれブラック/タンの2種あり
photo&text:Makoto.AYANO
チャレンジが昨年ドイツで開催されたユーロバイク2019で発表した新構造「ハンドメイドチューブレスレディタイヤ」。同社が伝統の製造方法から生み出した新開発のテクノロジーをフル投入、かつ最高級のグレードとして据えるタイヤ製法だ。昨年まで廉価グレードでプレ的に展開したTLR(チューブレスレディ)製品があったが、2020年に入って新ETRTOおよびISO規格に切り替わったタイミングで、その製法もブラッシュアップして市場に投入するハンドメイドタイヤだ。
同社が最高級グレードに据えるのは「ハンドメイド」の名がつくモデル群。文字通り熟練の職人たちによる「手造り」の行程を経て生産されるタイヤたちだ。量産を見越した製法の製品群とは区別され、少量生産ながら最高の性能と品質のタイヤを世に送り出そうというコダワリの製品群だ。
新たなハンドメイドシリーズは、チューブレスチューブラー、ハンドメイドクリンチャー/チューブレスレディが揃うが、今回はこれからもっとも注目を集めるジャンルであろうハンドメイドチューブレスレディのグラベルタイヤ2種を取り上げる。
ハンドメイドチューブレスレディのグラベルタイヤのラインナップは3モデル・4種。Strada Biancaの36mm、Almanzoの33mm、Gravel Grinderの33mmと36mmだ。今回は日本のユーザーに勧めやすいボリュームゾーンモデルとして、グラベルライド向きのGravel Grinder36mm、シクロクロスレースにも使えるAlmanzo33mmをチョイスして紹介する。
ハンドメイドチューブレスレディの構造イラスト
ハンドメイドチューブレスレディ=HTLRのコアとなるテクノロジーは、ケーシングの内側に融着するように設けられたコーティングだ。これが空気保持層となり、シーラントを併用することでチューブを不要とする。この空気保持+耐パンク性のコーティング層がケーシング全周に渡って設けられる。かつトレッド下にはパンク防止ブレーカー「PPS(Puncture Protection Strip)」が敷かれることで、ダブルでパンク防止効果を発揮する。これが「PPS2」と表記される所以だ。PPS2はすでに従来のチューブラーやクリンチャーでも採用されるテクノロジーで、実績は十分だ。
もちろん小さなパンクはシーラントにより自己修復するのはチューブレス(レディ)タイヤの美点だが、シーラントでは埋めることのできない大きな傷を負った際にもプラグでの修繕が可能だという。
化学繊維「SuperPoly(スーパーポリエステル)」によるケーシングは微細な260tpi。高級モデルに使用される高密度織りが採用されることで、タフさとしなやかな乗り心地を両立。ビード周辺部にはリムとの擦傷を防ぐ保護ストリップが加わり、リム打ちによるケーシングの断裂を防ぐとともに長寿命化を実現している。
今回はグラベルライド向きモデルとしてGravel Grinder36mm、Almanzo33mmをインプレッション。砂利道のジープロード、芝、土の混じったトレイルなど、日本的なライトグラベルでの長期実走を通しての使い勝手やライドフィールをお伝えする。
インプレッション Gravel Grinder 36mm
ナチュラルでクラシックな外観ながら、新たな試みを仕掛けてきたチャレンジタイヤ。日本のシクロクロスシーンでおなじみのブランドだが、グラベルロード系タイヤにもいち早く着手。Strada Biancaは路面状況の悪いマイナー林道などを走るロードバイカーたちの隠れた人気タイヤになってきた。2018年末にはシクロクロスシリーズとしてCHICANE(シケイン)TLRをリリースし、弱虫ペダルの前田公平なども実戦で使い、優勝の実績もある(東海シクロクロス2019第6戦愛知牧場)。
改められたETRTO規格とは、数値自体は変わるものではないが、例えばそれまで28Cタイヤなら基準とした内幅17Cリムが、2020年からは19Cに改められたことに対応して、19Cを基準に設計・製造されたタイヤになったということ。リム幅のワイド化の潮流にあわせた基準の見直しということだ。
古くて新しいテクノロジーのハンドメイドチューブレスレディ=HTLR。タイヤの裏側をみても、コーティングされたライナー自体は外見的にはクリア(透明)であるため、まったくクリンチャータイヤと見分けがつかない。それでもタイヤのケーシングの内側全面にコート層となって設けられているのが手触りで分かる。
