2019/09/08(日) - 15:35
中国で行われるUCIシクロクロスレース「千森杯」の第1戦レポート。ヨーロッパ勢が多数参戦する中、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が6位、西山みゆき(Toyo Frame Field Model)が10位に入った。
千森杯シクロクロス第1戦が9月1日(日)予定通り中国内モンゴル自治区敖汉(あおはん)で行われた。
金曜の昼過ぎに羽田から北京に到着した日本チームは他国の選手とともにバスに乗り込み、一路北東へ向かった。ホテルの夕食にギリギリ間に合う21時前に到着し夕食後に機材下ろし、そして真夜中までバイクの組み立てを行い翌日の試走に備えた。
翌日土曜日、日本チームは午前中車両チェックを兼ねた公道での軽いロードトレーニングを行い午後からコース試走に入る予定を組んだ。この日午前中は常設自転車競技施設の一部としてシクロクロスコースとともに去年オープンしたMTBコースとシクロクロスコースのインフィールドを使った親子マラソン大会が行われ、プレイベントとして大会を盛り上げた
そして午後の試走、ここで予想しなかった事件が選手たちを襲うことに。コース上のあちこちでパンクが続発し、その原因は米原産のマキビシ草という草の種だそうで、去年はこんな種の話はなかったので中国で急に勢力拡大をしたようだった。ホテルに戻った日本チームは各自のパンクしたタイヤの棘を抜きシーラントを巡らせて穴を塞ぎ、またシーラントの注入を忘れていた選手のタイヤへは 須藤むつみ選手が持参していたストックを急遽分配して注入、翌日のレースに備えた。大会事務局でもその状況を見てコース路面の清掃や整地を行い またシーラントやチューブを仕入 必要な選手への販売も始めた。
そしてその夜はBMXコース脇の広場で焚き火を囲んで羊のモンゴリアンBBQを楽しむ歓迎レセプションが行われ、レース準備を終えた選手達が集った。
前日同様安定した晴天となった日曜日。去年のような強風も吹かず、気温は30℃と高めだが湿度が低く凌ぎやすい。それでもレースでは脱水の危険が案じられるため前日のライダースミーティングでボトルの装着とピットゾーンでの給水を認める旨が伝えられていた。コースは昨年と同じ2.5kmの常設コース、シャッフルの場となる長く急な二本の坂を含むコースレイアウトもほぼ変更がない。
女子レースは21名がスタート。横8人枠のスタートグリッドの最前列には元ベルギーナショナルチャンピオンで千森杯でも表彰台常連のジョイス・ファンデルベッケンや、今年もスペインのナショナルチャンピオンジャージを着て中国に来た昨年の覇者アイーダ・ヌーノ・パラシオ等の強豪とともに西山みゆき(Toyo Frame Field Model)が並ぶ。千森杯常連の須藤むつみ(Ready Go JAPAN女子シクロクロスチーム)は二列目スタートを確保した。
スタートでは西山みゆきがグリッド位置通の8〜9番手の順位でスタート。最初のコンテストとなる上り坂に入る。その後も初海外遠征とは思えない落ち着いた走りで10位ゴール、見事トップテン入りを果たした。須藤むつみはスタートミスで最後尾近くまで落ちてしまう。しかし昨年の負傷から復活したのちこのコースの登りを見据えて筑波山周辺で登降坂レーニングを重ねたという彼女はその成果を発揮し順位をあげていくがレース中盤ボトルケージが破損するトラブルに見舞われロスがあり15位でレースを終える。
優勝は序盤から独走に入ったファンデルベッケンで、昨年の千森杯ではパラシオに二戦とも優勝を奪われた借りをまず一つ返した。2位はUCIランキング55位、フランスのマリーナモレル・ペティジラルド(S1 ネオコネクトサイクリングチーム)が単独2位となった。3位には前を追いきれず単独となった。
西山みゆき(Toyo Frame Field Model)コメント
「昨年、主催者からレースに誘って頂いたが調整がつかず、今年参加に至りました。 日本にはないコースレイアウト、厳しい暑さの中での海外勢との戦いで、どんなレース展開になるか予測がつきませんでしたが、最低でも10位以内の目標でレースに挑みました。 スタート直後の急勾配の坂に降車をしいられて、レース中も足が回らず、周回毎に暑さがこたえました。 前日試走で前後輪パンクのトラブルもあったので、落車しないよう冷静な走りを心掛けてゴールしました。 次戦も暑くて過酷なレースが予想されますが、シングルリザルト目指して頑張ります」。
