2019/09/04(水) - 17:30
イタリアの名門タイヤブランド、ヴィットリアのロードタイヤ RUBINO PROをインプレッション。第2世代のグラフェンを配合し、ハイエンドに迫る性能を得たオールラウンドタイヤの実力に迫る。
長きにわたりヴィットリアのロードタイヤラインアップの中核を担い続けてきたオールラウンドタイヤがRUBINOシリーズ。ピュアレーシングモデルのCORSAに続く走行性能を備えつつ、手に取りやすい価格と優れた耐久性によってロングライド派にはもちろんのこと、シリアスレーサーにとっても良き相棒として親しまれてきた名作だ。
世界で初めてグラフェンを自転車用タイヤのコンパウンドへ用い、2015年にフルモデルチェンジを果たしたRUBINO PROシリーズが、3年の時を経て更なる進化を遂げることに。グラフェン2.0と銘打った新たなコンパウンドを手に入れたRUBINOは大きく前進した。
自転車用タイヤメーカーの中で、唯一ヴィットリアのみが使用できるナノテク素材、グラフェン。ハニカムシート状の原子構造をとるグラフェンは、現在知られている物質の中で最も薄く、最も軽く、かつ高い強度を持つ夢の素材と言われている。
グラフェンの使用方法を研究し続けてきたヴィットリアが今回のモデルチェンジで発表した「グラフェン2.0」とは、それぞれのタイヤによってグラフェンの使用・配合方法を調節し、より最適な性能を引き出す技術だ。
ヴィットリアによれば、グラフェン2.0の採用によって走行距離、転がり抵抗、空気保持性能、グリップ、耐カット性が向上しているという。更に、ヴィットリアの誇るもう一つの技術、「3Cテクノロジー」が更にその機能を強化する。
「3Cテクノロジー」とは、トレッドのセンター、サイド、ショルダー部あるいは表層部、ベース部といったそれぞれ別の機能を担うパートにおいて、異なる3つのコンパウンドを積層することによって性能を追求する製法。グラフェン2.0と組み合わせることによって、狙った性能を的確に引き出すことを可能とした。
2つの大きな武器を手に入れ、よりマルチな性能を手に入れた新型RUBINO PRO。多くのラインアップが揃う中でも、もっともオーソドックスで基本となるRUBINO PROを、CW編集部の安岡が500km以上の実走でインプレッション。
―インプレッション
ヴィットリアのタイヤといえば、高密度でしなやかなケーシングによる低い転がり抵抗とシルキーな乗り味というイメージを抱く人は多いだろう。かくいう私もその一人。先代のCORSAなどはまさにその通りの乗り心地で、自転車自体の印象を一気にポジティブなものへ変えてしまうほどの魅力を持ったタイヤだった。
実を言えば、RUBINOシリーズを使用するのは初めて。オープンチューブラータイプであるCORSAと比べると、普通のクリンチャータイヤらしい丸みを帯びた断面形状で、ホイールへの装着は容易になっている。手に取って触ってみると、かなりコシのあるケーシングでしっかりした厚みを感じ、耐久性に期待できそうだ。
いざホイールに取り付けて走ってみると、手に取った時の印象がそのまま反映されているようだ。しっかりしたサイドウォールによって、路面状況を的確に把握することが出来る。モデルごとにコンセプトを定め、その目標を実現するためにコンパウンドを開発しているというグラフェン2.0の効果も相まってか、CORSAとはまた違った方向性の乗り味だ。
純粋な転がりの軽さでいえばハイエンドであるCORSAには及ばないものの、剛性感のあるケーシングのおかげで腰砕け感は一切なし。ダンシングでタイヤをこじるようにしても、しっかりと路面をとらえ続け、前へ前へと進んでいく。
一方、グリップは極めて良好。500km以上のテスト期間中、雨に降られるシーンあったが、ウェットな路面においても安定した挙動を見せてくれる。ドライ路面とウェット路面で急激にフィーリングが変わるタイヤも多いが、ほぼ変わらない感覚で乗ることが出来るのがRUBINOの良さだ。ディスクブレーキの普及で、ウェットコンディションにおけるグリップ力はこれまでよりもシビアに求められることが多くなるだけに、新型RUBINOの安定感は歓迎だ。
耐久性に関しても不安なし。もちろん、パンクなどは運の部分も多いものだけれど、荒れた舗装が多い雪国のロングライドイベントなどを含み2か月で500km以上のテストにおいてパンクは一度もなし。トレッドの摩耗も少なく、3000km程度は余裕で持ちそうな印象だ。
究極のレーシング性能を求めるのであればもちろんCORSAに軍配が上がるが、耐パンク性能を必要とするロングライドや普段のトレーニングライドにおいては、しっかりした走行性能と耐久性、そして手の届きやすい価格という3つを備えるRUBINOこそが最適だろう。
text:Naoki.YASUOKA
長きにわたりヴィットリアのロードタイヤラインアップの中核を担い続けてきたオールラウンドタイヤがRUBINOシリーズ。ピュアレーシングモデルのCORSAに続く走行性能を備えつつ、手に取りやすい価格と優れた耐久性によってロングライド派にはもちろんのこと、シリアスレーサーにとっても良き相棒として親しまれてきた名作だ。
世界で初めてグラフェンを自転車用タイヤのコンパウンドへ用い、2015年にフルモデルチェンジを果たしたRUBINO PROシリーズが、3年の時を経て更なる進化を遂げることに。グラフェン2.0と銘打った新たなコンパウンドを手に入れたRUBINOは大きく前進した。
自転車用タイヤメーカーの中で、唯一ヴィットリアのみが使用できるナノテク素材、グラフェン。ハニカムシート状の原子構造をとるグラフェンは、現在知られている物質の中で最も薄く、最も軽く、かつ高い強度を持つ夢の素材と言われている。
グラフェンの使用方法を研究し続けてきたヴィットリアが今回のモデルチェンジで発表した「グラフェン2.0」とは、それぞれのタイヤによってグラフェンの使用・配合方法を調節し、より最適な性能を引き出す技術だ。
ヴィットリアによれば、グラフェン2.0の採用によって走行距離、転がり抵抗、空気保持性能、グリップ、耐カット性が向上しているという。更に、ヴィットリアの誇るもう一つの技術、「3Cテクノロジー」が更にその機能を強化する。
「3Cテクノロジー」とは、トレッドのセンター、サイド、ショルダー部あるいは表層部、ベース部といったそれぞれ別の機能を担うパートにおいて、異なる3つのコンパウンドを積層することによって性能を追求する製法。グラフェン2.0と組み合わせることによって、狙った性能を的確に引き出すことを可能とした。
2つの大きな武器を手に入れ、よりマルチな性能を手に入れた新型RUBINO PRO。多くのラインアップが揃う中でも、もっともオーソドックスで基本となるRUBINO PROを、CW編集部の安岡が500km以上の実走でインプレッション。
―インプレッション
ヴィットリアのタイヤといえば、高密度でしなやかなケーシングによる低い転がり抵抗とシルキーな乗り味というイメージを抱く人は多いだろう。かくいう私もその一人。先代のCORSAなどはまさにその通りの乗り心地で、自転車自体の印象を一気にポジティブなものへ変えてしまうほどの魅力を持ったタイヤだった。
実を言えば、RUBINOシリーズを使用するのは初めて。オープンチューブラータイプであるCORSAと比べると、普通のクリンチャータイヤらしい丸みを帯びた断面形状で、ホイールへの装着は容易になっている。手に取って触ってみると、かなりコシのあるケーシングでしっかりした厚みを感じ、耐久性に期待できそうだ。
いざホイールに取り付けて走ってみると、手に取った時の印象がそのまま反映されているようだ。しっかりしたサイドウォールによって、路面状況を的確に把握することが出来る。モデルごとにコンセプトを定め、その目標を実現するためにコンパウンドを開発しているというグラフェン2.0の効果も相まってか、CORSAとはまた違った方向性の乗り味だ。
純粋な転がりの軽さでいえばハイエンドであるCORSAには及ばないものの、剛性感のあるケーシングのおかげで腰砕け感は一切なし。ダンシングでタイヤをこじるようにしても、しっかりと路面をとらえ続け、前へ前へと進んでいく。
一方、グリップは極めて良好。500km以上のテスト期間中、雨に降られるシーンあったが、ウェットな路面においても安定した挙動を見せてくれる。ドライ路面とウェット路面で急激にフィーリングが変わるタイヤも多いが、ほぼ変わらない感覚で乗ることが出来るのがRUBINOの良さだ。ディスクブレーキの普及で、ウェットコンディションにおけるグリップ力はこれまでよりもシビアに求められることが多くなるだけに、新型RUBINOの安定感は歓迎だ。
耐久性に関しても不安なし。もちろん、パンクなどは運の部分も多いものだけれど、荒れた舗装が多い雪国のロングライドイベントなどを含み2か月で500km以上のテストにおいてパンクは一度もなし。トレッドの摩耗も少なく、3000km程度は余裕で持ちそうな印象だ。
究極のレーシング性能を求めるのであればもちろんCORSAに軍配が上がるが、耐パンク性能を必要とするロングライドや普段のトレーニングライドにおいては、しっかりした走行性能と耐久性、そして手の届きやすい価格という3つを備えるRUBINOこそが最適だろう。
text:Naoki.YASUOKA
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