2019/09/17(火) - 09:13
9月初旬にドイツで開催された世界最大規模の自転車ショー「ユーロバイク」。1400社ものブランドが集結するこの展示会の中から、シマノ、DMT、スコープ、ベルをピックアップして紹介しよう。
シマノ Deore XTやGRX最新コンポーネント、E-BIKE、PROなど充実のブース
シマノといえば春頃から夏にかけてグラベル用「GRX」とMTB用「Deore XT」「SLX」といったコンポーネントや、ミドルグレードの電動アシストユニット「STEPS E6180」「E5080」など主要プロダクトを既に発表済み。ユーロバイクではそれらの実機を含め、S-PHYREやPROなどを含めた2020年モデルの大部分を披露した。
ユーロバイクでシマノはグループセット各パーツの展示と実車に組み付けた展示を行っており、使用シチュエーションを想像しやすい。ロードでは今年のツール・ド・フランスの総合優勝を掴んだエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)が第21ステージで使用したバイク、MTBでは世界選手権で2位に入ったマティアス・フルキガー(スイス)のバイクなどトップクラスの選手の自転車が並べられる。E-BIKEは各社の最新モデルがずらりと用意されており、「こんなブランドもSTEPSを使っているのか」と新しい発見ができるようになっている。
STEPS関連のニュースは最新ユニットとそれらを搭載自転車のデビューはもちろんだが、ソフトウェアのアップデートによってDI2のSTIレバーでSTEPSのモードチェンジが行えるようになったこと。STEPS搭載バイクは必然的にフロントシングルとなるため、一般的には左手のシフターの役割が空く。そこにモードチェンジを割り当てることで、ハンドルにクランプする別体ボタンで操作する必要がなくなる。このように電動コンポーネントとアシストユニットを開発しているシマノの強みだ。これからも様々なアップデートに期待できる。
シマノはソフトグッズも非常に充実しており、こちらもマネキンにウェアを着用させてプロダクトの雰囲気を伝える。数多く製品が登場している中で注目したいのは、S-PHYREの流れを汲むミドルグレードシューズが登場したことだ。ロード用はRC5、オフロード用はXC5。いずれもハイエンドグレードのようなルックスをしているが、細部を調整することでホビーサイクリストにマッチする性能を実現。シューズカテゴリーにはインドアサイクル用のモデルも登場するなど非常に豊かなラインアップだ。インナーのような素材がジャージに縫い付けられた2層構造の半袖ジャージや、S-PHYREグレードの新作ジャージなどウェア関連も新作が登場しているため、日本国内でのラインアップ発表を楽しみにしたい。
PROは定番VIBEステムのモデルチェンジを行う。パズルクランプ方式を採用するとともに、アイコンだったVの字は移動し、前からではなく上から見ると読み取れるようになった。また、ステム側のクランプはハンドルバーを下から支えるように伸びているため、ハンドルバー取り付けの作業が行いやすくなっているはずだ。エアロダイナミクスを意識した作りなどもアップデートされている。
PROはフレア形状のハンドルバーや、インターナルケーブル仕様のドロッパーシートポストなどグラベル用のアイテムを数多くリリース。バイクパッキング装備も充実しているのがPROのグラベル用シリーズDISCOVERだ。2020年モデルとして、小サイズのシートパック、フレームバッグ、トップチューブバッグ、そしてハンドルに取り付けるボトルホルダーが新たにラインアップに加わっている。グラベルが注目を集めている今、DISCOVERシリーズもチェックしておきたいプロダクトシリーズだ。
DMT ニット素材を生かした新モデルなど次々登場
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)が着用しているDMTのフラッグシップロードシューズKR1。ニット素材を使用し、非常に柔らかい履き心地を実現しながらも、トップスプリンターの踏力を受け止める剛性も備えていることが特徴のモデルだ。2020年モデルでは、KR1で得たノウハウをもとにニット素材を使用した新プロダクトが非常に多く登場している。
ロードではSH1とKR3の2モデルをピックアップ。SH1は足の甲と爪先部分にかけてを3Dニットとし、かかと側を一般的なシューズのような作りとすることで、快適性と強度の両立を図っている。足首側のクロージャーにはストラップを使用しているため、ボアダイヤルを締め上げてもワイヤーが食い込むことなく、しっかりと足をホールドさせられそうだ。