まず紹介するGravel Grinder36mmは、本シリーズ中の純グラベルタイヤだ。しかしシクロクロスレーサーならお気付きのとおり、中央がダイヤ目、サイドに立ったノブを備えるトレッドパターン自体はCHICANE(シケイン)とほぼ同じ形状だ。そのCHICANEはC1ライダーなどの間では超定番タイヤ的な存在で、チャレンジのサポートライダーであった前田公平選手曰く「この一本でほとんどどんなコンディションもイケる」と絶賛するほどのレーシングタイヤ。それがグラベル向きに太くなり、エアボリュームが増したと考えれば良いだろう。
テクニックのある上級CXレーサーが高速レースで好んで使用するトレッドパターンだが、難しいターンや切り返しを必要としない林道ツーリング的なグラベルライドなら、ほぼそのままのトレッドパターンで低抵抗かつ安定したライドが可能だ。サイドのノブの出番はソフトな土系の道に入った際。大きく高いノブが刺さることでグリップしてくれるため、バイクを安心して倒し込める。ダイヤ目は面でグリップを稼ぐため、荒れ気味の舗装路などでも安心感が高い。
さて乗り込んでみての印象は、とにかく乗り心地が良いこと。チューブレス特有のしなやかさ、チューブが無いことでの転がり抵抗の少なさを圧倒的に感じる超快適タイヤだ。ホイール単体で地面に落としたときの弾み具合から他とは違うことが分かるほど、路面の微振動を打ち消してくれる。33mmのシクロクロス用CICANEを知っている人でも、36mmタイヤのクッション性に富んだ快適な乗り心地に驚くことだろう。
Almanzo 33mm インプレッション
アメリカの有名なグラベルから名付けられた「Almanzo(アルマンゾ)」は、シクロクロスタイヤなら砂地用モデルのDUNE(デューン)に近いトレッドパターン。ショルダーのノブがDUNEは四角いのに対し、Almanzoは丸い形状。IRCならSERAC CX EDGEに近いモデルだ。33Cの太さということで、公式シクロクロスレースにも使用することができる細身のモデル。
軽くて丸断面のタイヤはしなやかで快適性が非常に高い。より面圧で走ることができるため、ノブのあるタイヤよりも個人的にはこちらのほうがタイヤの弾みを素直に感じられて、走っていて気持ちがいいと感じる。荒れの少ない砂系のグラベルや芝、荒れた舗装路など、低めの空気圧でタイヤを地面に吸い付かせて走る喜びは何物にも代えがたい感触。他のチューブレスよりもしなり方が素直で、低圧でもチューブラーのように内部にチューブの存在を感じさせず、サイドがヨレにくい。しなやかさを全面に感じることができる超快適タイヤだ。
2セット4本のタイヤをリムに嵌めてみて感じたことは、いわゆるオープンチューブラーのような平たいタイヤをリムに嵌める際のように「苦労するのでは?」と思えたのだが、リムに載せてみると素直にエアが注入でき、手をまったく焼かずにビードを上げることができた。19Cリムでのフィット感は最適で、通常のフロアポンプでビード上げが可能。17Cリムでも同様だった。また、嵌めてからの日数経過に伴うエア漏れも少なく、シーラントを使用していればほぼ漏れがなく使い続けられそうだ。意外にも装着が簡単だったのは、ワイドリムにあわせて設計・製造されているからだろう。
パンクについてはテスト期間内には発生せず、耐性や摩耗耐性については長期使わないと分からないが、すでに定評あるダブル耐パンク構造であれば安心できるだろう。最適な空気圧については好みが左右することになるが、指定より低い2気圧以下でも十分に使用できる感触だった。つまりシクロクロスレースでも戦力になるだろう。
日本ではグラベルロードはまだこれからのジャンルだが、春以降のシクロクロスレースのオフシーズンに、これらのチャレンジのハンドメイドチューブレスレディタイヤに履き替えて日常的に使えるグラベルバイクに仕立て直して楽しむのはオススメだ。タイヤを換えれば同じバイクと思えないほど快適な乗り心地となって、オフロードライドが楽しくなるのは驚きだ。
(インプレッション:綾野 真/CW編集部)
チャレンジ ハンドメイドチューブレスレディ グラベルシリーズ
Strada Bianca 36mm 260TPI スーパーポリエステルケーシング 385g / ¥9,000(税抜)
Almanzo 33mm 260TPI スーパーポリエステルケーシング 390g / ¥9,000(税抜)
Gravel Grinder 33mm 260TPI スーパーポリエステルケーシング 405g / ¥9,000(税抜)
Gravel Grinder 36mm 260TPI スーパーポリエステルケーシング 425g / ¥9,000(税抜)
※カラーはそれぞれブラック/タンの2種あり
photo&text:Makoto.AYANO
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