2019/07/09(火) - 09:21
フランス人によるステージ優勝で沸いたツール第3ステージ。劇的な独走勝利を収めマイヨジョーヌを獲得したアラフィリップ、果敢な逃げでマイヨアポワを獲得したウェレンスを始め各賞ジャージ着用者や総合勢のコメントで振り返ります。
ステージ1位&マイヨジョーヌ ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
言葉が出てこない。何が起こっているのかよくわからない。このステージは自分向きだと思っていたので、落車やトラブルだけには巻き込まれないように心がけていた。調子の良さを感じて最後のミュティニー峠でアタックしたものの、独走に持ち込もうとは思っていなかったよ。でも単独で飛び出した形になったので、そこからは全開走行に切り替えた。有力候補という大きな期待に応えるのは簡単なことじゃないけど、やりきった。本当に嬉しい。
この第3ステージで勝ってマイヨジョーヌを着るというシナリオを開幕前から夢見ていたんだ。とても厳しい戦いになることはわかっていたけど、集中して勝負に挑んだ。独走勝利してマイヨジョーヌを着るなんて、キャリアで最も美しい勝利の一つだ。
チームは1日中ずっと自分を守ってくれて、とにかく力を使わないように走った。最後の3級山岳ミュティニーに差し掛かったところで、ドリス(デヴェナインス)にペースアップをお願いして、状況をチェックしてから全開でアタックした。後ろは振り返らなかった。
ステージ2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)
終盤の3級山岳でクイックステップがペースを上げてメイン集団を破壊。そこでメイン集団から脱落してしまったけど、チームメイトたちが励ましながら集団まで連れて行ってくれた。おかげで勝負に残ることができた。今日はスプリントの掛かりが良かったので、アラフィリップを逃げ切らせてしまったのは残念。フィニッシュでは全力を尽くしたよ。ステージ優勝には届かなかったけど、自信につながるステージになった。
ステージ3位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
今日はステージ優勝争いに加わって、脚を試したかった。昨晩グーグルマップのストリートビューでフィニッシュ地点を確認したんだ。もっと緩い登りに見えたけど、実際は急勾配だった。でも調子は良かったので、自分向きのフィニッシュだったと言える。レース中にエアロ系のマドンから軽量なエモンダに乗り換えたことも良かった。今日はアラフィリップが最強だったけど、ステージ3位という成績は明日以降の良い展望につながる。
ステージ4位 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)
アラフィリップには登りスプリントで勝つ力があるので、まさか残り20kmという早いタイミングでアタックを仕掛けてくるとは思わなかった。驚いたけど、確かにあのタイミングで動けるのは彼だけだった。他の選手たちは全員リミットを迎えていた。個人的には登りの感触も良いし、ステージ4位という悪すぎない結果を残せたので満足している。総合タイム差もついたし、この先のステージはより落ち着いたものになると思う。
ステージ5位&マイヨヴェール ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
終盤にかけてトリッキーで急勾配の登りが組み込まれた、全開走行を強いるレイアウトだった。ジュリアン・アラフィリップのアタックには驚いたよ。そして彼はフィニッシュまで独走してみせた。強烈なアタックを仕掛け、勝利につなげた彼を祝福したい。明日は再び大集団のスプリント。今日はマイケル・マシューズにポイント差を詰められてしまった。まだまだパリは遠く、マイヨヴェール争いはオープンな状態だ。
ステージ9位&マイヨブラン ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)
今日はマイク(テウニッセン)と自分でステージ優勝を狙う予定だったけど、マイクが調子の悪さを告げてきたので、自分ができる限り登りで集団に残って、チームとしてマイヨジョーヌを守るために走った。でも予想以上に最後の登りの勾配がきつく、マイヨジョーヌを逃す結果になってしまった。ユンボ・ヴィズマは完璧な走りをしたけど、ただアラフィリップが誰よりも強かった。勝利に値する走りだった。
マイヨブランを守りきれたことを嬉しく思う。ユンボ・ヴィズマは素晴らしい週末を経験したけど、明日からはステフェン(クライスヴァイク)の総合狙いと、ディラン(フルーネウェーヘン)のスプリント狙いという本来の目標に立ち返る。ディランは落車から順調に回復しているので、明日は彼でステージ優勝を狙うよ。
エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)
とてもとても厳しいステージだった。アラフィリップの走りは本当に鋭くて、ボーナスタイムのために付いて行こうと思ったけど不可能だった。今日は集団内の全員が苦しんでいたと思う。チームTTの翌日は決まってハード。今日は追い風が吹いていたから余計にハードだった。しかも終盤に急勾配の登りが連続。とにかくレースがハードになる要素が詰まったステージだった。
ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)
決して得意ではない急勾配で短い登りを上手くこなすことができたと思う。チームは常に集団前方をキープしていたし、連携も取れていた。今日の丘陵ステージで総合成績は少し落ち着いた。例えば序盤に5日連続で平坦ステージが続くとスーパーナーバスな展開になるから、この方がずっといい。
今はとにかく余計な力を使わずに走ることを心がけている。確かにボーナスタイム獲得のチャンスがあったけど、アラフィリップのような選手が狙いに行くなら勝ち目がない。今日はとにかく良い位置でレースをこなすことが重要だった。
ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)
調子は上向きで、昨日よりも良い感触を持って走ることができた。そしてチームは常にトラブルを避けるためにポジションを守ってくれた。最後はアレクセイ・ルツェンコでステージ優勝を狙ったものの、今日はアラフィリップが強すぎた。身体は順調に回復している。あと数日すれば完調すると思う。
マイヨアポワ獲得 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
チームはカレブ・ユアンでステージ優勝を狙う作戦だった。でも今日はずっと追い風が吹いていて、徐々に逃げ切りによるステージ優勝の可能性を感じ始めたんだ。独走に持ち込むことができたけど、終盤にペースが落ち、最後の3級山岳の麓で運悪くパンクしてしまった。パンクしていなければ、後ろから追いついてきたジュリアン・アラフィリップと逃げ続けることができたと思う。でもいずれは彼に突き放される運命だった。
ニュートラルサービスにホイール交換をお願いして、頂上を越えたところでストップ。でも誰もホイール交換に来てくれなくて、自分がバカみたいだった。マイヨアポワ獲得は救い。できる限りこのジャージを着続けたい。
text&photo:Kei Tsuji in Epernay, France
ステージ1位&マイヨジョーヌ ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
言葉が出てこない。何が起こっているのかよくわからない。このステージは自分向きだと思っていたので、落車やトラブルだけには巻き込まれないように心がけていた。調子の良さを感じて最後のミュティニー峠でアタックしたものの、独走に持ち込もうとは思っていなかったよ。でも単独で飛び出した形になったので、そこからは全開走行に切り替えた。有力候補という大きな期待に応えるのは簡単なことじゃないけど、やりきった。本当に嬉しい。
この第3ステージで勝ってマイヨジョーヌを着るというシナリオを開幕前から夢見ていたんだ。とても厳しい戦いになることはわかっていたけど、集中して勝負に挑んだ。独走勝利してマイヨジョーヌを着るなんて、キャリアで最も美しい勝利の一つだ。
チームは1日中ずっと自分を守ってくれて、とにかく力を使わないように走った。最後の3級山岳ミュティニーに差し掛かったところで、ドリス(デヴェナインス)にペースアップをお願いして、状況をチェックしてから全開でアタックした。後ろは振り返らなかった。
ステージ2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)
終盤の3級山岳でクイックステップがペースを上げてメイン集団を破壊。そこでメイン集団から脱落してしまったけど、チームメイトたちが励ましながら集団まで連れて行ってくれた。おかげで勝負に残ることができた。今日はスプリントの掛かりが良かったので、アラフィリップを逃げ切らせてしまったのは残念。フィニッシュでは全力を尽くしたよ。ステージ優勝には届かなかったけど、自信につながるステージになった。
ステージ3位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
今日はステージ優勝争いに加わって、脚を試したかった。昨晩グーグルマップのストリートビューでフィニッシュ地点を確認したんだ。もっと緩い登りに見えたけど、実際は急勾配だった。でも調子は良かったので、自分向きのフィニッシュだったと言える。レース中にエアロ系のマドンから軽量なエモンダに乗り換えたことも良かった。今日はアラフィリップが最強だったけど、ステージ3位という成績は明日以降の良い展望につながる。
