2020/01/20(月) - 15:40
スリッピーなコースで繰り広げられた熾烈な攻防戦。男子エリートではトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)を下したエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が、三つ巴の接戦となった女子レースではアンマリー・ワースト(オランダ、777)がスプリント勝負の末に勝利した。
年末年始の過密スケジュールから一呼吸置き、ナショナル選手権、そして世界選手権と重要レースが控えるシーズン後半戦に入ったヨーロッパシクロクロスカレンダー。全9戦行われるUCIワールドカップの第8戦の舞台は、シリーズ中唯一のフランス開催となるスイスやドイツ国境と近い街、ノメ。パワーが試される芝生のアップダウンコースは0度近いコンディションの中で水分を含み、ライン上は滑りやすい状態となった。
この日、世界王者マチュー・ファンデルポール(オランダ、アルペシン・フェニックス)は不出場。来日経験もある元フランス王者スティーブ・シェネル(チームシャザル・キャニオン・3G IMMO)らフランス勢6名が出場した男子レースで、序盤にリードを奪ったのはアールツ兄弟の弟、タイス・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)だった。
2周目に入ると先頭はエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)と、1ヶ月前に肋骨骨折を負ったばかりのトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)に交代する。その後ろではローレンス・スウィーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)やトーマス・ピッドコック(イギリス。トリニティレーシング)ら6名が3番手パックを組んだものの、グループ内争いを続けたことで前に追いつくことは無かった。
淡々とハイペースを刻んだイゼルビッドとアールツの協調が崩れたのはレース開始後30分を過ぎてから。ワールドカップランキングリーダーの証である白いウェアに身を包んだアールツがペースを上げ、徐々にイゼルビッドを引き離しにかかる。後半にかけてその差は10秒を超えたものの、ここからイゼルビッドが復活してみせる。イゼルビッドは言う。
「レース前半は彼(アールツ)の方がすこしだけ強く、再び追いつくためにいくつかのポイントで思いっきり攻め抜いた。かなり追い込む必要があったので本当に苦しいレースだった」。
全10周回中の9周目にイゼルビッドが追いつき、そのままアタックに打って出る。苦しい表情のアールツはライバルの波状攻撃を何とか凌ぎ、肩をつき合わせながら最終周回の鐘を聞く。すると今度はアールツがペースアップを図った。
長身を活かした走りで先行するアールツの後ろでは、焦りからかイゼルビッドは細かいミスを連発し若干の差が開く。このまま決まるかと思われたが、滑りやすい180度コーナーの立ち上がりでアールツがスリップ。イゼルビッドもタイヤを滑らせたが、失速を最小限に留め加速に手間取るライバルを抜き去って行く。追いすがるアールツとの距離を保ち、フィニッシュまでのわずかな距離を踏み抜いたイゼルビッドが手に汗握る攻防戦を制した。
「とても長いレースだった。後半は自分の方が脚があると思ってはいたけれど、彼がコーナーでミスしたのは自分に運があった。ただそれがなくとも追いつけていたと思うし、そうでなければ今日の展開にはならなかった」と自信を語ったイゼルビッド。2位に終わったアールツも「今日は彼の方が単純に強かったと思うけれど、今日はとても良いフィーリングを得ることができたので満足しているよ」と順調な回復ぶりをアピールしている。
3位には激しいアタック合戦から抜け出したスウィークが入り、ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・バロワーズ)が4番手。6分33秒遅れの33位、ドイツMTB王者サーシャ・ウェーバー(ドイツ)が最終完走者となった。
70名が出走した女子エリートレースで好スタートを切ったのはベテランのエレン・ファンロイ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)で、ここにアンマリー・ワースト(オランダ、777)や新フランス王者のマリオン・ノーブルリブロール(フランス、エクスペルザ・プロCX)、ルクセンブルク王者クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、ブールス・ドルマンス)、アンナ・カイ(イギリス、エクスペルザ・プロCX)らが続く国際色豊かな面々がトップグループを形成。ワールドカップリーダーのセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)は序盤に出遅れ、キャンバー区間で落車するやや安定感を欠く滑り出しとなった。
