2019/05/25(土) - 20:45
静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで開催されたツアー・オブ・ジャパン第7ステージは、残り1周半を独走したパブロ・トーレス・ムイノ(スペイン、インタープロサイクリングアカデミー)が優勝。リーダージャージを守ったクリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン)が個人総合優勝に王手をかけた。石橋学(チームブリヂストンサイクリング)が個人総合7位に浮上。落車で遅れた増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は個人総合10位に後退した。
ツアー・オブ・ジャパン最後の決戦の地となる伊豆。個人総合優勝争いはこのステージで事実上決まる。
コースは日本サイクルスポーツセンターの5kmサーキットと、競輪学校内の3kmコースや施設内道路などを組み合わせた1周12km。レース距離は10周120kmと比較的短いものの、獲得標高差は富士山の標高に迫る3750m。ツアー・オブ・ジャパンの中で最も厳しいコースであり、海外チームの選手からも毎年厳しいという声が聞かれるほどだ。
前日の富士山ステージを終えて、個人総合首位はクリス・ハーパー(チーム・ブリッジレーン)。45秒差の2位にベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(チーム右京)、46秒差の3位にメトケル・イヨブ(トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム)、51秒差の4位に増田成幸(宇都宮ブリッツェン)がつける。2位から4位までの差はたった6秒。さらに5位ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)はトップから1分差、4位増田との差は9秒と、逆転可能な位置につける。
様々な思惑と期待が交錯する中、レースがスタートした。
スタート直後からアタックが繰り返され、3周目までに10人が先行する。メンバーは、フェデリコ・ズルロ、小林海(以上ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)、サム・クローム、小石祐馬(以上チーム右京)、伊藤雅和(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、ベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・サンティック)、パブロ・トーレス・ムイノ(インタープロサイクリングアカデミー)、マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)。オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)、木村圭佑(シマノレーシング)。その中から、ズルロが単独で飛び出し、9名が1分40秒差で追従する。
先頭のズルロから2分40秒後方となったメイン集団は、チーム・ブリッジレーンがコントロール。その後ろに4位の増田を擁する宇都宮ブリッツェンがつけてレースが進行する。アップダウンの激しいコースはレース序盤から集団を切り刻み、5周目までにメイン集団は30名ほどまで絞られる。
6周目、メイン集団で事件が起きる。個人総合3位のイヨブが下りコーナーで落車。直後を走っていた増田と窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が巻き込まれる。イヨブはその後リタイア。増田はチームメイトの岡篤志や鈴木龍の助けを借りて7周目にメイン集団に復帰する。
8周目、単独で逃げ続けるズルロと、木村圭佑が脱落し8名となった追走との差は20秒まで詰まり、山岳賞ポイントに向かう登りで吸収する。一方メイン集団もペースアップ。リーダージャージのハーパー、総合2位のプラデス、石橋学(チームブリヂストンサイクリング)らを含む10人が先行する集団との差を詰めていく。この動きに増田はついて行けず、遅れた集団に取り残される。岡が懸命に引くが、タイム差は1分以上に開いてしまう。
追走する10名の集団は、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)や、サルバドール・グアルディオラ(キナンサイクリングチーム)らがペースアップしていき、9周目に先頭集団を吸収する。その後ムイノが単独アタック。これを誰も追わず、後続に30秒差をつけて最終周回に入る。
ムイノは残り1周半を逃げ切り、独走のままホームストレートに姿を現す。追走する集団が後方に迫ったものの、ウィニングポーズを決めるには十分すぎる差をつけてフィニッシュした。
ムイノは、「ツアー・オブ・ジャパンに向けてチームはとてもいい準備をしてきた。チームのホームとなる日本のレースで勝てたのは嬉しい。今日の夜は皆でお祝いになるだろう」と、コメント。伊豆ステージ優勝を喜んだ。
リーダージャージのハーパーは16秒遅れの8位でフィニッシュ。総合2位のプラデスに7位を譲ったものの、個人総合優勝をほぼ確実にした。9位に石橋、10位に小林、11位に伊藤が続き、石橋が個人総合7位、小林が8位に浮上した。
ハーパーは、「個人総合首位を守るにはハードなコースだったが、チームメイトがいい仕事をしてくれた。感謝してもしきれない。総合トップ10に入っている選手は全て気にしていたが、特に2位のプラデスと3位のイヨブには気をつけていた。今日は調子が良く、周りの選手を見るとアタックについていける余裕があった」と、コメントした。
