2019/12/15(日) - 00:54
12月14・15日の2日間に渡って開催される宇都宮シクロクロス初日。エリート男子は織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)とのテールトゥーノーズのバトルを制したエミル・ヘケレ(チェコ、Zekof Team)が野辺山シクロクロスに次ぐ勝利。女子エリートはスロバキアのジャンカ・ケセグステブコアが勝利した。
シクロクロス全日本選手権を前週に終えてもまだCXシーズンは終わらない。ジャパンカップの都・宇都宮が世界から招待選手を集め開催する宇都宮シクロクロスは国際色溢れるUCIレース。男女エリートには多額の賞金も用意される華のあるレース。
最高峰のUCI男子エリートは日の傾く14:45スタート。海外招待選手としてオーストラリア選手権U23チャンピオンのベン・ウォーカーデン (オーストラリア)、ブレンドン・シャレット(ニュージーランド)が出場。昨年出場したおなじみのクリス・ジョンジェワード(オーストラリア)は負傷のため来日を断念。代わってラファスーパークロス野辺山の覇者エミル・ヘケレ(チェコ)が招待ではないものの大好きな日本のレースへの参加を強く希望し、出場が叶った。
ホールショットは小坂光(宇都宮ブリッツェン)が取る。そしてスタートから快調に飛ばしたのが弱虫ペダルの前田公平、織田聖コンビ。全日本ジャージを更新した前田が砂場セクションを先頭でクリアし、織田聖、小坂光、ベン・ウォーカーデンを率いて3段の激坂セクション「TKCコーナー」へと登る。4人パックから少し抜け出た弱虫ペダルコンビはランデブー体制に入った。続くのはエミル・ヘケレ。少し間が空いてしまった小坂とベン・ウォーカーデンが続く。
3周目、前田が落車により大きくスローダウンして遅れる。膝などに怪我を負い、しばらく走るもそのままリタイア。更新した日本ジャージお披露目もわずかな時間でレースを去ることに。捻挫があるというが、明日走れるかは不明だ。
前田が居なくなったがそのままのペースを保つ織田がヘケレを引き離して独走に入る。しかしレースの半分を消化した頃、ヘケレとの差が詰まりだす。5秒ほどの差につけたまま猛追を続けるヘケレだが、織田は泥の180°ターンも乗ったままこなし、2連シケインもバニーホップでクリア。対するヘケレは早めにランに切り替えて、シケインもバイクを降りてクリア。当然乗っていったほうが速いため、織田とヘケレの差はなかなか縮まらない。
2人のバトルは激しさを増し、お互い一歩も譲らず肩と肩をぶつける走りに。その緊迫した闘いに観客たちも息を呑んだ。織田もヘケレも落車した証拠の泥を体中につける。ふたりはラスト3周で2度転んだという。
勝負を決めたのはラスト1周半でのドッグランへの下りキャンバー織田のスリップダウン。テールトゥーノーズ状態で限界まで攻めていたときに起こったスリップで織田はキャンバー斜面を滑り落ち、リカバリーに手間取る中、ヘケレに取り返せない先行を許してしまう。
関西クロスマキノ大会、ラファスーパークロス野辺山、そして宇都宮シクロクロス。今季3回目の日本での勝利。「本当にハードな、全開のレースだった。マッドで滑りやすく、テクニカルなパートが多かった。オダのテクニックが素晴らしくて、僕に分の悪いレースだった。そして来日してすぐだったから身体がまだ時差ボケで動きにくかった。僕は日本に住んでいるわけではないんだ。日本のレースは今季3回目だけど宇都宮は初めて。でも本当に素晴らしいレースで勝てて嬉しいよ」とヘケレはハードなライドで紅潮した顔で答えた。
織田は「前田選手が早くに居なくなってしまったのでなんとかしなければと思った。コースに何ヶ所か滑りやすいところがあって危険でした。限界状態で走っていたからラスト2周で3回転びました。でもエミル(ヘケレ)も同じぐらい転んでいたけど、最後のスリップは前輪を持っていかれて滑ってしまい、大きな差がついてしまった」と言う。66人で出走したレースは同一周回に入れたのは19名のみというサバイバルレースだった。
