2019/05/19(日) - 13:45
女性向けバイクブランドのLivより、軽量レーシングモデルの「LANGMA ADVANCED PRO 2 DISC」を武田和佳さんがインプレッション。扱いやすいオールラウンドな走行性能に加え、女性でも安心の油圧ディスクブレーキを標準装備した1台だ。
Liv LANGMA ADVANCED PRO 2 DISC (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
総合サイクルブランド、ジャイアントのレディースラインであるLiv(リブ)。「すべてを女性のためだけに」というスローガンのもと、バイクやアパレル、ヘルメットからシューズまで全てのラインアップを女性専用にデザインした開発を行っている。開発チームはもちろん女性メンバーによって構成されており、女性目線の意見を直接製品に落とし込んでいる稀有なブランドと言えるだろう。
LivはFIT, FORM, FUNCTIONという「3F」を理念に掲げており、いかに女性の体にフィットし使いやすく機能的かを追求する。ただ男性モデルからサイズや見た目のグラフィックを変更しただけではなく、女性特有の体力や身体的特徴をあらゆる側面から考慮し、快適な使い勝手と美しいデザインを両立するよう製品設計を行っているのだ。
フロントフォークは細身のストレート形状
空力性能に配慮されたカムテール形状のダウンチューブ
シートステーは細身の形状で振動吸収性を高めている
レースを戦う女性ライダーのサポートも行っており、今季はUCIウィメンズチームの「CCC-Liv」をスポンサードする。実に11回もの世界王者経験を持つトップレーサー、マリアンヌ・フォスも所属しており、Livバイクでロードとシクロクロスのレースを駆けている。そんなCCC-Livのメインバイクとして選手たちに愛用されているのが、軽量オールラウンドモデルの「LANGMA(ランマ)」である。
2017年に誕生したLANGMAは、ジャイアントの同系モデルであるTCRを参考に開発されたバイク。エベレスト山を意味する「Chomo Langma(チョモランマ)」に由来したモデル名を冠し、”高みへ挑戦する女性”というコンセプトをそのネーミングに込める。険しい山岳コースでも悠々と登りを楽しめる軽量性が特徴の1台だ。
女性向けに最適化されたCONTACT SL FORWARDサドルを合わせる
女性の体格に合わせてハンドル幅はやや狭め
コンポーネントはシマノ105、最新の油圧ディスクブレーキモデルだ
ヘッド上部はエアロなインテグレーテッドデザインを採用
その中でも今回インプレッションしたのは、油圧ディスクブレーキモデルの「LANGMA ADVANCED PRO 2 DISC」。セカンドグレードのADVANCED PROカーボンをフレーム素材に使用したモデルで、シートポストもトップモデルで採用されるISP仕様ではなく、高さの調整がしやすいノーマルな臼式クランプタイプとしている。
その上でカーボンレイアップを最適化し、女性でも扱いやすい剛性感になるようフレーム全体のバランスを調整。あえてTCRより剛性を落とすことで、踏んだ時に硬いという印象をなくし脚当たりを良くしているのだという。それにより長時間のライドでも疲労を抑え、高いパフォーマンスを維持できる設計とされている。
シェル幅の広いPOWERCORE BBがパワー伝達性を確保
ディスクブレーキは標準的な前後フラットマウントかつ12mmスルーアクスル
フレームの形状はTCRを踏襲したデザインで、オールラウンダーらしいオーソドックスなルックスに。前方から風を受けるダウンチューブやシートチューブ、フロントフォークはエアロ形状とし、シートステーは振動吸収性を高めるよう細くチュービングされている。また、TCRとは異なりヘッド上部にインテグレーテッドデザインが採用されており、コラムスペーサーも円形ではなくエアロタイプのものがアセンブルされる。
カーボン製のVARIANTシートポストも特徴で、快適性と空力性能を両立する翼断面形状が与えられている。ヘッド剛性を高める大口径のOVERDRIVE2規格や、パワー伝達効率を高めるべくボリュームを持たせたPOWERCORE BBなどジャイアント独自のテクノロジーも引き続き採用されている。
女性向けに大きくスローピングさせたトップチューブのデザインにも注目。スタンドオーバーハイトを下げることで身長の低めなライダーでも跨がりやすく、安全に乗りやすいようジオメトリーを専用に調整しているのだ。150cm以下の女性や子どもでも選択できるようXXSサイズから展開される。
フロントのブレーキホースはフォークに沿った外装仕様だ
快適性と空力性能を両立する独自のVARIANTシートポスト
手の小さな人も扱いやすいシマノ105のショートリーチレバーをアセンブル
パーツアセンブルも全て女性の体に合うよう考えられており、通常よりも短めなステムやクランク、肩幅に合わせた狭めのハンドル、快適性の高いウィメンズサドルなどを合わせる。またコンポーネントはシマノ105の油圧ディスクブレーキモデルが搭載されているが、STIレバーは手の小さな人向けのショートリーチレバーが標準装備される。