遅れた増田は3分以上遅れてフィニッシュ。個人総合は10位に後退した。
宇都宮ブリッツェンの清水監督は「落車したイヨブは下りのテクニックに乏しく、気をつけるべき選手だと選手達は見ていた。個人総合の表彰台を争うタイミングで落車に巻き込まれるのは不運としか言いようがない。なんとか集団復帰させたけれど、終盤のペースアップは厳しかった」と、レースを振り返る。増田の状況については「怪我の状態は検査してみないとわからない。今は無理するところではないので、明日の出走は状況を見て判断する」と、説明した。
最後はアシストを全て失いながらも個人総合首位を守ったハーパーの強さが目立った。明日の東京ステージを何事もなく終えれば個人総合優勝が決まる。
増田の落車は残念としか言いようがない。ハードレースを生き残った石橋、小林、伊藤の健闘がせめてもの救いか。
明日は最終日の東京ステージ。スプリンター達の競演が見られるステージとなるか。
ツアー・オブ・ジャパン最後の決戦の地となる伊豆。個人総合優勝争いはこのステージで事実上決まる。
コースは日本サイクルスポーツセンターの5kmサーキットと、競輪学校内の3kmコースや施設内道路などを組み合わせた1周12km。レース距離は10周120kmと比較的短いものの、獲得標高差は富士山の標高に迫る3750m。ツアー・オブ・ジャパンの中で最も厳しいコースであり、海外チームの選手からも毎年厳しいという声が聞かれるほどだ。
前日の富士山ステージを終えて、個人総合首位はクリス・ハーパー(チーム・ブリッジレーン)。45秒差の2位にベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(チーム右京)、46秒差の3位にメトケル・イヨブ(トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム)、51秒差の4位に増田成幸(宇都宮ブリッツェン)がつける。2位から4位までの差はたった6秒。さらに5位ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)はトップから1分差、4位増田との差は9秒と、逆転可能な位置につける。
様々な思惑と期待が交錯する中、レースがスタートした。
スタート直後からアタックが繰り返され、3周目までに10人が先行する。メンバーは、フェデリコ・ズルロ、小林海(以上ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)、サム・クローム、小石祐馬(以上チーム右京)、伊藤雅和(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、ベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・サンティック)、パブロ・トーレス・ムイノ(インタープロサイクリングアカデミー)、マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)。オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)、木村圭佑(シマノレーシング)。その中から、ズルロが単独で飛び出し、9名が1分40秒差で追従する。
先頭のズルロから2分40秒後方となったメイン集団は、チーム・ブリッジレーンがコントロール。その後ろに4位の増田を擁する宇都宮ブリッツェンがつけてレースが進行する。アップダウンの激しいコースはレース序盤から集団を切り刻み、5周目までにメイン集団は30名ほどまで絞られる。
6周目、メイン集団で事件が起きる。個人総合3位のイヨブが下りコーナーで落車。直後を走っていた増田と窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が巻き込まれる。イヨブはその後リタイア。増田はチームメイトの岡篤志や鈴木龍の助けを借りて7周目にメイン集団に復帰する。
8周目、単独で逃げ続けるズルロと、木村圭佑が脱落し8名となった追走との差は20秒まで詰まり、山岳賞ポイントに向かう登りで吸収する。一方メイン集団もペースアップ。リーダージャージのハーパー、総合2位のプラデス、石橋学(チームブリヂストンサイクリング)らを含む10人が先行する集団との差を詰めていく。この動きに増田はついて行けず、遅れた集団に取り残される。岡が懸命に引くが、タイム差は1分以上に開いてしまう。
追走する10名の集団は、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)や、サルバドール・グアルディオラ(キナンサイクリングチーム)らがペースアップしていき、9周目に先頭集団を吸収する。その後ムイノが単独アタック。これを誰も追わず、後続に30秒差をつけて最終周回に入る。
ムイノは残り1周半を逃げ切り、独走のままホームストレートに姿を現す。追走する集団が後方に迫ったものの、ウィニングポーズを決めるには十分すぎる差をつけてフィニッシュした。
ムイノは、「ツアー・オブ・ジャパンに向けてチームはとてもいい準備をしてきた。チームのホームとなる日本のレースで勝てたのは嬉しい。今日の夜は皆でお祝いになるだろう」と、コメント。伊豆ステージ優勝を喜んだ。
リーダージャージのハーパーは16秒遅れの8位でフィニッシュ。総合2位のプラデスに7位を譲ったものの、個人総合優勝をほぼ確実にした。9位に石橋、10位に小林、11位に伊藤が続き、石橋が個人総合7位、小林が8位に浮上した。