55名、60分11周回で争われた男子エリートでは、スタートグリッド1列目小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が入る。2列目には斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)、3列目に向山浩司、積田連、小島大輝のSNEL CYCLOCROSS TEAMが並ぶ。
スタート直後に右サイドの先頭を切っていたのクリス・ジョンジュワード(オーストラリア)がペダルを踏み外し前方転倒、後方の選手を大量に巻き込んでしまう。幸い大きな怪我は無かったものの巻き込まれた向山選手は絡んだ自身と自転車を救出している間に最後尾からの再スタートを強いられた。
他の日本選手は左サイドにいたため巻き込まれずに済んだが、若手の積田、小島はパンクや熱中症で中盤にDNF。最後尾から40番手まで追い上げていた向山もラップアウト。
織田は最初から積極的に高速のトップパックに加わり、1〜2周目は一時先頭を引くほどの走りを見せその後もペースを緩めず、セカンドパック近辺での積極的な動きを展開した結果、最後は6位でチェッカーを受ける大健闘となった。熱い走りに会場MCは何度も名前を連呼していた。
小坂も最初から積極的な位置どりで前方を伺える9位〜10位のポジションを確保していたが 終盤疲れが出たか14位でチェッカー。斎藤朋寛選手は惜しくもゴール手前で先頭に抜かれギリギリ周回遅れでのゴールとなった。
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)コメント
去年はここで8位でしたので今年もシングルリザルト、できればそれ以上の結果を目標としていましたから6位という結果で目標は達成できました。コース自体は状態含め去年と同じでしたが、フランスのロードレースに遠征した成果としてスピードが付いて来ていると感じていました。
ただフランスは夏場も気温が低く、まだ日本や中国の暑さに対する耐性ができていないので不安はありました。レースとしては去年まで参加していたアメリカ人がいなくて代わりにヨーロッパ勢が増えているのでトップ選手のレベルは変わらないかそれ以上。トップスピードも上がっていると思います。スタート直後の登りでパックに突き放されないよう、後方のハイスピードのプロトンにも抜かれないようオーバーペース気味で対応したのですが、その結果序盤は一時先頭を曳く展開にもなりました。しかしこれも数周であればヨーロッパ勢の速度に付いていけるということが確認でき自信になりました。
千森杯第二戦は去年千森杯二戦とも優勝したファンデルメールや他のヨーロッパ選手も時差ボケが取れ暑さにも慣れていくでしょうから、それに対応して去年の8位の結果より上のリザルトを目標にしたいと思います。
小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)
コンディションを上げきれていない時期ですが、去年はスタートに失敗して16位だったものが今年は14位だったのでまずまずの結果だったと思います。ただ序盤先頭パックの後方につけていたのがオーバーペースと暑さにもやられ落ちてしまったので もう少し踏ん張れたら違った結果も見えたのかなと思いました。次のレース、去年はパンクでDNFだったのですが去年より速いという自信もあるので頑張って得点圏内を目標にして それ以上を狙っていきたいと思います。
千森杯シクロクロス第1戦が9月1日(日)予定通り中国内モンゴル自治区敖汉(あおはん)で行われた。
金曜の昼過ぎに羽田から北京に到着した日本チームは他国の選手とともにバスに乗り込み、一路北東へ向かった。ホテルの夕食にギリギリ間に合う21時前に到着し夕食後に機材下ろし、そして真夜中までバイクの組み立てを行い翌日の試走に備えた。
翌日土曜日、日本チームは午前中車両チェックを兼ねた公道での軽いロードトレーニングを行い午後からコース試走に入る予定を組んだ。この日午前中は常設自転車競技施設の一部としてシクロクロスコースとともに去年オープンしたMTBコースとシクロクロスコースのインフィールドを使った親子マラソン大会が行われ、プレイベントとして大会を盛り上げた
