2019/07/05(金) - 18:51
赤い水玉模様が特徴のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(マイヨアポワ)はツール・ド・フランスにおける山岳最強クライマーを示している。ジュリアン・アラフィリップの2年連続山岳賞なるか、それともフランス王者ワレン・バルギルの復活か。山岳ステージで注目のクライマーを見ておこう。
赤い水玉模様のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ
ツール・ド・フランス山岳最強の証、それがマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)。他の3賞ジャージが単色であるのに対して、マイヨアポワはホワイトジャージに赤い水玉を配した奇抜なデザインであり、プロトンの中でも判別は容易だ。ジャージスポンサーはフランスの大手スーパーチェーンのカルフールから同じく大手スーパーチェーンのルクレールに変更されている。
カテゴリーの低い山岳での獲得ポイントが引き下げられているのが近年のツールの傾向で、2019年はさらに超級山岳の獲得ポイントが2倍に。例えば4級山岳を40回先頭通過するのと、超級山岳1回先頭通過が同じポイント。つまり、マイヨアポワを狙うためには、こつこつと4級山岳をポイントを重ねるのではなく、難易度の高いカテゴリー山岳でポイントを稼がなければならない。中級山岳ステージで逃げてポイントを加算するのではなく、アルプスやピレネーの難関山岳でポイントを量産する真のクライマーがマイヨアポワの候補に挙がる。総合上位の選手たちも必然的に山岳賞ランキングの上位に絡んでくるだろう。
カテゴリー山岳のポイント配分
・超級山岳 40pts, 30pts, 24pts, 20pts, 16pts, 12pts, 8pts, 4pts
・1級山岳 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
・2級山岳 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
・3級山岳 2pts, 1pt
・4級山岳 1pt
アラフィリップvsバルギルの新旧フレンチクライマー対決
2018年に山岳ステージで2勝を飾り、圧倒的ポイント差で山岳王に輝いたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が今年もマイヨアポワの最有力候補だ。ストラーデビアンケとミラノ〜サンレモ、ラ・フレーシュ・ワロンヌを含めて今シーズン10勝を飾っている27歳は、前哨戦クリテリウム・デュ・ドーフィネでステージ1勝&山岳賞獲得。チームには総合狙いのエンリク・マス(スペイン)がいるが、アラフィリップには比較的自由な動きが許されていると見られる。
2017年にマイヨアポワを獲得したワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)はサンウェブから地元ブルターニュのアルケア・サムシックに移籍後に低迷。しかし直前のフランス選手権で実に1年11ヶ月ぶりの勝利を飾り、ツールにはトリコロール(フランスチャンピオンジャージ)を着ての出場となる。元山岳王と新山岳王の対決に注目したい。
ジロ・デ・イタリアで山岳賞を獲得したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)はツール初出場。総合狙いのリッチー・ポート(オーストラリア)をアシストしながら、チャンスがあれば山岳ポイント獲得に乗り出すはず。イタリア勢としては、復調しつつあるファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)や、チッコーネと同じくジロ組のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)らが早々に総合争いから山岳賞に目標をスイッチする可能性も。
第3週の難関山岳ステージでの山岳ポイント獲得がマイヨアポワにつながるため、総合狙いのエガン・ベルナル(チームイネオス)やナイロ・キンタナ(モビスター)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト)らコロンビア勢も自然と山岳賞上位に入ってくるだろう。
歴代のマイヨアポワ受賞者
2018年 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2017年 ワレン・バルギル(フランス)
2016年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2015年 クリス・フルーム(イギリス)
2014年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2012年 トマ・ヴォクレール(フランス)
2011年 サムエル・サンチェス(スペイン)
2010年 アントニー・シャルトー(フランス)
2009年 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)※ドーピング違反により失格
2008年 ベルンハート・コール(オーストリア)※ドーピング違反により失格
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)
text:Kei Tsuji in Brussels, Belgium
赤い水玉模様のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ
ツール・ド・フランス山岳最強の証、それがマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)。他の3賞ジャージが単色であるのに対して、マイヨアポワはホワイトジャージに赤い水玉を配した奇抜なデザインであり、プロトンの中でも判別は容易だ。ジャージスポンサーはフランスの大手スーパーチェーンのカルフールから同じく大手スーパーチェーンのルクレールに変更されている。
カテゴリーの低い山岳での獲得ポイントが引き下げられているのが近年のツールの傾向で、2019年はさらに超級山岳の獲得ポイントが2倍に。例えば4級山岳を40回先頭通過するのと、超級山岳1回先頭通過が同じポイント。つまり、マイヨアポワを狙うためには、こつこつと4級山岳をポイントを重ねるのではなく、難易度の高いカテゴリー山岳でポイントを稼がなければならない。中級山岳ステージで逃げてポイントを加算するのではなく、アルプスやピレネーの難関山岳でポイントを量産する真のクライマーがマイヨアポワの候補に挙がる。総合上位の選手たちも必然的に山岳賞ランキングの上位に絡んでくるだろう。
カテゴリー山岳のポイント配分
・超級山岳 40pts, 30pts, 24pts, 20pts, 16pts, 12pts, 8pts, 4pts
・1級山岳 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
・2級山岳 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
・3級山岳 2pts, 1pt
・4級山岳 1pt
アラフィリップvsバルギルの新旧フレンチクライマー対決
2018年に山岳ステージで2勝を飾り、圧倒的ポイント差で山岳王に輝いたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が今年もマイヨアポワの最有力候補だ。ストラーデビアンケとミラノ〜サンレモ、ラ・フレーシュ・ワロンヌを含めて今シーズン10勝を飾っている27歳は、前哨戦クリテリウム・デュ・ドーフィネでステージ1勝&山岳賞獲得。チームには総合狙いのエンリク・マス(スペイン)がいるが、アラフィリップには比較的自由な動きが許されていると見られる。
2017年にマイヨアポワを獲得したワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)はサンウェブから地元ブルターニュのアルケア・サムシックに移籍後に低迷。しかし直前のフランス選手権で実に1年11ヶ月ぶりの勝利を飾り、ツールにはトリコロール(フランスチャンピオンジャージ)を着ての出場となる。元山岳王と新山岳王の対決に注目したい。
ジロ・デ・イタリアで山岳賞を獲得したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)はツール初出場。総合狙いのリッチー・ポート(オーストラリア)をアシストしながら、チャンスがあれば山岳ポイント獲得に乗り出すはず。イタリア勢としては、復調しつつあるファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)や、チッコーネと同じくジロ組のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)らが早々に総合争いから山岳賞に目標をスイッチする可能性も。
第3週の難関山岳ステージでの山岳ポイント獲得がマイヨアポワにつながるため、総合狙いのエガン・ベルナル(チームイネオス)やナイロ・キンタナ(モビスター)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト)らコロンビア勢も自然と山岳賞上位に入ってくるだろう。
歴代のマイヨアポワ受賞者
2018年 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2017年 ワレン・バルギル(フランス)
2016年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2015年 クリス・フルーム(イギリス)
2014年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2012年 トマ・ヴォクレール(フランス)
2011年 サムエル・サンチェス(スペイン)
2010年 アントニー・シャルトー(フランス)
2009年 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)※ドーピング違反により失格
2008年 ベルンハート・コール(オーストリア)※ドーピング違反により失格
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)
text:Kei Tsuji in Brussels, Belgium
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