ハイペースを刻む好調ワーストにはノーブルリブロールだけが追従し、2周目に入るとアルバラードが合流。全5周回中の4周目に入るとキャサリン・コンプトン(アメリカ、トレック・ナイトコンポジット)が追いついたものの、ノーブルリブロールはリアディレイラーが脱落するトラブルに見舞われ失速。ここまで善戦を続けてきた母国王者のトラブルに会場は大きなため息をついた。
最終周回を告げる鐘の音は、熾烈な三つ巴の戦いの幕開けとなった。アルバラードによるペースアップにワーストは対応し、パワー区間で遅れがちになるコンプトンも熟練の技で復帰し、ペースが緩んだ隙にカウンターアタックに打って出る。しかしどのアタックも決定打には繋がらず、3名は肩をぶつけ合いながらコーナーを抜け、先行ワースト、2番手アルバラード、3番手コンプトンの位置でホームストレートへ。「スプリントには自信があった」と言うワーストが先頭を守りきり2020年初勝利を飾った。
「素晴らしく、そしてエキサイティングな勝負だった。ここ最近スプリント勝負では負けていないので最後は自信があった。痛めていた背中も持ちこたえてくれたし、世界選手権に向けて良い感触を掴めた」とワーストは語っている。
年末年始の過密スケジュールから一呼吸置き、ナショナル選手権、そして世界選手権と重要レースが控えるシーズン後半戦に入ったヨーロッパシクロクロスカレンダー。全9戦行われるUCIワールドカップの第8戦の舞台は、シリーズ中唯一のフランス開催となるスイスやドイツ国境と近い街、ノメ。パワーが試される芝生のアップダウンコースは0度近いコンディションの中で水分を含み、ライン上は滑りやすい状態となった。
この日、世界王者マチュー・ファンデルポール(オランダ、アルペシン・フェニックス)は不出場。来日経験もある元フランス王者スティーブ・シェネル(チームシャザル・キャニオン・3G IMMO)らフランス勢6名が出場した男子レースで、序盤にリードを奪ったのはアールツ兄弟の弟、タイス・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)だった。
2周目に入ると先頭はエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)と、1ヶ月前に肋骨骨折を負ったばかりのトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)に交代する。その後ろではローレンス・スウィーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)やトーマス・ピッドコック(イギリス。トリニティレーシング)ら6名が3番手パックを組んだものの、グループ内争いを続けたことで前に追いつくことは無かった。
淡々とハイペースを刻んだイゼルビッドとアールツの協調が崩れたのはレース開始後30分を過ぎてから。ワールドカップランキングリーダーの証である白いウェアに身を包んだアールツがペースを上げ、徐々にイゼルビッドを引き離しにかかる。後半にかけてその差は10秒を超えたものの、ここからイゼルビッドが復活してみせる。イゼルビッドは言う。
「レース前半は彼(アールツ)の方がすこしだけ強く、再び追いつくためにいくつかのポイントで思いっきり攻め抜いた。かなり追い込む必要があったので本当に苦しいレースだった」。
全10周回中の9周目にイゼルビッドが追いつき、そのままアタックに打って出る。苦しい表情のアールツはライバルの波状攻撃を何とか凌ぎ、肩をつき合わせながら最終周回の鐘を聞く。すると今度はアールツがペースアップを図った。
長身を活かした走りで先行するアールツの後ろでは、焦りからかイゼルビッドは細かいミスを連発し若干の差が開く。このまま決まるかと思われたが、滑りやすい180度コーナーの立ち上がりでアールツがスリップ。イゼルビッドもタイヤを滑らせたが、失速を最小限に留め加速に手間取るライバルを抜き去って行く。追いすがるアールツとの距離を保ち、フィニッシュまでのわずかな距離を踏み抜いたイゼルビッドが手に汗握る攻防戦を制した。
「とても長いレースだった。後半は自分の方が脚があると思ってはいたけれど、彼がコーナーでミスしたのは自分に運があった。ただそれがなくとも追いつけていたと思うし、そうでなければ今日の展開にはならなかった」と自信を語ったイゼルビッド。2位に終わったアールツも「今日は彼の方が単純に強かったと思うけれど、今日はとても良いフィーリングを得ることができたので満足しているよ」と順調な回復ぶりをアピールしている。
3位には激しいアタック合戦から抜け出したスウィークが入り、ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・バロワーズ)が4番手。6分33秒遅れの33位、ドイツMTB王者サーシャ・ウェーバー(ドイツ)が最終完走者となった。