ハーパーは、「個人総合首位を守るにはハードなコースだったが、チームメイトがいい仕事をしてくれた。感謝してもしきれない。総合トップ10に入っている選手は全て気にしていたが、特に2位のプラデスと3位のイヨブには気をつけていた。今日は調子が良く、周りの選手を見るとアタックについていける余裕があった」と、コメントした。
遅れた増田は3分以上遅れてフィニッシュ。個人総合は10位に後退した。
宇都宮ブリッツェンの清水監督は「落車したイヨブは下りのテクニックに乏しく、気をつけるべき選手だと選手達は見ていた。個人総合の表彰台を争うタイミングで落車に巻き込まれるのは不運としか言いようがない。なんとか集団復帰させたけれど、終盤のペースアップは厳しかった」と、レースを振り返る。増田の状況については「怪我の状態は検査してみないとわからない。今は無理するところではないので、明日の出走は状況を見て判断する」と、説明した。
最後はアシストを全て失いながらも個人総合首位を守ったハーパーの強さが目立った。明日の東京ステージを何事もなく終えれば個人総合優勝が決まる。
増田の落車は残念としか言いようがない。ハードレースを生き残った石橋、小林、伊藤の健闘がせめてもの救いか。
明日は最終日の東京ステージ。スプリンター達の競演が見られるステージとなるか。
第7ステージ:伊豆 結果(日本サイクルスポーツセンター周回コース 122.0km)
1位 | パブロ・トーレス・ムイノ(スペイン、インタープロサイクリングアカデミー) | 3時間10分24秒 |
2位 | ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンディック) | +11秒 |
3位 | ホセ・ヴィセンテ・トリビオ・アルコレア(スペイン、マトリックス・パワータグ) | |
4位 | フランシスコ・マンセボ・ペレス(スペイン、マトリックス・パワータグ) | |
5位 | アダム・トーパリック(チェコ、チーム・ザワーランド・NRW・P/B・SKS・ジャーマニー) | |
6位 | サルバドール・グアルディオラ・トーラ(スペイン、キナンサイクリングチーム) | |
7位 | ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(スペイン、チーム右京) | |
8位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン) | +16秒 |
9位 | 石橋学(日本、チームブリヂストンサイクリング) | +22秒 |
10位 | 小林海(日本、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | +28秒 |
個人総合成績(第7ステージ:伊豆 終了時)
1位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン) | 17時間26分56秒 |
2位 | ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(スペイン、チーム右京) | +40秒 |
3位 | ホセ・ビセンテ・トリビオ・アルコレア(スペイン、マトリックスパワータグ) | +51秒 |
4位 | フランシスコ・マンセボ・ペレス(スペイン、マトリックスパワータグ) | +1分2秒 |
5位 | ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム) | +1分29秒 |
6位 | サム・クローム(オーストラリア、チーム右京) | +2分3秒 |
7位 | 石橋学(日本、チームブリヂストンサイクリング) | +2分16秒 |
8位 | 小林海(日本、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | 2分45秒 |
9位 | アドリアン・ギロネット(フランス、インタープロサイクリングアカデミー) | 3分25秒 |
10位 | 増田成幸(日本、宇都宮ブリッツェン) | +4分1秒 |
ポイント賞(第7ステージ:伊豆 終了時)
1位 | フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) | 67p |
2位 | レイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京) | 67p |
3位 | ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、チーム右京) | 59p |
山岳賞(第7ステージ:伊豆 終了時)
1位 | フィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 33p |
2位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム・ブリッジレーン) | 15p |
3位 | エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) |
チーム総合(第7ステージ:伊豆 終了時)
1位 | チーム右京 | 52時間28分50秒 |
2位 | マトリックス・パワータグ | +1分41秒 |
3位 | インタープロサイクリングアカデミー | 8分14秒 |
text:Satoru Kato, Yuichiro Hosoda
photo:Satoru Kato, Yuichiro Hosoda
photo:Satoru Kato, Yuichiro Hosoda
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