そして午後の試走、ここで予想しなかった事件が選手たちを襲うことに。コース上のあちこちでパンクが続発し、その原因は米原産のマキビシ草という草の種だそうで、去年はこんな種の話はなかったので中国で急に勢力拡大をしたようだった。ホテルに戻った日本チームは各自のパンクしたタイヤの棘を抜きシーラントを巡らせて穴を塞ぎ、またシーラントの注入を忘れていた選手のタイヤへは 須藤むつみ選手が持参していたストックを急遽分配して注入、翌日のレースに備えた。大会事務局でもその状況を見てコース路面の清掃や整地を行い またシーラントやチューブを仕入 必要な選手への販売も始めた。
そしてその夜はBMXコース脇の広場で焚き火を囲んで羊のモンゴリアンBBQを楽しむ歓迎レセプションが行われ、レース準備を終えた選手達が集った。
前日同様安定した晴天となった日曜日。去年のような強風も吹かず、気温は30℃と高めだが湿度が低く凌ぎやすい。それでもレースでは脱水の危険が案じられるため前日のライダースミーティングでボトルの装着とピットゾーンでの給水を認める旨が伝えられていた。コースは昨年と同じ2.5kmの常設コース、シャッフルの場となる長く急な二本の坂を含むコースレイアウトもほぼ変更がない。
女子レースは21名がスタート。横8人枠のスタートグリッドの最前列には元ベルギーナショナルチャンピオンで千森杯でも表彰台常連のジョイス・ファンデルベッケンや、今年もスペインのナショナルチャンピオンジャージを着て中国に来た昨年の覇者アイーダ・ヌーノ・パラシオ等の強豪とともに西山みゆき(Toyo Frame Field Model)が並ぶ。千森杯常連の須藤むつみ(Ready Go JAPAN女子シクロクロスチーム)は二列目スタートを確保した。
スタートでは西山みゆきがグリッド位置通の8〜9番手の順位でスタート。最初のコンテストとなる上り坂に入る。その後も初海外遠征とは思えない落ち着いた走りで10位ゴール、見事トップテン入りを果たした。須藤むつみはスタートミスで最後尾近くまで落ちてしまう。しかし昨年の負傷から復活したのちこのコースの登りを見据えて筑波山周辺で登降坂レーニングを重ねたという彼女はその成果を発揮し順位をあげていくがレース中盤ボトルケージが破損するトラブルに見舞われロスがあり15位でレースを終える。
優勝は序盤から独走に入ったファンデルベッケンで、昨年の千森杯ではパラシオに二戦とも優勝を奪われた借りをまず一つ返した。2位はUCIランキング55位、フランスのマリーナモレル・ペティジラルド(S1 ネオコネクトサイクリングチーム)が単独2位となった。3位には前を追いきれず単独となった。
西山みゆき(Toyo Frame Field Model)コメント
「昨年、主催者からレースに誘って頂いたが調整がつかず、今年参加に至りました。 日本にはないコースレイアウト、厳しい暑さの中での海外勢との戦いで、どんなレース展開になるか予測がつきませんでしたが、最低でも10位以内の目標でレースに挑みました。 スタート直後の急勾配の坂に降車をしいられて、レース中も足が回らず、周回毎に暑さがこたえました。 前日試走で前後輪パンクのトラブルもあったので、落車しないよう冷静な走りを心掛けてゴールしました。 次戦も暑くて過酷なレースが予想されますが、シングルリザルト目指して頑張ります」。
55名、60分11周回で争われた男子エリートでは、スタートグリッド1列目小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が入る。2列目には斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)、3列目に向山浩司、積田連、小島大輝のSNEL CYCLOCROSS TEAMが並ぶ。
スタート直後に右サイドの先頭を切っていたのクリス・ジョンジュワード(オーストラリア)がペダルを踏み外し前方転倒、後方の選手を大量に巻き込んでしまう。幸い大きな怪我は無かったものの巻き込まれた向山選手は絡んだ自身と自転車を救出している間に最後尾からの再スタートを強いられた。
他の日本選手は左サイドにいたため巻き込まれずに済んだが、若手の積田、小島はパンクや熱中症で中盤にDNF。最後尾から40番手まで追い上げていた向山もラップアウト。