70名が出走した女子エリートレースで好スタートを切ったのはベテランのエレン・ファンロイ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)で、ここにアンマリー・ワースト(オランダ、777)や新フランス王者のマリオン・ノーブルリブロール(フランス、エクスペルザ・プロCX)、ルクセンブルク王者クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、ブールス・ドルマンス)、アンナ・カイ(イギリス、エクスペルザ・プロCX)らが続く国際色豊かな面々がトップグループを形成。ワールドカップリーダーのセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)は序盤に出遅れ、キャンバー区間で落車するやや安定感を欠く滑り出しとなった。
ハイペースを刻む好調ワーストにはノーブルリブロールだけが追従し、2周目に入るとアルバラードが合流。全5周回中の4周目に入るとキャサリン・コンプトン(アメリカ、トレック・ナイトコンポジット)が追いついたものの、ノーブルリブロールはリアディレイラーが脱落するトラブルに見舞われ失速。ここまで善戦を続けてきた母国王者のトラブルに会場は大きなため息をついた。
最終周回を告げる鐘の音は、熾烈な三つ巴の戦いの幕開けとなった。アルバラードによるペースアップにワーストは対応し、パワー区間で遅れがちになるコンプトンも熟練の技で復帰し、ペースが緩んだ隙にカウンターアタックに打って出る。しかしどのアタックも決定打には繋がらず、3名は肩をぶつけ合いながらコーナーを抜け、先行ワースト、2番手アルバラード、3番手コンプトンの位置でホームストレートへ。「スプリントには自信があった」と言うワーストが先頭を守りきり2020年初勝利を飾った。
「素晴らしく、そしてエキサイティングな勝負だった。ここ最近スプリント勝負では負けていないので最後は自信があった。痛めていた背中も持ちこたえてくれたし、世界選手権に向けて良い感触を掴めた」とワーストは語っている。
男子エリート結果
1位 | エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:07:13 |
2位 | トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ) | 0:08 |
3位 | ローレンス・スウィーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 1:16 |
4位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・バロワーズ) | 11:28 |
5位 | トーマス・ピッドコック(イギリス、トリニティレーシング) | 1:46 |
6位 | コルヌ・ファンケッセル(オランダ、トルマンス・シクロクロスチーム) | 1:55 |
7位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・シクロクロスチーム) | 1:58 |
8位 | ジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ) | 2:02 |
9位 | イェンス・アダムス(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) | 2:04 |
10位 | トム・メーウセン(ベルギー、グループヘンス・マースコンテナーズ) | 2:07 |
女子レース結果
1位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | 41:42 |
2位 | セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 0:01 |
3位 | キャサリン・コンプトン(アメリカ、トレック・ナイトコンポジット) | 0:03 |
4位 | クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、ブールス・ドルマンス) | 0:42 |
5位 | マノン・ベッケル(オランダ、エクスペルザ・プロCX) | 0:43 |
6位 | クララ・ホンシンガー(アメリカ、チームS&M CX) | 0:50 |
7位 | カロリーヌ・マーニ(フランス、パクティモ) | 0:55 |
8位 | エレン・ファンロイ(ベルギー、テレネット・バロワーズ) | 0:57 |
9位 | エヴァ・リヒナー(イタリア、クレアフィン・フリスタッズ) | 0:58 |
10位 | マリオン・ノーブルリブロール(フランス、エクスペルザ・プロCX) | 1:00 |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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