カーボンホイールとチューブレスタイヤも付属するため、完成車の状態でレースやロングライドまで幅広く対応するハイスペックな仕様に。光り輝くメタリックラメと、見る角度によって色を変える美しいカメレオンブルーも所有欲を高めてくれるだろう。ディスクブレーキが浸透し始めた昨今、女性バイクとしては大本命となるLANGMA ADVANCED PRO 2 DISC。早速、インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「しなやかで疲れにくい踏み味、ディスクロードながら軽い走りも魅力」武田和佳(Livアンバサダー)
「しなやかで疲れにくい踏み味、ディスクロードながら軽い走りも魅力」武田和佳(Livアンバサダー) photo:Ryuta.IWASAKI
普段使用しているエアロロードのENVILIVはボリュームある形状もあってかなり硬めなのですが、それとは対照的にLANGMAはしなやかな乗り心地で足に優しい印象です。ひと踏み目からその性質の違いをハッキリと感じるほどで、柔らかな足当たりのおかげで疲れにくく、長距離をストレスなく走るのに適しているなと感じますね。
エアロフレームだと硬さのせいでダンシングやコーナーでどうしても扱いにくさが出てしまいますが、このLANGMAはコーナリングでも安心してバイクを寝かしていけますし、ハンドリングもクセがなく思ったように走らせることができます。ダンシングでもバイクの振りやすさは際立って良いですし、登りもスイスイ駆け上がれるような軽さがありますね。
ひと踏みひと踏みのパワーをしっかり加速に繋げてくれる反応の良さが魅力で、それこそヒルクライム向きの味付けですよね。踏み込む度にグングングンとスピードが繋がってくれるので漕いでいて気持ちいいんです。ENVILIVだとパワーを受け止めた後にグーンと伸びるような感覚で、きちんと作り分けられているんだなと感じましたね。
「踏み込む度に素早く加速する高い反応性が気持ちの良い走りに繋がっている」 photo:Ryuta.IWASAKI
アセンブルされるホイールもリムハイトは高すぎず、風の抵抗も受けにくいし重量も軽く使いやすいですよね。オールラウンドなバイクのキャラクターとホイールの性能が合わさって、極端な上り下りでもコントロールしやすい仕上がりです。個人的には刷新されたサドルが好印象で、よりストレスが少ない座り心地になったと感動しました。座面形状や溝の付け方など女性向けに最適化されているのはLivならではの良さですね。
ディスクロードというと重量を気にする人もいるかと思いますが、バイクの重さは全く感じないほど走りの軽さが光る1台です。完成車そのままで十分レースにも使える高いパフォーマンスも備えています。安心の制動性能を発揮するディスクブレーキ、かつ女性でも握りやすいショートリーチレバーで、今後新たにロードバイクを購入する人にはぜひ選択肢に入れて欲しいモデルになりますね。
Liv LANGMA ADVANCED PRO 2 DISC photo:Ryuta.IWASAKI
Liv LANGMA ADVANCED PRO 2 DISC
フレーム:Advanced-Grade Composite,VARIANT Composite Seat Pillar
フォーク:Advanced-Grade Composite,Full Composite OverDrive 2 Column 12mm Axle
コンポーネント:シマノ 105
ホイール:GIANT SLR1 DISC Carbon
タイヤ:GIANT GAVIA AC 1 700x25C Tubeless Ready
サイズ:385(XXS),410(XS),445(S)mm
重量:7.5kg(385mm)
価格:350,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
武田和佳(Livアンバサダー) 武田和佳(Livアンバサダー)
国内トップレーサーとして活躍し、シクロクロス/MTBの日本代表経験を持つLivアンバサダー。高校時代からロード&トラックレースをメインに自転車競技を開始。シクロクロスのJCXシリーズ年間王者や全日本選手権上位入賞多数など輝かしい成績を残す。現在はジャイアントリブストア川越のスタッフも務め、長年のレース経験を活かした接客やアドバイスをユーザーに送っている。
ジャイアントリブストア川越 HP
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO,Ryuta.IWASAKI
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LivはFIT, FORM, FUNCTIONという「3F」を理念に掲げており、いかに女性の体にフィットし使いやすく機能的かを追求する。ただ男性モデルからサイズや見た目のグラフィックを変更しただけではなく、女性特有の体力や身体的特徴をあらゆる側面から考慮し、快適な使い勝手と美しいデザインを両立するよう製品設計を行っているのだ。
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2017年に誕生したLANGMAは、ジャイアントの同系モデルであるTCRを参考に開発されたバイク。エベレスト山を意味する「Chomo Langma(チョモランマ)」に由来したモデル名を冠し、”高みへ挑戦する女性”というコンセプトをそのネーミングに込める。険しい山岳コースでも悠々と登りを楽しめる軽量性が特徴の1台だ。