織田は最初から積極的に高速のトップパックに加わり、1〜2周目は一時先頭を引くほどの走りを見せその後もペースを緩めず、セカンドパック近辺での積極的な動きを展開した結果、最後は6位でチェッカーを受ける大健闘となった。熱い走りに会場MCは何度も名前を連呼していた。
小坂も最初から積極的な位置どりで前方を伺える9位〜10位のポジションを確保していたが 終盤疲れが出たか14位でチェッカー。斎藤朋寛選手は惜しくもゴール手前で先頭に抜かれギリギリ周回遅れでのゴールとなった。
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)コメント
去年はここで8位でしたので今年もシングルリザルト、できればそれ以上の結果を目標としていましたから6位という結果で目標は達成できました。コース自体は状態含め去年と同じでしたが、フランスのロードレースに遠征した成果としてスピードが付いて来ていると感じていました。
ただフランスは夏場も気温が低く、まだ日本や中国の暑さに対する耐性ができていないので不安はありました。レースとしては去年まで参加していたアメリカ人がいなくて代わりにヨーロッパ勢が増えているのでトップ選手のレベルは変わらないかそれ以上。トップスピードも上がっていると思います。スタート直後の登りでパックに突き放されないよう、後方のハイスピードのプロトンにも抜かれないようオーバーペース気味で対応したのですが、その結果序盤は一時先頭を曳く展開にもなりました。しかしこれも数周であればヨーロッパ勢の速度に付いていけるということが確認でき自信になりました。
千森杯第二戦は去年千森杯二戦とも優勝したファンデルメールや他のヨーロッパ選手も時差ボケが取れ暑さにも慣れていくでしょうから、それに対応して去年の8位の結果より上のリザルトを目標にしたいと思います。
小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)
コンディションを上げきれていない時期ですが、去年はスタートに失敗して16位だったものが今年は14位だったのでまずまずの結果だったと思います。ただ序盤先頭パックの後方につけていたのがオーバーペースと暑さにもやられ落ちてしまったので もう少し踏ん張れたら違った結果も見えたのかなと思いました。次のレース、去年はパンクでDNFだったのですが去年より速いという自信もあるので頑張って得点圏内を目標にして それ以上を狙っていきたいと思います。
男子レース結果
1位 | ヤニック・ピータース(ベルギー) | 00:59:46 |
2位 | アルノ・ファンデンブロック(ベルギー) | +00:00:56 |
3位 | ニコラス・サンパリーシ(イタリア) | +00:00:59 |
6位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +00:01:56 |
14位 | 小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム) | +00:04:47 |
22位 | 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) | -1Lap |
40位 | 向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM) | -6Lap |
42位 | 積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM) | -6Lap |
47位 | 小島大輝(SNEL CYCLOCROSS TEAM) | -7Lap |
女子レース結果
1位 | ジョイス・ファンデルベッケン(ベルギー) 00:43:06 | |
2位 | アイーダ・ヌーノ・パラシオ(フランス) | +00:01:48 |
3位 | マリーナモレル・ペティジラルド(S1 ネオコネクトサイクリングチーム) | +00:02:32 |
10位 | 西山みゆき(Toyo Frame Field Model ) | +00:07:17 |
15位 | 須藤みゆき(Ready Go JAPAN女子シクロクロスチーム) | -2Laps |
Photo & Text:masakazu abe
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