2019/03/02(土) - 09:29
第1回UAEツアーの実質的な総合優勝者を決める標高1,458mのジュベルジャイスで、真っ赤なリーダージャージを着るプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が勝利。翌日の平坦ステージを残して、総合優勝に王手をかけた。
UAE(アラブ首長国連邦)の国旗が風になびく photo:RCS Sport
UAEツアー2019第6ステージ photo:RCS Sport
UAEツアー2019第6ステージ photo:RCS Sport
UAEツアーの最終日前日に登場した標高1,458mのジュベルジャイス(全長20.6km/平均勾配5.4%)山頂フィニッシュ。UAE(アラブ首長国連邦)を構成するアジュマーン首長国の首都から平野部を北上し、半島の先端に広がる山岳地帯を走る。
最後のジュベルジャイスの標高差がそのままこの日の獲得標高差のようなシンプルなステージは、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を含む集団落車で幕開けた。怪我を免れたバルベルデとニバリはレースを続行したが、パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)はリタイアを強いられている。
先頭ではアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・スーダル)が単独逃げを開始。第1スプリントを先頭通過したハンセンの後方では追走グループが形成される。ポイント賞上位のステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)とシャルル・プラネ(フランス、ノボノルディスク)がこの動きに乗り損ねた一方で、最終的なポイント賞逆転を狙う前日のステージ優勝者エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が逃げに乗った。
追走グループは先頭ハンセンに追いつき、ヴィヴィアーニが中間スプリントでポイントを稼ぎながらエスケープ。この日合計13ポイントを獲得したヴィヴィアーニはクリアノフと3ポイント差のポイント賞2位に浮上し、翌日の最終ステージでの逆転に望みをつないだ。
チームメイトに守られて決戦の地へと向かうプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:RCS Sport
ユンボ・ヴィズマを先頭にメイン集団が進む photo:RCS Sport
視界の悪いジュベルジャイスを登るプロトン photo:RCS Sport
フィニッシュまで60kmを残してタイム差は9分まで拡大。ユンボ・ヴィズマに加えてサンウェブとモビスター、アスタナがメイン集団のペースメイクを担当し、タイム差が4分30秒まで縮まったところで最後のジュベルジャイス登坂が始まる。高速道路のような道幅のある緩斜面をメイン集団はハイスピードで駆け上がった。
逃げグループはやがてヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)、ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム)、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード)の3名に絞られ、メイン集団とタイム差2分20秒で残り10km。ユンボ・ヴィズマとサンウェブがペースを上げるメイン集団は縦に長く伸び、徐々に人数を減らしていった。
先頭で独走に持ち込んだロスコフから1分差で残り6kmを切ると、ユンボ・ヴィズマ、モビスター、グルパマFDJの3チームが先頭に上がってさらに一段ペースを上げる。残り3kmからローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)の強力な牽引が始まると、フィニッシュまで2.3kmを残してついに先頭のロスコフは吸収。デプルスがライバルの動きを封じるハイスピードで集団を引き倒したまま残り1kmを切った。
残り300mでダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)がステージ優勝に向けた最初の動きを見せると、これに呼応するようにトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)がロングスプリントを開始。その後ろからヤングライダー賞ジャージのダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)と、リーダージャージのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が迫った。
フィニッシュラインに向かって徐々に失速したデュムランに代わって、力強いスプリントで加速し続けたログリッチェが先着。ライバルたちとのタイム差はつかなかったが、ステージ優勝のボーナスタイム10秒によってログリッチェが総合リード拡大に成功した。
沿道から逃げグループに声援が飛ぶ photo:RCS Sport
先行するトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)に並ぶプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:RCS Sport
ジュベルジャイス山頂フィニッシュを制したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:RCS Sport
「チームの強さを改めて見せつけることができたと思う。序盤からずっとチームメイトたちが風から守ってくれた。そして最後はローレンス・デプルスが残り500mまで引き続けてくれたんだ。本当にインプレッシブな走りだった」と、まずはチームメイトに感謝したログリッチェ。
ログリッチェは平均勾配6.6%のラスト1kmを1分50秒で駆け抜けており、平均スピードは33.0km/h。その際の平均出力は515Wで、ラスト300mに限定すると平均780Wで踏んでいる。また、ステージ8位に入った総合4位ブッフマンは46分31秒かけて全長20.6km/高低差1,157mを登坂。平均勾配5.4%の登りを平均スピード26.6km/hで登坂。平均出力は330Wだった(体重62kg)。
「ここまで惜しいところで勝利を逃すステージが続いていたので、ようやく勝てて本当に嬉しい。フィニッシュラインを切る時に感情が溢れ出した。スプリンターではないけど、脚に力が残っていたので踏み続けたんだ。シーズン初戦で勝利を飾るのは、目標であるジロ・デ・イタリアに向けて大きなモチベーションになる」。最終ステージを前に総合1位ログリッチェと総合2位バルベルデのタイム差は31秒。ログリッチェが総合優勝に王手をかけた。
リーダージャージのリードを広げたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:RCS Sport
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UAEツアーの最終日前日に登場した標高1,458mのジュベルジャイス(全長20.6km/平均勾配5.4%)山頂フィニッシュ。UAE(アラブ首長国連邦)を構成するアジュマーン首長国の首都から平野部を北上し、半島の先端に広がる山岳地帯を走る。
最後のジュベルジャイスの標高差がそのままこの日の獲得標高差のようなシンプルなステージは、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を含む集団落車で幕開けた。怪我を免れたバルベルデとニバリはレースを続行したが、パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)はリタイアを強いられている。
先頭ではアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・スーダル)が単独逃げを開始。第1スプリントを先頭通過したハンセンの後方では追走グループが形成される。ポイント賞上位のステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)とシャルル・プラネ(フランス、ノボノルディスク)がこの動きに乗り損ねた一方で、最終的なポイント賞逆転を狙う前日のステージ優勝者エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が逃げに乗った。