女子エリートは16人でのスタート。ジャンカ・ケセグステブコア(スロバキア、OUTSITERZ cycling)が1周目から先行して後続を引き離していく。MTBクロスカントリー競技をメインに活動するケセグステブコアは1976年生まれの45歳。XCレーサーならではのテクニックで、MTBクロカン的なコースとも言えるこの宇都宮のコースでそのテクニックが光った。2位の唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)を大きく引き離してフィニッシュ。3位には西山 みゆき(Toyo Frame Field Model)。
フィニッシュして唐見を迎えると、年齢を聞いて「私は44歳、皆に競技をするには歳を取りすぎていると言われるけれど、こうして勝つことでまだまだやれるってことを証明できるのが嬉しい」と話す。MTBとシクロクロス、そしてロードレースもする。20年以上のキャリアで3回のオリンピック出場経験があり、チェコチャンピオンなどのタイトルは「数えたことがないけど40以上もっている」と話す。
圧倒的に見えたケセグステブコアの走りだが、走り出してすぐにリアディレイラーの調子が悪くなり、使えるギアに制限がある状態で走ったという。つまり明日メカトラが直っていれば今日よりも強いケセグステブコアが観られることになる。
2日間の初日はC4、C2、C2のカテゴリーとキッズクラス、エンデューロも開催され、暖かく、雲ひとつない絶好の秋晴れのなかイベント的にも盛り上がった。その様子をフォトダイジェストでお届けします。そして2日目の男女エリートレースも総合優勝&賞金争いが加味されるためにより盛り上がることを期待しよう。
シクロクロス全日本選手権を前週に終えてもまだCXシーズンは終わらない。ジャパンカップの都・宇都宮が世界から招待選手を集め開催する宇都宮シクロクロスは国際色溢れるUCIレース。男女エリートには多額の賞金も用意される華のあるレース。
最高峰のUCI男子エリートは日の傾く14:45スタート。海外招待選手としてオーストラリア選手権U23チャンピオンのベン・ウォーカーデン (オーストラリア)、ブレンドン・シャレット(ニュージーランド)が出場。昨年出場したおなじみのクリス・ジョンジェワード(オーストラリア)は負傷のため来日を断念。代わってラファスーパークロス野辺山の覇者エミル・ヘケレ(チェコ)が招待ではないものの大好きな日本のレースへの参加を強く希望し、出場が叶った。
ホールショットは小坂光(宇都宮ブリッツェン)が取る。そしてスタートから快調に飛ばしたのが弱虫ペダルの前田公平、織田聖コンビ。全日本ジャージを更新した前田が砂場セクションを先頭でクリアし、織田聖、小坂光、ベン・ウォーカーデンを率いて3段の激坂セクション「TKCコーナー」へと登る。4人パックから少し抜け出た弱虫ペダルコンビはランデブー体制に入った。続くのはエミル・ヘケレ。少し間が空いてしまった小坂とベン・ウォーカーデンが続く。
3周目、前田が落車により大きくスローダウンして遅れる。膝などに怪我を負い、しばらく走るもそのままリタイア。更新した日本ジャージお披露目もわずかな時間でレースを去ることに。捻挫があるというが、明日走れるかは不明だ。
前田が居なくなったがそのままのペースを保つ織田がヘケレを引き離して独走に入る。しかしレースの半分を消化した頃、ヘケレとの差が詰まりだす。5秒ほどの差につけたまま猛追を続けるヘケレだが、織田は泥の180°ターンも乗ったままこなし、2連シケインもバニーホップでクリア。対するヘケレは早めにランに切り替えて、シケインもバイクを降りてクリア。当然乗っていったほうが速いため、織田とヘケレの差はなかなか縮まらない。
2人のバトルは激しさを増し、お互い一歩も譲らず肩と肩をぶつける走りに。その緊迫した闘いに観客たちも息を呑んだ。織田もヘケレも落車した証拠の泥を体中につける。ふたりはラスト3周で2度転んだという。
勝負を決めたのはラスト1周半でのドッグランへの下りキャンバー織田のスリップダウン。テールトゥーノーズ状態で限界まで攻めていたときに起こったスリップで織田はキャンバー斜面を滑り落ち、リカバリーに手間取る中、ヘケレに取り返せない先行を許してしまう。
