ツールを走ったロットのバイクたち　リドレー HELIUM SLX、NOAH FAST、DEAN FAST

ツール・ド・フランスのプロバイク特集第21弾は、カレブ・ユアン（オーストラリア）とトーマス・デヘント（ベルギー）がステージ合計4勝を挙げたロット・スーダル。カンパSUPER RECORDを搭載したリドレー3モデルに迫ります。

---

前半ステージでマイヨアポワを着たティム・ウェレンス（ベルギー）に用意されたHELIUM SLX photo:Makoto.AYANO
ペイントで表現された水玉とグラデーション。リドレーならではのカスタムと言えるだろう photo:Makoto.AYANOルックのKEOペダルもマイヨアポワ仕様に photo:Makoto.AYANO


最終日のシャンゼリゼを含め、カレブ・ユアン（オーストラリア）が集団スプリントでステージ3勝、第8ステージでトーマス・デヘント（ベルギー）が逃げ切り勝利と大成功を収めたロット・スーダル。使用バイクはエアロロードのNOAH FASTと軽量オールラウンダーのHELIUM SLX、そしてTTバイクのDEAN FASTという3車種。バイクはリムブレーキ主体だが、マキシム・モンフォールとジャスパー・デブイスト（ベルギー）、ロジェ・クルーゲ（ドイツ）がステージによってディスクブレーキ仕様のNOAH FASTを使用していた。

また、序盤ステージで山岳賞ランキング首位に立ったティム・ウェレンス（ベルギー）には、マイヨアポワ仕様のスペシャルバイクが与えられた。一般的にジャージ獲得が確定的とならない限りステッカチューンやバーテープの色変えで済ますことが多いが、ウェレンスの特別バイクはグラデーションや水玉など手間の要するペイントが施された。この辺りは流石バイク塗装を出自に持つリドレーならではと言えるだろう。"ポケットロケット"ユアンのNOAH FASTは通常と異なるブラックカラーで、フレームサイズはXSだ。

ステージ3勝を挙げたカレブ・ユアン（オーストラリア）のNOAH FAST photo:Makoto.AYANO
ユアンのPC8ディスプレイはオーストラリアカラー photo:Makoto.AYANOスプリンターとしては珍しくユアンのハンドルはステム別体式 photo:Makoto.AYANO

HELIUM SLXには角度の深いステムを取り付ける場合が多い模様 photo:Makoto.AYANOマスドステージのホイールはBORA ULTRA35もしくは50 photo:Makoto.AYANO

コンポーネントは12速のカンパニョーロSUPER RECORD EPSで、SRMを組み込む関係でクランクアームは11速。C-BEARのセラミックBBとリンク式のブレーキアウター（リムブレーキバイクの場合）によって摺動抵抗を軽減するのはロット・スーダルの定番カスタム。TTバイクは11速のSUPER RECORD EPSで揃えられていた。

ホイールはカンパニョーロのBORAシリーズで、35と50をコースに合わせてチョイスする。TTバイクの前輪はチューブレス仕様のWTO 77で、後輪はBORA ULTRA DISC。タイヤはヴィットリアのCORSAで、TTではCORSA SPEEDの25cをセットして走行抵抗低減を狙った。

ティム・ウェレンス（ベルギー）のDEAN FAST。ハンドルが目を引く photo:Makoto.AYANO
カンペナールツがアワーレコード挑戦時に使ったものと似たTTバー photo:Makoto.AYANOワンオフ感漂うパッドベース。非常に厚いパッド量にも注目したい photo:Makoto.AYANO

TTステージの前輪はチューブレス仕様のBORA WTO 77。ヴィットリアのCORSA SPEED（25c）をセットする photo:Makoto.AYANO
ハンドル周りとシートポストはデダで、ヘッドチューブがやや長いHELIUM SLXには角度の深いステムを取り付ける事例が多い模様。NOAH FASTにもリドレーの専用ハンドルではなくデダ製品が使われ、ユアンはスプリンターとしては珍しくステムハンドル別体式をチョイスしている。

DEAN FASTにはカスタムハンドルが用いられている場合があり、例えばウェレンスのバイクには、ヴィクトール・カンペナールツ（ベルギー、ロット・スーダル）がアワーレコードを更新した際に使用していたものと近い形状のTTバーが取り付けられていたほか、複数選手が腕当てパッドを厚く重ねたカーボン製のワンオフ品を使用していた。そのほかサドルはセッライタリアで、ペダルはルック。ボトルとケージはタックスだ。

text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO