2019/08/16(金) - 11:25
96kmという短い距離に9つの山岳が詰め込まれた『アルデンヌクラシック』さながらのビンクバンク・ツアー第4ステージで3名の逃げ切り決まる。20歳のマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)を接戦スプリントで下したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が総合首位の座についた。
ウッファリーズをスタートしていく選手たち photo:CorVos
リエージュから南に60km、ルクセンブルク国境に近いウッファリーズをスタート&フィニッシュとする96.2kmで行われたビンクバンク・ツアー第4ステージ。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでも通過するウッファリーズの近郊はいわゆるアルデンヌ地方の中心部であり、一帯には標高500m弱の山が延々と続いている。
リエージュにも登場するコート・ド・サンロッシュ(距離1.1km/平均勾配11%)とボワ・デ・モワンヌ(距離1.2km/平均勾配8%)、アシュフ(距離800m/平均勾配8%)という3つの山岳を含む30kmの周回コースを選手たちは3周。距離が100kmに満たないショートステージながら獲得標高差が1,900mを超えるアップダウンコースで総合争いが大きく動いた。
午後2時のスタートの時点では太陽が顔を見せていたが、レースの進行とともに天候は悪化。最初のサンロッシュで飛び出したイーリョ・ケイセ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)とスタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)の2人が降りしきる雨の中を2分差で逃げる。レースが本格的に動き始めたのは、2周目のボワ・デ・モワンヌの登りだった。
まだフィニッシュまで50km以上を残した段階でローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)がアタックを仕掛けると、ここにグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)、ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)という強力メンバーが反応。それまで逃げていたケイセとデウルフに追いつき、先頭では9名の精鋭グループが出来上がる。
そこからさらにウェレンスがアタックを仕掛けて独走に持ち込んだが、人数を減らすメイン集団の追撃によって残り33km地点で一旦全ての逃げは吸収された。ウッファリーズのフィニッシュラインを通過した30名ほどの集団が最終周回へと入っていく。
メイン集団のペースを上げるゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)ら photo:CorVos
積極的にレースを動かしたローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
すると、残り29km地点のサンロッシュで再びデプルスが強力なプッシュ。距離1.1km/平均勾配11%の登りを20km/hで駆け上がったデプルスに食らいつけたのはウェレンスとヒルシだけだった。ファンアーフェルマートやフィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)といったビッグネームは追走グループ内での走行を強いられた。
イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)だけが先頭トリオに合流することに成功し、4名で後続に30秒差をつけてアップダウンコースを行く。3つ連続する『ゴールデンキロメーター』でボーナスタイムをかけた戦いを繰り広げながら、先頭4名の中で最も鋭い登坂力を見せていたデプルスが残り15km地点で再び仕掛けるとガルシアが脱落。こうしてステージ優勝の行方は3名(デプルス、ヒルシ、ウェレンス)に絞られた。
ラスト1kmのアーチを通過し、互いの様子を伺いあう牽制を経て残り200mからデプルス、ヒルシ、ウェレンスが同時にスプリントを開始する。爆発力を要する勾配5%ほどの登りフィニッシュでデプルスが遅れ、猛進するヒルシをウェレンスが追随した。
2018年ロード世界選手権U23ロードレースで優勝し、2019年にサンウェブの育成チームからUCIワールドチームに加入したヒルシ。18歳のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)の優勝に注目が集まったクラシカ・サンセバスティアンで3位に入っている20歳ヒルシの初UCIワールドツアーレース勝利が濃厚と見られたが、フィニッシュライン手前で並びかけたウェレンスがタイミングよくハンドルを投げる。僅差のスプリントの結果、ウェレンスに軍配が上がった。
先頭グループを率いる20歳のマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ) photo:CorVos
ハンドルを投げ込むティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)とマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ) photo:CorVos
数センチ差で先着し、ステージ優勝とリーダージャージを手にしたウェレンス。2014年と2015年に総合優勝を飾っている28歳は「総合争いにおいて重要なビンクバンクツアーの後半戦が始まった。中盤にかけて独走したけど、体力の無駄遣いだったので一旦集団に戻った。そのすぐ後にデプルスが強力なアタックを仕掛けて、その動きに乗じてフィニッシュまで先行したんだ。スタート前に残り数キロのレイアウトを確認していたことが勝利につながった。短いステージだったので大きなタイム差が付かないと思ったけど、終わってみれば良い結果になった」と語る。
ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー)の落車事故死以降、ロット・スーダルに初勝利をもたらしたウェレンスは「チームは困難な1週間を経験したものの、ビョルグの両親のサポートを得て、ステージ優勝を目標にこのビンクバンクツアーに出場していた」とコメントする。閉幕まで3ステージを残してウェレンスは総合2位ヒルシと4秒差、総合3位デプルスと14秒差。3度目の総合優勝に向けて「土曜日の8kmタイムトライアルは自分向きだけど、デプルス向きでもある。このまま総合リードを守って日曜日のミュール・ファン・ヘラールツベルヘンに挑みたい」と意気込んでいる。
総合リーダージャージを手にしたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
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リエージュから南に60km、ルクセンブルク国境に近いウッファリーズをスタート&フィニッシュとする96.2kmで行われたビンクバンク・ツアー第4ステージ。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでも通過するウッファリーズの近郊はいわゆるアルデンヌ地方の中心部であり、一帯には標高500m弱の山が延々と続いている。
リエージュにも登場するコート・ド・サンロッシュ(距離1.1km/平均勾配11%)とボワ・デ・モワンヌ(距離1.2km/平均勾配8%)、アシュフ(距離800m/平均勾配8%)という3つの山岳を含む30kmの周回コースを選手たちは3周。距離が100kmに満たないショートステージながら獲得標高差が1,900mを超えるアップダウンコースで総合争いが大きく動いた。
午後2時のスタートの時点では太陽が顔を見せていたが、レースの進行とともに天候は悪化。最初のサンロッシュで飛び出したイーリョ・ケイセ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)とスタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)の2人が降りしきる雨の中を2分差で逃げる。レースが本格的に動き始めたのは、2周目のボワ・デ・モワンヌの登りだった。