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その中でも今回インプレッションしたのは、油圧ディスクブレーキモデルの「LANGMA ADVANCED PRO 2 DISC」。セカンドグレードのADVANCED PROカーボンをフレーム素材に使用したモデルで、シートポストもトップモデルで採用されるISP仕様ではなく、高さの調整がしやすいノーマルな臼式クランプタイプとしている。
その上でカーボンレイアップを最適化し、女性でも扱いやすい剛性感になるようフレーム全体のバランスを調整。あえてTCRより剛性を落とすことで、踏んだ時に硬いという印象をなくし脚当たりを良くしているのだという。それにより長時間のライドでも疲労を抑え、高いパフォーマンスを維持できる設計とされている。
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カーボン製のVARIANTシートポストも特徴で、快適性と空力性能を両立する翼断面形状が与えられている。ヘッド剛性を高める大口径のOVERDRIVE2規格や、パワー伝達効率を高めるべくボリュームを持たせたPOWERCORE BBなどジャイアント独自のテクノロジーも引き続き採用されている。
女性向けに大きくスローピングさせたトップチューブのデザインにも注目。スタンドオーバーハイトを下げることで身長の低めなライダーでも跨がりやすく、安全に乗りやすいようジオメトリーを専用に調整しているのだ。150cm以下の女性や子どもでも選択できるようXXSサイズから展開される。
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カーボンホイールとチューブレスタイヤも付属するため、完成車の状態でレースやロングライドまで幅広く対応するハイスペックな仕様に。光り輝くメタリックラメと、見る角度によって色を変える美しいカメレオンブルーも所有欲を高めてくれるだろう。ディスクブレーキが浸透し始めた昨今、女性バイクとしては大本命となるLANGMA ADVANCED PRO 2 DISC。早速、インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「しなやかで疲れにくい踏み味、ディスクロードながら軽い走りも魅力」武田和佳(Livアンバサダー)
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エアロフレームだと硬さのせいでダンシングやコーナーでどうしても扱いにくさが出てしまいますが、このLANGMAはコーナリングでも安心してバイクを寝かしていけますし、ハンドリングもクセがなく思ったように走らせることができます。ダンシングでもバイクの振りやすさは際立って良いですし、登りもスイスイ駆け上がれるような軽さがありますね。
ひと踏みひと踏みのパワーをしっかり加速に繋げてくれる反応の良さが魅力で、それこそヒルクライム向きの味付けですよね。踏み込む度にグングングンとスピードが繋がってくれるので漕いでいて気持ちいいんです。ENVILIVだとパワーを受け止めた後にグーンと伸びるような感覚で、きちんと作り分けられているんだなと感じましたね。
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ディスクロードというと重量を気にする人もいるかと思いますが、バイクの重さは全く感じないほど走りの軽さが光る1台です。完成車そのままで十分レースにも使える高いパフォーマンスも備えています。安心の制動性能を発揮するディスクブレーキ、かつ女性でも握りやすいショートリーチレバーで、今後新たにロードバイクを購入する人にはぜひ選択肢に入れて欲しいモデルになりますね。
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Liv LANGMA ADVANCED PRO 2 DISC
フレーム:Advanced-Grade Composite,VARIANT Composite Seat Pillar
フォーク:Advanced-Grade Composite,Full Composite OverDrive 2 Column 12mm Axle
コンポーネント:シマノ 105
ホイール:GIANT SLR1 DISC Carbon
タイヤ:GIANT GAVIA AC 1 700x25C Tubeless Ready
サイズ:385(XXS),410(XS),445(S)mm
重量:7.5kg(385mm)
価格:350,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
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国内トップレーサーとして活躍し、シクロクロス/MTBの日本代表経験を持つLivアンバサダー。高校時代からロード&トラックレースをメインに自転車競技を開始。シクロクロスのJCXシリーズ年間王者や全日本選手権上位入賞多数など輝かしい成績を残す。現在はジャイアントリブストア川越のスタッフも務め、長年のレース経験を活かした接客やアドバイスをユーザーに送っている。
ジャイアントリブストア川越 HP
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO,Ryuta.IWASAKI
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