追走グループは先頭ハンセンに追いつき、ヴィヴィアーニが中間スプリントでポイントを稼ぎながらエスケープ。この日合計13ポイントを獲得したヴィヴィアーニはクリアノフと3ポイント差のポイント賞2位に浮上し、翌日の最終ステージでの逆転に望みをつないだ。
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フィニッシュまで60kmを残してタイム差は9分まで拡大。ユンボ・ヴィズマに加えてサンウェブとモビスター、アスタナがメイン集団のペースメイクを担当し、タイム差が4分30秒まで縮まったところで最後のジュベルジャイス登坂が始まる。高速道路のような道幅のある緩斜面をメイン集団はハイスピードで駆け上がった。
逃げグループはやがてヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)、ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム)、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード)の3名に絞られ、メイン集団とタイム差2分20秒で残り10km。ユンボ・ヴィズマとサンウェブがペースを上げるメイン集団は縦に長く伸び、徐々に人数を減らしていった。
先頭で独走に持ち込んだロスコフから1分差で残り6kmを切ると、ユンボ・ヴィズマ、モビスター、グルパマFDJの3チームが先頭に上がってさらに一段ペースを上げる。残り3kmからローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)の強力な牽引が始まると、フィニッシュまで2.3kmを残してついに先頭のロスコフは吸収。デプルスがライバルの動きを封じるハイスピードで集団を引き倒したまま残り1kmを切った。
残り300mでダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)がステージ優勝に向けた最初の動きを見せると、これに呼応するようにトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)がロングスプリントを開始。その後ろからヤングライダー賞ジャージのダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)と、リーダージャージのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が迫った。
フィニッシュラインに向かって徐々に失速したデュムランに代わって、力強いスプリントで加速し続けたログリッチェが先着。ライバルたちとのタイム差はつかなかったが、ステージ優勝のボーナスタイム10秒によってログリッチェが総合リード拡大に成功した。
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「チームの強さを改めて見せつけることができたと思う。序盤からずっとチームメイトたちが風から守ってくれた。そして最後はローレンス・デプルスが残り500mまで引き続けてくれたんだ。本当にインプレッシブな走りだった」と、まずはチームメイトに感謝したログリッチェ。
ログリッチェは平均勾配6.6%のラスト1kmを1分50秒で駆け抜けており、平均スピードは33.0km/h。その際の平均出力は515Wで、ラスト300mに限定すると平均780Wで踏んでいる。また、ステージ8位に入った総合4位ブッフマンは46分31秒かけて全長20.6km/高低差1,157mを登坂。平均勾配5.4%の登りを平均スピード26.6km/hで登坂。平均出力は330Wだった(体重62kg)。
「ここまで惜しいところで勝利を逃すステージが続いていたので、ようやく勝てて本当に嬉しい。フィニッシュラインを切る時に感情が溢れ出した。スプリンターではないけど、脚に力が残っていたので踏み続けたんだ。シーズン初戦で勝利を飾るのは、目標であるジロ・デ・イタリアに向けて大きなモチベーションになる」。最終ステージを前に総合1位ログリッチェと総合2位バルベルデのタイム差は31秒。ログリッチェが総合優勝に王手をかけた。
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UAEツアー2019第6ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 4:15:39 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
3位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
4位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
6位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
7位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:05 |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 23:09:38 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:31 |
3位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:44 |
4位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:56 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:04 |
6位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:08 |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:01:11 |
8位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:29 |
9位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:01:45 |
10位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:01:49 |
ポイント賞
1位 | ステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 52pts |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 49pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 48pts |
ヤングライダー賞
1位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 23:10:22 |
2位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:45 |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:01:01 |
中間スプリント賞
1位 | ステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 52pts |
2位 | シャルル・プラネ(フランス、ノボノルディスク) | 43pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 13pts |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 68:59:02 |
2位 | UAEチームエミレーツ | 0:00:35 |
3位 | アスタナ | 0:05:46 |
text:Kei Tsuji
photo:RCS Sport
photo:RCS Sport
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