対してKR3はモデル名の通りKR1の系譜を継いでいるようで、アッパーが全てニット構造とされている。ニットの通気性や快適性を備えながらも、足首周りやかかと部分はサポートが設けホールド力を確保していることが特徴だ。42サイズで225gと非常に軽量に仕上げられている。
DMTはオフロードシューズにもニット素材を採用。クロスカントリーやマラソン用としてKM1というトップグレードのモデルが登場している。KR1と同じ様なアッパー構造を採用することで、長距離レースで求める通気性や軽量性を獲得。KR1よりコーティングが施されている面積が大きいのはMTB用のアレンジだろう。カーボン製のアウトソールにミシュランラバー製のグリップが設けられている。加えてミドルグレードのKM3や、SH1のMTBモデルであるMH1、エンデューロ用DFR1など非常に多くのモデルがDMTからリリースされている。
スコープ 新進気鋭のホイールブランドがユーロバイクに出展
日本でも既に展開を始めているオランダの新進気鋭ホイールブランドのスコープ。2013年にプロサイクリストとして活躍したニック・ビュッセルと、リック・クスターズによって創業されたまだ若いブランドだ。彼らが掲げるモットーは「NO EXCUSE」。スコープからリリースされるホイールのパフォーマンスには一切妥協、言い訳をしないことが彼らの信条であり、リムとハブを自分たちで開発を進めている。
リムはチューブレスレディのみが用意されており、タイヤとの相性に関する開発はシュワルベとコラボレーションして進めたという。リム形状に関してはエアロダイナミクスと強度、剛性のバランスを意識しながら作るのはもちろん、スコープが行ったテスト結果は本国サイトにて公開されているという。
ハブは世界最大規模の総合機械メーカーSKFとの共同開発だという。自転車に最適化したオリジナルベアリング、非常に幅広なハブフランジ幅を採用することで、優れた回転と剛性の性能を実現している。オリジナルリムと有名メーカーのスポークとハブを組み合わせる完組ホイールが多い中、ハブまでも自分たちで作ってしまうところに「NO EXCUSE」の姿勢を感じる。
ラインアップはR3、R4、R5というロード用、O2というMTB/グラベル用ホイールが用意されている。スコープの特徴としては全てのホイールが同じ価格設定とされていること。日本では18万円(税抜)。ある1つのモデルだけが高価格に設定されていて、予算が足りないからとシチュエーションや好みにマッチしないホイールを妥協して選ぶことをスコープは許さない。全てのホイールが同じ土俵に立ち、サイクリストが自分に適したホイールを選べる様にしている。
また、見る角度によって色味が変化するカスタム用ステッカーなども自分たちで用意しているため、ホイールを好みに合わせてアレンジできるのも嬉しいポイントだ。
ベル MTB DHやエンデューロ用とアーバンライド用ヘルメットの新作登場
ベルといえば2輪、4輪のモータースポーツでテクノロジーを培ってきたアメリカンヘルメットブランド。特にモトクロス用ヘルメット開発で得たノウハウはダウンヒル用FULL-9に活用するなど、自転車用のヘルメットの安全性向上に大きく貢献している。また、MIPSとのコラボレーションをいち早く行ったブランドでもあり、ロード用のZ20など安全性、落車の影響を最小限に抑える努力を絶え間なく行っている。
2020年モデルではオフロード用フルフェイスTRANSFERとSUPER AIR Rをリリース。TRANSFERはミドルグレードであり、フルフェイスを時折必要とする方向けのプロダクト。本格的にダウンヒルをやっていなくてもパークのダウンヒルでフルフェイスを必要とする方にピッタリだ。
SUPER AIR RはスフェリカルMIPSを採用しながらも軽量性を獲得したエンデューロ用ヘルメット。SUPERはチンガードを取り外し可能なことが特徴であり、もちろんこのモデルも着脱可能だ。また、軽量性に優れていることからも一日中トレイル遊びを楽しむ方にも最適だろう。
また、アーバンライド用ヘルメットとしてSIDE TRACK II、DAILY、AVENUE LEDがローンチされた。いずれもMIPS付きという安全性に配慮していることが特徴。SIDE TRACK IIは取外し可能なバイザー付きモデルで、日常生活からアドベンチャーライドまで幅広いシチュエーションで活躍してくれる。
DAILY、AVENUE LEDはモデル名の通り日常生活に最適なモデルであり、アジャスターにLEDが搭載されている。DAILYは後頭部、側頭部までシェルでしっかりと守ってくれるタイプで、AVENUE LEDはロード用ヘルメットに似たルックス。2020年モデルのベルは、サイクリストのライフスタイルにあわせたヘルメットを選択できる充実のラインアップが魅力的だ。