まだフィニッシュまで50km以上を残した段階でローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)がアタックを仕掛けると、ここにグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)、ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)という強力メンバーが反応。それまで逃げていたケイセとデウルフに追いつき、先頭では9名の精鋭グループが出来上がる。
そこからさらにウェレンスがアタックを仕掛けて独走に持ち込んだが、人数を減らすメイン集団の追撃によって残り33km地点で一旦全ての逃げは吸収された。ウッファリーズのフィニッシュラインを通過した30名ほどの集団が最終周回へと入っていく。
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すると、残り29km地点のサンロッシュで再びデプルスが強力なプッシュ。距離1.1km/平均勾配11%の登りを20km/hで駆け上がったデプルスに食らいつけたのはウェレンスとヒルシだけだった。ファンアーフェルマートやフィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)といったビッグネームは追走グループ内での走行を強いられた。
イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)だけが先頭トリオに合流することに成功し、4名で後続に30秒差をつけてアップダウンコースを行く。3つ連続する『ゴールデンキロメーター』でボーナスタイムをかけた戦いを繰り広げながら、先頭4名の中で最も鋭い登坂力を見せていたデプルスが残り15km地点で再び仕掛けるとガルシアが脱落。こうしてステージ優勝の行方は3名(デプルス、ヒルシ、ウェレンス)に絞られた。
ラスト1kmのアーチを通過し、互いの様子を伺いあう牽制を経て残り200mからデプルス、ヒルシ、ウェレンスが同時にスプリントを開始する。爆発力を要する勾配5%ほどの登りフィニッシュでデプルスが遅れ、猛進するヒルシをウェレンスが追随した。
2018年ロード世界選手権U23ロードレースで優勝し、2019年にサンウェブの育成チームからUCIワールドチームに加入したヒルシ。18歳のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)の優勝に注目が集まったクラシカ・サンセバスティアンで3位に入っている20歳ヒルシの初UCIワールドツアーレース勝利が濃厚と見られたが、フィニッシュライン手前で並びかけたウェレンスがタイミングよくハンドルを投げる。僅差のスプリントの結果、ウェレンスに軍配が上がった。
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数センチ差で先着し、ステージ優勝とリーダージャージを手にしたウェレンス。2014年と2015年に総合優勝を飾っている28歳は「総合争いにおいて重要なビンクバンクツアーの後半戦が始まった。中盤にかけて独走したけど、体力の無駄遣いだったので一旦集団に戻った。そのすぐ後にデプルスが強力なアタックを仕掛けて、その動きに乗じてフィニッシュまで先行したんだ。スタート前に残り数キロのレイアウトを確認していたことが勝利につながった。短いステージだったので大きなタイム差が付かないと思ったけど、終わってみれば良い結果になった」と語る。
ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー)の落車事故死以降、ロット・スーダルに初勝利をもたらしたウェレンスは「チームは困難な1週間を経験したものの、ビョルグの両親のサポートを得て、ステージ優勝を目標にこのビンクバンクツアーに出場していた」とコメントする。閉幕まで3ステージを残してウェレンスは総合2位ヒルシと4秒差、総合3位デプルスと14秒差。3度目の総合優勝に向けて「土曜日の8kmタイムトライアルは自分向きだけど、デプルス向きでもある。このまま総合リードを守って日曜日のミュール・ファン・ヘラールツベルヘンに挑みたい」と意気込んでいる。
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ビンクバンク・ツアー2019第4ステージ結果
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 2:20:41 |
2位 | マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ) | |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:05 |
4位 | イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:23 |
5位 | オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) | |
6位 | ミカエル・ヴァルグレン(デンマーク、ディメンションデータ) | 0:00:26 |
7位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
8位 | セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ) | 0:00:33 |
9位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット) | |
10位 | グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) | |
97位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) | 0:15:07 |
個人総合成績
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 13:32:46 |
2位 | マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ) | 0:00:04 |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:14 |
4位 | イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:36 |
5位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:38 |
6位 | オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) | 0:00:39 |
7位 | ミカエル・ヴァルグレン(デンマーク、ディメンションデータ) | 0:00:42 |
8位 | グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) | 0:00:49 |
9位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) | |
10位 | セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ) |
ポイント賞
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 90pts |
2位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | 66pts |
3位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 60pts |
中間スプリント賞
1位 | バティスト・プランカールト(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル) | 57pts |
2位 | トーマス・スプレンガース(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | 24pts |
3位 | ルカシュ・ヴィシニオウスキー(ポーランド、CCCチーム) | 19pts |
チーム総合成績
1位 | サンウェブ | 40:40:12 |
2位 | ユンボ・ヴィズマ | 0:01:47 |
3位 | ロット・スーダル | 0:01:49 |
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