ステージ4位 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)
アラフィリップには登りスプリントで勝つ力があるので、まさか残り20kmという早いタイミングでアタックを仕掛けてくるとは思わなかった。驚いたけど、確かにあのタイミングで動けるのは彼だけだった。他の選手たちは全員リミットを迎えていた。個人的には登りの感触も良いし、ステージ4位という悪すぎない結果を残せたので満足している。総合タイム差もついたし、この先のステージはより落ち着いたものになると思う。
ステージ5位&マイヨヴェール ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
終盤にかけてトリッキーで急勾配の登りが組み込まれた、全開走行を強いるレイアウトだった。ジュリアン・アラフィリップのアタックには驚いたよ。そして彼はフィニッシュまで独走してみせた。強烈なアタックを仕掛け、勝利につなげた彼を祝福したい。明日は再び大集団のスプリント。今日はマイケル・マシューズにポイント差を詰められてしまった。まだまだパリは遠く、マイヨヴェール争いはオープンな状態だ。
ステージ9位&マイヨブラン ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)
今日はマイク(テウニッセン)と自分でステージ優勝を狙う予定だったけど、マイクが調子の悪さを告げてきたので、自分ができる限り登りで集団に残って、チームとしてマイヨジョーヌを守るために走った。でも予想以上に最後の登りの勾配がきつく、マイヨジョーヌを逃す結果になってしまった。ユンボ・ヴィズマは完璧な走りをしたけど、ただアラフィリップが誰よりも強かった。勝利に値する走りだった。
マイヨブランを守りきれたことを嬉しく思う。ユンボ・ヴィズマは素晴らしい週末を経験したけど、明日からはステフェン(クライスヴァイク)の総合狙いと、ディラン(フルーネウェーヘン)のスプリント狙いという本来の目標に立ち返る。ディランは落車から順調に回復しているので、明日は彼でステージ優勝を狙うよ。
エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)
とてもとても厳しいステージだった。アラフィリップの走りは本当に鋭くて、ボーナスタイムのために付いて行こうと思ったけど不可能だった。今日は集団内の全員が苦しんでいたと思う。チームTTの翌日は決まってハード。今日は追い風が吹いていたから余計にハードだった。しかも終盤に急勾配の登りが連続。とにかくレースがハードになる要素が詰まったステージだった。
ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)
決して得意ではない急勾配で短い登りを上手くこなすことができたと思う。チームは常に集団前方をキープしていたし、連携も取れていた。今日の丘陵ステージで総合成績は少し落ち着いた。例えば序盤に5日連続で平坦ステージが続くとスーパーナーバスな展開になるから、この方がずっといい。
今はとにかく余計な力を使わずに走ることを心がけている。確かにボーナスタイム獲得のチャンスがあったけど、アラフィリップのような選手が狙いに行くなら勝ち目がない。今日はとにかく良い位置でレースをこなすことが重要だった。
ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)
調子は上向きで、昨日よりも良い感触を持って走ることができた。そしてチームは常にトラブルを避けるためにポジションを守ってくれた。最後はアレクセイ・ルツェンコでステージ優勝を狙ったものの、今日はアラフィリップが強すぎた。身体は順調に回復している。あと数日すれば完調すると思う。
マイヨアポワ獲得 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
チームはカレブ・ユアンでステージ優勝を狙う作戦だった。でも今日はずっと追い風が吹いていて、徐々に逃げ切りによるステージ優勝の可能性を感じ始めたんだ。独走に持ち込むことができたけど、終盤にペースが落ち、最後の3級山岳の麓で運悪くパンクしてしまった。パンクしていなければ、後ろから追いついてきたジュリアン・アラフィリップと逃げ続けることができたと思う。でもいずれは彼に突き放される運命だった。
ニュートラルサービスにホイール交換をお願いして、頂上を越えたところでストップ。でも誰もホイール交換に来てくれなくて、自分がバカみたいだった。マイヨアポワ獲得は救い。できる限りこのジャージを着続けたい。
text&photo:Kei Tsuji in Epernay, France
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