text&photo:Gakuto Fujiwara
シマノ Deore XTやGRX最新コンポーネント、E-BIKE、PROなど充実のブース
シマノといえば春頃から夏にかけてグラベル用「GRX」とMTB用「Deore XT」「SLX」といったコンポーネントや、ミドルグレードの電動アシストユニット「STEPS E6180」「E5080」など主要プロダクトを既に発表済み。ユーロバイクではそれらの実機を含め、S-PHYREやPROなどを含めた2020年モデルの大部分を披露した。
ユーロバイクでシマノはグループセット各パーツの展示と実車に組み付けた展示を行っており、使用シチュエーションを想像しやすい。ロードでは今年のツール・ド・フランスの総合優勝を掴んだエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)が第21ステージで使用したバイク、MTBでは世界選手権で2位に入ったマティアス・フルキガー(スイス)のバイクなどトップクラスの選手の自転車が並べられる。E-BIKEは各社の最新モデルがずらりと用意されており、「こんなブランドもSTEPSを使っているのか」と新しい発見ができるようになっている。
STEPS関連のニュースは最新ユニットとそれらを搭載自転車のデビューはもちろんだが、ソフトウェアのアップデートによってDI2のSTIレバーでSTEPSのモードチェンジが行えるようになったこと。STEPS搭載バイクは必然的にフロントシングルとなるため、一般的には左手のシフターの役割が空く。そこにモードチェンジを割り当てることで、ハンドルにクランプする別体ボタンで操作する必要がなくなる。このように電動コンポーネントとアシストユニットを開発しているシマノの強みだ。これからも様々なアップデートに期待できる。
シマノはソフトグッズも非常に充実しており、こちらもマネキンにウェアを着用させてプロダクトの雰囲気を伝える。数多く製品が登場している中で注目したいのは、S-PHYREの流れを汲むミドルグレードシューズが登場したことだ。ロード用はRC5、オフロード用はXC5。いずれもハイエンドグレードのようなルックスをしているが、細部を調整することでホビーサイクリストにマッチする性能を実現。シューズカテゴリーにはインドアサイクル用のモデルも登場するなど非常に豊かなラインアップだ。インナーのような素材がジャージに縫い付けられた2層構造の半袖ジャージや、S-PHYREグレードの新作ジャージなどウェア関連も新作が登場しているため、日本国内でのラインアップ発表を楽しみにしたい。
PROは定番VIBEステムのモデルチェンジを行う。パズルクランプ方式を採用するとともに、アイコンだったVの字は移動し、前からではなく上から見ると読み取れるようになった。また、ステム側のクランプはハンドルバーを下から支えるように伸びているため、ハンドルバー取り付けの作業が行いやすくなっているはずだ。エアロダイナミクスを意識した作りなどもアップデートされている。
PROはフレア形状のハンドルバーや、インターナルケーブル仕様のドロッパーシートポストなどグラベル用のアイテムを数多くリリース。バイクパッキング装備も充実しているのがPROのグラベル用シリーズDISCOVERだ。2020年モデルとして、小サイズのシートパック、フレームバッグ、トップチューブバッグ、そしてハンドルに取り付けるボトルホルダーが新たにラインアップに加わっている。グラベルが注目を集めている今、DISCOVERシリーズもチェックしておきたいプロダクトシリーズだ。
DMT ニット素材を生かした新モデルなど次々登場
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)が着用しているDMTのフラッグシップロードシューズKR1。ニット素材を使用し、非常に柔らかい履き心地を実現しながらも、トップスプリンターの踏力を受け止める剛性も備えていることが特徴のモデルだ。2020年モデルでは、KR1で得たノウハウをもとにニット素材を使用した新プロダクトが非常に多く登場している。
ロードではSH1とKR3の2モデルをピックアップ。SH1は足の甲と爪先部分にかけてを3Dニットとし、かかと側を一般的なシューズのような作りとすることで、快適性と強度の両立を図っている。足首側のクロージャーにはストラップを使用しているため、ボアダイヤルを締め上げてもワイヤーが食い込むことなく、しっかりと足をホールドさせられそうだ。
対してKR3はモデル名の通りKR1の系譜を継いでいるようで、アッパーが全てニット構造とされている。ニットの通気性や快適性を備えながらも、足首周りやかかと部分はサポートが設けホールド力を確保していることが特徴だ。42サイズで225gと非常に軽量に仕上げられている。
