2010年5月2日、ツール・ド・ロマンディ(UCIプロツアー)の最終第5ステージが行なわれ、終盤の1級山岳で飛び出した4名がゴールまで逃げ切り、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)が優勝。リーダージャージのロジャース(オーストラリア)が23秒遅れたため、総合2位のバルベルデが逆転総合優勝に輝いた。

ツール・ド・ロマンディ2010第5ステージ コースプロフィールツール・ド・ロマンディ2010第5ステージ コースプロフィール photo:www.tourderomandie.chロマンディ最終ステージは、標高1400mクラスの1級山岳が3つ設定された本格山岳ステージ。最後の1級山岳オヴロナはゴールの20km手前だ。

スタート前に集中するマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)と、最大のライバルであるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)スタート前に集中するマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)と、最大のライバルであるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) photo:www.tourderomandie.ch前日からの雨は降り止まず、ディフェンディングチャンピオンのロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)がスタートせず。他にもリタイア者が続出し、この日だけで56名がレースを去った。

序盤から逃げを試みたのは、ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)、オリバー・ザウグ(スイス、リクイガス)、シャールズ・ウェゲリュース(イギリス、オメガファーマ・ロット)、ジャンクリストフ・ペロー(フランス、オメガファーマ・ロット)、マウリシオアルベルト・アルディラ(コロンビア、ラボバンク)、セルジオ・パウリーニョ(ポルトガル、レディオシャック)、アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)の6名。

逃げグループ内でのスプリント勝負を制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)逃げグループ内でのスプリント勝負を制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) photo:www.tourderomandie.ch最初の1級山岳アンゼーレは、山岳賞ジャージのピノが先頭で通過。しかし雨に濡れた下りで先頭グループは分裂し、ペロー、ザウグ、パウリーニョ、エフィムキンが先行。この4名はメイン集団から最大3分のリードを得て逃げ続けた。

メイン集団をコントロールしたのは、リーダージャージ擁するチームHTC・コロンビアではなく、総合逆転を狙うケースデパーニュ。このスペインチームの周到なペースコントロールによって、この日最後の1級山岳オヴロナ突入までに逃げは全て吸収。集団はハイスピードで最後の難所に突入した。

逆転でロマンディ初総合優勝を飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)逆転でロマンディ初総合優勝を飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) photo:www.tourderomandie.ch上りが始まるとアルテム・オヴェチキン(ロシア、カチューシャ)やティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)、ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)が集団からアタック。しかしリードを広げることが出来ずに集団に引き戻される。

続いて飛び出したのは、総合で19位につけるイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)。単独で1級山岳オヴロナを駆け上がるアントンを追って、今度は前日のステージ優勝者サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)、昨年のジロ覇者デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)、そしてバルベルデが飛び出した。

総合表彰台、左から2位サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)、優勝アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)、3位デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)総合表彰台、左から2位サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)、優勝アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)、3位デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) photo:www.tourderomandie.ch総合2位バルベルデと総合3位スピラック、総合5位メンショフの3名に、リーダージャージのロジャースは反応出来ず。追走3名は1級山岳の頂上通過後に先頭アントンを捉え、4名でグループを形成してゴールに向かった。

最後のスプリントポイント通過の時点で、バルベルデはボーナスタイムによりバーチャルの総合リーダーに。しかしそれでは飽き足らず、バルベルデは4名でのスプリント勝負を制して優勝。ラスト500mで早めに仕掛けたアントンを勢いよく抜き去ったバルベルデが、ゴールラインで手を挙げた。

ロジャースを含む集団は23秒遅れでゴール。これによりスピラックが総合2位、メンショフが総合3位に浮上。ロジャースはリーダージャージばかりか総合表彰台の座も失ってしまった。

「悪天候に見舞われた厳しいステージだった。でも今年は冷たい雨に強くなっているんだ。今日はボーナスタイムで総合逆転は可能だったけど、集団スプリントに持ち込むリスクは避けたかった。だから最後の上りで攻撃に出た」。バルベルデはその言葉通りアタックを成功させ、ロジャースを首位の座を引きずり降ろした。バルベルデはツール・メディテラネアンに続く今シーズン2度目のステージレース総合優勝。ロマンディのタイトル獲得はこれが初めて。パリ〜ニースブエルタ・アル・パイスバスコでは総合2位だった。

1月のツアー・ダウンアンダーからレースに出場し、4ヶ月に渡って走り続けたバルベルデはしばらくの休養期間に入る。バルベルデは6月のドーフィネ・リベレで再び動き出す予定だ。

レース展開や選手コメントはレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。

ツール・ド・ロマンディ2010第5ステージ結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)      3h36'19"
2位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)
3位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)
4位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)
5位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)           +23"
6位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)
7位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
8位 マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロ・テストチーム)
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)
10位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)

個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)      17h37'55"
2位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)               +11"
3位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)                +21"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)      +35"
5位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)             +42"
6位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)         +52"
7位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)          +1'16"
8位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)         +1'27"
9位 マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロ・テストチーム)         +1'28"
10位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)            +1'34"

山岳賞
ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)

新人賞
サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)

チーム総合成績
レディオシャック

text:Kei Tsuji
photo:www.tourderomandie.ch