関西クロスマキノ大会、ラファスーパークロス野辺山、そして宇都宮シクロクロス。今季3回目の日本での勝利。「本当にハードな、全開のレースだった。マッドで滑りやすく、テクニカルなパートが多かった。オダのテクニックが素晴らしくて、僕に分の悪いレースだった。そして来日してすぐだったから身体がまだ時差ボケで動きにくかった。僕は日本に住んでいるわけではないんだ。日本のレースは今季3回目だけど宇都宮は初めて。でも本当に素晴らしいレースで勝てて嬉しいよ」とヘケレはハードなライドで紅潮した顔で答えた。
織田は「前田選手が早くに居なくなってしまったのでなんとかしなければと思った。コースに何ヶ所か滑りやすいところがあって危険でした。限界状態で走っていたからラスト2周で3回転びました。でもエミル(ヘケレ)も同じぐらい転んでいたけど、最後のスリップは前輪を持っていかれて滑ってしまい、大きな差がついてしまった」と言う。66人で出走したレースは同一周回に入れたのは19名のみというサバイバルレースだった。
女子エリートは16人でのスタート。ジャンカ・ケセグステブコア(スロバキア、OUTSITERZ cycling)が1周目から先行して後続を引き離していく。MTBクロスカントリー競技をメインに活動するケセグステブコアは1976年生まれの45歳。XCレーサーならではのテクニックで、MTBクロカン的なコースとも言えるこの宇都宮のコースでそのテクニックが光った。2位の唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)を大きく引き離してフィニッシュ。3位には西山 みゆき(Toyo Frame Field Model)。
フィニッシュして唐見を迎えると、年齢を聞いて「私は44歳、皆に競技をするには歳を取りすぎていると言われるけれど、こうして勝つことでまだまだやれるってことを証明できるのが嬉しい」と話す。MTBとシクロクロス、そしてロードレースもする。20年以上のキャリアで3回のオリンピック出場経験があり、チェコチャンピオンなどのタイトルは「数えたことがないけど40以上もっている」と話す。
圧倒的に見えたケセグステブコアの走りだが、走り出してすぐにリアディレイラーの調子が悪くなり、使えるギアに制限がある状態で走ったという。つまり明日メカトラが直っていれば今日よりも強いケセグステブコアが観られることになる。
2日間の初日はC4、C2、C2のカテゴリーとキッズクラス、エンデューロも開催され、暖かく、雲ひとつない絶好の秋晴れのなかイベント的にも盛り上がった。その様子をフォトダイジェストでお届けします。そして2日目の男女エリートレースも総合優勝&賞金争いが加味されるためにより盛り上がることを期待しよう。
男子エリート結果
1位 | エミル・ヘケレ(チェコ、Zekof team) |
2位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) |
3位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) |
女子エリート結果
1位 | ジャンカ・ケセグステブコア(スロバキア、OUTSITERZ cycling) |
2位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) |
3位 | 西山みゆき(Toyo Frame Field Model) |
男子ジュニア結果
1位 | 鈴木来人(BonneChance) |
2位 | 中島渉(TRIGON with KURE/BOUNCE) |
3位 | 松本一成(TEAM SCOTT JAPAN ) |
※リザルトは未発表のため公式サイトでご確認ください。
text&photo:Makoto AYANO
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