DMTはオフロードシューズにもニット素材を採用。クロスカントリーやマラソン用としてKM1というトップグレードのモデルが登場している。KR1と同じ様なアッパー構造を採用することで、長距離レースで求める通気性や軽量性を獲得。KR1よりコーティングが施されている面積が大きいのはMTB用のアレンジだろう。カーボン製のアウトソールにミシュランラバー製のグリップが設けられている。加えてミドルグレードのKM3や、SH1のMTBモデルであるMH1、エンデューロ用DFR1など非常に多くのモデルがDMTからリリースされている。
スコープ 新進気鋭のホイールブランドがユーロバイクに出展
日本でも既に展開を始めているオランダの新進気鋭ホイールブランドのスコープ。2013年にプロサイクリストとして活躍したニック・ビュッセルと、リック・クスターズによって創業されたまだ若いブランドだ。彼らが掲げるモットーは「NO EXCUSE」。スコープからリリースされるホイールのパフォーマンスには一切妥協、言い訳をしないことが彼らの信条であり、リムとハブを自分たちで開発を進めている。
リムはチューブレスレディのみが用意されており、タイヤとの相性に関する開発はシュワルベとコラボレーションして進めたという。リム形状に関してはエアロダイナミクスと強度、剛性のバランスを意識しながら作るのはもちろん、スコープが行ったテスト結果は本国サイトにて公開されているという。
ハブは世界最大規模の総合機械メーカーSKFとの共同開発だという。自転車に最適化したオリジナルベアリング、非常に幅広なハブフランジ幅を採用することで、優れた回転と剛性の性能を実現している。オリジナルリムと有名メーカーのスポークとハブを組み合わせる完組ホイールが多い中、ハブまでも自分たちで作ってしまうところに「NO EXCUSE」の姿勢を感じる。
ラインアップはR3、R4、R5というロード用、O2というMTB/グラベル用ホイールが用意されている。スコープの特徴としては全てのホイールが同じ価格設定とされていること。日本では18万円(税抜)。ある1つのモデルだけが高価格に設定されていて、予算が足りないからとシチュエーションや好みにマッチしないホイールを妥協して選ぶことをスコープは許さない。全てのホイールが同じ土俵に立ち、サイクリストが自分に適したホイールを選べる様にしている。
また、見る角度によって色味が変化するカスタム用ステッカーなども自分たちで用意しているため、ホイールを好みに合わせてアレンジできるのも嬉しいポイントだ。
ベル MTB DHやエンデューロ用とアーバンライド用ヘルメットの新作登場
ベルといえば2輪、4輪のモータースポーツでテクノロジーを培ってきたアメリカンヘルメットブランド。特にモトクロス用ヘルメット開発で得たノウハウはダウンヒル用FULL-9に活用するなど、自転車用のヘルメットの安全性向上に大きく貢献している。また、MIPSとのコラボレーションをいち早く行ったブランドでもあり、ロード用のZ20など安全性、落車の影響を最小限に抑える努力を絶え間なく行っている。
2020年モデルではオフロード用フルフェイスTRANSFERとSUPER AIR Rをリリース。TRANSFERはミドルグレードであり、フルフェイスを時折必要とする方向けのプロダクト。本格的にダウンヒルをやっていなくてもパークのダウンヒルでフルフェイスを必要とする方にピッタリだ。
SUPER AIR RはスフェリカルMIPSを採用しながらも軽量性を獲得したエンデューロ用ヘルメット。SUPERはチンガードを取り外し可能なことが特徴であり、もちろんこのモデルも着脱可能だ。また、軽量性に優れていることからも一日中トレイル遊びを楽しむ方にも最適だろう。
また、アーバンライド用ヘルメットとしてSIDE TRACK II、DAILY、AVENUE LEDがローンチされた。いずれもMIPS付きという安全性に配慮していることが特徴。SIDE TRACK IIは取外し可能なバイザー付きモデルで、日常生活からアドベンチャーライドまで幅広いシチュエーションで活躍してくれる。
DAILY、AVENUE LEDはモデル名の通り日常生活に最適なモデルであり、アジャスターにLEDが搭載されている。DAILYは後頭部、側頭部までシェルでしっかりと守ってくれるタイプで、AVENUE LEDはロード用ヘルメットに似たルックス。2020年モデルのベルは、サイクリストのライフスタイルにあわせたヘルメットを選択できる充実のラインアップが魅力的だ。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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