2019/08/13(火) - 09:27
8月12日、ベルギーで第15回ビンクバンク・ツアー(UCIワールドツアー)が開幕。雨に見舞われた初日の第1ステージは大集団スプリントに持ち込まれ、ベルギー生まれのアイルランド王者サム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ)が白星スタートを切った。
1948年から開催されていた「ツール・デ・ペイ・バ(ツアー・オブ・オランダ)」の伝統を引き継ぎ、2005年のUCIプロツアー発足に伴ってエネコ・ツアーに名称が改められた同大会。2017年からはオランダ・アムステルダムに拠点を置くオンライン手数料割引証券業者のビンクバンクがタイトルスポンサーにつき、時期も9月から8月に移して開催されている。
エネコ時代から15回目を迎える19年大会も、ベルギーとオランダの二国をまたぐ7日間の大会として開催。初日はベフェレンから国境を越えてオランダのフルストに向かう167kmで、直線距離で15kmほどしか離れていない二つの街の間を縦横無尽に駆け巡る。6カ所の石畳区間が設定されている平坦コースはピュアスプリンター向きだ。
ベフェレンの街をスタートした161名(23チーム/7名ずつ)の集団の中から4名が飛び出し、メイン集団から最大2分30秒差のリードでステージの大部分を逃げる展開。しかし石畳区間や横風区間でペースが上がるメイン集団は逃げグループを常に射程圏内に置いた。
逃げグループを形成した4名
ルカシュ・ヴィシニオウスキー(ポーランド、CCCチーム)
ラルスイティング・バク(デンマーク、ディメンションデータ)
バティスト・プランカールト(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)
アーロン・フェルウィスト(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
濡れた石畳区間では落車などのトラブルが多発する。落車したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がメイン集団から脱落する中、単独で逃げ続けたヴィシニオウスキーを残り3km地点で飲み込んだ大集団がフィニッシュへ。8月9日に閉幕したツール・ド・ポローニュから連戦出場で、2012年以来4度目のビンクバンク出場となった別府史之を含むトレック・セガフレードやバーレーン・メリダの選手たちが先頭に立った。
スプリントに向けて主導権を奪いにかかったUAEチームエミレーツをマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)が被せ、そのままエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)を完璧な形で発射する。その後方では、ツール・ド・フランス初日にマイヨジョーヌを着たマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)にリードアウトされたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)がタイミングを伺いながらも、ライバルたちに前を塞がれたため踏み遅れてしまう。
64km/h前後で踏み続けたトゥーンスだったが、残り100mでフルーネウェーヘンのスリップストリームを脱したベネットが勢いよく迫った。先頭でスプリントを続けたトゥーンスを差し切る形でベネットが先着。白地に緑色のラインが入ったアイルランドのナショナルチャンピオンジャージが右手を振り上げた。
「自分もレース中に何度かタイヤを滑らせたし、落車にだけは巻き込まれないように気をつけた」。雨の危険なステージを勝利で締めくくったベネットはそう振り返る。ベネットはこれがシーズン9勝目。前日にオランダで開催されたヨーロッパ選手権ロードレースは6位だった。
「ナショナルチャンピオンジャージでの初勝利。とても危険なスプリントで、転ばないことに専念した。残り2km地点までチームメイトに守られて、そこからは強力なライバルチームのトレインに食らいついた。そして正しいタイミングでスプリントを開始したんだ。自分と特別な繫がりがあるベルギーで勝利できて嬉しい」と、プロサッカー選手として活動していた父親の影響でベルギーに生まれ、4歳までフランドル地方で生活していたベネットは語る。2019年末でボーラ・ハンスグローエと契約が切れるベネットは他チームへの移籍が有力視されている。
1948年から開催されていた「ツール・デ・ペイ・バ(ツアー・オブ・オランダ)」の伝統を引き継ぎ、2005年のUCIプロツアー発足に伴ってエネコ・ツアーに名称が改められた同大会。2017年からはオランダ・アムステルダムに拠点を置くオンライン手数料割引証券業者のビンクバンクがタイトルスポンサーにつき、時期も9月から8月に移して開催されている。
エネコ時代から15回目を迎える19年大会も、ベルギーとオランダの二国をまたぐ7日間の大会として開催。初日はベフェレンから国境を越えてオランダのフルストに向かう167kmで、直線距離で15kmほどしか離れていない二つの街の間を縦横無尽に駆け巡る。6カ所の石畳区間が設定されている平坦コースはピュアスプリンター向きだ。
ベフェレンの街をスタートした161名(23チーム/7名ずつ)の集団の中から4名が飛び出し、メイン集団から最大2分30秒差のリードでステージの大部分を逃げる展開。しかし石畳区間や横風区間でペースが上がるメイン集団は逃げグループを常に射程圏内に置いた。
逃げグループを形成した4名
ルカシュ・ヴィシニオウスキー(ポーランド、CCCチーム)
ラルスイティング・バク(デンマーク、ディメンションデータ)
バティスト・プランカールト(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)
アーロン・フェルウィスト(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
濡れた石畳区間では落車などのトラブルが多発する。落車したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がメイン集団から脱落する中、単独で逃げ続けたヴィシニオウスキーを残り3km地点で飲み込んだ大集団がフィニッシュへ。8月9日に閉幕したツール・ド・ポローニュから連戦出場で、2012年以来4度目のビンクバンク出場となった別府史之を含むトレック・セガフレードやバーレーン・メリダの選手たちが先頭に立った。
スプリントに向けて主導権を奪いにかかったUAEチームエミレーツをマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)が被せ、そのままエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)を完璧な形で発射する。その後方では、ツール・ド・フランス初日にマイヨジョーヌを着たマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)にリードアウトされたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)がタイミングを伺いながらも、ライバルたちに前を塞がれたため踏み遅れてしまう。
64km/h前後で踏み続けたトゥーンスだったが、残り100mでフルーネウェーヘンのスリップストリームを脱したベネットが勢いよく迫った。先頭でスプリントを続けたトゥーンスを差し切る形でベネットが先着。白地に緑色のラインが入ったアイルランドのナショナルチャンピオンジャージが右手を振り上げた。
「自分もレース中に何度かタイヤを滑らせたし、落車にだけは巻き込まれないように気をつけた」。雨の危険なステージを勝利で締めくくったベネットはそう振り返る。ベネットはこれがシーズン9勝目。前日にオランダで開催されたヨーロッパ選手権ロードレースは6位だった。
「ナショナルチャンピオンジャージでの初勝利。とても危険なスプリントで、転ばないことに専念した。残り2km地点までチームメイトに守られて、そこからは強力なライバルチームのトレインに食らいついた。そして正しいタイミングでスプリントを開始したんだ。自分と特別な繫がりがあるベルギーで勝利できて嬉しい」と、プロサッカー選手として活動していた父親の影響でベルギーに生まれ、4歳までフランドル地方で生活していたベネットは語る。2019年末でボーラ・ハンスグローエと契約が切れるベネットは他チームへの移籍が有力視されている。
ビンクバンク・ツアー2019第1ステージ結果
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:42:57 |
2位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
3位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
4位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ) | |
6位 | ティモシー・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール) | |
7位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
8位 | クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームイネオス) | |
9位 | アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
10位 | アモリー・カピオ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | |
82位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) |
個人総合成績
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:42:47 |
2位 | ルカシュ・ヴィシニオウスキー(ポーランド、CCCチーム) | 0:00:02 |
3位 | ラルスイティング・バク(デンマーク、ディメンションデータ) | 0:00:03 |
4位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) | 0:00:04 |
5位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:06 |
6位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | 0:00:10 |
7位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ) | |
8位 | ティモシー・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール) | |
9位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
10位 | クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームイネオス) |
ポイント賞
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 30pts |
2位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) | 25pts |
3位 | マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 22pts |
チーム総合成績
1位 | スポートフラーンデレン・バロワーズ | 11:08:51 |
2位 | UAEチームエミレーツ | |
3位 | ドゥクーニンク・クイックステップ |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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